「自己紹介したい所だが…生憎名乗る名前を持ち合わせていなくてね、一先ず仮として【オブビリオン(仮)】としておこう、改めて初めましてオールマイトと緑谷出久君、そして雨宮霊士君。
私の名前はオブビリオン、この事態を引き起こした張本人だ。」
男は軽く会釈をしこちらに向く顔には既視感のある仮面を着けていた。
「雨宮君、まさかグェイラさん達みたいな偽・祈手なんて言うことはないよ…ね?」
「冗談はよしてくれ、と言うかもしそうならグェイラとかギャリケーから何かあるはずだ。」
「オブビリオン、君は楽園目指すと言ったね。
それは一体どういう事なんだい?」
オールマイトの問にオブビリオンは応える
「幼き頃から自らの個性により世界から弾かれることがあってね、その時よく外側で【この世界そのもの】観ていたのだよ、負の感情ばかりであまりいい思い出はなかったがね、勿論良いものもあったがほんのひと握りで儚い物さ、そこから時が経ち私は人の社会が抱える不安や恐怖、差別をどうやったら無くすことができるか研究を長年していた。そんな時私は偶然にも誰からも忘れ去られたとある研究施設に辿り着きそこで旧世代の【遺産】を発見した、後ろを見なさい【今】の君達になら視えるはずだ」
そう言ってオブビリオンは俺達の後ろを指さす、するとそこには黒い球体がX字に囲む様2つの光輪を纏いその下には台座の様なものが取り付けられている巨大な存在が曇り空を背景に音も無く中空に佇んでいた
「なんだあれ?!」
「なんと巨大な…さながらSFに出てきそうな見た目だ」
緑谷とオールマイトはその特徴的な外観に目を奪われる。
「一体何時から…」
空に無音で佇む様子に不気味さを感じる雨宮
「あれは今よりはるか前、旧時代の人工知能最盛期に建造されとされる物だ、便宜上私はあの遺産を【天球儀】と呼んでいる」
「天球儀…」
(確か前にスレのみんなが教えてくれてたってかな、ヒロアカ世界の裏設定的なものがあって、その1つには過去にかなりハイレベルなAIを製造できるほどの科学技術があったって。まぁ案の定反乱が起きてその技術は捨て去られたらしいけど。)
「あれは【超能力】…所謂現代で言うところの【個性】を増幅して放出する物だ。私はその機能を使い自らの個性を増幅し放出する事によって私は社会から不安の根幹を取り除く事にした。」
「取り除く…?」
雨宮はその言葉に薄ら寒い気配を感じた
「ヴィランと人の持つ悪意そのものだよ」
「「「!」」」
「私は今人類が抱えている憂いはヴィラン基そこに根ざしている悪意と考えている。人そのものに罪は無いがソレ自体は厄介だ、なので概念そのものの記憶を消した、と言っても人物そのものが消えた訳じゃないから消滅はしていないただ悪事に意識を割いていたせいか何事にも無気力になっただけだ大した事じゃない。…………まぁ偏っていた場合何れは消滅するだろうね。」
まるでさも問題ないように言う様に3人は戦慄する、雨宮と緑谷は事態の大きさが想像以上に厄介なかつ時間が無いことに焦りを覚えた、オールマイトも同じだった、オブビリオンの所業に今も何処かで暗躍してるであろう
「さて、時間も無い。本題といこうじゃないか。」
カッ!!
オブビリオンはそう言うと眩い閃光が目の前が真っ白に染める
「「「うわっ!!」」」
◇ ◇ ◇
ヒュオォォォォォォォォ…
「うっ…」
「2人とも無事かい!?」
「えぇ、ちょっと目が眩みますけど…!」
冷たい風を感じ眩んだ目は段々と晴れて視界を取り戻すと自分達はさっきまでとは別の場所に移動させられた様だ。
「ここはあの天球儀の下にある舞台だよ、良い景色だろう?」
オブビリオンは少し離れた場所にいた、どうやら何らかの方法であの天球儀まで連れてこられた様だ。
「それで本題とは一体何かね?」
「先程言ったように悪意そのものの排除を行いこの社会から憂いを取り除こうとしたのだが……既のところで問題が発生してね」
「問題?」
オールマイトが尋ねるとオブビリオンは仮面越しにまっすぐこちらを見据える
「単刀直入に言わせてもらう、君達に宿っている個性を捨て去って貰いたい」
「「「!!!」」」
「不躾なことを言っているのは承知の上だ、だがそうしてもらわなければこちらも困るし何より君達に迷惑がかかる」
「そんなの出来ませんよ!」
「個性を捨てろって言うのは自分の手足を取れって言ってるのと同じだぞ!?」
「私も2人に同意見だ、いくらなんでも…待てなぜそんなことを面と向かって言うんだ?」
個性を消したいのならさっさとすればいいのに何故オブビリオンは対話というどう考えても対立待った無しの回りくどい選択をしてるのだろうか
「私は憂いを無くす過程で争いを加速させる根幹として個性の記憶も無くした、アレは人が持つには余りにも強すぎる、強い力は人を狂わせやすいモノだ…。そんな物があるから哀しみが広がる、例え今は良くても何れ制御が効かなくなる。たがその過程で問題が発生した。」
そういうと緑谷とオールマイトに視線を向ける
「君達2人、より正確に言うなら君達2人に宿っている個性の【大いなる灯火】だ、どうやらかなり特殊な存在らしくその灯火がある限り個性とヴィランが消え去る事は無い、何故君達2人が同じ性質の個性を持ってるのかは不思議ではあるがそれを暴くことには興味は無い。…だがこのまま進めれば君達は世界に取り残され一生苦しむ事になる。それは私の望むことでは無い。」
大いなる灯火…恐らく緑谷に譲渡されたOFAの事だろう、オールマイトにもその残滓っぽいのが残っているのでオブビリオンには奇妙に思えたのだろう。*1それにもしこのままこの【個性が超常】になってしまったら確実にこちらは動きにくくなるだろう、オールマイトや緑谷は加減すればなんとかなるが俺はOUTだ。
「それでも出来ませんよ!この個性は誰かの為に、そしてヒーローになるって決めた証なんです!」
緑谷はオブビリオンの提案を跳ね除ける、オブビリオンはそれでも食い下がる
「出来るさ、ただこの楽園に身を委ねればいい。顔も名前も捨てた、この私のように・ね。」
そう言って仮面を取り外す。
そこには最低限顔として認識出来るパーツがあるだけで埴輪の様な双眸には何処までも深く暗い闇が広がっていた。
「「「…!」」」
この男は既に人間そのものを投げ捨てている、そこまでするのか。
俺達にオブビリオンは1歩、2歩とゆっくりと歩み寄る、オールマイトは俺たちを庇うように前に立つが間合いを詰められたらどうしようも無いためジリジリと下がるしか無かった。*2
「まもなく楽園は完成する、誰も傷付かず、恐れること無く、自らに降りかかる悪意と脅かされる恐怖を忘れ穏やかな世界に生きることが出来る。」
「君達がいくら拒否しても侵食は止まらない、ヴィランとヒーローそして個性に関する記憶は消えやがて存在そのものが消える、そうなれば楽園への道は最終段階になる。本当は話し合いで手放して貰いたかったが仕方が無い、コレも楽園の為と思って欲しい」
「が」
オブビリオンは足を止め今度はこちらを向く
「君は別だ」
グォンッ
「うおわっ?!」
体いきなり浮き上がり球体に磔にされるように固定された
「「雨宮君/少年!」」
「君達2人に対する要件は済んでいる、退場したまえ。」
「ぬおっ?!急に後ろに引っ張られ─っ!」
「うわぁぁぁっ?!」
「緑谷少年!」パシッ
見えない何かに引っ張られ危うく落ちそうになった緑谷だが間一髪オールマイトにキャッチされ何とか際で踏みとどまる。
「緑谷!オールマイト!」
「ふんぐぐぐ…」
「オールマイト…!、ふん!」
バゴンッ!
オールマイトが無理をして抑えててくれているのに気づいた緑谷はOFAを脚に集中させ少しでも負担が軽くなる様踏ん張った。
「おや、中々に耐えるね」
「あ…たり前だ!。」
「君の考えは独善的だ、ヒーローとしてほっとく訳には行かない!」
オールマイトと緑谷は何とか耐えてはいるがこのままでは落ちてしまう、俺は何とか笛を吹こうともがくが磔にされてるせいでそれが出来ない。
「ずっと不思議に思ってたんだ。…雨宮君、君だけは全くと言っていいほど力の影響を受けてない、この2人は影響は受けてはいるものの個性によりかなり進行は遅い…時間の問題だろう、だが君だけは違う。まるで底の見えない穴の中に石を投じるがごとく何も返って来ない、力を跳ね返すのではなくそのまま飲み込んでるように感じる…」
オブビリオンは磔にされた雨宮に視線を向ける、表情は分からないが声が微かに震えているように聞こえた気がした。
「君自身の存在に底なしの穴の様に空虚さを感じる、こんなのは始めてだまるで目の前には居るのにいない様な印象を受ける。それに私が第3視点で世界を見る時君と君の親族に関わる物は全くと言っていいほど無かったのにここ数年…いきなり現れたのだよ、まるで【ナニカの意志】でも加わったのかの様に突発的にね…君は実に奇妙だ、君は何処から来たのだ?一体何者かね?」
「ッ…」
オブビリオンは語気を強めて問い掛ける、その圧は凄まじく雨宮は全身に鳥肌がたつ。
「何を…言ってるんだ…!」
「君自身は自覚してないだろうが君という存在はかなりの影響力がある、彼等2人のようにね。」
「何を言っているんだ!!」
緑谷が叫ぶがオブビリオンは聞く耳を持たない。
「まぁなんだっていいが君は私の目的を達成するためには余りにも不確定かつ邪魔な存在だ。こんな事はしたくないが楽園の礎となってもらう。」
すると天球儀に体が沈み始める
「な?!」
俺は更にもがいて何とか片腕だけでも出そうとしたがそれがいけなかったのか笛が落ちてしまう
「ヤベッ笛が!」
カランッカランッ
「ん?」
笛が舞台に落ちオブビリオンが拾い上げる、すると一瞬気がそれたのか緑谷達に対する力の加わりが少し弱まる。
「うぉぉぉっ!!」
「待て緑谷少年!この手のヴィランに迂闊に飛び出すな!」
それをチャンスとみて緑谷が脚に嫌な音を立てながら飛び出す、オールマイトが止めようとしたが無理に体を酷使したせいか血を吐き出しながら膝を着いてしまう、緑谷はオブビリオンの目の前まで飛び出したが相手が僅かに仰け反り拳は届かず空振る。
「わかりやすい動きだ、勢いはあっても届きは……おっとしてやられたか。」
「今は…コレで十分だ!」
だがその掌にはオブビリオンからかすめとった笛が握られていた
「雨宮君─!!」
緑谷は雨宮に笛を投げ渡そうとしたが。
「さてそろそろ潮時だな…さらばだ、次は楽園で会おう。最も君たちは覚えてないだろけどね」
直前で緑谷とオールマイトは弾かれたように吹き飛ばされる。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁっ??!!」」
「緑谷!オールマイト!」
2人が落ちる、俺は首から下は完全に飲み込まれ、落ちていく二人の姿を見ながら球体に飲み込まれ意識が途切れた。
貴方は忘れたいことはありますか?
-
ある
-
ない
-
(│)〚知らん〛