昔書いた黒歴史小説に転生してしまった件について   作:トマトルテ

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2話:決闘

 

「さあ! このヴァリエッサ家、次女のアルメダ・フォン・ヴァリエッサがあなたを倒して、学園最強を証明してみせるわ!」

「ヴァリエッサ家って、皇位継承権のある、あのヴァリエッサ家!?」

「それに、アルメダ様が持っている槍って『聖槍ブリューナク』じゃ……」

「もしかして、アイゼン君を本当に殺す気…?」

 

 はい、続いたよ。続きましたよ。

 いっその事、世界終わらねえかなって思ってたけど、普通に続いたよ。

 それで、あれよあれよ時は流れて決闘の日になった。

 どうやら、金髪ドリルはアルメダという名前らしい。

 おい、ドイツ語の法則はどこに行ったんだよ。

 槍もケルト神話から来てるしよ。

 

「さあ、仮面男。あなたも武器を構えなさい。この決闘負けた方が、学園を去るルールで良いですわね」

 

 あ、俺の仇名仮面男なんだ。

 いや、こんな目立つ仮面付けてたらそうなるか。

 まあ、戦闘に関しては二重人格(笑)の方に任せて、俺は静観しておこう。

 

 後、サラッと学園を去るとか言わないで。

 そういうのを決めるのは学園の方だから。

 

「学園を去るか……悪いが、貴様に抜く剣はない」

「はぁ!? 決闘から逃げる気ですの!」

 

 おっと、急に煽り始めたぞ、こいつ。

 決闘受ける気がないなら、最初から受けないでくれよ。

 

「何を勘違いしている? 貴様には剣を抜く価値などないと言ったんだ」

「…! 調子に乗って! 後悔させてあげますわ!!」

 

 そして、審判の合図も待たずに始まる決闘。

 相手はこっちが避けにくいように、体の真ん中に槍を打ち込んでくる。

 ちょっと、殺意高すぎない?

 一応、君達学生だよね? いいの、そんなに簡単に人を殺して。

 

「どうした? 後悔させてくれるんじゃなかったのか?」

「馬鹿にして…!」

 

 だが、この二重人格君はそれをあっさりと避けていく。

 ポケットに手を突っ込んだまま。

 あー、そう言えば中2の時は、カッコづけでよくポケットに手を入れてたな。

 やばい、恥ずかしくて死にたくなってきた。

 

「狙いが単調だ。もっと冷静に相手の動きを読め。1手目を2手目の伏線に、2手目を3手目の伏線にしろ」

「指導者になったつもりですか!?」

「思ったことを言っているだけだ」

 

 そして、上から目線のセリフ。

 もっと優しく言おうよ? 相手は女の子だよ。

 誰が相手でも硬派でクールなロールプレイがしたいんだろうけど、空気読んでね?

 

 あ、ほら、ちょっと目じりに涙が溜まり始めて来た。

 そんなんだからモテなかったんだよ、俺。

 あ、ヤバい。俺もちょっと泣きそうになって来た。

 

「真面目に……真面目に戦いなさいよ!!」

「真面目に? 砂利相手に本気を出す大人が居るか?」

「こ…のぉッ!」

 

 怒りが一周回って、冷静になったのか今までになく鋭い突きが主人公(笑)の頭に襲い掛かる。

 それに僅かに目を見開く主人公(笑)だったが、素早く首を動かして避ける。

 だが。

 

「ふふん……そのムカつく仮面は剥いであげましたわ。さ、あなたの素顔を見せて――」

 

 アルメダの言葉が止まる。

 一見すると、仮面の下の素顔に驚いているように見える。

 だが、実際は違う。

 確かに、彼女は仮面の下を見て固まった。

 

「Auge des bösen Drachen」

 

 はい、出ました。ドイツ語の必殺技。

 だから、せめてルビを振れって。意味? 邪竜の魔眼である。

 要はあれだ。仮面の下の素顔を晒す回と、魔眼の発動をしたかっただけだろう。

 

 お前この後どうするんだよ? まだ2話目だぞ。

 魔眼はともかく、素顔バレは校長相手にやるんじゃなかったのか。

 プロットはどうなってんだよ、プロットは。

 

「俺の魔眼を見た者は動きが止まる。俺の意思と関係なくな」

 

 ゴルゴーンの魔眼の劣化版かな?

 いや、凄いけど、これって俺が設定思いつかなかったから、適当にパクって入れただけなんだよね。

 

「良い突きだった。今のを繰り返せば、もっと良くなるだろう」

 

 仮面を拾ってつけ直しながら、主人公(笑)がそう告げる。

 

「……あなたは一体何者なんですの?」

 

 そして、魔眼が隠れたことでアルメダが再び動けるようになる。

 しかし、彼女の目にはもう敵意はない。あるのは怖れだ。

 まあ、俺からすれば主人公(笑)だが、彼女から見れば得体のしれない化け物だから、無理もない。

 

「カイザー・フォン・ファブニール。復讐者さ」

 

 だからさぁ。お前正体隠す気あるの?

 ひょっとして、お前も偽名忘れてるの?

 俺みたいに、呼ばれても気づかないぐらい忘れてる?

 

「復讐……」

「お前には関係のない話だ」

 

 だったら、最初から言うな。

 そういう、同情して欲しい的なチラチラって現実だと凄い嫌われるから。

 因みにソースは高2の俺だ。

 

「さて、決闘の続きと行くか」

「クッ…!」

 

 そして、何事もなかったかのように決闘に戻ろうとする主人公(笑)。

 まだ、続けるのかよ。

 もう、魔眼のお披露目で満足したでしょ?

 

「負けませんわ! 絶対に! ヴァリエッサ家の誇りにかけて!」

 

 急に姫騎士みたいこと言い出したな、この子。

 絶対、ネタで仕込んだだろ。そういうの滑るからやめた方がいいのに。

 

「フッ、諦めないか。なら、手を出すつもりのない俺に勝ち目はないな……降参する」

「……は?」

 

 そして、突如として降参する主人公(笑)。

 呆然とする、アルメダ。そして、俺。

 

「な、何を言ってますの?」

「降参するといっているんだ。別に俺の目的は学園にいなくても、達成できる」

 

 分かってるなら、どうして入学したんですか?

 え? 中2の頃の俺がそう設定したから?

 ………ごめんなさい。

 

「じゃあな、最後に面白いものが見れて楽しかったよ」

 

 そう言って、歩き去って行く主人公(笑)。

 いや、この後の展開どうするの?

 

「待ちなさい……私も降参しますわ」

「何を言っている?」

 

 だが、そこに待ったがかかる。

 アルメダが、待ったのかけたのだ。

 

「あなたも私もお互いに降参した。つまり引き分けよ。なら、勝負は次回に持ち越しよ」

「フン、好きにしろ。俺はどちらでも構わん」

「ご安心を。次に戦う時は、必ず私が勝利して学園から追い出してみせますわ」

 

 なんか引き分けってことになって、丸く収まることになった。

 なんだ、この展開……決闘の意味って何だったんだ?

 どうなってんだよ、これを書いた作者は!? 俺にも分からねぇよ!

 

「いや、面白いものを見せてもらったよ」

 

 そして、そこで聞こえて来るわざとらしい拍手。

 

 振り向くと目に映るのは、鷹のような眼光に、熊の如き体躯。髪と顔は獅子。

 そう、こいつは聖グロリアス騎士学校校長、エドワード・グランツェル。

 もう1つの顔が故郷を滅ぼす原因を作った秘密結社のボスだ。

 

「……エドワード・グランツェル」

「素晴らしい魔眼だね、アイゼン君。どこで手に入れたか、聞いても?」

 

 律義に偽名を呼んでくれる校長。

 もしかして、主人公(笑)が本名を言うときは認識阻害でもかかっているのだろうか。

 

「……ホープタウン」

「ほう、あそこは確か……なるほど、そういう事か」

 

 ニコリと笑う校長と、睨みつける主人公(笑)。

 というか、復讐が目的ならここで襲い掛かってもいいんじゃないのか?

 ソードマスターヤマト的な展開でさ。

 え? 話が続かないからダメ?

 

「改めて、聖グロリアス騎士学校に歓迎しよう。アイゼン・ミュラー君」

 

 そう言って、校長が握手を申し出て来る

 というか、これ絶対バレてるよね?

 いや、あれだけ動いてバレない方がおかしいだろうけどさ。

 

「ああ……よろしく頼む」

 

 それを務めて、無表情で受ける主人公(笑)。

 いや、今更バレないように取り繕ってもと思うが、展開の都合の犠牲になったのだろう。

 

「では、これからも励んでくれたまえ」

 

 手を離して、歩き去って行く校長。

 何故だろうか。主人公(笑)よりもカッコよく見えてしまう。

 同じ俺が作ったキャラなのに、何だろうか、この差は?

 

「ね、ねえ。あなた、この後暇かしら? よかったら、特訓に付き合って欲しいのだけど」

「別に構わんが」

 

 そして、まるで洗脳でも受けたのかと心配になる程に、コロリと主人公(笑)への態度を変えるアルメダ。

 チョロインなんてものじゃない。ゲロアマヒロインである。

 

「そ、そう? じゃあ、よろしくね! 私のことはアルメダって呼んでちょうだい」

「……アイゼンだ」

「アイゼン。これからよろしくね」

 

 いや、さっき、決闘前にカイザーって名乗ったよね?

 なんでアルメダも普通に受け入れてるの。

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

 そうして、俺の心の中のツッコみが止むことなく決闘は終わりを告げるのだった。

 




昔の2次創作は大体、ギーシュとかセシリアの決闘でエタってました(自分語り)

後、よろしければ真面目に描いたものもどうぞ。

パーティーメンバーがデカケツ熟女しかいないhttps://syosetu.org/novel/362820/

暴力系ヒロインLV99「オレより強い奴に逢いに行く」https://syosetu.org/novel/173323/
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