From outside Kivotos   作:ケトゥ毛

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本当に真っ暗闇の中にいるのはどっちなんだろう?


7話『停電、遮光」

 

 

 

{ お前 は 俺 か >

 

 

 

「.......!!」

 

暗がりにうっすらと現れたそれはいつか見た写真のもの同じだ。

咄嗟にアベルを自分の後ろに隠して見えないようにする。

 

 

「やっぱりつけてやがったな。」

 

「“ネル、あれは.....”」

 

「知ってる。例の”化け物“だろ?」

 

 

「ひぃっ......」「何.....?あれ....?」

 

「アリス.....少し怖いです....」

 

 

[ お前 オマエ おマえ 俺 か オレ か おれか >

 

< 空腹 飢餓 充電 }

 

{ 喰わせろ >

 

 

ザザッザザッ

 

 

「”く...来る....!“」

 

「幽霊だか怪物だか知らねぇけどよ....」

 

「ぶっ殺してやるよ!!」

 

 

ダダダッダダダッ

 

ネルの二丁のサブマシンガンから銃弾の奔流が放たれる、が.....

 

ザリッザリッ

 

「”なっ!?“」

 

「銃弾が.....突き抜けた.....?」

 

銃弾が全て“それ”の体を突き抜けて奥に飛んでいき、砂粒のようなものが舞う。

 

シュウゥゥ....

 

「先生!あれを!」

 

そして空いた穴は塵が集まって塞がり、元通りになる。

 

「あぁん?銃弾は効かねえってか?」

 

「“範囲が小さいのか?....なら...!“」

 

「”アリス!“」

 

「任せてください!」

 

アリスの光の剣の広範囲に渡る攻撃なら......!

 

ガシャン

 

「光よ!」

 

ギュオオオンッ!!

 

バサァァンッ〉〈ドドドドドッ

 

眩い閃光と共に“それ“が焼き払われたように消し炭になった。地面に焼き後が残り、奥の壁に穴が空いて崩れる。

 

「相変わらず威力はすげぇな....」

 

「....ミドリ....“あれ”を言っていいかな?」

 

「お姉ちゃん...?まさか....」

 

 

「や......」

 

「や、やったか.....?」

 

「“モモイ....それを言っちゃ.....”」

 

 

 

ザザザザザッ

 

「ほら!」

 

{熱い 寒い 痛い どれ>

 

「ひいっ」

 

「“復活した.....?”」

 

辺りの塵が集まって“それ”の形に戻った。それの首がばきりと鳴りこちらを向く。ぎこちないような動きはとても気味が悪く見える。

 

「無敵かよ.....!」

 

「どうすれば......」

 

 

「先生!」

 

「“ネル?何?“」

 

「チビを連れて先に逃げろ!あたしが何とかする!」

 

「”そんな.....!”」

 

「なんだ?信じられねえってか?」

 

「”でも一人にするわけには....“」

 

「あたしがやられると思うか?」

 

「“........”」

 

確かにネルは強いが生徒を一人置いていくわけにはいかない.....

でも、もし“あれ”がアリスやアベルと接触してしまえばどうなるか分からないのも事実だ。彼女は今の状況を冷静の判断して上で言っているのだろう。信じて任せるのも大人の役割だ、きっと。

 

「“.......分かった。ネル、任せたよ!“」

 

「”じゃあみんな、行こう!」

 

「「「「はい!」」」」

 

ネルに任せて走り出す。

今はミレニアムのキャンパスに戻る必要がある。

 

 

 

 

 

 

-------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい.....

 

 

 

「何でこんなに暗いのー!?」

 

「”それに誰もいない....どうなってるんだ?“」

 

ミレニアムのキャンパスからかなり離れた場所とはいえ都市は都市だ。なのに人が一人もいない上に異様に暗い。まるでゴーストタウンだ。

 

腕時計を確認する。

 

「”おかしいな....まだ日が落ち始める時間帯なのに....“」

 

空を見上げてみるが日光が遮断されているが如く真っ暗。それに周囲も完全に停電してしまっているのか灯り一つついていない。もしや戦っている間に...いや、みんなを探している間に既に異変は始まっていたのか?焦っていて気づかなかったんだろうか?

 

 

 

「先生.....おかしいです....さっきよりも暗くなってきていませんか....?」

 

「アリスもそう思います.....」

 

困った事になった.....

この辺りは来たことがなかったからミレニアムの方向が分からない。

 

「”みんなはこの辺に詳しい?“」

 

「すみません....元々この辺に古いアーケードゲーム機が置いてあるゲームセンターがあるって聞いて探していただけなので詳しくはないんです.....」

 

「”初めて来たって事か.....ありがとうミドリ“」

 

となると、当てにできるのは地図や方位磁針のアプリを使う事ぐらいか....

 

端末を起動しようとする。

 

「”なっ....!?“」

 

「どうしました....?先生?」

 

「”バッテリーの残量が.....無い.....“」

 

「”みんなはどう?“」

 

「私のは.....って.....あれ....?ちゃんと充電してきたのに.....」

 

「わたしのも....駄目みたいです.....」

 

「”そっか.....“」

 

ここにいる全員分のスマホを確認したがどれもバッテリーの残量が残っているものはなかった。

 

「どうしよう....!これじゃ帰れないよ!」

 

「せっかくネル先輩に助けてもらったのに.....」

 

辺りは真っ暗だ。そもそも見えないほどに暗くなってしまったため、標識などを見て自分の位置を把握するようなアナログ的手段も通じない。

 

 

 

 

「先生、あれ!」

 

言われた方向を見てみる。

 

「“.....!“」

 

微かだが、空から一筋の光が差し込んでいる。他のところにもちらほらと光が見える。

 

「”あれを辿れば.....!“」

 

少なくとも現在の位置を把握しながら移動はできる....!

 

「”みんな、いいかな?“」

 

「何でしょう?」

 

「”あの光があれば少なくとも自分たちがその方向に移動しているか分かるよね?“」

 

「確かに...そうですが....」

 

「”今の時間帯からしてここまで暗くなるのはおかしい、というか夜でもここまで暗くならないと思う。“」

 

「それはそうですね....」

 

「“だからこれは何かスモッグのような光を遮断する何かがこの辺一帯に充満しているんじゃないかな?”」

 

「......!」

 

「アリス、分かりました!」

 

「つまり、一直線に進んでこの暗闇のダンジョンから脱出すればいいというわけですね!」

 

「“そういうことだよ”」

 

「確かに目印があればその方向に移動してるかは分かりますね....」

 

「じゃあ先生!さっさとこんなところ抜け出そうよ!」

 

「“そのつもりだよ。”」

 

アベルの手を引いてみんなと歩く。

 

 

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「ねえ、なんだが光が薄くなってきていない?」

 

「本当です....さっきより細くなってきています....」

 

「“まずいな.....日が沈んで来ているのか.....”」

 

となると時間との勝負だ。最悪日を跨ぐかもしれない....

 

.....一応、備えはしておいてもいいかもしれない。

 

「“みんな、ちょっといいかな?”」

 

「どうしたの?」

 

「“あまり言いたくないことだけど....この暗闇はかなり広いかもしれない....ミレニアムに戻る以前に、ここから出ることでさえ今日中にはできないかもしれない。そこにコンビニがあるから何か必要なもの買っていこう。“」

 

「そう.....ですね.....」

 

「分かりました!」

 

アリスと他のみんなで反応の差が大きい。

アリスはあまり現状重く受け止めてはいないかもしれないようだが、他のみんなは違う。暗闇は精神を蝕む。私も例外ではない。でも、だからこそ”大人“である私が冷静に判断しなければならない。

 

 

 

無人のコンビニに入る。食料とあった懐中電灯をもらっていく。もちろん代金はレジに置いていく。

 

 

 

「先生.....眠くなってきました.....」

 

「すみません......わたしも.....」

 

しまった、失念していた。彼女たちは不良と戦った後で疲労も溜まっている。

 

「”そうだね......どこかの建物の部屋を借りてそこで休息を取ろうか。日が完全に沈んでしまえば光も消えてしまうかのしれない。完全に何も見えなくなっても歩くよりは良いと思わない?“」

 

「分かりました.....お言葉に甘えさせていただきます....先生.....」

 

この日は誰も居なくなったビルの一部屋を借りて眠る事にした。ビルの中にも誰も居ない。もしかしたら避難勧告が出ていたのかもしれない。モモイ達が追い詰められていた場所が廃墟周辺だったために気づけなかったという可能性もありえる。

 

まさかこんな事態になること全く想定していなかった。

ネルは無事だろうか.....”あれ“はどうやったら無力化できるのかが分からない。無力化できないにしろ上手く撒けていたらいいのだけれど.....

 

そんなことを思いながら眠りについた。

 

 

 

-----------------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....どこだぁ......」

 

「”.....んん....?“」

 

誰かの声が微かに聞こえる。カーテンの隙間から外の様子を見る。

 

(ネル......?)

 

「どこだぁ」

 

(ネルが私たちを探している?)

 

上手く”あれ“を撒いたんだろうか....?

 

「んん.......先生.......?起きてたの....?」

 

モモイが起きてくる。

 

「何見てるの.....?ってネル先輩じゃん!おーい......」

 

「”モモイ、待ってっ。静かに“」

 

「むぐ......!?」

 

咄嗟にモモイの口を塞ぐ。

 

「モゴモゴ(急に何するのさ!)」

 

「”ネルの様子がおかしい気がする.......“」

 

ネルを見下ろす。

 

どこだぁ

 

どこだ

 

どこ

 

そ こか

 

「”.......!“」

「モゴ(うわっ)」

 

ネル?がこちらを向いたため、見られないように身を隠す。

 

違う

 

どこ

 

良かった、見つかっていないようだ。ネル?がこちらと違う方向に向き直り、ぎこちない動きで歩いていく。

 

「んんー!」

 

「”あっモモイ!ごめん....“」

 

モモイの口を塞いでいた手を離す。

 

「ぷはーっ.......急に何するの?何でネル先輩を見過ごすの?」

 

「”ええと、それはね.....”」

 

 

「先生.....?お姉ちゃんと.....何....してるんですか...?」

 

「“ミドリ....!?起きてたの?これは....ってみんな起きてる.....」

 

ミドリだけでなくユズ、アリス、アベルも起きている。

 

「“ん゛ん゛っ.......とりあえず説明するね......”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり....ネル先輩は今、あの怪物に乗っ取られている....ということですか.....?そんなこと......」

 

「“ごめんね....信じられないかもしれないけど....私も一度乗っ取られたことがあるし、私の知ってる他の強い生徒でも簡単に乗っ取られてしまった事があるんだ.....だから今の彼女には近づかない方がいいと思う。”」

 

「先生の言う事なら信じますが......だとしても、“ネル先輩は”大丈夫なんですか....?そんな半日以上乗っ取られているのならお腹も空くだろうし......」

 

「“そうだね........”」

 

もちろん懸念していた点だ。ネルならなんとかなるかもしれない....と思っていた部分もある。だが、もしネルが限界になってしまった場合は.....

 

(私に上手く乗り移らせることはできるだろうか.....)

 

私が犠牲になれば.....

 

「先生......」

 

「なら早くここから出て助けを呼びましょう?それが今できる最善です。」

 

「“っ!そうだね.....じゃあ出発しようか。みんな、準備してね。”」

 

危ない。悲観的になっていた。まだ万策尽きたわけじゃない。

 

私がネガティブになってどうする。

 

 

----------------------------

 

 

 

「......待って.....今から私たちは“あれ”を上手く避けながら脱出しなければならないって事なの?」

 

「”そうだね.....だからただ一直線に進めばいい....というわけには行かなくなるだろうね。“」

 

「それってサバイバルホラーみたいじゃん!なんで私たちがこんな目に......」

 

「しかも....相手はネル先輩の体を使ってるから...下手に攻撃もできないよ......」

 

やはり現状は逃げるのみで変わらずか......

 

「ねえ、ってことは今のC&Cはネル先輩だけいないって事でしょ?もう日も跨いでるし、助けに来ていてもおかしくないんじゃない?」

 

「”...........“」

 

「”もちろん救助が手配されていてもおかしくはないと思う。流石にこの異様な状況にセミナーや連邦生徒会も気づいているはず。ただ......“」

 

「ただ....?」

 

「”あの怪物の特性なのか、全く電子機器が使えない。そしてもう朝が来たはずなのに相変わらず暗いまま。こんな状況下じゃGPSによる位置情報も上手く機能していない可能性も高いし捜索には困難を極めるだろうね.....”」

 

単純に電波がジャミングされているから電子機器同士での通信ができないという話ではないのかもしれない。もっと“根本的”な妨害である可能性が高い。遠隔で操作するものや、周囲からデータを集めて何かを調べるものなど全てに影響が及ぶと見た場合、様々な探知機も使えないだろう。おまけに都市の中は山などと違って痕跡が残りづらい。

要するに、ミレニアム泣かせの状況だと言う事だ。

そして“あれ”は技術力のミレニアムにとって最大の敵になりうる存在なのである。

 

「だとするなら.....数日かかってもおかしくはないですね.....」

 

「何それ!八方塞がりじゃん!」

 

「でも....あのC&Cですし....きっとネル先輩をなんとかしてくれるはずです......」

 

「“少なくとも今はそう考えるしかない。私たちの生存に最善を努めよう。”」

 

 

まるで都市なのに厳しい自然に放り込まれたようだ。いや、食料はあるから幾分かはましなものだろうけど.....

 

暗闇の中で必死に生き残る....か.....

 

こんな経験をした者はなかなかいないだろう

もし自分が一人だけだったらどうなっていたんだろう.....

あまり想像したくない話だ。

 

 

--------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

「先生.......まだ.......空は見えないの.......」

 

「もう2日も経ちます.....」

 

「うぅ.......」

 

「モモイ!ミドリ!ユズもしっかりして下さい!」

 

「アリス....ごめん.....」

 

 

まずい。生徒たちが精神的にも疲弊してきている。

暗闇の中を怪物に怯えながらただ歩き続ける変化のない時の流れが確実に正気を削ってくる。

 

 

「ももい、みどり、ゆず」

 

「“アベル...?”」

 

アベルが突然喋る。

 

「げーむ、したい?」

 

「アベル.......」

 

「うん....早く戻りたい....」

 

「でも、できない」

 

「..............」

 

「うん.......」

 

「くやしく、ないの」

 

「.........」

 

「そうだ.....!こんなのすごくムカつく!私たちがこんな目に遭うなんて意味がわからない!悔しい!」

 

「げーむ、すき、だいじ、いきる、だいじ」

 

「もっと、よくばる、だいじ」

 

「もっと欲張る.....」

 

「そうだ.....もっとやりたい事があるんだ!やりたいゲームだってあるしもっと評価されるようなゲームも作りたい!」

 

「わたしも....そう思う....」

 

「そうだ....そうだよ....!お姉ちゃん!」

 

「そう、いきろ、たえて、のぞむ、ままに」

 

たどたどしい言葉遣い。だが、部分的にこの子の”本質“が見えた気がした。正体は未だ分からない、でもきっと”純粋“に生を望んでいるんだ。

 

 

「みんな元気になりました!アリス、嬉しいです!」

 

「アリスちゃん...心配かけてごめんね」

 

 

 

まだ諦められない。そもそも誰かが亡くなってしまったわけでもないんだ。

 

(私もしっかりしなきゃな.....)

 

 

少し気持ちが引き締まった。

 

 

 

 

 

 

 




[補足]

-暗闇
誰しもがこの中で生まれ、後に恐れるもの。“怪物”によって生じるそれは日光を遮断し、あらゆる通信機器を使用不可能にする。人の精神を蝕むそれはきっと“誰か”が過去に嫌というほど見てきた光景なのだろう。
先生たちは幸運にも“孤独”ではなく、“飢餓”に苦しめられることもなかった。


これからシリアス展開が加速していきます。これよりも後の方ですが、曇らせチックな描写も徐々に含まれるようになるので気をつけて下さい。

オリキャラ周りがかなりダークな雰囲気になる可能性があるのですが、参考にしたいのでできれば......

  • 暗い。陰鬱な雰囲気は好き
  • 別にいいと思う
  • あまり好きでは無い
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