黄衣の虚無 ~Apocalypse Archive~   作:ww12

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前回予告した通り先生とキイコの初対面回です。

今回は少々過激な描写多めです。

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前回のあらすじ


キイコは先生からの依頼でやって来た便利屋68と遭遇する。リーダーである陸八魔アルはキイコに同業者としての先輩面を見せるも、股間を蹴られる形で軽くあしらわれてしまう。この仕打ちに怒りを抑えられなかったアルはキイコに本格的な勝負を挑むも、非物質化を用いた圧倒的な戦闘力に心が折れかけてしまう。しかし土壇場でアウトローとしての矜持を捨てる事なく単身で挑もうとするが、またしても股間強打という形で敗北を喫する事となった。
その後キイコはアルが失言で漏らした≪先生≫に会う為にシャーレを目指すのだった。



Ep6.シャーレにご挨拶

 

 

キイコ

「地図の通りなら、ここがシャーレで間違いねぇな。」

 

 

広げた地図を両手で持ちながら目の前のビルを見上げるキイコ。周りのビルに引けを取らない高層ビルであり、これから単身で乗り込むには骨が折れそうである。しかしキイコは全く動じず、地図を畳んで懐に仕舞うと非物質化のノイズを纏い、真上に飛翔する。

 

その頃、シャーレ内のオフィスではいつも通りの業務に勤しむ先生と、それをサポートする生徒がいた。その生徒の名は≪早瀬ユウカ≫。ミレニアムサイエンススクールのセミナーに所属する生徒の1人であり、先生にとっては就任直後に出会ってから絡みの多い生徒でもある。

 

 

ユウカ

「さっきの電話は何だったんですか?」

 

先生

「カヨコからだったよ。便利屋68はしばらく活動を休止するらしい。アルの心が折れたんだとか……今度様子を見に行かないと…」

 

ユウカ

「だったら早く今日の分を終わらせましょう。まだまだやる事は残っていますよ。」

 

先生

「ああ……そうだね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キイコ

「先公の持ち場はここだな?」

 

先生・ユウカ

「「!!!??」」

 

 

いつの間にかシャーレのオフィス内にキイコが立っていた。先生は白いタブレットこと≪シッテムの箱≫を手に取り、ユウカは即座に銃を構える。しかしキイコは全く動じる事は無かった。

 

 

キイコ

「よぉ先公。」

 

ユウカ

「誰ですか貴女は…!!どうやってここに!!」

 

キイコ

「外から飛んで窓をすり抜けて来た。さてと先公……会いたかったぜ。」

 

ユウカ

「先生に手を出したら…!!」

 

 

その直後、キイコの視線がユウカに向く。するとユウカは全身に寒気が走り、持っている銃を落としそうになる。先生も視線を向けられていないにもかかわらず、足が竦みそうになっていた。

 

 

キイコ

「そこのキヴォトス人、テメェに用はねぇんだよ。」

 

先生

「ユウカ、銃を下ろして。その子は……」

 

キイコ

もう遅ぇよクソッタレが。

 

 

全身にノイズを纏うと一瞬でユウカの背後に移動し、後頭部を掴む。ユウカはそのまま机に叩きつけられ、更に足払いで転ばされると同時に頭を踏みつけられてしまった。先生はこれに怒りを覚えるも、視線を向けられた途端にその怒りは鎮まってしまう。

 

 

先生

「話がしたくてここに来たのか…?」

 

キイコ

「ああ、便利屋68。あれ嗾けたのテメェだな。」

 

先生

「君の事を調べる必要があったんだ。あまりにも神出鬼没だったからね。」

 

キイコ

「そうかそうか……なら私から言わせてもらうぞ。私はテメェの言いなりになんかならねぇし、そもそもテメェの教え子になった覚えはねぇ。だから金輪際私に干渉するのは止めてもらうぞ。」

 

先生

「そうは行かないよ。君もキヴォトスで暮らす以上、私の生徒である事に変わりない。」

 

キイコ

「どうしても引き下がらねぇってか……だったらこうしよう。」

 

 

キイコは踏みつけていたユウカの首を掴むと全身にノイズを纏う。掴まれていたユウカもノイズに覆われ、やがて2人はノイズの塊へと変化して窓をすり抜けていった。先生は後を追ってシャーレの外に出ると、入口の前でキイコがユウカの首を掴んで殴り掛かる構えを取っていた。

 

 

先生

「止めろ!!何をする気だ!!?」

 

キイコ

「今ここでこのキヴォトス人を殺す。そうすれば私を生徒扱いなんて出来ねぇだろうよ。」

 

先生

「どうしてそこまで荒んでいるんだ…!!何が君をそんな風にしたんだ!!」

 

キイコ

「知ったところで理解出来ねぇよ。それじゃあ………っ!!?」

 

 

視線をユウカに向けようとした途端、先生の背後から何者かが忍び寄って来るのが見える。それはヘイローを持たない制服姿の少女であり、手には銃剣を持っていた。

 

 

ガキィン!!

 

 

「っ!!?弾かれただと!!?」

 

先生

「何だ!?」

 

 

先生の脇腹を突き刺そうと迫った銃剣の刃は見えない何かで防がれる。すると周囲から同じ制服を着たヘイローを持たない少女達が現れ、先生を囲んでいった。

 

 

「アホか!!シャーレの先生はシッテムの箱を持ってる間は物理攻撃が効かないとブリーフィングで聞いただろうが!!」

 

「そっか…!!だったら非物質化で…!!」

 

 

先生

「何なんだ君達は…」

 

アロナ

『気を付けてください!!この子達、本気で先生を殺そうとしています!!』

 

 

 

キイコ

「チッ……もうここまで追って来やがったか…!!」

 

 

キイコはユウカを投げ捨て、謎の襲撃者達の前に立ち拳を鳴らす。襲撃者達はキイコに気付くと驚いたように目を見開いた。

 

 

「お前は…!?」

 

キイコ

「わざわざこんな所までご苦労なこった。」

 

「落ち着け!!これは寧ろチャンスだぞ!!シャーレの先生を殺して蓮田キイコを捕らえる絶好の機会だ!!」

 

 

しかし次の瞬間、キイコの拳が襲撃者の1人の腹に直撃する。殴られた襲撃者はそのまま吹き飛び、吐瀉物を撒き散らしながらシャーレの壁に激突した。

 

 

キイコ

「舐められちまったもんだな……」

 

「怯むな掛かれええええ!!!」

 

 

バンッ

 

 

「あぎゃっ!?」

 

 

一斉攻撃を仕掛けるが、一発の銃声によって静まり返る。銃声が鳴った方向には銃を構えるユウカがおり、キイコにやられた際のダメージで額から血を流していた。

 

 

ユウカ

「勝手に来て好き放題した挙句、先生の命まで狙うなんて………この外道がっ!!!」

 

キイコ

「おい止めろキヴォトス人!!!」

 

ユウカ

「黙れぇ!!!」

 

 

ドドドドドドドドドドドド

 

 

「ぐあああ!!!」「ぎゃああああ!!!」

 

「キヴォトス人までいやがる!!!」

 

「クソぉ……撤退だ!!!急いで報告するぞ!!仲間を5人も殺られた!!」

 

 

襲撃者達は散るように退き、シャーレの前から去っていく。しかしユウカの怒りは収まっておらず、今度はキイコに銃口を向けていた。

 

 

ユウカ

「さっきの連中は仲間なんでしょ!?だったら貴女も…!!」

 

キイコ

「おいキヴォトス人。テメェ取り返しの付かない事しちまったぞ。」

 

先生

「ユウカ、落ち着くんだ!!君は今何をしたか分かっているのか!?」

 

ユウカ

「何って…あっ………ぁぁああ!?

 

 

シャーレの入口前に転がるヘイローを持たない少女達の死体。ユウカはそれに気付くと顔を真っ青にして銃を落とし、嘔吐してしまう。銃撃戦が日常茶飯事のキヴォトスにおいても殺人は重罪であり、ましてや1人で複数殺人など以ての外である。

 

 

ユウカ

「先生…私……こんなに殺して……違う…私はただ…」

 

先生

「しっかり、ヴァルキューレに聞かれたら私の方から上手く言っておくから。」

 

キイコ

「テメェ1人で罪を償おうとしても無理な話だ。そもそもキヴォトス人のテメェがクンヤン人を殺しちまった事が問題なんだよ。あのまま私に任せればよかったのに余計な首突っ込みやがって。テメェのせいでキヴォトスとクンヤンの戦争が前倒しになっちまったじゃねぇか!!!」

 

先生

「何を言っているんだ…!!そもそも君が……」

 

キイコ

「ああそうさ、私はテメェに挨拶する為に来たんだ。本来ならテメェが私に干渉しないよう説得して帰るつもりだったのに、テメェは引き下がらず、挙句の果てにそこのキヴォトス人が銃を向けたせいでややこしくなっちまった。」

 

先生

「私達のせいだと!!?ふざけるな!!!」

 

キイコ

「あのとき私に干渉しないと縦に首振っておけば、私はすぐに帰ってこんな大事にならずに済んだんだよ。なのにテメェは拒否した!!!ゲマトリアの黒服と違って!!!」

 

 

黒服の名前を聞いた途端、先生は驚愕を隠せずにはいられなかった。キイコとゲマトリアが本当に繋がっているのは想定外だったからだ。

 

 

先生

「本当に黒服と会っているのか……」

 

キイコ

「ああ、私の力の探求を許可する代わりに協力してもらってる。」

 

先生

「そうか……分かった、もう君には干渉しないと約束する…だから今すぐここから去ってくれ……」

 

キイコ

「最初からその答えが出せればよかったのにな。この際だから教えてやる。ブラックマーケットで知り合った阿慈谷ヒフミと白洲アズサには、私の素性をある程度話している。私の事がどうしても気になるってんならそいつらに聞きな。」

 

 

そう言い残してキイコは全身にノイズを纏って飛翔し、ブラックマーケットの方へ飛んでいく。後に残されたのは先生とユウカ、そしてユウカに射殺された襲撃者ことクンヤン連合学園の生徒達の死体だけとなった。少しするとサイレン音が聞こえ始め、ヴァルキューレ警察学校の生徒達が到着する。ヴァルキューレの生徒達は現場の状況に困惑しつつも、2人を事件関係者としてパトカーに乗せて連れていってしまった。

 

その翌日にはキヴォトス中を震撼させるニュースが飛び交い始めた。シャーレのビルの前で先生を襲撃する謎の集団とそれを殺害する早瀬ユウカの映像が拡散されたのだ。これはシャーレ付近の監視カメラの映像であり、傍から見れば先生とユウカの2人が襲撃を受けたような構図となっている。しかしその場にいたはずのキイコの姿はどこにも映っていなかった。それもそのはず、キイコはこのとき非物質化で体の質量を無くしており、空気に擬態していたのだ。非物質化のノイズは映像には映らない為、映像内のキイコは完全な透明状態になっているのであった。

 

 

ユウカ

「私は先生を守ろうとしただけなんです!!」

 

コノカ

「仕掛けたのが向こうだとしても、5人殺害は流石に過剰防衛かと思うっすけどねぇ。監視カメラの映像を見た感じだと、襲ってきた奴らは先生と同じヘイロー無しっぽいし。」

 

ユウカ

「ヘイローが無い生徒がいるなんて予想外だったんですよ……とにかく!!私は先生を守ろうと取った行動があれだったんです!!信じてください!!!」

 

コノカ

「はぁ~……って言ってるけど、どうするっすか姉御?」

 

カンナ

「先生には悪いが、事の真相が解明するまで矯正局に送るしかない。」

 

コノカ

「確かにそれが妥当かもしれないっすね。今回の件は不可解な点が多いし、現場に居合わせた蓮田キイコっていうレインコートの生徒の話が本当なのかも怪しいっす。」

 

________________________

 

 

その頃、キイコは小屋の中でテレビを見ていた。古臭いブラウン管に映る映像を見て、キイコはその場に居合わせた人物に声を掛けた。

 

 

キイコ

「上手い具合に誤魔化してるな。」

 

黒服

「貴女もです、キイコさん。非物質化の発動中は映像に映らないという特性……中々に便利なものですね。おかげで貴女を映像から切り抜く編集の手間が省けましたよ。」

 

キイコ

「けど不味い事になっちまった。あのキヴォトス人がクンヤン人を殺しちまったから、この先次々とクンヤンの刺客が送られてくるぞ。」

 

黒服

「それについてはゲマトリアでも対策を練っています。後ほど先生にも伝える予定です。平行世界のように滅ぼさせる訳にはいきませんから。」

 

キイコ

「テメェはキヴォトスの敵なのか味方なのか分からねぇな……」

 

 




キイコ、先生と初接触&クンヤン生徒本格登場となりました。

次回は今回の事件の影響を受けてキヴォトスの各学校が動き出します。
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