砂混じりの企業少女   作:華氏6度

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再考

「”ホシノ!”」

 

階段を駆け下りて呼びかける。返事はなく声は風にさらわれてしまう。

呼んだ名の生徒はビルから少しばかり離れた場所に倒れていた。

 

「”ホシノ!”」

再び声を上げて、決して優れているとは言えない脚力で駆け寄る。膝をついた時に感じる砂の熱さを無視して、年齢のわりに小さく細い少女の体を抱き寄せる。焦りで顔色が読みとれないため、指で脈を測る。

 

……

…………

 

「”良かった”」

意識を失っているだけで安定している。

 

「ホシノ先輩!」

「”大丈夫。気を失っているだけだよ”」

「誰が、ホシノ先輩を……!」

「とりあえず、戻りましょう。十六夜ノノミの件もあるし」

「”そうだね”」

先生がホシノを抱えて一行は帰路に就くことにした。

 

「ん……」

砂に埋もれて白い布が少し見える。引っ張り出せば、それが見覚えのあるものであることがすぐにわかった。

「……」

少しの沈黙の後ポケットに入れて帰ることにした。

 

   ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

アビドス高等学校に帰るときには、日が落ちて校舎は冷たさを感じさせるようになっていた。

無言の時間は少し居心地のよくないものであったが、それぞれが何も話すことが見つからずに沈黙を長引かせることしかできなかった。

入り口で上履きに履き替え全員で対策委員会の部室に入ると。

 

「次はこれ見せてくれないか!」

「それも中学の復習のやつですけど……と皆さんお帰りなさい~!」

ノノミとアヤネと、今日戦闘がおきるはずだったカイザーPMCの職員が教材BD(ブルーレイディスク)を手に持って話していた。

今は言ってきた全員が驚いたが、真っ先に反応したのはセリカだった。

「なんでここにいるのよ!」

語気を強めに、銃を構えながらそう問いかけた。

 

「んー。PMCを裏切ったから」

「はぁ!?」

「PMCを裏切って→そこのお嬢さんを助けて→そのお礼にBDを見せてもらってたから」

「じゃあノノミ先輩が言ってた人って……」

「多分俺だな」

鉄の仮面の上からでも分かるドヤ顔でそんなことを言うのだから困惑はさらに深まった。

 

「先生。こうして会うのは初めまして、だな。会いたかったよ」

ホシノをソファーに寝かした先生に話しかける。外傷が見えないため、ホシノに触れることはなかった。

「君は……もしかして」

「あぁ。さて、向こうがいつ攻めてくるかも分からないんだ」

「情報共有を始めよう。どこまで、知っているんだ?」

 

   ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「……ということまでぐらいかしらね」

「えぇ……全部知ってるじゃん……」

意気揚々に聞き始めた職員の顔はだんだんひきつっていき、ついには萎れてしまった。

「……そうだな、あとはカイザーグループの目的か。奴らはキヴォトスの支配を目論んでいる。ネフティスにはアビドスの復興と噓をついてな。」

「……」

「それじゃああなたはなんで裏切ったのかしら?」

 

「助けたい奴がいるんだ」

「それってあの白い布被った子?」

いつの間にか体勢を起こしていたホシノが問いかける。

「”ホシノ!大丈夫?”」

「うん、ちょっと痛むけどもう大丈夫だよ。それより」

 

「あぁ何回かあったことがあるだろう。白妙ヒトミ、彼女の名前だ」

「端的に言えば、彼女は騙されている」

「騙されて……?」

 

「だからあの組織から引き剝がす必要がある。あそこにいても彼女にとっていいことはない」

「協力してほしい、あの企業を止めるために。彼女を救うために」

 

職員は立ち上がり深々と頭を下げた。

 

 

少しの硬直の後にセリカが口を開いた。

「私は反対。こいつが本当に私達の味方か怪しいし、あの子もいけ好かない。……けどカイザーグループを何とかしなきゃいけないのは変わらないし、それに」

震えていた『あの子』が気にならないわけでもない。

「まあ、付いてくるぐらいはいいんじゃない?」

 

「セリカちゃんが言うなら……」

「アヤネちゃん……」

 

「うん。セリカちゃんの言う通りだと思う」

「私はどっちでもいいですよ~」

 

「シロコ先輩は?」

 

「……」

「ん、それならいいと思う」

 

「”ヒナは?”」

「私も、別にいいと思う」

 

「わかった、感謝を述べておこう。俺はこの学校からどれぐらい離れればいい?」

「”私が見ておくからここで泊まってもらってもいいかな?”」

 

「俺は勿論嬉しいが……」

 

「それなら私も見ておくわ」

「”大丈夫”」

 

「まぁ、先生がいいのなら」

 

 

襲撃に備えるために全員がここで寝泊まりすることになり。

生徒たちとは別の部屋で、どんなつもりか先生と同じ部屋にいる。

 

「良かったのか?俺がその気になれば、いつでも殺せるんだぞ?」

「”君はそんなことしないってわかるから”」

 

「……!不思議な奴だな。それとも、ただの馬鹿か?」

「”もしここで私が死ぬのであれば、私は馬鹿だったんだろうね”」

「……」

 

目の前の先生は黙っている俺に向かって笑顔を浮かべて、寝袋に入った。

「”私はそろそろ寝るね。君も寝れるときにね”」

「あ、ああ。電気を消しておく」

 

「嘘だろ……?」

電気を消した瞬間に寝息が聞こえてきて、先生を起こさないように小声で驚嘆の息を漏らした。

 

「……」

持ってきたジュラルミンケースを開ける。

その中のサブマシンガンを撫でる。

 

「そろそろ正念場になりそうだ。俺は正しく動けているだろうか……」

 

「”きっと大丈夫じゃないかな?”」

「うわぁぁぁ!!」

「”うわぁぁぁ!!”」

 

「寝てたんじゃなかったのか?」

「”まさかあんな分かりやすいのに騙されるなんて……”」

「……見たか?」

「”だ、大丈夫だよ!銃が友達でも驚かないから!”」

「そうじゃない!!……形見なんだ、友人の」

 

「”そ……っか”」

「……」

上半身を寝袋からだして起こしている先生の目の前まで近づく。

「もし、もし先生の生徒だったら。どうなっていたんだろう」

 

眠ることを想定した暗さでは、光って見えるものは数少なく目立って見える。

 

「”……!君は……!”」

「済まない、忘れてくれ。もう寝ないとな」

 

   ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

夜が更けた。『過去』がかかわっていることに後輩を巻き込むわけにはいかなかったからこの時間しかなかった。

あの水筒は確かに。私か間違えるわけない、あれを『もらった』と言った。PMCで働いてい騙されているいる。

 

間違いない。先輩は誰かに殺されたんだ。

糸口はあの子だ。逃すわけにはいかない。

 

「『先輩』のことですか?」

 

街灯が二人の影を写し出した。




隊長、仲間はずれはよくないなぁ。

   ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

主人公とは。
全く出てこないじゃないですか!!

キャラが増えるとセリフが多くて……難しく……!
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