黄衣の虚無 ~Apocalypse Archive~   作:ww12

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蓮田キイコを巡って各学校が動き出します。
相変わらずキイコはキヴォトス人と敵対したままです。
そして今回はセリフが多めとなりました。

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前回のあらすじ

先生に挨拶する為にシャーレに向かったキイコだったが、その場に居合わせた早瀬ユウカの行動によって事態はややこしくなり、更にクンヤン連合学園の生徒達の襲撃によって深刻な状況に陥る。ユウカは襲撃してきたクンヤンの生徒を5人殺害してしまい、ヴァルキューレに逮捕されて矯正局送りにされてしまう。キイコの存在は黒服の根回しによって秘匿されていたが、これが返って新たな疑念を生んでしまうのだった。



Ep7.黄衣を追え Part1

 

早瀬ユウカの矯正局送りのニュースはキヴォトス中に知れ渡り、多くの生徒が驚きを隠せずにいた。中でもユウカが在籍してるミレニアムサイエンススクールはこれに対してヴァルキューレ警察学校に抗議声明を出すなど、両校の対立が表面化しつつあった。

 

 

ノア

「どうしてユウカが矯正局送りになるんですか!!」

 

カンナ

「先生を守る為とはいえ、5人も殺してしまったからだ。とはいえ、今回の件は不可解な点が見られたから、矯正局送りはあくまで仮の処置になる。」

 

ノア

「不可解な点とは何ですか。」

 

カンナ

「シャーレ付近の監視カメラの映像記録が一部削除されていた。最初はヴェリタスの仕業かと思って私自ら聞き込みをしたんだが、向こうはやっていないと答えた。実際、それらしき証拠は1つも見つかっていない。」

 

ノア

「それで、削除された映像記録には何が映っていると…?」

 

カンナ

「先生が言っていた蓮田キイコという謎の生徒が映っていたんじゃないかと思っている。」

 

ノア

「ではその蓮田キイコが今回の事件の元凶って事ですか。」

 

カンナ

「先生に聞けば分かると思うのだが、今はトリニティに行ってシャーレには不在だ。今度会ったらハッキリさせてみようと思っている。」

 

ノア

「分かりました………」

 

 

ユウカの矯正局送りはヴァルキューレが表向きにアピールする為の仮の処置であり、クンヤンの生徒達の襲撃の真相が判明するまでの保留機関を設ける為であった。実際、コノカを筆頭にヴァルキューレの生徒達はキイコの捜索を始めており、先生から聞いた情報を基にブラックマーケット付近の取り締まりを強化している。

 

 

カンナ

「大変な事になってしまったな………」

 

 

コーヒーを飲みながらそう呟いていると、懐の携帯が鳴り始める。カンナはすぐさま取り出して電話に出た。

 

 

ヴァルキューレ生徒A

『局長、矯正局の治療室に収容していた襲撃者の1人が意識を取り戻しました。』

 

カンナ

「そうか、ではすぐに尋問の準備だ。コノカも呼んでおいてくれ。」

 

ヴァルキューレ生徒A

『了解。』

 

 

ヴァルキューレが逮捕したのはユウカだけではなかった。キイコに腹を殴られて気絶したクンヤンの生徒の1人も矯正局の治療室でずっと眠ったままだったのである。

 

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アビドス高校

 

 

 

シロコ

「ん、先生が襲われたって話聞いた。」

 

ノノミ

「幸い無事みたいでよかったよね。でも死人が出るなんて凄く珍しいような……」

 

アヤネ

「先生の話によると、襲撃者はヘイローが無かったそうです。死亡したのも多分それが原因かと。」

 

セリカ

「ヘイロー無しが通う学校なんて聞いた事ないわね。それにしてもミレニアムのセミナーの子が矯正局送りって……」

 

シロコ

「絶対何か隠してる。多分そう。早瀬ユウカは致し方ない犠牲にされた。」

 

ホシノ

「うへぇ……実はあの後先生と少し電話で話したんだけど、蓮田キイコっていうレインコート姿の子が一緒にいたらしいよ。今回の事件もその子が原因なんだとか。」

 

シロコ

「ん、だったら話は早い。そのキイコって子を捕まえて洗い浚い吐かせる。」

 

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ゲヘナ学園

 

 

マコト

「その話……間違いないんだな?」

 

ヒナ

「ええ、確かよ。蓮田キイコ、ブラックマーケットで目撃されるようになった謎の生徒。所属学校、学年、経歴、あらゆる詳細が不明で、癇癪で人を殺す危険人物。あの便利屋68ですら殺されはしなかったものの、完敗したと聞いたわ。」

 

マコト

「そんな奴がキヴォトスに入り込んだというのか。このゲヘナに来てしまったら大事になりかねんぞ。」

 

ヒナ

「だからこそよ。ここは万魔殿と風紀委員会で協力して蓮田キイコを捕らえる。それに先生を襲撃した連中とも何かしら関係しているらしいから、それについても問い詰める必要があるわ。」

 

マコト

「分かった、いいだろう………蓮田キイコ、貴様はこの万魔殿と風紀委員会を一遍に敵に回す事になったぞ…!!」

 

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百鬼夜行連合学院

 

 

ナグサ

「先生が襲われた例の件についてだけど…」

 

キキョウ

「襲ったのはヘイローを持たない謎の生徒達。既に調査したけど、ヘイロー無しが通う学校は一つも確認出来なかったわ。」

 

レンゲ

「それじゃあ奴らはキヴォトスの外から来たって事か?」

 

ユカリ

「先生を襲う為だけにわざわざ外から来るとは考えられない、他に何か目的が有ったからキヴォトスまで入り込んだ……というのが身共の予想ですわ!!」

 

キキョウ

「珍しく鋭いわねユカリ、実際そうかもしれない。あのとき先生の近くには蓮田キイコっていう黄色のレインコートを着たヘイロー無しがいたそうよ。連中は先生だけじゃなく、蓮田キイコも狙って動いていた可能性が有るわ。」

 

レンゲ

「あーーそういや噂で聞いたな。ブラックマーケットにレインコート姿の用心棒が現れて大活躍してるって。その用心棒、蓮田キイコって名前だったのか。」

 

ナグサ

「だとしたら、その蓮田キイコを私達が先に捕らえれば何か分かるかもしれない。ヘイロー無しの生徒、気になる…」

 

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山海経高級中学校

 

 

キサキ

「先生を襲った連中はキヴォトスの外からの刺客じゃ。」

 

ミナ

「キヴォトスの外にもう一つの学園都市が存在するというのですか?」

 

キサキ

「或いは、先生が元居た『外の世界』からやって来た殺し屋達の線も考えられるが、可能性が高いのは前者の方じゃろう。それにヘイローを持たないという特徴を聞いてある噂を思い出したのじゃ。玄武商会の者達が話し合っていたのを聞いたのじゃが、ブラックマーケットに蓮田キイコというレインコート姿の用心棒がいるらしくての。そいつも襲撃者達と同じようにヘイローを持たないそうなんじゃ。」

 

ミナ

「では、あのとき先生の近くにその蓮田キイコがいたと。」

 

キサキ

「十中八九そうじゃろう。そうでなければ、あんな不自然に監視カメラの映像を編集する必要性を感じないからの。事の真相は蓮田キイコが握っておる。見つけ次第捕らえるのじゃ。」

 

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トリニティ総合学園

 

 

先生

「そんな話を聞いていたのか……キイコはかつてキヴォトスにいたクンヤン人の末裔の1人で、過去の行いの罪悪感からクンヤンを脱走していたんだね…」

 

ヒフミ

「私も最初に聞いたときは信じられませんでした。私達がその……クンヤン人を迫害した人達の子孫だったなんて……」

 

アズサ

「今回の件は中々に複雑だ。クンヤン人達からすれば、私達を含むキヴォトス人達は仇の血を引いている。それに今のクンヤン人達はかつて私が在籍していたアリウス以上の憎悪に満ちているそうだ。もしキヴォトスの生徒の誰かと接触したら、問答無用で殺し合いが起きるぞ。」

 

先生

「だからあのときキイコはユウカへの攻撃を止めて、私を襲った生徒達と対峙したのか。」

 

ヒフミ

「あの、キイコさんの事はあまり悪く言わないでください。確かに口も悪くてすぐ暴力に訴えますけど、下手に刺激しなければ普通にいい人でしたし…」

 

 

先生はキイコと面識のある補習授業部のヒフミとアズサに聞き込みをして、キイコの出自や隠されたキヴォトスの歴史の一部を知る事となった。かつて起こった人種差別、そしてそれを隠蔽して今も尚隠し続ける連邦生徒会と、キヴォトスの闇が垣間見えてしまっていた。

 

 

先生

「キイコとは金輪際関わらないと本人の前で約束したけど、今の話を聞いた以上放っておく訳には行かない。それにクンヤン人迫害について、リン達連邦生徒会と話し合う必要が有りそうだ。」

 

アズサ

「あまり深入りしない方がいいと思うが……」

 

 

先生は去っていき、2人はその場に取り残される。そしてそれを柱の陰から盗み聞きしている生徒がいた。

 

 

イチカ

「凄い情報ゲットしちゃったっす……」

 

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ティーパーティー

 

 

セイア

「正義実現委員会から報告が入った。例の事件で先生を襲撃したのはクンヤン人。かつてこのキヴォトスに存在したヘイローを持たない民族。しかし当時のキヴォトス人に迫害され、今はキヴォトスから離れた地の地下深くに潜伏しているそうだ。」

 

ナギサ

「クンヤン人……? 初めて聞く人種ですね。そのような民族が存在していたとは驚きです。何故そのクンヤン人は先生を?」

 

セイア

「分からない。恐らくキヴォトスで最も影響力が有るから、自分達が活動しやすいように殺そうとしたのかもしれない。ただ、ニュースで流れた映像を見た感じだと、先生1人を殺すにしては余りにも人数が多すぎるように感じた。もしかしたら他の目的が有るのかもしれない。」

 

ナギサ

「他の目的ですか。」

 

セイア

「実を言うとここからが本題だ。蓮田キイコという生徒がブラックマーケットにいる。キイコはクンヤン人の1人で、訳有ってキヴォトスに移住したそうだ。例の事件で襲撃してきたクンヤン人達は、キイコを捕まえようとしていたのかもしれない。もしそうだとすれば、ニュースの映像に映っていたあの人数にも納得がいく。」

 

ナギサ

「蓮田キイコ………前にヒフミが言っていましたね。まさかキヴォトスの外から来た人だったとは……」

 

セイア

「本人から更に詳しく聞く必要が有る。問題は正義実現委員会に頼んで捕縛するか、或いは正式にティーパーティーに招待して面会の機会を設けるかの二択だ。私としては後者の方が望ましいが。」

 

ナギサ

「でしたらまずはその蓮田キイコがどこにいるのか突き止める必要が有りますね。正義実現委員会総動員で捜索しましょう。」

 

 

それぞれの学校の思惑が飛び交い、蓮田キイコただ1人を狙って動き出そうとしていた。そしてキイコ自身も、それに気付き始めていた。

 

 

キイコ

「先公……あのクソボケ外来人がぁ……!!関わらないと言っておきながら私の事をキヴォトス人共に言い触らしやがったな!!」

 

黒服

「どうしますか? このままでは捕まってしまうのも時間の問題と言えるでしょう。」

 

キイコ

「チッ……これだけは避けたかったが、こうなっちまった以上他に選択肢は無ぇ。テメェらゲマトリアに匿わせてもらうぞ。」

 

黒服

「奇遇ですね、私もそうしようと思っていたところですよ。クックックッ……」

 

 

その後、キイコは黒服を始め、マエストロやゴルコンダ、デカルコマニーといった面々によって、()()()()()()()()()()()()転送される事となった。転送先はゲマトリアの構成員だけしか知らない秘密の地であり、黒服からも決して口外しないようにと念を押されるのであった。

 

 

黒服

「ここはキヴォトスから少々離れた場所です。隠れるには打って付けでしょう。ですが、この場所の事はあまり口外しないように。」

 

キイコ

「隠れたいのに口外してどうすんだよ。そんな事しねぇ。」

 

ゴルコンダ

「確かにそれもそうですね。」

 

デカルコマニー

「そういうこった!!」

 

マエストロ

「其方が蓮田キイコか。黒服から話は聞いている。神秘でも恐怖でもないものを持っているのだとか。」

 

キイコ

「生憎虚無の力はあまり使いたくねぇんだ。色々と訳有ってな……」

 

黒服

「クックックッ……心配はご無用です。ここではいくら力を使おうと、外部にそれを察知されないよう細工が施してあります。以前から虚無の探求をじっくりとやってみたかったので、今が正に好機ですよ。」

 

キイコ

「まぁ……契約するときに探求していいっつったの私だしな。いいぜ、隠れる代わりにテメェらの仕事に付き合ってやるよ。」

 

 

多くの学校がキイコを探し始める中、キイコはゲマトリアとの一時的な共同生活を始める事となった。しかし逆に言えば、キイコは体の鈍りを防ぐ鍛錬の機会を、黒服は虚無の力の探求にようやく取り組める機会を得た事になり、互いにとってメリットでしかなかった。

 

 




遂に始まるキイコの大捜索とゲマトリアの虚無探求。
これに加えてクンヤンの動向も有るので、物語はここから更に複雑になります。
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