灰は龍炎に惹かれて   作:ジルバ

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第22話:Ignition

 

「こっちだ」

正体不明の騎士と別れたアーミヤとアナタはフロストリーフの先導に従い、大きな広場へと至った

 

 

「──!」

「撃つな、私だ……援軍を連れてきたぞ」

「メテオリーテさん!ジェシカさん!」

アーミヤさん…!」

「アーミヤ!?まさか本当にあなたが来てくれるなんて…!」

そこに彼女達は隠れ潜んでいた。装備の損耗具合からアナタとアーミヤがここに来るまでに凄絶な逃亡劇を繰り広げていたことが伺える。

そんなサルカズとフェリーンのオペレーターは二人で燃(・)え(・)て(・)い(・)る(・)剣(・)を囲んで暖をとっていた。

 

「…でも、あなたはここに来るべきじゃなったわ……」

「──そんなこと、私にはできませんよ。絶対に」

「……それもそうね。ありがとう、アーミヤ…」

「あの、すみません……あの人はどこに?」

 

“あの人”、十中八九彼女達を助けたというアーミヤが深淵歩き(アビスウォーカー)と呼んだ騎士のことだろう

 

アーミヤは彼の何を知ったのか。興味があるが今の彼女の心境を慮れば、詳細を聞くのは後にしたほうがよさそうだ。

 

「アイツは……訳の分からないことを言い出して、目の前で消えた」

「そうですか……」

「……成程、そういうことね…アーミヤ、アイツからの言伝よ」

「言伝…?」

 

「──“火を辿れ”……ですって」

「火…?」

「コ(・)レ(・)のことよ」

メテオリーテは今まで彼女とジェシカをこの廃都市を包む寒気から守ってきた剣を指し示す

 

「アイツは“篝火”って言ってたわ。不思議なものでね、これに当たったらここに来るまでに負った傷が瞬く間に癒えたの」

「それに……この火を見ていると…心が落ち着くんです。これが無かったら私…まだアレが怖くて……」

 

「火を…辿る……」

アーミヤが剣の前に立つ。

奇妙なことにアーミヤはその言葉の意味を知っている気がした。

 

自分がどうすれば良いのかも

 

アーミヤの手は自然と剣に翳されていた

 

ゴォッ!!

 

弱々しく燃えていた萎びた火が肥大し、アーミヤをを吞み込んだ。

 

「「「アーミヤ(さん)!?」」」

“アーミヤ!”

 

(これ、は…!?)

その瞬間を凄まじい量の記憶の奔流が襲う

 

───私を視たな?

先の見えぬ果てなき深淵、

 

──おじさん、僕たちはタルラ姉さんに救われたんだ。姉さんのおかげで今の僕たちがいるんだ。なのに僕は何も返して上げれてない…!

──物も力も同じだ。使い方によって俺たちにもたらす結果が変わる。お前の言う障害を排除する為の力を俺がイーノを護るために使えば良い……俺はそう教わった

 

木造の家屋の密集した集落

 

──貴方は今…何のために生きているの?

 

私は──あの日々を取り戻したいッ!

 

──私の元に団結するのではありません──同じ理念の下に団結するのです

 

冷たい風の吹く広大な雪原

 

めくられる本のページのように、彼女の目に映る混濁する記憶の景色が変わっていく。だが、そこに居るはずの人の姿は見当たらず、その代わりに声がこだまするだけだ。

 

しかし、

 

──アリーナとお前にもいつかチェンに会わせてやる

 

──感染者となった者たちは人として持っていた権利と未来を奪われ、居場所を失い、差別や迫害を受ける──私はこんな世界を変えたい……。その第一歩としてまずはこの腐ったウルサスに挑む…!

 

──まだ信じられないかもだけど、生きる理由って重い責任や重圧を伴うものだけじゃないのよ?

 

レユニオンの暴君、タルラと見覚えのないエラフィアの女性だけは記憶にて鮮明に根付いていた

 

「君は今までに多くの感染者の心に火を着け、団結させ、ウルサスに抗してきたのだ。そのことを語れば遊撃隊も耳を貸さないなんてことはないだろう。……信じているぞ、“リーダー”」

 

──あぁ、その信頼に応えてみせるよ

 

アーミヤは困惑した。この記憶の中にいるタルラと、チェルノボーグで接敵したあの冷徹なレユニオンのリーダーがとても同一人物とは思えなかったからだ。

 

「……もう、殺させはしない……奪わせもしない…ッ!」

 

──アッシュ、お前(貴方)は独りじゃない。私たちがいる

──灰の方、貴方寄る辺がありますように

 

 

「絶対に守り切ってやるッ!!」

 

絶えず変容し続けていた光景が途切れ、世界が暗がりに包まれた。

 

(ここは…!?)

血の如き赤き花と無数の剣や槍の生えた灰の大地。そこを囲むように存在するまるでゴミのように積みあがった建造物からなる巨大な山。

 

そして尋常ならざる空に穿たれた巨大な孔。

 

今まで見た景色のいづれとも違う、異質な場所だった。

 

(こんな場所はテラには……あの人は!)

 

その中心、弱々しく燃える篝火の傍にてアーミヤの見覚えのある人影が座っていた。

 

「アビスウォーカーさん……貴方は一体…」

篝火を眺める騎士は何も返さない。ただ、どこか疲弊したような様子で沈黙を貫くのみだった

 

ザッ…!

 

耳が痛くなるほどの静寂を遠方の門に張られた霧の壁の向こうから近付いてくる灰を踏みしめる音が破った。

 

霧が破られる。

 

「……来たか」

記憶の主の登場だ

 

その姿は紛れもなくレユニオンの幹部、アンデッドに違いなかった

 

 

記憶の主たる彼の姿を認め、アビスウォーカーらしき人物が立ち上がる

 

アンデッドが右手を天に掲げ、そのてのひらの内にあるモノを握り潰す

 

 

EMBER RESTORED

 

 

 

そして、

 

螺旋の剣と“ゲールの大剣”が引き抜かれ、地を踏む足を蹴った

 

 

一直線に相対する者へと

 

 

まるで引き合う磁石のように、鏡合わせのように──

 

 

激突せんとする二人の騎士の彼我に、小さな歪が生じる。

 

「あれは……きゃっ!?」

アーミヤはそこに吸い込まれ、再び世界が変わる。

 

 

狭隘としたどこかの屋根裏、その床の木材をゆっくりと、染みわたるように炎が静かに燃え広がっていく

そこがどこなのか、それは彼女が知る由の無いこと。

 

その空間にアーミヤはその奥に二人の人物の姿を認めた

 

一人はアーミヤとほぼ同い年くらいの少女。座っている脚立に座っていても尚床に着くほどの真っ白で、綺麗な長髪が目を引く。傍に在る画材が広げられている机と真っ白なキャンバスを見るに。彼女は絵を描くのが好きなのだろうか?

 

──そしてそのうちの一人、

つい先ほどアビスウォーカーと激突しようとしていた筈のアンデッド

 

「…ありがとう、灰の人。これで私は世界を描きます…貴方の名前を、教えてください。新しい画に、その名を付けたいのです」

 

「……名など、無い」

まるで機械音声のような無機質な声であった。

 

「私には、何も無い……ただの、燃え残った灰だ」

淡々と兜から漏らされるその言葉の真意は分からないけれど、彼の心からは膨大な喪失感と諦観、そして迷いの感情が流れ込んでくる……

 

彼の返答を受け、刹那の沈黙を見せる少女、そして──

「──ではこの画には灰(アッシュ)の名を付けます」

「────」

「ずっと寒くて、暗くて、とっても優しい画…きっといつか、誰かの居場所になれるような……その画がお爺ちゃんの居場所になると良いな」

「アッシュ…か」

 

(“アッシュ”…そうか、それがアンデッドの……)

 

「……そうだな…ありがとう。おかげで…路が定まったよ」

彼の声色が少し穏やかな、人間らしいものに変わる。

アーミヤは彼の暗い感情ばかりだった心中が晴れたのを感じた。

今の彼は何か大切なもののために戦おうという意志を宿している

 

アンデット──アッシュは右手の中にある何かを強く握りしめると少女に背を向け、確かな足取りで歩き出す。

 

「──私も頑張るよ」

 

丁度アーミヤの真横を過ぎたところでそう独り言ちると、彼の姿が薄れこの場から跡形もなく消え失せてしまった

 

これが、名も無き灰だった者が“アッシュ”となった原点(オリジン)だ。

 

 

炎が勢いを増し、部屋全体を包み込んでいく……

 

 

「…お疲れ様、ありがとう…ごめんねお爺ちゃん……これからはずっと一緒だよ……」

 

(これが、アビスウォーカーさんの見せたかったもの…でもどうしてレユニオンの幹部の記憶を…?)

 

その疑問に答えるように炎の勢いが止まり、一か所に──アーミヤの右の人差し指に嵌められていた指輪に集い、瞬く間に消えた。

 

──ソレは……そうさな…そう、キーアイテムだ。いずれ、キミたちが対峙する…本来ならばその必要も、機会もなかったイレギュラーに抗する為の…な

 

まさか彼の言っていた“イレギュラー”というのは──

 

 

「──ねぇ、名前も知らない可愛らしい小兎さん」

「……えっ!?」

 

──お願い。どうか、私達の代わりに……灰の人を幸せにしてあげて?

 

 

 

“アーミヤ!アーミヤ!?”

(ドク、ター…?)

 

「アーミヤ大丈夫!?しっかりして!」

「……あ。メテオリーテさん…?」

「ハァ、良かった……貴方に何かあったらって私達心配したのよ」

ご、ごめんなさい。少しぼうっとして……」

「火が貴方に燃え移ったかと思えば火が消えて…そしたら貴方がぼうっとしてそんな恰好のまま微動だにしなくなったのよ?心配しない方が無理があるわ……」

 

「え?……あれ?」

言われたことで改めて見れば今の自分は剣の柄を両手で握り、剣の前に跪いたような姿勢であることに気付く

 

 

「まったく……やはりアイツは信用ならないな……今度会ったらただじゃおかん…!」

“大丈夫か?何か体か意識に異常は?”

「いえ、特には……あ」

崩れていく。火が消え、役目を果たした螺旋の剣が静かに色を失い、消えるようにして崩れていく

 

何故アビスウォーカーはアンデッド──アッシュの記憶を自分に見せたのか、そもそも何故レユニオン幹部の記憶を知っていたのか

 

彼とアッシュはどういう関係なのか

 

──疾く龍門に戻るがいい。さなくば龍門が滅びるぞ

 

……胸騒ぎがする

 

(速く龍門に戻らないと──)

 

「かくれんぼは終わりだよ、ロドスの迷える仔羊ちゃん達~」

「「「……っ!!」」」

年端のいかない少年の声にその場にいる者達は皆凍り付いた。

 

気さくな声だった。しかし、こんな場所で子供がそんなまともな状態でいられるはずが無い

 

声の主は──

 

「メフィスト…!」

 

「信じるか信じないかは君たち次第だけど、僕は君らを殺す気は無いよ。ただ…あんまり君らに時間を割く余裕は僕たちに無いからさ…さっさとここから出てってよ……でないと──」

 

 

「──殺しちゃおうかな?」

 

「……私が出ます。皆さんは撤退の用意を」

「はぁ!?囮になるつもり…!?」

「そんなのダメですアーミヤさん!」

 

「大丈夫です、彼に聞きたいことがあるんです。それが済めばすぐに私も退きます」

「……なら、私が共に行こう。悪いがこれだけは譲れないぞ」

「フロストリーフさん……分かりました」

 

 

 

「……おっ!物分かりが良いねぇ……残りのヤツにも出るように言ってほしいんだけど?」

「……メフィスト…その後ろにあるのは何ですか?」

アーミヤの視線の先にはまたも炎が燃えていた。

……否、炎と呼ぶのもおこがましい程に弱々しく燻る余燼が、数多の屍を真っ黒焦げになって尚も燃やしていたのだ。

 

「え?……あぁこれ?これは…ここにいた連中だよ」

 

アーミヤにそう問われ、下手人の一人であろうメフィストはジェシカの精神を追い込ませたその惨状を今まで忘れていたかのように手をポンと叩き、語りだす。

 

「そもそもここは移動都市チェルノボーグの一区画だったんだけどさぁ、ここにいた連中は僕らの手でチェルノボーグが陥落していく中、自分達の保身の為に移動都市の連結を切り離したんだ。薄情だよねぇ……取り残された子供達もいたってのに……まぁ丁度良かったから良いけどね!こいつらのおかげで僕らは龍門を攻めるための前線基地を手に入れたんだからさぁ」

 

 

「……本当に、彼は……貴方たちはそんな風に思えていましたか──イーノ……貴方も…アンデッドも」

「……アハハ!ウサギちゃんは相変わらずだなぁ。初めて会った時から全然変わってないや…キミさぁ……勝手に全部分かった気になって説教すんなよ」

 

「レユニオン・ムーヴメントは非感染者に虐めに虐められて…心の奥底に溜めこんできた恐怖憎悪憤怒絶望殺意を世界にぶちまけて、非感染者にされたことをやりかえして!気持ち良ーくなりたいだけの精神異常者の集まったテロリストだ!……そう思ってんだろ!?」

 

「想像できないだろうなぁ!レユニオンが感染者の為に戦うヒーローだったことなんて!知らないんだろうなぁ!レユニオンが……タルラ姉さんが雪原で寒さに震えてた僕とサーシャに手を差し伸べて、抱きしめてくれて、家族になってくれた人だったことを!!」

 

リーベリの少年が激昂するにつれ、後ろで燻っていた余燼が徐々に勢いを取り戻す……彼の感情に呼応するように

 

 

「僕はタルラ姉さんやアリーナ先生……おじさんとサーシャ達と一緒に毎日を過ごせるだけで十分だったんだ……それなのに…!あんな訳の分からないヤツのせいでタルラ姉さんは!全てが狂ったんだッ!だから僕たちは──」

 

「──知っています」

アーミヤは感謝していた。言うまでもなく、彼の騎士にだ

 

アビスウォーカーが残したアンデッドの記憶の中に息づいていた人々の軌跡を見ていなければ自分はメフィストの激情に圧倒され、怯んでいただろう。

 

「貴方の言う通り、私は貴方たちのことを道を間違えてしまった人たちだと、そう思ってしまっていた……けれど、つい先ほどですが私はこの目で見ました。貴方の言う通り、レユニオンも私達と同じようにこの残酷な世界に抗っていたのを。タルラが感染者に希望を齎していたことも」

「黙れ黙れ黙れ!!止めろ!それ以上喋るんじゃあないッ!“この目で”、だと…?意味わかんないよ、分かったようなつもりで…!どうせ分かったふりをして油断させようとしてるんだろ!?そうはいくか!」

「そうです。分かったつもりでしかありません……教えてくれませんか?貴方たちのことを」

 

そう、分かったつもりでしかない。感情と記憶を盗み見ただけ

だが、それで完全に把握できた真実もあるのだ

──レユニオンを……タルラを変えたというあの得体のしれぬ黒幕。彼らが立ち向かわんとしているあの黒い蛇を

 

「ガアァァァァッ!!クソがぁ!この“ウルサススラング”ウサギが!!お前なんなんだよ!?今更僕たちのことを……僕たちがどんな目に遭ってきたのか知ろうとしやがって──」

 

カツ―ン……カツ―ン…!

メフィストの怒号が反響する広場、それを打ち消すようにアーミヤ達の背後から固い足音が鳴り響く

 

耳がその音を捉えた瞬間、アーミヤとフロストリーフは気付く、雪が降り始めていたことに

 

「メフィスト」

雪原の悪魔たちの現着だ。

彼らの長にしてレユニオンの幹部が一人──フロストノヴァがその場にいる全ての者達をその鋭き眼で射貫く。

 

「ハァ…ハァ……やっと…お出ましか……遅いよ、スノーデビルの氷姫様。さぁ!こいつらが件の侵入者だよ。さっさとこの“ウルサススラング”共をこの氷像の中身になったヤツらの後を追わせてやってよ!」

 

再び雪原の悪魔たちの頭目が歩き出す。

 

一歩、一歩死が近づいてくる。その感覚がアーミヤ達を襲う。

攻撃の気配は無いが、本能が告げている。彼女に接近を許せば自分達に未来は無いと

迎え撃たんとアーミヤは掌を、フロストリーフは斧槍を構える。

 

既にフロストノヴァは二人の眼前にまで迫っていた

 

しかし……

((身体が動かない…!))

全身が動かない。まるで凍り付いたかのように

 

その絶望的な状況、フロストリーフの心中は計り知れない。

しかし、少なくともアーミヤの体の震えは止まっていた。

感じないのだ。フロストノヴァから殺意も、敵意も

 

冷たい風が二人の頬を撫でる。

 

フロストノヴァはアーミヤとフロストリーフに一瞬の一瞥の後、その間を通り抜けたのだ。

 

フロストノヴァが相対したのはメフィストだった

 

「メフィスト、今の話、どういうことだ…?」

「……は?」

「“訳の分からないヤツ”とは……誰だ?お前は何を知っているのか……タルラを変わってしまった理由を」

それは彼女が……彼女たちがずっと抱き続けた疑念であった。

 

しかし、それは遅すぎた。到底彼らに吐露できる事実ではなかった。

それでも、彼女はたとえどれ程拒まれようとアッシュから知るべきだったのだ。

 

……少なくとも、チェルノボーグを襲撃するよりも前に

 

「…お前も……かよ」

それは遅すぎた。到底彼らに吐露できる事実ではなかった。

それでも、彼女はたとえどれ程拒まれようとアッシュから聞き出すべきだったのだ。

 

……少なくとも、チェルノボーグを襲撃するよりも前までには

 

「何…?」

「お前も今になって訊くのかよって言ったんだよ!!……おじさん、ずっと信じてたんだよ?キミとキミのお義父サンのことをさ。きっとタルラ姉さんの様子がおかしいことに気づいて、そのやり方に違和感を抱いて、必ず行動を起こしてくれるはずだってね……なのにお前たちは黙ってアイツの傍に侍って命令に従う駒のままだった…あぁ…それともそうなってることにすら気づけてなかったのかなぁ?」

 

もう、彼等は決意をしてしまっているのだ。自分達だけで立ち向かおう、と

 

────同胞たちよ、時は来た

 

「何だ…!?」

(この声は……アンデッドさんの…!?)

この場にいない筈の男の言葉が脳内に響く。

 

──決起せよ、制圧せよ、侵攻を阻むモノを蹂躙せよ

「この声……アッシュ!?お前なのか…ッ!?」

 

遂に彼の者より、号令が発せられるのだ

 

──龍門を我らの牙城……終の決戦の地とせよ

 

「来た来た来たァ!この時が!ついにッ!!」

死体の山で燃えていた炎が地を這い、メフィストの足元で蜷局を巻き始める

 

「フロストノヴァ!おじさんに代わって僕が今ここに宣戦しよう!僕は!僕たちは今この瞬間、レユニオンに反逆する!──じゃあね、エレーナ姉さん」

「…!?待て!イーノッ!」

 

 

フロストノヴァの足元から凄まじい速度で氷が走りメフィストへと向かう。

既に目と鼻の先、あと少しで彼を捕らえられる…!

 

──氷に十文字の閃光が走り、爆砕した

 

「■■■■■■───ッ!!」

「何だと…!?」

 

「……斬り足りぬ…もっと…ッ!」

「人としての生を殿の為、不死に呪われし生を世の為……そして此度、火より解き放たれし生は助けを請うた者への恩に報いる為に!!いざ、参るッ!!」

砕け散る氷塊をぶち破り、現れた隻腕の巨剣士と長大な槍を持った騎士がフロストノヴァの行く手に立ちはだかる

 

「悪いけど、ここで彼らと踊っててよ……おじさんが全てにケリをつけるまで…ね」

そう言い終えた焔が完全にメフィストを包み、燃え尽きた後には彼の姿は影も形もなく消えてしまっていた。

 

「イーノ!クソッ!邪魔だ……消えろ!」

フロストノヴァ己のアーツを得物一つで凌がれたことに一瞬の狼狽を見せたがすぐに持ち直し、アーツユニットを振るう

 

すると宙に待っていた氷片達が制止し、その切っ先が二人へと向く。

 

無数の氷の刃が二人の薪の王へと襲い掛かる

「いつかのアッシュ殿との仕合を見ていたが、恐ろしき氷術よ……ぬぅんッ!」

しかし、槍の騎士が一度槍の石突を地に叩き突けば、騎士を中止に衝撃波が起こり氷刃の悉くが木っ端の如く消し飛んだ。

 

「な…こいつら…!?」

「姐さん、そいつらだけじゃねぇ!周りを見ろ!」

ビッグベアの声にハッとし周りを見てみれば、彼の言う通り夥しい数の鎧を着た騎士や、魔術師のような出で立ちの妙な連中が彼女達を包囲しているではないか

 

「こいつらどこから…“頭を下げるんだ”……くっ!?」

 

ドカァン!!

「サヨナラー!?」

咄嗟に従って姿勢を下げると、彼女の丁度頭上に落下してきていた忍び装束の薪の王を巨大な一本の矢が穿った

 

「今のはメテオリーテさんの……ド、ドクター!?どうして出てきたんですか!?」

“私だけじゃない”

「この状況で逃げ隠れするほど薄情じゃないわ!」

「わ、私も……私も一歩も引いたりはしません…!」

 

“メフィストの捨て台詞から、彼等は私達をここに留めるのが目的のようだ……スノーデビルの隊長、ここは一つ共闘といかないだろうか”

「……我らの道は交わらない」

アナタは自分では到底太刀打ちできない強者に臆することなく、正面からその鋭い眼を真っ直ぐ見据える

 

“……君は彼を追いかけたいんだろう?私とアーミヤも一刻も早く龍門に戻りたい。しかし、どちらもこの包囲網を突破しなければ叶いはしない。手間取れば犠牲も出るかもしれない…この窮地を脱した後は互いの道に戻ればいい……これでも、飲めないか?”

 

アナタは事実しか言っていない。だが、説得を成功させるために相手の精神に響く内容にした。

アナタはまだフロストノヴァの人となりをよく知らない。とはいえ先のスノーデビル小隊の隊員からの呼称から察するに人望がある……仲間の死は望まない人物と推測し、説得を試みた。

 

 

案の定、フロストノヴァは犠牲者の一言に耳を僅かにひくつかせ、瞑目と黙考を行った後に、無線に手を添える。

 

『全スノーデビル小隊に告ぐ……我々はこの状況を早急に打破する為にロドスと一時共同戦線を張ることにした。異論がある者もいるだろうが、どうか心を殺してでも従ってほしい……避けられる犠牲は避けたいんだ…!』

 

『おいおいおい、この期に及んで俺たちの中に姐さんの意向に文句言うヤツがいるって思ってたのかよ隊長!』

『アタシたちは一生姐さんについてくって決めたかんね!』

『うむ、右に同じくだ』

『…ハハァン成程。おい、末っ子!こりゃお前試されてんぜ!?』

『……それがアンタの意思なら、俺は従うさ…姐さん』

 

口々に異論などないと返すスノーデビル小隊たち、そんな彼らにフロストノヴァのその鉄面皮が剝がれる。

“やはり、君は仲間想いなんだな”

「……フッ…良いだろう。ロドスの…ドクターだったな。その提案を飲もう」

 

真白の装束を翻し、フロストノヴァが短剣とアーツユニットを構える。

 

「──我らを…雪原の悪魔(スノーデビル)を上手く使って見せるがいい…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────同胞たちよ、時は来た。

 

その刻、龍門の各地から捨て去られたレユニオンの仮面と装束が天を舞う

 

 

決起せよ

「ギャアー!!?」

「な、なんだこのピエロは!?」

──道化のトーマスに侵入されました!

 

制圧せよ

「シャア!血が滾ってきたわ…!往くぞ者共ーッ!!」

「こ、コイツら一体どこから…!?」

 

侵攻を阻むモノを蹂躙せよ

「バカな…何故カジミエーシュの騎士がここに……何故龍門を…!」

「否である!我等は忠誠を誓いし王はヴァンクラッド王ただ一人!ドラングレイグに栄光あれ!!」

 

 

龍門を我らの牙城とせよ

 

 

……これで良かったのだ

 

私は幸福にならなければならない……そう願われたのだから




あとがき

今回の薪の王
「いざ、参るッ!!」
無双の槍聖
右1サンティの槍
左1アーロンの大弓
頭ザインの兜
胴アーロンの鎧
腕王の手甲
足守護騎士の足甲
オリジナルその一
持ってるのは蜻蛉ではなく動く巨像を切った名槍

「……斬り足りぬ…もっと…ッ!」
隻腕の巨剣士
右1呪縛者の特大剣
頭壁守人の兜
胴壁守人の鎧
腕ハベルの手甲
足アガドゥランの下衣
オリジナルその二
巴吹雪の秘伝書マラソンの記憶が蘇る……楽しかったですけどね

「サヨナラー!?」
右1ムラクモ
左1呪術の火
頭影の覆面
胴影の上衣
腕影の手甲
足影の足甲

「シャア!血が滾ってきたわ…!」
右1ロスリック騎士の大剣
左1リンドの盾
頭ロスリック騎士の兜
胴ファーナムの鎧
腕ロスリック騎士の手甲
足ファーナムのブーツ

──道化のトーマスに侵入されました!
右1呪術の火右2ショートソード
左1呪術の火
頭奇術師の帽子
胴奇術師のコート
腕奇術師の手袋
足奇術師のタイツ
み ん な の ト ラ ウ マ







──瞬く間に終わらせよう…!

★★★★★★:フロストノヴァ

術師/中堅術師
⬜︎⬜︎⬜︎
⬛︎⬜︎⬜︎⬜︎
⬜︎⬜︎⬜︎     遠距離
攻撃範囲     
火力 弱化



特性:敵に術ダメージを与える。

素質
雪原の悪魔:攻撃時。対象の術耐性を15無視 凍結状態の敵に対しては30無視
眩き細氷:配置時、味方全員の攻撃力+7%、攻撃速度+3

スキル1:凍獄:次の通常攻撃時、攻撃力が190%上昇し、対象を凍結状態にする

スキル2終の子守唄:攻撃範囲拡大、攻撃力+100%、通常攻撃が遠距離範囲術攻撃となる。退場まで効果持続
⬜︎⬜︎
⬜︎⬜︎⬜︎
⬛︎⬜︎⬜︎⬜︎
⬜︎⬜︎⬜︎ 
⬜︎⬜︎
スキル3:無慈悲なる、冷たき我が故郷よ:攻撃範囲拡大、攻撃力+200%、敵4体を同時に攻撃する、攻撃時、対象に寒冷を付与する


イレギュラーは共通の敵として、本来なら相容れぬ双つの手を取り合わせた。
されど、これはまだ仮初の契りだ



次回、『Firefighting』


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 もしテラの大地に転生者がいて▼ 転生先がウルサスで▼ 原作開始前で▼ ・・・レユニオンを救いたいハピエン厨だったら▼というわけで、ロドス制服を纏ったフロストノヴァが見たすぎて自給自足します。▼二次創作どころか小説書くの初めてだから許して?▼※「にしみやあき」様に挿絵を描いていただきました。タイトルに【挿絵あり】と載っています。ありがてえ!


総合評価:13485/評価:9.17/連載:129話/更新日時:2026年09月18日(金) 18:15 小説情報

黒い仮面のレユニオン構成員=黒い沈黙説(学会追放)(作者:イカ墨リゾット)(原作:アークナイツ)

今日もフィクサー稼業に精を出すローラン君。長年の労働からか、不幸にも黒塗りの源石結晶が手の甲から露出してしまう。必死の弁明をするローラン君に対して、龍門の秩序を司る組織、近衛局が言い渡したローラン君の処遇とは……


総合評価:4940/評価:9.07/連載:30話/更新日時:2024年09月13日(金) 01:18 小説情報


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