黎明卿を目指すヒーローアカデミア   作:TSZECT

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「だよな、いくらヴィランによる事件が起きないからってヒーローがいきなり姿を消すなんてありえないよな」

 

街中を見渡せばいつもと変わらない光景、だけど明らかに【The・ヒーロー】という格好の人物が一人も見当たらない。

なんなら何時も街頭の大型ヴィジョンでは必ずと言っていいほどヒーロー特集を放映してたのにそれすら映っていない。

 

「どうなってんだ?」

 

「でもそれだけ平和なんだね」

 

「だといいんだけど…」

俺達は雄英高校に向かった

 

 

あの時そこで気づけば良かった

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

─雄英高校─

 

「おかしいな、ヒーロー科の教室が見当たらない」

 

「というか内装がガラリと変わってるよ」

 

着いたはいいものの俺達は雄英高校の内部で迷子になっていた

 

「ん〜どういう事だ?、壁が無かったところが壁になってるしかといえば壁が通路になってる…どゆこと?」

 

「僕達が職場体験に行ってる間改装してたとか?」

 

「それはないだろう、やるなら夏休みの時だ。しかし参ったなこれじゃ遅刻す─あっ!」

 

困っていた時遠くに相澤先生がいるのが見えた

 

「緑谷、あそこに相澤先生がいる、ちょっと道聞こう。」

 

「うん、遅刻するよりかはいいもんね」

 

俺達は相澤先生に向かう

 

「すいません相澤先生」

 

「……ん?、なんだお前らもうすぐ予鈴だぞ」

 

「いやぁすいません実は俺達道に迷っちゃって、ヒーロー科の教室って何処に移動しました?」

 

そう聞くと相澤先生は怪訝な顔をしてこう言った

 

「ヒーロー科?、学校(ウチ)にそんな科なんて無いぞ】

 

「「……え?」」

 

今なんと言った?、無い?、ヒーロー科が?、は?

 

緑谷は震える声で尋ねた

 

「せ、先生ヒーロー科はこの学校の─」

 

「無いと言ったら無い、第一そんな巫山戯た科目がある訳ないだろう。こっちに来い案内する、入学して3ヶ月近く経ってるのに覚えてないのはお前ら死活問題だぞ」

 

そう言って先頭を切る相澤先生

 

俺は緑谷を見る、真っ白になってて今にも倒れそうだ。

 

「………」

 

「緑谷、今はついて行った方がいい。立ち止まってると突っ込まれる」

 

「ウン」

 

フラフラとした足取りで相澤先生について行く緑谷

 

俺はそんな後ろ姿を見て考える

 

(ちょっとこれは…おかしいじゃすまないぞ)

 

そういえば世界が何故か灰色がかってる様に視える

 

(街中があんな感じで学校が例外な訳が無い、先生がこれなら恐らくクラスの皆も……いや断定するのはまだ早い、俺や緑谷と同じ状態の人だってきっといるはずだ)

 

微かな希望を抱くがそれは先程の言葉でそれはありえないと頭では分かってはいたが認めたくなかった。

 

 

─A組教室─

 

「ここだ、俺はまだやる事があるから予鈴が鳴るまで大人しくしておけ」

 

そう言って相澤先生は立ち去って行く

 

俺は緑谷を見る、まだ放心状態だ。

無理もない、なんせ今まで当たり前だった物が朝起きたら無くなっててしかもそれが当然と言われたらああもなる。

 

「おい、大丈夫か?」

 

心配になって声かけると緑谷は「ふぁっ?!」と小さく声を上げて放心状態から戻る

 

「気付いてっかもしれないけど…恐らくクラスの皆も相澤先生と同じ状態の可能性は高い、今日はあまり人前で個性は使えないな。」

 

「うん、でもしかしたら僕達と同じ状態の人もいるはずだと思うから聞き込みはするよ」

 

「だな、流石に1人くらいはいる…だろうな、よし!行くぞ!」

 

ガラッ

 

「「おはよう!」」

 

「「「「………。」」」」

 

シーン……。

 

「……。」

 

「……。」

(やっべ想像以上にキツイかも)

 

まさかの無言に居心地の悪さをフルMAXで感じるがそうも言ってられないので取り敢えず皆に話をするのを装って自分達と同じ状況になってる人を探すことにした。

 

 

 

「おはよ耳郎さん」

 

「ん、おはよ。てか2人共どうしたの?朝からあんなに声出すなんて?なんかあった?」

 

「いや特には、というか今まであんな感じで挨拶してたけど?なぁ緑谷」

 

「へ?!、そっ、そうだね!あんな感じだよね!」

 

(落ち着け緑谷、俺たちと同じ状況になってるのを探すだけだ、緊張するな。)

 

(そんなこと言われても!)

 

「?、あんた達あんなはっちゃけて無いでしょ?何言ってんの?」

 

怪訝な顔をしている、恐らく今までの記憶すら書き変わっているのか反応が薄い。

 

「今日はそんな気分だったから…かな?」

 

(いや、もうちょい何かないの?!)

 

(仕方ないだろ!咄嗟に上手い言い訳なんて思いつくか!)

 

自身の言動に緑谷はツッコミを入れるが雨宮は言い返す、尚耳郎は「あっそ」と流した。

 

耳郎はスマホ片手にポケットからワイヤレスイヤホンを取り出し耳に付ける、その瞬間雨宮と緑谷は耳郎の耳の形が違うことに気づく。

 

(耳たぶの所がイヤホンジャックじゃない…普通の耳の形だ。)

 

(じゃあもしかして個性も無くなってるってこと!?)

 

(恐らくな…)

 

「…何?、人の顔をジロジロ見て」

 

「あ、いやその」

 

耳の形に気を取られすぎた、緑谷は隣で顎に手を当てて考え込んでいて目線を外に向けてたから俺だけが耳郎の顔をガン見してた構図になってる。

 

そりゃ気にもする。

 

しどろもどろになってる雨宮に耳郎はジトっとした目を向け一言

 

スケベ

 

ホッ?!

 

予想外の口撃力のある一言に目を剥く雨宮、それを面白がるようにニヤつく耳郎は続けて

 

「だってさー朝から人の顔ジロジロ見てくるなんて男子ならなんかあるでしょ」

 

「いや別に顔を見てた訳じゃ─」

 

「なによ、じゃあもしかして胸でもme」

 

「それは無い」

 

ぶっ殺すわよ?

 

「ゴメンて」

 

「冗談よ、で?何か用があるの?」

 

「大したことじゃないけど……耳郎さんはの【個性】ってどんなのかなーって」

 

(いきなりだね?!)

 

(この方が手っ取り早い)

 

「個性?、うーん…特にこれといっては…精々エレキの練習とかそれぐらいしかないし…」

 

「いやそーゆーのじゃなくて…こう、なんというか【自分だけの!】…みたいな?」

 

「ますます何聞かれてるのかわからないわね…まぁでも確かにウチのクラスは個性的なやつが多いけど…えっ違う?」

 

(……これはふざけて言ってるわけじゃないな)

 

「悪い耳郎、他の奴らにも用事あったの忘れてたわ、緑谷行くぞ!」

 

「へ?!、ちょっ、ちょっとそっちからふっといてなに──!」

 

「マジでごめん!埋め合わせはするから!」

 

そう言って俺達は一時撤退した。

 

 

「……変な奴。」

 

 

 

……あの後他のクラスメイトにも同じ様に質問した、だけど帰ってくる応えは

 

「ヒーローなんているわけないじゃん」

 

「ヒーローになりたい志は立派だ!でも現実と理想を区別することも重要だぞ!」

 

「ヒーローねぇ…人助けをするのは漢らしくていいけどなれっこない上に空想上の概念を目標にすんのはなぁ…」

 

「ヴィランなんて現実にいる訳ないだろ、つーかいてたまるかよアメコミかっつーの、それより聞いたか?今朝筋肉モリモリマッチョマンがビルの上飛んでたってさ!……どうしたんだよ顔色悪いぞ?」

 

「ヒーローか…なら俺は夜の闇を駆ける暗黒の使者!ダーティーなヒーローも乙なものだぞ、( ゚∀ ゚)ハッ!。フフフ…天啓が舞い降りた、趣味の小説【ダークシャドウ・シュバルツ】が捗りそうだ…!」

 

「私は人助けをする人は好きよ、好感持てるし何より心が優しい人じゃないと出来ないことよ、このストラップ?ケロ♬可愛いでしょ?…ちょっと似てる?、むー…あんまりそういう事言っちゃダメよ?私はいいけど。」

 

「夢見てぇなこと言ってないで勉強しろナード、俺は学力でも1番になるんだよ。……んだよしつけぇな!何時までもガキの頃の夢想引っ提げんな!失せろ!!」

 

誰も自分達がヒーローを目指していた事も覚えておらず自分たちが持っていた個性の事も忘れていた…と言うよりそもそも存在して無かったかのような反応だった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

俺達は席に着いて授業を受けていたが朝の衝撃が強すぎて頭に入ってこないくらい途方に暮れていた、何故か世界からヴィランやヒーロー、果ては個性までが消え去っていた。

 

俺達2人だけを取り残す形で。

 

(何故だ…何故俺達2人だけが記憶と個性を保持してるんだ?、これは夢か?、そうじゃないなら本当に個性事故を受けたのか?、だとするなら一体何時どこで?)

 

緑谷もさっきから何か考えてはいるが放心と集中を繰り返してるせいで頭が纏まってないように見える。

 

(スレのみんなにも聞いてみたけどそんな話は存在しないし翁に確認を取ってもらったら【外から見たら何も異常が無い】との事らしい、先の事件で外からの干渉はできないから俺と緑谷だけで解決させないといけないし…一体どうすりゃいいんだ?)

 

そんなこんなで午前の授業が終わり昼休みになる。

 

 

ドタドタドタドタドタドタドタッッ!!!!

 

ガラァッ!!!!

 

廊下から何かが走ってくる足音が聞こえてきてすぐ後に教室の引き戸が勢いよく開いた

 

「私がァ…急いで教室にやって来たァっ!!!!」(マッスルフォーム)

 

「「オールマイト!!??」」

 

驚く俺達を見てオールマイトはこちらを一瞬一瞥し相澤先生に捲し立てるように叫ぶ

 

「相澤君!急で申し訳ないがこの二人を預かってもいいかね?!なにぶん急いでいるので!!」

 

「え、えぇまぁいいですけど…それは一体do「ありがとう!!では雨宮少年!緑谷少年!一緒に来てくれたまえ!!」いった……」

 

 

相澤先生は気圧されたかのように頷くのを見るやいなや俺達二人を両脇に抱えて凄い勢いで教室を後にした。

 

 

◇ ◇ ◇

 

─屋上─

 

「いやぁすまないね、何しろ急いでたもんでね。それで質問なんだけど2人は【ヒーロー科】は知ってるka」(トゥルーフォーム)

 

オ”ー”ル”マ”イ”ドォォォォォ!!!」(´;ω;`)ブワッ

 

「( ˙꒳˙ )oh......落ち着いてくれ緑谷少年」

 

「色々と極限状態だったんだ、察してください」

 

緑谷はオールマイトがヒーロー科の事を覚えててくれて尚且つ担いでくれた*1事で緊張が切れたのか号泣した。

 

〜しばらくして〜

 

「すいません、取り乱しました。」

 

「なに、大丈夫さ。」

 

「それにしてもオールマイト、記憶があったんですね」

 

「あぁ、朝起きてパトロールしてたら警察に追い回されてね…いやー大変だったよ何言っても「知らない!」って返されるし終いには銃向けられたからね。」

 

「警察もか…」

 

(だとするとこの記憶改竄はかなりの範囲で起きてることになるな…)

 

「えっ?!大丈夫なんですか?」

 

「HAHAHA!、ビルを間を飛んで逃げたから大丈夫さ!!」

 

「「それは大丈夫とは言わないんじゃないかなぁ…」」

 

「アハハ……」

 

(というか今朝の話に出てた筋肉モリモリマッチョマンってこれの事だよな?、ガッツリ目撃されてたけど本当に大丈夫なんだろうか?)*2

 

朝の話を思い出して大丈夫なのか心配になるが今はそれどころではないので頭の隅に追いやることにした。

 

「というか何故俺達2人が連れてこられたんですか?」

 

「そうです!、何故僕達だけ連れてこられたんですか?」

 

オールマイトならその場で説明しそうなんだが…

 

するとオールマイトは笑って答える

 

「HAHAHA!なーに簡単な事さ、私が朝起きてパトロールしてそして教室に来た時私の事を【オールマイト】と呼んだのは君達2人だけだからね!、そこで記憶がそのままだと言うことの証明さ!だから連れて来た!」

 

なるほどさっき一瞥したのはそういう事か。

 

「オールマイト、これはやはり個性によるものなんですか?あと過去にこのような認識変換をするのがいましたか?」

 

俺はオールマイトに過去にこの様な個性持ちがいたのか聞いてみた、だがオールマイトは「うーん…」と首を傾げた

 

「…いや、過去に幻覚の個性持ちはいたがここまで大々的かつこんな長時間発現させるのはまず不可能だ、身体的に負担がとてつもないし何より一個人がどうこうできる規模では無いな。」

 

「となると、今起きてるこの現象は【既存の個性の範疇では無い】って事か。」

 

「そうなるな」

 

そこで緑谷はハッとし

 

「そういえば他のヒーロー達は見なかったですか?朝から1人も見かけてないんです!」

 

「それが私も見かけなくてね、誰もヒーローの事を知らないみたいだった。HNWも何故かサイトごと無くなって情報も集まらなくてね…」

 

どうやらネットも使い物にならない様だ

 

「しかし…これは本当にヴィランの、個性の仕業だろうか?」

 

「雨宮君はヴィランの襲撃とは思わないの?」

 

「雨宮少年それはどういう事だい?」

 

2人は俺の方を向き疑問符を頭の上に浮かべる

 

「そもそも最初に消えたのはヴィランによる犯罪や事件なんだ、最初に自分の存在が危うくなるような事をする?俺だったらまず最初にヒーローを消す。」

 

「確かに…!」

 

「でもそいつは真っ先にヴィランを消しその次にヒーロー、最後には個性を消した。

しかしそいつはヴィランだけでなくヒーローも個性も消した、でも僕ら3人は今の所影響は無い。」

 

「言われてみれば僕とオールマイトと雨宮君はなんともない感じだね…」

 

「そうだな、昨日までの記憶はハッキリとあるしOFAも問題なく使えるな…」

 

「仮説になるけど恐らく緑谷とオールマイトが持っているOFAがなんらかの作用で食い止めている…と思う、まぁ成り立ちが特殊だし上手いこといったんだろうさ、根拠は無いけど。」

 

「……そうか。でも一理ある仮説だな!」

(お師匠…)

 

俺の仮説を聞いて少しセンチになるオールマイトだが顔には出さなかった。

一方緑谷は俺の方を見て「むむ…」というような顔をした

 

「…じゃあ雨宮君はなんで記憶を保持してるの?」

 

わからん

 

「「Σ(°Д°;わかんないんかいっ!!」」

 

そう言うと2人はガクッとする

 

まぁそれはどうでもいいとして。

 

「「どうでも良くはないと思うけど?!」」

 

わかんないんだから仕方ないじゃん

 

「問題はどうやったら解決出来るかです、外からのバックアップも無しに探し回るのは無理ですし個性を使おうもんなら大騒ぎになります。」

 

「朝大変だったしな…迂闊に大きく動けないのがネックだ。」

 

「この異変を起こした人はどうしてるんでしょうか?」

 

「恐らくこっちを監視してるだろうな、今は大人しくしてるけど必ず何かしらのアクションは起こすだろう。」

 

「つまり待ち伏せするっていう認識であってますか?」

 

「YES!、ただ待つだけでは何も変わらないだろう。放課後またこの屋上に集まって至急対策を考えよう。」

 

「わかりました!」

 

緑谷は元気よく返事を返した、どうやらオールマイトに会えた事でメンタルが幾分か回復したみたいだ。

俺もオールマイトの提案に同意してスマホの時間を確認した

 

 

〘 13:07〙

 

 

「……そういえばチャイムって誰か聴いた?」

 

「いいや?」

 

「私も聞いてないな、もうそんなに時間が過ぎてしまったのか?」

 

「えぇ、でもチャイムが聞こえないっていうのは変ですね……もしや」

 

俺は急いで屋上の出入口を開いて階段を下りる、緑谷とオールマイトはそれに続いて降りていく。

 

 

 

─雄英高校・3階廊下─

 

 

「……。」

 

「雨宮君どうしたの?」

 

「雨宮少年、階段を走って降りるのは……!、2人とも私の後ろに。」

 

「へ?」

 

「わかりました緑谷は真ん中、俺は後方を警戒します」

 

「頼んだよ」

 

オールマイト、緑谷、俺の順番で周りを警戒しながら廊下を進む。

 

「2人ともここは学校─」

 

「緑谷、変じゃないか?」

 

「変…?」

 

緑谷は俺の問に「?」を浮かべ周りを見ると察したのか顔を一気に強ばらせる。

 

「人の気配が…っ!!」

 

さっきまで人が沢山いた学校とは思えないほど静かに、温かさもない冷たい雰囲気が学校全体を満たしていた。

 

「緑谷少年も気づいたみたいだね」

 

オールマイトは俺達2人を背の後ろに隠し前方を睨む

 

「どうやら向こうのしびれを切らすのが早かったですね」

 

俺は最後尾で後ろを見ながら話す

 

「そうみたいだね…しかしこれ程の影響が目と鼻の先で起きてたのに気付かないとは。」

 

「厄介とかそんなもんじゃないですね、最早ここまで来ると個人の個性で出来る範疇じゃない」

 

「一体どうなって…あっ!A組の皆は?!」ダッ!

 

「STOP!、待ちたまえ緑谷少年!」

 

緑谷はハッとして走り出そうとするのをオールマイトが止める

 

「ぐぇっ」

 

「皆を思う気持ちはわかるがこの状況での単独行動はリスクが高すぎる!」

 

「でっでも!」

 

「緑谷、焦る気持ちはわかる。だがここで焦ったら敵の思うツボだ、今は3人で固まって動いた方がいい。」

 

「……わかった。」

 

「でも私も気にならない訳ではない、無事の有無を確認しに3人で行くぞ!」

 

そう言うと緑谷の顔はすぐにキュッと顔を引き締める。

 

相手は未知の存在、俺も気を引き締めよう。

 

「「はいっ!」」

 

そうして俺達3人は急いでA組の教室へ向かった。

 

 

─A組教室─

 

「みんな!」

 

ガラッ!

 

…………………。

 

緑谷が勢いよく引き戸を開けるがそこは人影はなくそれどころか物すら無くなっておりもぬけの殻となっていた。

 

「そんな…」

 

「何も無い…さっきまでいたはずなのに痕跡が何処にも無いなんて」

 

「SIT!、間に合わなかったか!」

 

(かっちゃんも麗日さん*3も飯田君も轟君もみんな…)

 

緑谷はこの世の終わりのような表情をしている

 

(トガ、梅雨、響香……一体何処に)

 

チラッ

 

「ん?」

 

視界の端になにかの影が映る

 

コツコツコツ……

 

廊下からこちらから離れる足音が聴こえる

 

「待て!!」

 

ガラッ!!

 

俺は急いで廊下に出る、すると奥の曲がり角を曲がっていく黒い影を見つける。

 

「雨宮君何か見つけたの?!」

 

「出久!怪しいヤツを見つけた!追いかけるぞ!」ダッ!

 

「ちょっ、ちょっと待ってよ!」ダッ!

 

「HEY!2人共!私を置いてかないでくれ!」ダッ!

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

走る、あの黒い影を追ってひたすら走る。

どれだけ早く走っても何故か追いつけない、次第に追跡劇の場は学校の中から街中へ移った

 

「はぁっはぁっこれはっ一体っ!」

 

「わかんっないっ!、でもこれはっ!」

 

「明らかに異常だ!、この街中で人は愚か車だけでなく動物も虫もいないというのは!」

 

俺達は無人の街を走っていた、*4本来なら活気溢れているはずなのにこうも静かだと逆に不気味に感じる。

 

「しかしどういう事だ?アイツは明らか歩いているのに全く追いつかないなんて!」

 

「とにかく追いかけよう!この状況を知る手がかりになるはず!」

 

「マッスルフォームの脚力を持ってしても追い付けないとは…!」

 

すると目的の男は角を曲がり狭い路地に入っていった、俺達も後に続き路地の中に入って行った。

 

そして追いかけ回って10分、開けた場所で男はようやく足を止めた。

 

 

─???─

 

 

「はぁっ…はぁっ…やっと追いついた…」

 

「ぜぇっ…ぜぇっ…しんどい…」

 

「ここまで走ったのは今日日無かったな…」

 

俺達が息を切らしていると男はこちらを向かずに声をかけた

 

「君達はここが前どういった場所か覚えているかい?」

 

「なに?」

 

「場所?」

 

「なんだって?」

 

俺達は顔を見合わせると足元に違和感を感じ下を見ると

 

ゴポッ…ゴポポッ…

 

地面から水が湧き出し始め

 

「ここはかつて海だった」

 

ザザザザザ…ザザザザザ…

 

やがて水はあっという間に膝下まで溜まり魚の影が見え始めた

 

「「「なっ?!」」」

 

どんどん水位が高くなっていく、慌てる僕たちに気を止めることなく男は淡々と話を続ける

 

「だがやがて海は引き、池だけが残り、最後には埋め立てられた。」

 

瞬きをした次の瞬間には水は無くなり元の地面だけが残っていた

 

「やがてここは元々海だった事と池があった事は人々の中から忘れられいつの日かここに池や海などといった水に関わる事柄全てが忘れ去られた。」

 

俺は真っ直ぐその男に目を向けた

 

「貴方は一体何者ですか?」

 

そう言うと男はゆっくりと振り返り……

 

 

「楽園を夢見る……」

 

 

「その仮面は…!」

 

「oh......まるで雨宮少年の…」

 

緑谷とオールマイトはその仮面に驚く

 

「……冗談だろ…」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「ただの男さ。」

 

 

 

 

…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ

*1
雨宮「そんな嬉しいことか?」

*2
ネットニュースになってるので心配しても後の祭りである

*3
「ウチ2番目?!」

*4
オールマイトには学校よりも広く人目無いのでマッスルフォームになって一気に捕らえてもらおうとやってみたがどうやらジャンプした瞬間にはもうそこにはいないということが何度かあったため一緒に走って追いかけることになった

貴方は忘れたいことはありますか?

  • ある
  • ない
  • (│)〚知らん〛
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