黄衣の虚無 ~Apocalypse Archive~   作:ww12

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ブラックマーケットの常連と言ったらこの子しか思い浮かばなかった。

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前回のあらすじ

レインコートの少女こと蓮田キイコはカイザー系列の不動産にブラックマーケット付近の一軒家を提供され、そこで新たな生活を始める事となった。
生活費を稼ぐ為の仕事を探し続けるが、そこにあるのはトラブルばかりである。しかしキイコにとっては、トラブルなど道端の邪魔な小石程度のものでしかなかった。


Ep3.接点は些細な事から

ブラックマーケット付近の小屋で暮らし始めて一週間が経つ。キイコは無事に仕事を見つける事が出来たが、その内容は『用心棒』であり、普段の日常と変わらないものだった。トラブルを起こす輩を死なない程度に叩きのめすと言ったまさに相性抜群の仕事であったのだが、キイコは他の用心棒と違って相手の体の一部を欠損や機能不全にさせたりと、生き地獄を味合わせるようなやり方を繰り返していたが為に雇い主からも恐れられるようになる。

しかしこの度を越した活動が功を奏したのか、ブラックマーケットの治安は以前と比べて回復傾向へと向かっていた。

 

 

キイコ

「大分おとなしくなってきたな。けどトラブルが減ったら用心棒の仕事が減っちまう……となるとそろそろ転職時か…」

 

 

自分の行いが返って自分を締め上げてしまった事に悩みつつ、ブラックマーケットの歩道を歩き続ける。すると道の端に何かが落ちているのを見つけ、キイコは拾ってじっくり見る。それは薄汚れてはいるものの、目の焦点が合っていない白い鳥のような小さいぬいぐるみであり、キイコはこのデザインに困惑した。

 

 

キイコ

「何だこの気色悪い鳥公は……キヴォトスのマスコットか何かか? だとしたらデザインした奴のセンスはどうかしてるぞ。」

 

 

そう言ってその場に捨てようと放り投げたが、投げた先には1人の少女が立っていた。その少女は放り投げたぬいぐるみをキャッチすると視線をキイコに向け、怒りに満ちた形相を浮かべる。その少女はセーラー服姿で背中には先程投げたぬいぐるみと同じキャラが描かれたリュックサックを背負っていた。

 

 

「貴女……今、何て言いました?」

 

キイコ

「あ? 何だテメェ?」

 

「ペロロ様だけでなく……その生みの親まで……!!」

 

キイコ

「は? ケロロだぁ? こっちの世界にも(・・・・・・・・)有んのかよ。だとしたら見た目が全然違い過ぎるぞ。ケロロってのは緑色だしそもそも鳥じゃねぇ。」

 

ペロロ様です!!!!馬鹿にしないでください!!!」

 

キイコ

「訳分かんねぇ事言ってんじゃねぇよ……テメェここらのモンじゃねぇな。どこの学校から来た。」

 

「ペロロ様を侮辱した悪人に名乗る名前なんてありません!!!でも侮辱した事を素直に謝るなら教えます!!!」

 

キイコ

「テメェから言い掛かり付けておいて謝れだと? 随分な口の利き方じゃねぇか。」

 

 

その空気に周囲の市民達は次々と距離を取り、2人から離れていく。目の前の少女は銃を持つとその銃口をキイコに向け、キイコは拳や首を鳴らして構えた。

 

 

キイコ

「テメェが何なのか分からねぇが、銃を向けるんならブチのめす!!!!

 

 

少女は迷わず発砲するが、キイコは全身をノイズに変えて急接近する。弾丸はノイズ化した体をすり抜ける為、避ける必要も無くそのまま目の前まで来たら元の姿に戻り、顔面に目掛けて膝蹴りを仕掛けた。膝蹴りは直撃し、少女は鼻血の弧を描きながら吹き飛ばされる。それでも銃を構えて撃とうとするが、再び急接近したキイコに銃を蹴り飛ばされてしまった。しかし少女は武器を失っても威勢は失っておらず、キイコを睨みつけている。キイコは少女の髪を鷲掴みして無理やり立たせ、拳を構えた。

 

 

キイコ

「相手をよく見て喧嘩売るんだったな。」

 

「っ…!!!」

 

 

 

バンッ

 

 

少女の顔面に拳を叩き込もうとした次の瞬間、銃声と共にキイコの目の前を弾丸が通過する。キイコは弾丸が飛んできた方向に視線を向けると、そこには別の少女が銃を構えて立っていた。

 

 

「アズサちゃん…!?」

 

キイコ

「仲間か?」

 

アズサ

「ヒフミを放せ…!!」

 

 

キイコは叩きつけるようにヒフミと呼ばれた少女を解放して2人から距離を取る。ヒフミは蹴り飛ばされた銃を拾うとアズサと共にキイコを睨みつけた。アズサは何故こうなったのかをヒフミに聞こうと思っていたが、まずはキイコをどうにかする事が先決だと判断した。

 

 

ヒフミ

「あの人は絶対に許さない…!!」

 

アズサ

「何が有ったのかは後で聞こう。今はこいつを黙らせるぞ!!」

 

 

キイコ

「チッ……面倒くせぇなぁあああ!!!!」

 

 

互いに真っ直ぐ駆け出し、ヒフミとアズサは銃を構える。対するキイコは再び全身をノイズに変えて急接近しようと超スピードで迫った。しかしヒフミは既に一度経験している為、的確な対応が出来るようになっていた。

 

 

ヒフミ

「避けて!!!」

 

アズサ

「っ!!?」

 

 

間を開けるように躱し、2人の間をノイズの姿に変えたキイコが通り過ぎる。そして元の姿に戻り、両足と片手で制動を掛けながら止まった。アズサはキイコの能力に驚きを隠せずにいたが、すぐに切り替えて冷静に分析する。そしてある仮説を立て、ヒフミに声を掛けた。

 

 

アズサ

「ヒフミ、もう一度奴の攻撃を誘えるか? 私の予想が当たっていれば、対処法が見つかるかもしれない。」

 

ヒフミ

「分かりました…やってみます!!」

 

 

ヒフミが注意を引く為に威嚇射撃を行い、キイコの近くに着弾させる。キイコはヒフミに狙いを定めると全身をノイズに変えて急接近し、接触寸前に元の姿に戻り飛び蹴りを仕掛けた。ヒフミはこれを躱し、アズサは一連の流れを観察して確信を得る。

 

 

アズサ

「やっぱりそうだ。奴がノイズを纏っている間は私達の攻撃は通じないが、奴自身も攻撃を当てる事が出来ない。だから攻撃の際に元に戻る必要がある。これを逆手に取れば……」

 

ヒフミ

「でも、あの人凄く速いですよ? 少しでもタイミングがずれたら…」

 

アズサ

「私に任せてくれ。」

 

 

威嚇射撃を行い、キイコはそれに反応してノイズを纏うと急接近する。ヒフミはアズサがどう対処するのかと息を呑み、銃を構えるアズサを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アズサ

「っ…!!!!」

 

ドゴォッ

 

キイコ

「ぐあああ!!?」

 

 

アズサが取った対処法はノイズの姿から戻った瞬間に銃床で叩くと言うものだった。キイコは銃床の一撃で顎をかち上げられて隙を晒らしてしまい、ヒフミがその隙を突いて発砲した。銃弾はキイコの左肩に当たり、そのまま貫通(・・・・・・)した。

 

 

ヒフミ

「え……?」

 

アズサ

「なっ……」

 

 

倒れたキイコの左肩から血溜まりが広がる。ヒフミは自分がした事を理解した途端に銃を落として過呼吸を起こし始めるが、アズサは何とか落ち着かせようと声を掛けた。

 

 

ヒフミ

「はぁ…はぁ……アズサちゃん……私…」

 

アズサ

「落ち着け、まだ死んだと決まった訳じゃ……」

 

 

キイコ

「うぅ…………」

 

 

ヒフミ

「っ!?生きてる…!!手当てしないと!!」

 

アズサ

「応急処置が出来る所まで運ぶぞ!!ヒフミ、血が出ないように傷口を押さえてくれ!!」

 

 

左肩を負傷したキイコは2人に運ばれていく。何故キイコはこんなに脆いのかと2人は疑問に思ったが、今は応急処置を優先してひたすら走り続けた。

 

 

________________________

 

 

 

キイコ

「んぅ……左肩が痛みやがる………はっ!!?」

 

ヒフミ

「あ、起きた!!よかった……」

 

キイコ

「テメェら……!!」

 

アズサ

「落ち着け、攻撃する気はない。ただ聞きたい事がある。何故ヒフミはこいつと戦っていたんだ?」

 

ヒフミ

「それは………ペロロ様を侮辱されたからです……」

 

アズサ

「そうか……それなら私もこいつに対して怒りをぶつけたいところだが、ヒフミも過敏にならなければ避けられた戦いかもしれないぞ。」

 

 

それを聞いて何も言えなくなるヒフミを見てキイコは溜息をつく。そして立ち上がると左肩を覆っていた包帯を剝がし始めた。

 

 

アズサ

「何をしてるんだ!?まだ傷は塞がってないんだぞ!!」

 

キイコ

「必要無ぇ。」

 

 

すると左肩の銃創が見る見るうちに再生していき、完全に塞がってしまった。ヒフミとアズサが驚いて言葉を失う中、キイコはそのまま話を続ける。

 

 

キイコ

「冷静に考えたら非が有るのは私もそうだ。そいつが気に入ってるペロロとかいうやつを気色悪いっつったのが発端だしな。全く、この街の連中は些細な事ですぐ銃をぶっ放しやがる……人気の少ない所を住処に選んで正解だったな……」

 

アズサ

「まさかだとは思うが、お前はキヴォトスの外から来たのか? その口振りからしてここの常識を知らないように聞こえるし、それにヘイローも無い……」

 

ヒフミ

「っ!!言われてみれば…」

 

アズサ

「聞かせてくれないか、お前は何者なんだ?」

 

キイコ

「それを聞いたら後悔する事になるぞ。何せ連邦生徒会が後世に伝えないように封印した黒歴史に触れるんだからな。」

 

 

その言葉を聞いて息を呑む。自分達はとんでもない事に関わろうしてるんじゃないのかと考えたが、ヒフミは銀行強盗以降から様々なトラブルに巻き込まれ、アズサもエデン条約の騒動を始めこれまで多くの死線を潜り抜けていたが為に恐怖や不安は不思議と感じなかったのだ。

 

 

アズサ

「それでも構わない。連邦生徒会が隠しているものをお前が知っているなら、それも含めて聞かせて欲しい。」

 

ヒフミ

「私からもお願いします。」

 

キイコ

「分かった……けどその前にテメェらの名前と学校教えろ。肩に風穴開けられた挙句、名前も名乗らず馴れ馴れしくされてブチキレそうだからよ。」

 

ヒフミ

「あ、あはは……そうですよね………トリニティ総合学園2年の阿慈谷ヒフミといいます。あの、さっきはごめんなさい。ペロロ様の事になると自分を抑えられなくて……」

 

アズサ

「同じくトリニティ総合学園2年、白洲アズサだ。友人のヒフミが迷惑かけてしまった事については申し訳ないと思っている。」

 

ヒフミ

「それで……貴女は一体、何処から来たのですか?」

 

キイコ

「ここまで親しくなっちゃぁ隠し事すんのも酷だな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キイコ

「私は楽間エメラ………ってのはここで暮らす為に考えた偽名で、本当の名前は蓮田キイコ。かつてはクンヤン連合学園……もとい、≪学園地底都市クンヤン≫で暮らしていたクンヤン人だ。」

 

 




早くも自分の過去に関する情報をカミングアウトする事になりました。

次回は更に深堀りとなります。
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