シュゴォォォォォォッ!!
両腕からのジェット噴射により加速しながらミサイルのように一直線に向かって飛ぶ、途中妨害があるのかと思っていたが特に何も無く天球儀との距離を詰めていく。
〚もうそろそろ天球儀に着きますよ!、衝撃に備えてください!〛
「でもどうやって止まるの?!」
〚ご安心を!、方法はありますのでしっかり掴まって歯を食いしばってください!〛
「わかった!」
緑谷はしっかりと背中にしがみつくのを確認したボンドルドは身体を縦に半回転させる
(身体を真っ直ぐ伸ばしてなるべく水平に、両腕を頭の上にして…)
〚【
両腕から触手を出して接合させる、そして接合した部分を膜のように広げブレーキ用のパラシュートを作り上げる。
ガクンッ
べギッゴキゴキッ!
「うっ!?」(なんかすんごい嫌な音が聞こえる?!)
〚ぐっ…!〛(ぎゃあああ!?肩がァ!肘がァ!手首がァァァッ!!??)*1
叫びそうになる痛みを感じるがここでパニクっては不味いので必死にこらえるボンドルドと減速の勢いと耳のすぐ近くで嫌な音を聞いて冷や汗を流す緑谷、急速に勢いを失ったボンドルドミサイル(仮)は程なくして天球儀の舞台に舞い戻った
〚到着です、いやはや何とかなりましたね〛
「腕大丈夫?、明らかに鳴っちゃいけない音がしたけど」
〚あぁそれなら─〛ゴキっ
上半身を揺らし関節を戻し懐から緑色に光る液体を取り出し飲み干すと腕から小さくコキコキと音が出る
〚今応急処置したので問題無しです〛
「帰ったオーゼンさんに連絡入れとくね」
〚終わったら接骨院に行くので許して下さい*2、さて肝心の本人の姿が見当たりませんね…〛
舞台を見回すが影も形もない、隠れられる遮蔽物も無いので隠れようもない筈なのにどこに行ったのだろうか?
「下に降りたのかな?」
〚だとするならこんな無防備に置いておくはずは無い筈です、でもいないのならいないで好都合です。〛
ボンドルドは頭上に浮かぶ天球儀を見上げる
(そういえばじっくり見るのは初めてだな、アイツはこれを天球儀と呼んでいたけど言うほど天球儀じゃ無いな星座も無いしなんか変な光る輪っかが2つも付いてるし、どちらかと言うとブラックホールのそれだな。まぁ見かけは良いとしてどうしたもんか…。)
この球体が今回の事件を引き起こした元凶なら速やかに停止させるのだがSF全開のこの手の機械の操作は当然わからない*3
「やっぱり何も無いね、とするとあの黒いのを何とかするべきなのかなぁ」
〚触らない方がいいですよ、私みたいに取り込まれて今度こそ詰みになります〛
「うーん…オールマイトはこんな時どうするんだろう?」
〚殴る風圧で吹き飛ばすとか〛
「それ僕がやったら腕がもげそう、雨宮くんの
〚…ギリギリ届かない距離ですね、連結させれば当てるのは簡単ですがその後どうやってここから脱出するかですね〛
破壊する選択肢もあるにはあるのだが果たして破壊して世界が元に戻る保証も無いしこんな雲に近い高さでやろうもんなら瓦礫と共に落下して終わりである
二人でどうするべきか見上げながらあーだこーだ言っていると
「これは驚いた」
「わっ?!」
〚おや〛
何処から現れたのかオブビリオンが少し離れたところに立っていた
「一体どうやって記憶を…というかどうやってここまで来た、ここはゆうに地上から数百メートルある所だ、簡単に来れる場所では無いのだが」
オブビリオンはジッと僕らを見つめる、その視線には警戒の色が強く出ていた。1人は天球儀に取り込んで行動不能にそして僕は記憶を改竄し楽園に送る下準備を施した。
にもかかわらず今こうして目の前に立っている、自分の個性が効かなかった(或いは無効化された)事が想定外だったのか声も若干震えていた。
〚逆バンジーとロケットで来ました〛
「……ハッハッハッハッ!、そんな方法でここに来るとは!」
〚一世一代の空に向かってTake off、実に面白い体験でした。〛
君は面白かっただろうけど僕は生きた心地がしなかったよ。
あとなんでそんなにTake offを流暢にしたの?
「ハッハッハッハッ…はぁ…」
オブビリオンは暫く笑った後に大きく息を突く、そして息を整え僕達を見つめて話す
「しぶといな」
その言葉と共に空気が一気に重くなる、僕は冷たくジットリしたモノが全身を覆っていく感覚に襲われ冷や汗を一筋流した。
「天球儀には私の個性を増幅し内包・拡散する機能が備わっている。その中枢に放り込まれた君が無事で済むはずが無いはずだった」
天球儀はその黒い球体の表面(若しくは内側?)に妖しくうねる様な光を帯び始める、なんか生き物みたいで気味が悪い。
〚私は五体満足ですよ〛
「そうだな、本来なら取り込まれた時点で外側に追放する算段だったが君にはそれでも通じなかったのか虚空に拘束するのでやっとだった。」
〚あぁあの真っ暗な空間は矢張りあの天球儀の内部でしたか、アレは実に素晴らしかったですよ、何せ指一本も動かせなかったのですから〛
周りの景色は更に色褪せて行く、目に映るものか全てモノクロになっていくけど僕と雨宮君はそのまま色を保っている
「君の拘束は完璧、オールマイトも緑谷君も全ての人間は個性、ヒーローとヴィランによる争いの記憶は無くし争いの無い楽園への書き換えをするはずだった…、だが私はどうやら君達2人を侮っていたようだ。」
天球儀を囲む輪の光がより強くなり地響きの様な低い音が辺りに響き渡る
僕はオブビリオンを真っ直ぐ見据える
「…貴方は平和の為にやった事かもしれない、でもこんな事はやっちゃいけない、雄英生として…A組として…そして何より【ヒーローとして】貴方を止めて皆を元に戻します!」
〚これが彼の覚悟です、そしてその気持ちは私も同じ。
忘れさせる個性、確かに強力です。ただこの程度で私の、彼らの憧れを奪えると思うな〛
「矢張りこうなるか、争いは無益で何も生まない…だがこちらにも譲れない物はある。私の夢の為に…今一度礎となってもらおう!!」
〚来ます!〛
「わかった!」
2人は並んで構える、それに対してオブビリオンは悠然と立って静かに見据える。
片方は停止した安寧の為に、片方は動き続けるこれからの為に、誰にも知られない短い戦いが始まった。
◇ ◇ ◇
天球儀に揺らめいていた光は幾つか塊になるように複数に纏まっていき一瞬輝くと一拍遅れて光弾が緑谷とボンドルドに向かって降り注ぐ
2人は同時に左右に跳びジグザグに走り回りながら降り注ぐ光弾の雨から逃げまわる。
「うわわわっ?!」
(なんて激しい攻撃だ!、これじゃあ近ずくことかできない。
それにこの攻撃はあの天球儀から出してる、食らったらどうなるか分からないから絶対に避けないと!)
緑谷は自分の真上から降り注ぐ光弾をスレスレに避けながらなんとか活路を見出す為に考えながら走る
〚くっ…!〛
(本人は此処で俺達を仕留める気だ、この制圧力はバカにならない!。
緑谷は基本近接攻撃しか出来ないから逃げ回るのがやっとみたいだ…けどオブビリオン、此処で光弾を使って攻撃するのは何もお前だけの特権じゃない!)
ボンドルドは僅かな光弾の雨の隙間からオブビリオンに狙いを定める
〚【
ズドドドドドドドッ!!!
〚ウェぁぁぁあぶなぁぁぁぁっ??!!〛
明星へ登るを放とうとした瞬間天球儀からとんでもない数の光弾がボンドルドに集中砲火されそれに間一髪気づき素っ頓狂な叫び声をあげながらゴロゴロと転がりながら避けるボンドルド。
「君は私にとって最も邪魔な存在だ、攻撃する隙など与える訳ないだろう」
〚それは─ごもっとも─ですねぇっ!〛
「凄いな雨宮君…僕の倍以上を浴びせられてるのに。」
(僕にに対する攻撃は全部移動の阻害、必要最低限の攻撃で近寄らせないようにしてる、対して雨宮君には全力だ)
〚攻撃が更に激しく…ちょっ…まっ…さっ流石に量が多…!〛
まだ足りないと言うようにさっきより攻撃が激しくなり避けきれないと悟ったボンドルドは両腕の小盾を展開し直撃しそうな光弾を防ぎつつ足を止めないようになんとか走り続けた。
(それだけ厄介なんだろうな…ん?)
光弾を避けつつ観察していた緑谷はオブビリオンから天球儀に向かって伸びる透明な糸のような物があることに気づく。
そして緑谷の頭の中で1つ案が浮かぶ。
「雨宮君!一旦下がって!」
〚わかりました!〛
ボンドルドと緑谷は一旦立て直すため下がる
〚どうしましょうか、近ずく隙も技を使う暇も無いとこちらが先に倒れてしまいますね…。〛
「雨宮君」
緑谷は顔面の画風がオールマイトそっくりに変わり
「僕に良い考えがある」*4
〚わぁ、スッゴイやな予感〛
ニッとした表情に思わず口に出してしまったが緑谷は特に気にせず思いつきを話すとボンドルドは頷いて応える
〚……なるほどつまり一発勝負ですね、タイミングは君に任せます。というか君も気づいてましたか〛
「雨宮君に攻撃が集中してた時結構余裕があったからね、その時に。」
〚なら攻撃を受けた甲斐がありますね〛
「それで作戦の具体的な内容なんだけど…」
◇ ◇ ◇
(……私は何をしているのだろう)
オブビリオンは自分が今している行動に疑問を持つ
(こんな事をせずとも時が来れば強制的に楽園送りに出来るというのに何故態々此処に来させたのだろうか?。争いなど全くの無意味で、無価値で、疲れ果てるだけだと言うのに。)
前まではそう思っていた、でも今はどうだ?。彼らと同じく目の前の敵を叩き潰すためにお互い死力を尽くしている。
(例えあの膜が破られようとも再構成させれば済む話、だがそれを私はしなかった、何故?。)
思い返せば返す程疑問が自分の中から出てくる、何時でも彼等を楽園送りにすることは出来たはずなのにそれを直ぐにしなかったのか。
(まぁ別に考えなくともいいだろう、もうすぐそんな憂いも無くなる、ならばそれについて思案するなどもってのほか、それに。)
「相談は終わったかね?」
彼等も準備が出来たらしい、何をしてくるつもりかはわからないが…問題は無い。
「じゃあさっき話した通りで!」
〚了解です〛(っ
ボムンッ!《/vib》
「むっ?」
ボンドルドは足元に向かって何かを思い切り叩きつけるとそこから濃い煙幕が張られ視界を遮る
〚【
煙を突き破る様に飛び出してきたと同時に伸ばした黒い触手がオブビリオンに絡み付く
「なるほど、こうして私の身動きを封じもう1人で叩くという事か」
〚今です!〛
「でやぁぁぁぁっ!!」
横から緑谷が強襲を仕掛ける、どうやらボンドルドに気を取られてる隙に煙幕に紛れて移動していた様だ。
(この距離なら光弾は撃てない!!)
そしてこの距離は完全に緑谷の距離見てからの回避はまずできない。
「悪くない戦い方だ」
緑谷の振りかぶった右ストレートが届く寸前異変が起きる。
「だけど惜しい、それは【私ひとりだったのなら】有効だったね」
〚「!」〛
緑谷は突然時間が止まったかのように動きがピタリと空中に固定される。
ボンドルドも自身が動けなくなっていることに気がつく。
そして自分たちの周りに灰色のドームの様な丸い膜に閉じ込められてることに
〚こ、これは…〛
「まさかあの時の…!」
「このドームは天球儀の機能の一つで元々は相手の動きを制限する物だ、さっきみたいに私の個性を併合することも出来るが一度しか使えない仕様外のだから無理だがね…だが君達には拘束で十分だろう」
万事休す、【2人は】完全にドームに捕らえられ完全に動きを封じられた。
いつの間にか日は陰りオレンジ色の夕日が3人を照らす、2人の影はオブビリオンに向かって伸びる、それはこれからの2人を暗示してるかのように
「何、恐れる必要はない、日暮れと共に全てを忘れ素晴らしき楽園の日々を迎えられる。」
「ぐ…」
〚……〛
「さて、その為にも先ずは雨宮君。君を排除し無ければならないね…」
〚……〛
ボンドルドは何も答えない、無言な事にオブビリオンは首を傾げたがさして気にせずボンドルドの方へ向く
「さらばだ、異方から来た招かれざる者よ」
白黒の夕日に照らされ自らに伸びて来たボンドルドの影を踏む、逃がさないと言う意思を込めるように。
天球儀が妖しく光り──
ガシッ!!
「は?」
影の中から左手が伸びオブビリオンの足を掴む、オブビリオンは何が起こったのか分からず一瞬フリーズする。
そしてそこからなんと雨宮がニュッと顔を出しそのまま足を掴んだまま上半身をまで出てきて右肘をこちらに向ける
「【
ズキュゥゥゥゥンッッ!!!!
雨宮が放った極光はオブビリオンの頭上へ向かう、外れた様に見えるがオブビリオンは大急ぎで掴んでいる手を振りほどこうとしたが遅かった。
「しまっ─!」
「王手です。」
雨宮はそのまま右腕を横に振るとブチブチと何かが焼き切れる様な音を立てるとオブビリオンは糸が切れた様に仰向けに倒れた。
◇ ◇ ◇
「はぁ…あー何とかなったぁ。」
よっこらしょと影から這い出でる雨宮
「いやーまさか自分の影の中に入れるとは知らんかったわ」
「上手くいったね!見立て通りだよ!」
「いや本当に出久の観察眼には恐れ入ったよ。」
〜ちょっと前〜
「雨宮君、グェイラさん達って影の中に入っていきますよね?」
〚へ?、あ、あぁまぁ確かに前哨基地に戻る時はそうしてますね〛
「それ雨宮君も出来たりしない?」
〚え?〛
出久が言うには俺もグェイラ達のように影の中に入れるんじゃないかと、それで出来るならその中に潜んで奇襲を仕掛けることが出来るとの事。
確かにグェイラ達が日常的に使ってはいるが俺自身やった事は無いしそもそも原作でもそんな事してる描写なんて無かったはず…?
………聞いてみるか
(〚あーもしもし聞こえる?〛)
(【うわ旦那の声で普通に喋られると
(〚死にたい様だな〈^│^〉〛)
(【冗談が過ぎました勘弁して下さい】)
(〚はぁ…そんで聞きたいことがあるんだけど〛)
(【なんスか?】)
(〚グェイラとか
(【えぇそうですけど…それが?】)
(〚あれ私も出来ませんかね?〛)
(【いや、普通に出来ませんよ?アレは俺達がこの世界での個性ってやつの特別な括りにされてるから出来るのであって旦那自体は無理っすよ。
というか前の世界でもそんなファンタジックな事出来なかったんすからそりゃ無理ですよ】)
(〚あっ、やっぱりそうなんだ…じゃあどうしようかな煙に隠れるにしても限界あるしどうしたもんか…〛)
(【お困りの様だな卿よ】)ズイッ
(【なんかこの割り込みするやり取りも慣れてきたっスね】)
(〚実はかくかくしかじか〛)
(【いやそれで通じるのは創作の中であって現実で通じる訳が…】)
(【なるほど我々と同じように影の中に入りたいと】)
(【そうそう、何とかならない?】)
(【キッショなんでわかんだよ】)
(【答えとしては普通に出来るぞ】)
(〚え?〛)
(【は?】)
(【言葉通りだ、ただし潜むだけで我々の様に前哨基地に移動することはまだできないようだがな】)
(〚初めて知ったんだけど、というかそう言うのは早めに教えてくれたらここまで苦労しなかったんだけど?!〛)
(【そうっスよなんでこんな土壇場でなんですかもうちょっとあったでしょう?!】)
(【私もこの念話に入る直前で知ったのだよ、前哨基地の私のデスクにこの能力のメモが置いてあってそこに書いてあったのだが…】)
(【が?】)
(【最後にこんなことが書かれてあってな…】)
〖ps.ご都合主義です。色々考えたんですけど諸々の事情でメンタルブレイクしてしまったので許してクレメンス。〗
(【だ、そうだ。一体誰がこんなメモを残したかわからんがとにかく出来るようだ。】)
(〚………あー、その、なんだとにかく大丈夫って事なんだな、うん。〛)
(【この作品の作者煮詰まったらご都合主義繰り出すクセあるッスね、よくないと思うわ〜】)
(〚メタ過ぎるわ!あとそう言うのは言葉にするな!せっかくそこには触れないようにしたのに意味無いじゃないか!〛)
(【まぁできるもんはできるみたいだしイインジャナインスカネ?】)
(〚えぇ…まぁもうそれでいいか。〛)《ref》念話を始めてからここまでの間かかった時間は約1分半/ref》
〚…うん、何とかできるみたいですね…〛
「よし!そしたら〜」
〜現在〜
「と、言うことだ本当は影かは一気にやるつもりだったけど夕日で影が思いのほか伸びてたから想定よりかは楽だったな、あっもう戻っていいぞ」
【御意】
「そうか…私は負けたのか。」
「最初は俺自身が囮として突進してその隙にってのもあったけど緑谷の案を聞いてなかったらあぶなかったな」
「………。」
オブビリオンは力を抜く様に息をつく、どうやら立ち上がることもできないくらい疲弊してる様だ。
そんな姿を見て緑谷は疑問を投げかける
「オブビリオンさん、貴方はどうしてこんな事を?」
「…私はただ人々から憂いを無くしたかった、ただそれだけの事」
オブビリオンは静かに語る、緑谷と雨宮は彼の独白を黙って聞いた
「私は個性自体を厄介とは思わない、寧ろ人が長年の歳月を経て獲得した贈り物でとすら考えている。」
「だが力というものは何時の時代でも人を狂わせる、例え世の中に数ある様々な力を正しい事に使おうとも必ず憂いを生み出すものは現れる。」《font:608》
《font:608》「私はそんな光景を見るのは耐えられなかった、だからこそ私はそんな憂いを無くす為に研究を続けこの遺産を見つけた」
「貴方の考えは立派だ、でもやり方を間違えた。」
「そうだな…もっと周りに関わっておくべきだったのかもしれないな…」
「…なぁ、そういえばあの天球儀から貴方に伸びてたあの糸のようなものは一体なんだったんだ?」
「………」
「オブビリオン?」
ガクンッ
「うわっ?!」
「おおっと?!」
突如舞台が揺れ尻もちを着く2人
「ゆ、揺れた?!」
「オブビリオン!コレは一体!?」
「…すまないが時間だ」
キラッ
オブビリオンは右手を上げると手の甲から一筋の糸が伸びていた
(嘘だろ?!、1本残っていたのか?!)
「くっ!」
「そうはさせない!」
構える2人に対して掌を向け制止させる
「そう身構えなくても良い、ただ元に戻すだけだ。」
「戻す?」
グニャリ
オブビリオンがそういうと天球儀が不自然に歪む
「これは一体…?!」
「世界はこの日起きた事は全て忘れ回帰する、少し夢うつつになるだろうが…なに心配することは無いそう言うのは直ぐに忘れる」
歪みは更に大きくなり渦をまくようにグニャリ、グニャリと歪んでいく
「天球儀は私が責任をもって破棄する、そうすれば君達は元の日常に戻れるだろう」
「繋がれている貴方はどうなるんですか?」
緑谷が心配そうに聞く、だがオブビリオンは黙って見つめ返す。
どうやら彼は天球儀と共にするようだ。
「そんな…」
「落ち込む必要は無い、既に人であることを捨てた私にとってはとっくに死んだ身だ。それに天球儀を破壊しない限りこの辞退は解決しないし放置すれば必ず憂いの元となる。それにコレは君達が抱く夢とその真っ直ぐな意思に対して敬意を示す行動だ。」
「そしてコレは選別だ、これからの君には必要になるだろう」
オブビリオンはコチラに何かを手渡す、よく見えないがどうやらメモ書きと小瓶の様だ
「私が願った平和への思いを君達に託す、私がねじ曲げてしまった思いは君達が抱いた夢によって正しい方向に向かうだろう。」
「さらばだ、私は足を止めることしか出来なかったが君達ならより良き未来を掴み大いなる憂いに打ち勝つことを願っている」
僕らの視界はその言葉を最後に暗転した
◇ ◇ ◇
「───はっ!」
気が付くと僕達は教室の扉の前に立っていた、雨宮君も僕と同じなのか少しキョロキョロしていた。
「戻って…来たのか?」
「なんか…一瞬だったね」
あそこから一体どうやって移動させたのだろうか、個性じゃないとしたら凄いミステリーだ。
でも何時までも教室の前でウロウロする訳には行かないので扉に手をかけて──
「っ」
(みんな元に戻ったのだろうか、かっちゃんやオールマイト、相澤先生に麗日さんや他のみんなもいるのだろうか。
もし、もし何も変わってなかったら)
「緑谷?、どうした?まさかまたなにかされ─」
「いっ?!いやなんでも?!とにかく…入ろう。」
僕は勢いに任せて扉を開けた、そしてそこには。
「いやぁー!マージで大変だったわ職場体験!」
「俺なんか着いてくので精一杯だったよ…もっと頑張らなきゃな!」
「梅雨ちゃんはどうだった?」
「ケロ、別にこれといって無いわよ。不法侵入しようとした人を事務所の人達と一緒に捕まえたくらいよ」
「サラッと凄いことしてない?!」
「………。」ブツブツブツ…
「どしたの響香ちゃん?顔がコワイデスヨー?」
「へぇあ?!、いやっ、なんでもないよぉ↑↑?!」
「声が裏返っちゃってマスよ?!」
何時もの
見慣れた光景だった。
「あー!、おいみんな!やって来たぞ!」
瀬呂君がこっちを指さして叫ぶとみんなが一斉にこっちを見る
「おぉ緑谷!お前すげーな!大金星じゃん!」
「ニュース見たぜ、怪我とか大丈夫か?」
「ヒーロー殺し相手に勝つとかすげぇじゃん!、でもあのもうひとりのヴィランって誰?」
「雨宮ぁぁっ!!!お前はオイラの心を裏切ったぁぁっ!!!」(血涙)
クラスの皆が集まって来てあれやこれや聞いてくるなか奥からすごい勢いで飯田君が走ってきた。
「緑谷君!!!、君には本当に申し訳ないことをしたぁぁぁっ!!!」
そのままの勢いで見事なスライディング土下座をかます飯田君、凄いなぁ人ってあんなにスムーズに折り畳めるんだー。
じゃなくて
「い、飯田君?!いいって顔上げてよ?!」
「いや!それでも俺は君達を危険に巻き込んでしまった!!危うく命を落としてしまうところだった!!本当にすまない!!!!」
「い、いや僕も危険を承知できたわけだから別にそこまでしなくても─」
「緑谷」ポンッ
僕の方に手を置く雨宮君、なんか何時も見ない真剣な顔してる。
「こうゆうのはちゃんと言わないとダメだ、お前は大体赦す事が殆どだけど時には言わないと駄目だぞ。」
雨宮君はハッキリとそういった、やっぱり雨宮君は何処までも視てるんだな…僕も頑張らないと。
「飯田君、やっぱり顔上げてくれないかな?じゃなきゃ話せないよ」
「緑谷…」
飯田君は顔を上げてくれた、顔が涙で凄いことになってたけど余り見ないようにしよう。
「みんながいるし次からはちゃんと相談してね?」
「……!、そう、だな…うむ!そうだな!」
そう言って立ち上がる飯田君、その顔には辛そうな影はひとつも無かった
「ならば切り替えていかねば!さっきは見苦しい醜態を晒してすまなかった!!さぁみんな!HRの準備をするぞ!!!」
「そうそう、飯田はこうじゃなくちゃな!」
「朝からウジウジしてたのが嘘みたいだな!なぁ轟!」
「俺はいいと言ったんだけどな…」
「いやあんなぶっきらぼうに言われたら誰でもキツいと思うぞ…。」
上鳴君の言葉にキョトン( ' ' )とする轟焦凍、まだまだ道は険しそうだ。
「…良かった、みんな元に戻ってる」
変に暗くなってた雰囲気は完全に無くなり何時もの明るい夢を追いかける雄英高校1年A組のクラスはそこにあった。
(そういえばかっちゃんはまだなのかな?)
ガラッ
クラスの中で1人だけいない幼馴染の姿が見えないのでまだ職場体験なのかな?と思っていたら後ろの扉が空いた
「……置いどけやクソナード俺の前に立つな」
「かっちゃ───!」
久しぶりに聞いた馴染みの声に振り返るとそこには
「ブッフォッ!!」
髪を7対3に綺麗に整えられ
「なぁに笑ってんだこのクソナードがァァァァァァッッッ!!!!!!!!!」
これを皮切りにかっちゃんは一日中いじられたそうな
貴方は忘れたいことはありますか?
-
ある
-
ない
-
(│)〚知らん〛