「昔のゲヘナは、『雷帝』が支配していた」
地面を照り付ける日差しはもう水分を含まない砂粒を熱していく。その日光を遮る影を地面に早く滑らせながら、ヒナは説明を始めた。
「ゲヘナをまとめるほどの技術力で作られた『雷帝の遺産』はそのすべてがとてつもない影響力で、シェマタもその一つ」
「使われる前に潰さなきゃ、何が起きるかわからないわ」
「そんなものがなんでアビドスにあるのよ!」
半ばで我慢のならなくなったセリカが声を荒げる。ツーンとなる声にも動じることをせず淡々と回答を連ねる。
「シェマタはネフティスとの共同制作だったらしいわ」
「十六夜ノノミのカードがキーなのもそれが理由」
「なんでそんなものが今更……」
「きっと、見つけてしまったのでしょう。誰かが偶然」
「そんな」
「それを止めるために今走っている、でしょ?」
足が止まってしまったセリカにヒナが手を伸ばす
「……うん」
伸ばされた手を掴んだ。
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先導していた先生が年季の入ったビルの前で止まった。
「もしかして、ここ?」
「”うん。皆気を付けて行こう”」
建物の中に入れば、照明を切ったようにとんとあたりが暗くなる。ボロボロの壁からこぼれている光は、かえって不気味さを覚えさせた。
「ん、私はこっちを見る。セリカはそっちを見て」
「わかった先頭気を付けてねシロコ先輩」
「敵はどこから出てくるかわからないから、気を付けて。先生」
「”ヒナこそね”」
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バタンと扉を蹴り開いて、即座にシロコとセリカが即座にクリアリングする。だがその後には何の音もならない。
「なんで……何でここも誰もいないのよ!」
開いた扉の先はがらんとしており、先ほどまで見てきたものと同じだった。
「”次で最後の扉だ”」
探しても見つからない今までの時間は緊張を焦りへと変貌させていた。
シロコがドアノブに手をかけた瞬間。通信が鳴る。
『先生!ノノミ先輩が知らない人と帰ってきました!!』
「”え?”」
思いもよらぬ報告に先生は素っ頓狂な声を出してしまう。
『私にもわかりませんが、助けてもらったと……』
「じゃあこの部屋の中はっ」
シロコが扉を開けるとノノミの学生証がうっすらと光を反射させていた。
『何とか助かりました~★』
通信にノノミも映り、その安全を確認できる。
「とりあえず、よかったのかしら……?」
『いろいろアヤネちゃんから聞きました。助けに向かってくれてありがとうございます……ってあれ?ホシノ先輩は一緒にいないんですか?』
はっとして周りを見る前に。
ズガァァァアアン
と、大きな銃声が外から聞こえた。
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少し遡り……
先導していた先生が年季の入ったビルの前で止まった。
「もしかして、ここ?」
「”うん。皆気を付けて行こう”」
ここに、ノノミちゃんが……
アビドスで、私の目が届く範囲で、もう学友を失うことは許されないことだ。
砂で視界を埋めて、無意識に足で窪みを作る。
自分の足が止まっていたことに気づき、前を向きなおすともうみんなは中に入っていたようだった。追いつこうと足を浮かせたときに、遠くに何かが見えた。
向こうには頼れる後輩とゲヘナの風紀委員長ちゃん、それに先生もいる。
リスクは、私が取るべきだ。
少し見に行こう。
近づけば、いや向こうからも走って近づいてくる。
あれは。
彼女が気づいて銃を向けてくる。だけど、その前に質問に答えてもらうことにした。
「久しぶり、でもないかな?」
「――ちょっと話をしようか」
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今日の任務は離反者が出たところへの応援。文章でそう送られてきたのだ。
無心で砂漠を走り移動する。ここ最近は専ら考えるということをやめてしまった。
任務が達成できればそれでいいと考えた方が楽だから。
その先のことは、得意になった思考放棄で蓋を閉じた。
さて、そろそろ目的のエリアに着くだろう時その前に、小さい何かが見えたような気がした。
「あれは」
スナイパーライフルを構える。構わずに向こうは口をひらいて。
「久しぶり、でもないかな?」
「――ちょっと話をしようか」
「小鳥遊ホシノ……」
「どいて、貴方に用はない」
「そっちになくても私にはあるよ」
「それに」
「目的はこの向こうのビルにあるんでしょ?」
「……」
「何?話したいことって」
「つまらない前置きは無し」
「その水筒どこで拾った?」
強い圧にたじろいでしまう。その位のプレッシャーを小鳥遊ホシノは持っている。
「拾ったんじゃない!」
「じゃあ奪ったのか!」
少し離れていた距離はいつの間にか縮まっていて、腹部にショットガンを当てられながら押し倒される。
「そんなんじゃ……ない!」
「ある人が、くれたものだ!」
「……!ユメ先輩が……?」
ゆめ、せんぱい……?ゆめ……
頭がずきりと痛む
私は砂嵐に飲み込まれていた。
私は何かを飲まされていた。
私の近くに誰かがいた。
私の近くの誰かは。
私に手を伸ばして。
私に
白い肌の手をのばした。
ぐにゃりとしかいがゆがむ
腹に鉄の感覚がして一気に引き戻される。
「答えろ!」
何か言われているが、耳には入らない。
頭の中で処理が追いつかない。
だけど銃口の感覚だけはしっかりと感じ取れて。
死んでしまうと『恐怖』を感じた。
「ああぁぁぁあああああああ!!!」
横に倒れているスナイパーライフルを手繰り寄せる。
ショットガンが放たれるが、痛みは感じなかった。
そして目の前の恐怖の元凶に銃弾を撃った。
覆いかぶさっていたものはくたりと傾れた。
私は。いや私は間違っていないはず。
いままでは。いや。違う。うん。そうだ。聞こう。理事に聞こう。理事は嘘なんてつくはずない。
すぐに帰って。聞いてみよう。
腹部から血を流しながら。ヒトミは砂漠を歩き出した。
死ぬってのか?俺が
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お久しぶりです。
時間を空けたことによって文体が変わっているかもしれません。
ぼちぼち再開していこうと思います。
私事なのですが、ヴェリタスのキャンプイベントを見逃してしまいました。
皆さんはイベント中いつストーリーを読んでますか?