※特に強いオリジナル設定が含まれる補足回です。深い理解はされなくても問題はありません。後半はオリキャラや二次創作における世界観の掘り下げなので興味が無い限りは本当に読まなくていい部類に入ります。イメージが壊れかねないためかなり注意して呼んでください。ですが今後もこの作品従来の雰囲気は変える予定はありませんので安心して下さい。
「クックック.....こちらです、先生。」
「“........”」
暗い部屋、薄く差し込む光、そして大人が二匹。
黒服に呼び出された。なんだか最近やけにフランクな関係になってきているような気がする。
「“.....一応私たちって相反するような関係性だったよね?”」
「前に申しませんでしたか?私は貴方と敵対するつもりはございませんよ.....」
「“それは確かに前にも聞いたけど....”」
今までの行いからして絶許、とも言える相手のはずなのにやけに敵対的とは真逆の態度を取ってくるせいでいつもながらに困惑してしまう。
私からしても不可解な存在だよ、お前は
「......それで....最近の調子はいかがですか?“気づき”は得られましたか?」
「“.......”」
気づき.....か.....
私はあれから時間を経て何故“知る”などではなく“気づく“なのかを理解した。
知らない答えを知りに行くなら”知る“が正しいだろう。
だが答えは決して知らないものではない。
だから”気づく“なのだ。
答えは自分の内に既にある。
薄々は気づいていた事が既に。
「”ああ、得たさ。“」
「”やっぱり私は....逃げていたんだろうな....“」
そう、ある憶測から必死に逃げていた。
それはほぼ事実だったと思う。
「クックック.....そうですか.....詳しく伺うつもりはございません.....ですが、吐露した方が楽になる事もあります。汚泥のように胸の底に溜まったそれ....吐き出す、というのも一つの手だと私は思いますよ。」
「貴方のように周りに相談しづらい環境だと余計に精神に負担が掛かるでしょう。ですが今は“大人“しか居ません。誰かに気を遣わせてしまう心配もございませんよ。」
「”........“」
確かに、生徒相手にこんな相談....する訳に行かないのも事実だ。身近な大人もいるが突然重い話をした場合困惑させてしまうような関係値の者しか居ない。
ストレス管理は自己で完結させてきたつもりだったが、このままではいつか自分が壊れてしまうのかと思ってしまった。
.....そんな悩みを吐露できる相手が.....
まさか......この人物になるなんて......
......どこか悔しさを覚えた自分がいる。
「“........”」
おそらく自分は無意識にこれを求めていた。全てを曝け出したいような気持ちが常にどこかにあった。
「“.........”」
考えたくなくて逃げ出したのに、それを自覚した今は誰かに話してしまいたくなっている。何故こうも欲求というのは気まぐれなんだろうか。
「“....そうだね。少しぐらいなら、吐き出してしまっていいかもしれない.”」
「”すう....はぁ......“」
深呼吸をした。少し落ち着く。
自分と向き合う時だ。
「.....僕はあの人に、”先生“に依存していた。ただ好きだったからとも思った。だけど多分、純粋な恋心だけじゃなかった。進歩する事にただひたすらに怠惰だったんだ。もうその関係だけで満足した気になっていた。」
「そして....貴方の“先生”もおそらく貴方というたった一人の訪れてくれる生徒にある種の依存をしていたのでしょうね.....互いに現状を変えず停滞したまま、どちらもその事は自覚していたはずです。」
そうだ。互いに停滞して、何一つ踏み出せなかった。
先生が僕の将来を本気で思うなら、冷たく突き放すことだってできただろう。互いにどこか諦めていた。
「だから....先生は.....僕を切り離したんだ.........僕に....先生の生命維持装置を外させて.....」
「ころ........殺さ....殺させたっ.....」
何度考えても否定したくなる。でも、そうじゃなきゃ辻褄が合わない。
「訃報を聞いて....嫌なことを勘繰った.....寒気がして....震えが止まらなかった........その日は嘔吐が止まらなくて.....”部屋“を見るだけで恐ろしかった.......」
「でもやっぱり僕が殺したんだ、先生が殺させたんだ」
事実からはもう逃げられない
記憶を封じ込めて自分自身から逃げ出すことももうできない
「でも分かってるんだ....あの時、ああでもしなきゃ進めなかったって....」
「逃げる事だって、一つの選択ですからね。」
結果として僕は私になった。
逃避的な動機だったとしても為し得た事は多い。
愛おしく、恋しく、どこか憎く、やるせない
愛憎入り混じった感情を抱きつつも、彼女の行動は完全に間違っていると否定できない。
私になれたのも、なってしまったのも、きっと一つの進歩なのだから。
“僕”を理解した。
あの時、本当に求めていたものは“自立”だったのかもしれない
停滞した現状に目を背ける毎日だった。
先生は生徒を思うもの
最後に彼女は“孤独”で寂しく気が狂いそうな病人ではなく、先生として決断してくれたのだろう。朦朧とした意識の中で半ば正気でなかったとしても、例えそれが僕に十字架を背負わせる事になったとしても。
「”ただせめて.....最後の言葉ぐらいは伝えたかったな....“」
後悔は消えない。だが....胸に溜まっていた重いものが流れてすっきりしたような感覚が“私”を迎えた。
「自分自身に向き合えたようですね。それで、”先生“。今の貴方はこれから何をすべきだとお考えになられていますか?」
「“今の私...”」
前の私とは少し違う、新しい私は何をすべきか?
少し考える。答えはすぐに出た。
「“私は......今のキヴォトスの体制を変えたい。”」
「“正直....どこか私ありきで成り立っているような気がするんだ。”」
連邦生徒会では手に負えない問題があったからこそ私が先生として呼ばれたため、そこについて問題提起するのは本末転倒のようにも思えるが....
今の環境はどこか”依存“してしまっているような気がする。まるで“先生”という存在がこの世界にとって必要不可欠であるように。違和感を感じる時がある、なぜ大人のカードという力がまかり通ってしまうのか。こんなデタラメなものをなぜ私が扱えるのだろう?
私無しで成り立つようにしたい。私の理想は生徒たちが手を取り合って自分たちで解決できるようにすることだ。だから今はどうしても力が及ばない生徒たちを支援するつもりでいる。
連邦生徒会長は失踪してしまった事が大きな要因となってキヴォトスは荒れてしまったと聞いた。あくまで要因の一つに過ぎないかもしれないが、一人によって支えられている状況は非常に危うい。私の影響力はまだそこまで大きくはないだろうけど。
「“もし先生としての役割を持つものが居なくなった時、キヴォトスでまた混乱が起きた時、対応し切れなくなってしまうかもしれない。“」
「”私はこれから『私が居なくても十分成り立つキヴォトス』をつくる。ここは『学園都市』だ。あくまでも主人公は生徒、先生であるべきじゃない。“」
もちろん元から“私が主人公だ”なんて傲慢な考えをしていたわけでもないが.......今は生徒だけでやっていけるように、彼女達の力だけで青春を送れるようになって欲しいという望みがある。
「クックック.....それが今の貴方が導き出した新たな道ですか.......しかし....よろしいのですか?主人公では無くなってしまっても」
決意は固まった。
「”別に私は脇役で良いんだ。“」
前に黒服が言っていた通りなら、私はこの世界の“主人公”になることだってできるかもしれない。あらゆる出来事の中心に居る事も可能かもしれない。でも私が欲しいものはそんなものではない。
この先、自分が必要とされなくなっても構わない。
「”それに“」
「”脇役って結構人気が出るものでしょ?“」
決してネガティブな動機ではない。変な話だろうけど....あくまでも前向きに脇役になろうとしている。私らしさはそこにあるはず。
「成程.....貴方らしい....ですが少し変わりましたね....」
また前に、今度は清々しい気持ちで進めた。
僕の部分が大きく変わる事はない、だが私は少しだけ変われたんだろう。
奇妙な実感を覚えた。
「”.....それで、この事を話すために私を呼んだの?“」
何故ここに呼ばれたのかまで言われていなかった事を思い出す。
「クックック.....違いますよ....これも重要な事ですが、本題はこれからです。」
「”本題?“」
おそらく重要な事だろう。勝手に嫌な想像をしては固唾を飲み込む。
「”....また『キヴォトスの外から』来る脅威の話かい?”」
「そう言うわけではございませんのでご安心ください.........外から来るものは関わっていますがね.......」
「“何だって?”」
「私は過去に彼と会っている。それはご存知なられているはず。」
「“そうだったね、それが関わっているの?”」
「ええ。私は“名無しの彼”とある契約をしました。彼の肉体の一部を受け取る代わりに私が研究、調査を通して理解した事を彼に伝える....そういう取引をする事です。」
「”そんな事が....“」
確かに黒服の研究者としての側面を鑑みるならば妥当な行動だ。
「『色彩』の発生による弊害で一時期は調査を中断せざるを得なかったのですが....その後も私は調査を続けたのですよ。」
「....私は多くの仮説を立て、資料を集めてそれを立証し続けました。」
「そうして私は核心に迫ったのです。」
「”核心?“」
「そうです....」
核心....?一体なんのだ?
「それは....”彼“の正体についてです。」
「”.......!“」
「クックック.....とても興味深い内容でしたが.....」
「同時に酷く悍ましくもあった.....」
「私は決めかねているのです。この事実を本人に伝えるべきかどうか。」
「先生、少々プライバシーの侵害とも取れるかもしれませんが....貴方はこの事実を知る気はございませんか?」
「“私が?”」
「私は貴方に決めて頂きたいと考えております。」
黒服でも判断に困るレベルの内容なのか?
彼の正体.....私は彼の過去を理解しただけ。
まだ全てを知らない。
「“.....分かった。ひとまず聞こう。”」
「クックック....よろしいのですね?」
「“ああ“」
私には新しい目標の他にまだ残っている課題がある。
....彼を救う事だ。
この情報から何か重要な手掛かりを得られるかもしれない。
「やはり貴方は興味深い.....それでは、お伝えしましょう.....」
研究者は語り始めた、空白の名を得た存在の起源を
「貴方はかの自然の領域、“地球”の事をどれだけご存知になられていますか?」
「“人が生まれた場所だったよね。戦争と環境汚染を繰り返してもう住めなくなったはず。”」
「何故それをご存知になられたのでしょうか?」
「“そう聞いた、としか....”」
「では、どのようにして人類は地球から他の領域へ移動したかについてはどうでしょうか?」
「“分からない.....ただ、移動してきたとしか聞いていない...”」
人の住むようなあらゆる場所は領域と呼ばれている。キヴォトスの外には複数の領域が存在すると教わった。
領域間の移動は滅多にできたものではないが少なくとも特別な場合にのみ許可される。
だが移動は極めて特殊な方法が用いられる。どんな装置を使ったか、どこを通ったか、どんな技術か、などその全てが秘匿されているため私は何も知らない。記憶すら無いのだ。
惑星間を移動できるほど宇宙関係の技術は進歩していないはず。
とにかく全てが“不自然”だ。
「先生、これから話す情報は私が調査結果から導き出した仮説にすぎません。ですが....もしこれが正しいのならば...口外すべき事ではないのは事実です。本当に、よろしいのですね?」
「“わ、分かった....”」
思っていたよりも重大な話かもしれない。
....覚悟を決める。
「まずこのキヴォトスを含む多数の領域についてです。結論から言いますと、領域とは“現実の別の側面”でしょうね。別次元...と言う認識で構いません。」
「“別次元....だって...?”」
「クックック....そのように呆れた表情をされなくてもよろしいのですよ?別次元....つまり物理的に接続されていない空間です。ですが...多少はこのようにお考えになった事もあられたのでは?」
確かに領域間の相互関係について考えた事が無かったわけではない。
だが....いざ言われるとなるとやはりとても信じれた話ではない。
「“だけど....それと”彼“に何の関係が?”」
「一見別の話に感じるでしょうが....あるのですよ、関係が....クックック....」
「こんな疑問は浮かびませんか?何故“領域”は生まれたのか?と。」
「“....確かに....”」
「彼の記憶を思い出して下さい。あの人工知能はこのように話していました。世界に見切りを付けた一部の人間は他の場所へ移住したと。」
朧げに思い出す。そんな会話をしていたような気がする。
「ですが...それは
「”どこって.....“」
宇宙船でもあったなら当然外だろう。
....そういう話ではないのだろうか?
「それはあの研究所、その下層からです。」
「”あの地下から...?どうやって...いや、その移動先が物理的に繋がっていない別次元とするなら....地下でも可能かもしれない....!“」
「クックック.....察しがよろしいですね....では、それを踏まえて考えた場合、領域はどこで生まれたと思いますか?」
「”それも同じ場所?でも...だとすれば領域ってつくれるものという事になってしまうけど....”」
「そうです.....領域とは最初から存在したものではありません。人の手によって創造された不自然とも呼べる空間....それが私達の存在する領域の正体でしょう。」
空間....世界を...創る....?
「“じゃあ領域はどうやって創られたんだ...?”」
「その話の前に存在するのが“彼の起源”ですよ....」
「“なんだって...?”」
そこに“彼”の話が入ってくるのか?
「そもそもあの陽の当たらない地下の研究所残された人間は正気ではなかったようです....見つかった文書や記録はどれもせん妄に取り憑かれたような状態で書かれたものばかりでした。そんな研究者が生み出したものなど、“狂気”の産物でしかありません。」
実際その産物を目にした。
記憶の歪んだ生物は全て人造の落とし子達。
本来生まれるべきでなかった存在だ。
「ある時、狂った研究者達は“神”、そして“自然”について議論し出したのです。」
「“なんでそんな事を議題に?”」
「最初は“困窮するがあまりに神に縋り出した”のではないかと考えましたが....実際は真逆でしたね。」
「彼らは“法則そのものの成り立ち”について考え始めたのです。目的は法則を変えるため、つまり、“神への冒涜”とも呼べる行いでしょう。」
足元に縋り付くではなく、足を掴んで引き摺り下ろすためだった....という感じが近いだろうか...?
「彼らはこう考えたようです。法則の成り立ちを知るためには”神により近い存在“を創る必要があると。」
「”その存在って...?“」
「アダム....人の祖とされる者......それに近いものを彼らは創ろうとしたのです。」
「”過去の人間を創る....?そんな事どうやって?“」
「先程もお伝えしましたが....彼らは既に正気ではありませんでした。人類はアダムという祖から分化していったもの.....だからその子孫である、ありとあらゆる人間を”混ぜて一つにすれば“アダムの部分ができると仮説を立てたのでしょう....」
「“に、人間を混ぜて....一つにする...だって....?”」
「そんな事、正気では到底思い付かない、発想があっても実行には移さないでしょう......根拠も何もあったものではございませんから.....」
「ですが彼らはその悍ましい実験を行いました、『アダム』というプロジェクトの元でね.....古い時代の死体や地下に居た研究者以外の人間を使って。あの屍の大地はこうした経緯で築かれたのでしょうね。」
「“確かに....まともじゃない...”」
「残留した人間の意思や記憶、あらゆる要素が融解して混ざり、一つになりました。そうして偶然にも等しい形で産まれ落ちたのです。」
「“産まれた....?”」
「『知られざる長子』。誰にも名を与えられる事も無く、故に後の世代で知られる事がなかったプロトタイプ.....」
「“まさかそれが.....”」
『彼』だと言うのか?
「ここまでお伝えすればお気付きになる事もできるはずです......」
「“ああ....”」
「その長子はある性質を宿していたようです。」
「膨大な人間の意識が融合して産まれたそれの持つ認識能力は世界に大きな影響を与えたようです。」
「”歪んだ認識は文字通り法則をも歪めた.....と。“」
「憶測ですが、神も法則も人々の共通認識の上で成り立ったもの、であったとするならば”それ“の認識は世界のほぼ全ての人間の認識と同等の値だったからこそ、こうした”性質“を持ったのではないかと思いますね。」
「完全な理解が不能の概念を都合良く歪める力....おそらくこれが私の求める『神秘』の起源になった可能性がある....そう考えております。」
神が人を創ったのではない、人が神を創ったのだ。
「このプロトタイプは人間に非常に近しい意思を持っていたそうですが....まだ幼く赤子以下の“それ”を制御する事は出来ず、世界が崩壊するような危険を伴ったようです。故にこれは一度睡眠状態にされたようです、産まれた場所と同じ冷たい死体溜まりで」
赤子の第一印象が全てになってしまうなら、世界は簡単に壊れてしまうだろう。
「次に研究者達は“制御できるユニット”の制作を課題にしたそうです。神を操作するためのコントローラー、と言ったところでしょうか。」
「だから、意思を持つ生物と言うより、より機械に近しい形式で後継の存在が創られた.....」
「プロトタイプ、長子という名称で呼ばれていたのはこれが由来でしょう....“それ”には兄弟....もしくは子孫とも呼べる存在が居たという事です。クックック.....尤も、どれも人ではありませんがね.....」
「“........”」
「“じゃあその後継はどこに行ったんだ?同じように捨てられたわけじゃないだろう?”」
「勿論。私の解読できた限りでは、外部からの認識の操作に成功し、実用化に至ったと記録されていました。彼らは『無限』とも呼べる技術を手にしたのです。」
「“そんな話が....”」
「それで先生、まず最初に彼らは何をしたと思いますか?」
「“ええと.....地上に出たとか?”」
「残念ながら....彼らの興味は既に地上には無かったようです。地下でも世代交代が起こっていたため、もはや当時の彼らは地上を知らなかったようですがね。」
「“それで....最初にやったのは何だったの?”」
「彼らは思いついたのですよ。この力があれば、“都合の良い世界”を創る事ができるではないかと。」
「“.....!まさかそれが....!”」
「領域の初まりです。先生、貴方の故郷もこうして誕生したのですよ。そしてこのキヴォトスも起源を同じくしている可能性がある.......領域とは、荒み切った地球から抜け出すための『方舟』でもありますから....」
「“.........”」
特に思い入れがある訳ではない.....だが、スケールが大きすぎる。
そんな話、あっても良いのか?
「“でも...それじゃあ...私たちはみんなその”彼ら“の子孫...という事になるのか....?”」
「それは.....分からない....としか言えないでしょうね....その力があれば繁殖のためにいくらでも新しい人間を発生させる事ができたはずですから。都合良く、物語を書くように.....」
「”つまり....私もつくられたもの....だって事なのか....?“」
「あくまで可能性の話です。そうお気になさらないで下さい。」
「ですが...都合の良かったものはあくまでその力で生まれたものだけ。生まれる前に存在した者達....研究者達の内にはそれに賛同しない者も居たそうです。」
「『無限』などというものはいつか自滅へ導くものに過ぎない、と考える一派が存在したそうです。」
「自然、本来の状態を忘れるべきではない、歪めてしまうべきではないと考えた研究者の一派は、生きるためならまだしも、欲望のために力を行使する他の研究者達に反感を覚え、対抗策を練った....」
「他の研究者に感知されないように、廃棄された『知られざる長子』を使って....」
「まず彼らは胎児程度しか有していなかった長子の意思を成熟させたようです。長子は善悪や知恵を得て、私達の知る”彼“の人格が産まれたのだと思います。そして長子の内に性質を開発し、付与した...その性質は歪みを維持する力....つまり『神秘』を剥がし吸収する能力を彼に与えたそうです。同時に、彼の無限を封じ、限られたリソースでしか歪曲の性質を扱えないようにした....」
生徒が彼に触れると体温が吸収されたかのような感覚を覚える理由....それはこの性質が原因だろう。生徒が『神秘』によって誕生したものとするならば彼はそれを自然の状態....つまり“本来は存在しないもの”として消しかねない。
彼は“創り手”であると同時に“壊し手”なのだ。
そして“壊す”という行為は“創る”行為よりも容易い....
皮肉なまで彼の性質は人間というものを象徴している。
「そこから派生して彼らは『C4-1N』というプロファイルを作成しました。彼の人格に代わって『神秘』の破壊を優先するようにプログラムされた人格だったようですが......人間がベースであるためにやはり制御が難しく、結果として創世記の内容にならった名の付けられたデータ領域、『ノドの地』に収容したようなのです。」
C4-1N.....CAIN....Cain....カイン......
彼に名前をつける事は大きな意味を持つ.....という事だろうか....
「これも憶測ですが.....私は考えたのですよ。彼らも次第に世代が移り変わって行き、本来の自然の状態を保つという目的は、自然を崇拝するという形式に変わっていったのでは無いかと.....」
「無名の司祭や名も無き神々の王女....そして、『色彩』も....もしかするならば全て起源はここに収束するかもしれませんね...クックック....興味深い.....」
「キヴォトスは神秘に満ちている....私がこれまでに見てきたどの領域よりもね.....何度もその形と姿を変えているのが証拠だ....更に言えば今は『学園都市』のテクストを持っている、以前とは異なって.....」
「だから私は考えたのですよ。」
「キヴォトスとは、彼の後継として創り出された存在が核となって形成された世界なのではないかと」
「”.......“」
「”なら....お前はその力を手に入れに行くのか....?“」
「いえいえ、とんでもない....」
「私はあくまで探究者であり、研究者.....そのような事は最初から目的ではありませんよ....膨大な力による支配など、くだらないものでしょう?」
「私は....そうですね....『神秘』の起源についてはもう知ってしまいましたから......それに今回の件では神の再現にも至れませんしね.....」
「結局のところ.....『神秘』自体の解析は依然として不可能なのですよ。そもそも成り立ちを知っただけ、細かい原理は不明です。」
「また異なった角度から神秘の研究を進めましょうかね.....」
そう言って黒服は一息ついた。やり切った、という感じだ。
徐々に知るはずだった事実を一気に知ってしまったなら....かなり拍子抜けしたような気分になってしまうだろう......
意外なきっかけだがこの存在の事も理解し始めてきたかもしれない
[補足]
-あの人
病に侵され、最後には精神が擦り切れてしまっていたため常識的な判断ができなくなっていた。生徒に自立を促す目的以外にも、自分自身が”孤独“、”依存“、“後悔“。それらから生じる苦しみから解放されたいという願望もあった。つまり無知な生徒を利用したと言う側面もある。
決して完璧な先生ではなかった。故に最後は人間らしくもあった。
-名無しの性質について
めちゃくちゃマニュアル的な神秘という認識で良いです。
細かい設定も全部自分で行わなければ動作しません。
逆に生徒は既にキヴォトス側で設定が行われているため自動で特別な能力が動作しているという感じです。
名無しは再生力に特化しておりますが、これは彼自身がそう発達させたからです。生徒は防御力特化ですが、これはダイレクトな死を避けるために設定されたためだからです。
この世界に『死』、不要ッ
-結局、『卑俗』って何なの?
彼の性質のまた別の呼び名。性質を使ってできる事って要は「マジ原作ガン無視して二次創作するッ」「マジ崇高な神様のキャラ設定のめちゃくちゃ変えたるッ」みたいにめちゃくちゃできるものなのでそりゃ浅ましいし無名の司祭からも疎まれる、だから卑俗なんです。
-カインって何?
めちゃくちゃ過激、苛烈、凶暴で言葉通じなくて一切良心が無いケイみたいなもの。別人格とも言えるけどかなり機械的で人間らしさはない。外部からの介入が無ければ目覚める事はない。脳細胞で直接プログラム組んだようなものなので結局制御できなかった。止め方さえ知っていれば屠殺マシーンとしての効率はピカイチ。
コイツは敵として登場させる予定だった。そのストーリー自体が没になったのでなんでやたら伏線が貼られているのかよく分からない存在になっている。
名無しはかなり哀れな存在として書いているつもりです。本人は全く望んでいないのに何かからは疎まれて、別の大事な何かを傷つけてしまう。
どう考えても学園都市には場違いで、キヴォトスにとって大きな害になりかねない、そんな毒虫のような彼が何とか馴染もうとしたり、友達を探したり、生きようとする。生徒とはまた違った形の子供が青春を探す話。そういう作品のつもりで書いています。
-名無しは神?
少なくとも彼は神ではありません。彼は『人類』としての側面が強い存在です。法則や認識への介入が可能なだけです。マルムは彼をアダムと呼びましたが、これはアダムという計画の名前を彼の個体名だと誤解しただけです。
まだ自然や神そのものを歪める性質を宿す“彼”や、歪曲の産物の一つである生徒は全部無名の司祭にとって騙るな案件という事になっております。
好みの展開、表現を教えてください
-
絶望、病的
-
背徳、非道徳、インモラル的
-
暴力、残酷、汚物、下劣など酷いもの
-
曇らせ(晴らしアリ)
-
全部好き