From outside Kivotos   作:ケトゥ毛

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恐怖を目の当たりにする


-2話『尊い者と卑しい者』

 日が明けた。もっとも、それが本当に朝と呼べるものなのかは分からない。ここでは昼と夜の境目すら曖昧で、空の色がわずかに変わったことだけが時間の経過を示していた。

 

「アテナはこの先、どうするんだ?」

 

 歩みを止め、彼女に視線を向けて問いかける。

 

「私は」

 

 言葉がそこで途切れる。返答に迷うのも無理はない。彼女は追われるように、逃げるようにここまで来たのだ。行き先など、最初から持っていなかったのだろう。

 

「どうせなら一緒に来るか? また砂漠をあてもなしに歩くのはキツいだろ?」

 

 この選択が正しいのかどうかは分からない。吉と出るか、凶と出るかも判断できない。ただ、彼女の境遇を思うと、どうしても放っておけなかった。このまま一人で、彼女が進んでいた方向へ行かせれば、それは見殺しにするのと同じだという感覚が胸に残る。

 

「あっ、いや、別に無理やり来いって言ってるわけじゃないからな。自由に決めてくれていいぞ。」

 

「私は……」

 

 再び沈黙が落ちる。

 

「実は……」

 

 言葉を選びながら、彼女は俯いたまま黙り込んだ。やけに長い間が空き、こちらが口を挟むタイミングを失うほどだった。

 

「一人でいるのが心細かったんです……ご一緒させてもらってもいいですか……」

 

 その声は小さく、けれどはっきりとした本音を含んでいた。

 

「そ、そうか。じゃあよろしくな。」

 

 思わず即答してから、胸の内で小さく苦笑する。

 

(すごい間を溜めたな……)

 

 こうして、三人だった一行は四人になった。

 人数が増えたからといって、やることが大きく変わるわけではない。

 

 

「なあ、妙な気配がする。」

 

[マたか。……いや、どの方角だ。関係があるかもしれない。]

 

 彼に“妙な気配”を感じた方角を伝える。短い確認のあと、車はその方向へと舵を切った。

 

 数時間ほど走った頃だった。地平の向こう、空に溶け込むような灰色の筋が、かすかに立ち上っているのが見えてきた。

 

「煙……? 狼煙か……?」

 

[イや、狼煙にしては量が多すぎる。火の手が上がっている可能性が高い。]

 

「火事か? だとしたら、燃えてるのは集落か?」

 

[ソの可能性が高い。]

 

「嫌な予感がします……」

 

「どうする? このまま向かうのは危険じゃないか?」

 

[ダろうな。だが、こちらもただでさえ情報が足りていない。手掛かりを得る機会は逃したくない。]

 

「そうか……」

 

「分かった、行こう。元は俺が気配がすると言い出したんだ。何か起きたら、何とかするさ。」

 

「…………」

 

 アテナは浮かない表情のまま、黙り込んでいる。不安が拭えないのだろう。この先へ連れて行くべきか、それとも途中で待たせるべきか、判断に迷いが生じる。

 

「なあ、多分……見たくないものがあるかもしれない。だから、途中で待っててもらっても構わないが、どうする?」

 

「ですが……それじゃ私は、何もできない役立たずになってしまいます……」

 

[アくまで待機させるだけだ。仕事ならいくらでもある。食料や資材の収集など、できることは多いだろう。]

 

「……そう……ですか……?」

 

「結構大切な役割だ。だから、別に役立たずにはならないと思うぞ。」

 

「分かりました……頑張ります……!」

 

 彼女もまた、消えない傷を抱えている。焦らず、少しずつでいい。精神を立て直す時間が必要だ。そのためにも、今は無理をさせるべきではない。

 

「じャっ、行ってくるぜ!」

 

「また後でな。」

 

「はい……待ってます……!」

 

 アテナを一時的に車へ残し、俺たちは煙の立つ方角へと向かっていった。

 

 

「……妙な気配が近づいて来た気がする。何かあるかもしれない。」

 

「そノ、さっきから言ってる妙な気配ってなんだよ。」

 

「いや、正直俺もよく分からん。ただ……」

 

「アテナからも奇妙な感覚がしたんだ。今感じているのも、それと似ているような、違うような……」

 

「そうだな。温度で例えると分かりやすいかもしれない。熱いと冷たいって感覚はどちらも“熱”に関係しているけど、それぞれ真逆の感覚だろ? それに似てるんだ。」

 

「つまり、彼女から感じる感覚と、この先から感じる気配には“何か”共通点がある。でも符号が逆なんだ。まるで“反転”したみたいな……」

 

[ナるほど。それは特殊な生まれ方をしたお前にしかない感覚の可能性がある。]

 

 第六感……か。俺にしかない感覚。自分の“性質”が関係していてもおかしくはない。

 

「見ロよ、あれ」

 

 煙の元が見えてきた……が、火はもう上がっていない。既に火は消え、煙だけがかすかに立ち上る状態のようだった。

 

 焼けて崩れた家屋の間に、無惨な姿となった焼死体が散乱している。

 

「酷いな……全員、火事で焼け死んだのか?」

 

[……チがう。]

 

[ミろ。この死体、身体中に“銃創”がある。単なる火事じゃない、襲撃だ。]

 

「おイ! 見たことない種類の銃弾が転がってるぞ! しかもまだ火薬と血の焼ける匂いがする!」

 

「まさか……」

 

[マずい事になった。襲撃されて、あまり時間が経っていない。]

 

 妙な気配、襲撃の痕跡、まだ新しい死体……

 

[コの惨劇を起こした存在が、まだ近くにいる。]

 

「……ここから離れ———」

ダダダッ

 

「ッ!!」

 

 唐突に肩に突き刺さるような衝撃が走る。

 

伏セろっ!!!襲撃だっ!!!

 

 その声に反応し、かろうじて身を隠せる高さの瓦礫へ駆け寄り、身を潜める。

 

(肩に三発直撃した……っ!)

 

 迂闊だった。何故、“妙な気配”が近づいているのに気づかなかったのか。だが、もう銃弾ごときで動けなくなるほど弱くはない。

 

 肩に空いた穴を意識的に再生させる。最初から無意識のうちに扱っていた“性質”の一端だ。もう慣れたものだ。

 

 妙な気配は一箇所に収束している。その情報だけでも何かが分かる。

 

敵はおそらく一人だっ!断言できる!

 

ホう向(方向)は何だっ

 

俺たちから見て10時の方向だ! そう遠くは無いはずだ!

 

 じゃなきゃ、三発も肩に当たるはずがない。精度が尋常じゃないのだ。

 

いヤ、もう近いっ!

 

 彼が瓦礫から顔を僅かに出し、迎撃の構えを取る。

 

どコだっ!?

 

 気配の収束位置が、予想以上に早く変化していく。目で追う間もなく、その位置は……

 

真上だっ!!

 

ダダダダダダッ

 

 鉛の雨が頭上に降り注ぐ。間一髪で避けきった。

 

 ついに、長く悩まされてきた“気配”の正体が姿を現す。

 

なンだっ!? コイツは!?

 

 ドス黒い殺気を放つ人型の何かが、瓦礫の上に立った。頭上にはかろうじて“輪っか”のようなものがあり、ひび割れた金属か石のような質感を帯びている。

 

「おい、目的はなんだ?」

 

 警告もなしに発砲してきた時点で、相手はこちらを殺す気なのは明白だ。それでも一応、声に出して確認する。

 

「…………」

 

 会話は通じそうにない。

 

 後ろに飛び退き、間合いを取る。自身の“性質”を応用すれば、ある程度の距離があれば銃弾を数発避けられる。銃を扱う相手には、一定の距離を空けるのが基本の戦術だ。

 

 しかし、相手もまた、信じられない速度で距離を詰めてくる。

 

なっ!?

 

 咄嗟に腰に下げたリボルバーを引き抜く。狙いは定められないまま、連射する。

 

ダンッ 〉〈キンッ

 

 胴体に命中した……はずなのに、効いていない!? 血も出ず、傷一つつかない。

 

 銃弾が金属に弾かれたような鈍い音と共に、接近してきた“それ”の小銃の銃床が、側頭部を叩きつける。

 

グシャッ

 

うぐっ!?

 

 その一撃で地面に叩きのめされる。

 

「(まずい……頭蓋骨にヒビが……っ)」

 

 強烈な頭痛と、めまいが遅れて襲い掛かる。視界がぐらりと揺れ、意識を保つだけで精一杯だ。瓦礫の間で息を整えつつも、相手の殺意は収まらない。瞬きの間に、次の攻撃が迫る。

 

 このままじゃ、撲殺されるか、蜂の巣にされる……!

 

あホがっ! 後ろがガラ空きだぜっ!

 

 仲間が間髪入れず援護に入る。

 

ダンッダンッダンッ

 

 大口径の銃弾が炸裂するように響き渡る。

 

カンッ〉〈キンッ

 

 二発命中……しかし、弾はまるで跳ね返されるかのように人体を貫かない。

 

こイつ! 銃弾が効かねえぞ! どんだけ硬えんだっ!?

 

 人型が仲間の方向に振り返り、小銃を構える。

 

ダダダッダダダッ《/b〉〉

 

 彼は遮蔽物に身を隠すが、脆かったのか、銃弾の一部が遮蔽物を貫通し直撃する。

 

「《b》うグっ!?」

 

 銃弾が通用しない相手に、どう立ち向かえばいいのか……思考が焦りに包まれる。

 

 “性質”を使って頭蓋骨を修復し、なんとか立ち上がる。そして、人型が仲間の方を向いている隙に、素早く距離を取り、別の遮蔽物に身を隠す。

 

 焦る頭を無理やり落ち着け、冷静さを取り戻す。

 

「(まず人型の特徴を整理しろ……)」

 

 妙な気配で位置は把握できる。頭・胴体・四肢があるのも分かる。そして、とんでもない身体能力……。

 

「(ここから弱点を探るのは、不可能じゃないか……?)」

 

 いや、まだだ。

 考えろ。思考を停止すれば、確実に殺される。

 

「(……“輪っか”……?)」

 

 そうだ。アテナと似たような“輪っか”がある……! ひび割れてはいるが、確かに似ている。

 あの時、彼女に触れた瞬間、素っ頓狂な声を上げていたことを思い出す。

 

 まさか……“輪っか”とその持ち主は、感覚を共有する一種の弱点なのではないか……?

 

 断定はできない。だが、試さない手はない。

 

 仲間が人型に気を取られている隙を狙い、可能な限り近付き、頭上の“輪っか”を狙って発砲する。

 

ダンッ

 

 銃弾は……すり抜けた。物理的な質量を持たないのか?

 

 じゃあ……あの時、俺はなぜ触れられた?

 いや、正確には触れたのかどうかも分からない。ただ、熱を帯びたような感触を感じたに過ぎない。

 

「(直接“俺の手で”触れる必要があるのか……?)」

 

 ならば、今思い浮かんだことは極めて危険な賭けになるだろう……。

 

「……やるしかないか……」

 

カプラエっ!! マルムっ!! その人型の注意を引いてくれっ!! 策があるっ!!

 

まジかよっ!? しょうがねえっ、貸し一つだっ

リょう解(了解)だっ

 

ダダダッダダダッ《/b〉〉〈《b》ダンッダンッ《/b〉〉

 

 仲間の銃撃が人型の注意を引きつける隙に、背後から距離を詰めていく。

 

 マルムが、俺が何を狙っているか察したらしい。

 

[カプラエ、“《b》鎮痛剤”を使えっ。奴の注意を後方に向けさせるな]

 

あアっ!? “ヤク”だけは使いたくなかったんだがよぉっ!

 

 “鎮痛剤”それは負傷の痛みを抑えるためのものではない。

 一時的に“痛み”を完全に感じなくさせる極限用の薬物だ。

 使用のタイミングは、死が目前の極限状態に限られる。

 

 薬物を接種し、尋常でなくなった彼が遮蔽物から飛び出し、人型の目の前に立ちはだかる。

 

かカってこいよ、チビ

 

おレは無敵だ

 

ダダダッ《/b〉〉

 

 人型の小銃の弾は尽き、何発も受けても彼はびくともしていない。

 

「《b》ゔオおおお!!

 

 彼が人型に飛び掛かる。人型が避けて後ろに飛び退く瞬間を、俺は逃さなかった。

 

!!!!

 

 俺は飛びつき、脚で首に四の字固めをかける。

 人型はまったく予想していなかったらしく、奇襲は完璧に成功した。

 

 残るは、“輪っか”。それに手を伸ばす。

 

ッ!!!熱いッ!!」「!?!?

 

 やはり熱い……! 何かの“エネルギーの塊”だ。銃弾がすり抜けたはずのそれに、俺は直接触れられる!

 腕を通じて全身に奔流のようにエネルギーが駆け巡る。

 

ア゛ア゛ア゛ア゛‼︎

 

 人型が叫び声をあげ、暴れ始める。

 

「よしっ、効いてるぞっ!! カプラエ、コイツから銃を取り上げろっ!!」

 

ゔオおおお!

 

 二人がかりで抑え込んでいるというのに、信じられないほどの力で暴れ続ける。一体、何なんだ……? こいつは……?

 

ぐハっ

 

 カプラエが蹴り飛ばされ、瓦礫の向こうへ転がる。だが、その手には奪い取った小銃がしっかりと握られていた。

 

 残るのは俺だけだ。全身の血管が今にもはち切れそうなほど脈打っている。加えて、獣じみた抵抗のせいで、こちらも全身を何度も打ち付けられ、感覚が鈍るほどの痛みが走っていた。

 

ぐうううっ!

 

おらぁっ!!

 

 力任せに、輪へと意識を集中させる。

 

 輪が徐々に砕け、パリッと砕けた。

 

 音は鳴っていない。だが、確かにそんな感触がした。

 ひび割れていた輪の形が崩れ、砕け散るように消えていく。

 

 次の瞬間、人型の抵抗が嘘のように止まり、その身体から力が抜けた。

 

ゲホッ……や、やったか……?」

 

 吐き気が込み上げる。全身が悲鳴を上げていた。負傷すること自体は珍しくないが、ここまで徹底的に叩きのめされたのは久しぶりだった。

 

[オい、ソイツを見てみろ。]

 

「なんだ……?」

 

 ふらつく足取りで立ち上がり、事切れた人型へと近づく。

 

「なっ……」

 

 理解できない、異様な存在だと思っていた。だが今になって思えば、この“奇妙な存在”が人型をしていたのは、あまりにも自然なことだったのかもしれない。

 

 俺が殺したのは人間だった。

 

 

 「こいつは……一体なんなんだ?」

 

[……もう察しは付いているはずだ。人型、そして頭上にあったもの。]

 

 「『キヴォトス人』だ。」

 

 今更、殺した罪悪感に慌てふためいているわけではない。

 問題は、これが“彼女”と同じ『キヴォトス人』であるという事実だ。

 

[アテナの発言、そしてこの状況から見て、彼女の“気が狂った友人達”だと推測される。]

 

 「……なあ、本当にこいつは“気が狂っていた”のか?」

 

[どういう意味だ。]

 

 「彼女の話を聞いた時、最初は“彼女達は生きるため仕方なく集落を襲撃して物資を略奪していた”から、アテナにとって気が狂ったように見えたんじゃないかと思ってたんだ……」

 

 「でも、こいつは一人だけだ。それに、生きるための略奪なら、ここまで徹底的に虐殺する必要はないと思うんだ。」

 

[確かに、ここらの死体は“執拗に”痛めつけられた跡がある。少なくとも効率を求めた手口ではない。]

 

 「これはただの仮定に過ぎないんだが……」

 

 「友人達ってのは、何らかの設定や目的に沿って行動してるんじゃないか?」

 

 「なぜそうなったのかは、一切分からない。根拠もない。ただの仮説に過ぎない……」

 

 「会話はしなかっただけで、理性はある……というか、機械的に行動しているようにも見える。」

 

 「それにアテナは“自分には前と変わらず接してくれた”と言っていた。」

 

[少なくとも現時点で断定はできん。]

 

 「もう一つ問題がある……」

 

 「アテナに、この事を伝えるべきか、って話だ。」

 

 

 

 

 

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 色んな事を考えながら車と置いて来たアテナの元へ戻る。

 

 彼女が見えて来た。

 

「……あの……お帰りなさい……」

 

「……その……すごい音が聞こえていたんですが……」

 

 銃声は誰もいない砂漠ではかなり遠くまで聞こえてしまうのかもしれない。

 

「それにボロボロになって……何があったんでしょうか……?」

 

 俺はここに戻るまでにある決心をしていた。

 

「これを」

 

 弾が撃ち尽くされ、装飾もかすれてしまった小銃を彼女に見せる。

 

「これは……まさか……」

 

「煙の元は破壊された集落だった。捜索していたら突然、襲撃を受けた。そいつは会話も通じなかった。」

 

「……」

 

「……俺が殺した。罰してくれてもいい。」

 

 本当に酷な事実を突きつけてしまう事になった。だが俺は嘘をつくならまだしも隠し通せる自身がない。

 

「……」

 

「……いえ」

 

「……これで良かったと思ってしまった自分がいます」

 

「もういっそ死んでしまえば彼女達が酷い事をしなくても済むと思ったこともあります」

 

「私にあなたを罰する資格はありません……だから、気になさらないで下さい」

 

「むしろあなたの手を汚させてしまった、謝らなきゃならないのは、私でしょう……」

 

「いや、別に謝らせるために伝えたんじゃないんだ。俺に頭なんか下げなくてもいいから……」

 

「すみません……」

 

 

 

 

 

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 俺達は塩湖街に戻ることにした。今度はルートを覚えているし、蓄えも十分あるため、あまり時間はかからないだろう。

 

「なあ、アテナ?」

 

「……? なんでしょう?」

 

 彼女が抱える精神的な負担が少しずつ大きくなっているように感じる。

 また、“友人達”と遭遇する可能性もゼロではない。このまま進めば、どこかで彼女が“壊れて”しまうかもしれない……。

 

「本当に勝手な推測なんだが、多分いろんなことを“自分のせいだ”って思ってないか?」

 

「……」

 

 彼女は黙っている。図星だったのだろうか。

 

「自分の行動に責任が取れるってこと自体は悪くないが、別にあんたのせいで起きたわけじゃない事にまで責任を感じる必要はないと思うぜ。」

 

「別にアテナに限った話じゃない。多分、そういう自責思考で色んなものを抱え込むタイプの人間はそこそこいると思う。」

 

「偉そうに言って悪いが、もっと自己中で、他責思考になってみてもいいんじゃないか。」

 

「……いいんですか?そんなこと……。」

 

「まあ……それが簡単なら、誰も苦労はしないんだけどな。」

 

「まあ、もっと何かのせいにしてもいいんじゃないか?」

 

「大雑把だけど、”世界がこんな理不尽なのが悪い“とか……。」

 

「……」

 

 機嫌を損ねちゃったか……? 下手なことを言うべきじゃなかったかもしれない。

 

「……ふふっ」

 

「変なこと言いますね」

 

 ほんの少しだが、はじめて笑ってくれたような気がした。。

 

 

 

 

 

——————————————————

 

 

 

 

 

「.....『紛争の神』が消えた」

 

「理解できぬ。何故『崇高』が消失した」

 

「何者かが『恐怖』を奪い、殺した」

 

「何者だ」

 

「いや....理解した。」

 

 

「『卑俗』が目覚めた」




-紛争の神
顕現した不和の神々の一柱

-友人達
“反転”したキヴォトス人達。19〜21ぐらいの年齢だと思われる。
見た目はホシノ*テラーのような黒い瘴気を放った人型、それの更に変化が進んだ姿であるため、最初は元人間とは認識できなかった。半ば人外になりかけている。また、とくに“彼”には強く殺気が見える。元が元なのでホシノ*テラーほど強くはない。

-性質の応用
単純な再生から身体能力の増強などを事象への理解を歪曲させる事で様々な事を可能にする。要するに自然を理解したように見せかけた否定である。
また「恐怖」に干渉し、表と裏を解離させる事で崩壊させることも可能。故に彼が生徒、特にヘイローに直接的な接触をした場合、“裏側から”崩壊する。よって“ヘイローから壊れ、次に器が死亡する“という真逆のプロセスが発生する。
『神秘』と『恐怖』はコインの表と裏のような切り離せない関係性であるとされる。
それらが別々になってしまえば生徒という存在は成立しなくなる。
ちなみに触れるのが手である必要は無い。接触したのが”血飛沫や肉片“でも十分生徒に害を及ぼす。そしてこれは”神秘“も”恐怖“も持たぬ者には影響がない。

-『ヘイローを破壊する事ができる爆弾』
”神秘“や”恐怖“を壊し得るもの。
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