ウチの魔王様 作:たくあん
いつも通り、学校からの帰り道。昨日と変わらない風景が広がるだけの道を歩く。今日はいつも入っているバイトも無いし、帰ったら何しようかなぁとぼんやり考えながら歩いていると、視界の端に何かを見つけた。
いつもならそのまま見なかった事にして、家へと急ぐのだけれど。何故だか無性に気になり、振り返ってみる事にした。するとそこには子供が座っていた。
蹲っていて顔は見えないけれど、体型的に恐らく子供だろう。服装が少し独特な気がするけれど、最近の小学生は俺よりもオシャレなのでそこは何とも思わない。小学生で黒コートはどうかと思うけどな。
少し観察している時も身じろぎの一つもしないので、大丈夫かなと心配になり声を掛けることにした。
『は、はらがへった』
と声が返ってきたので、別に死んでる訳では無いと一安心した。が、お腹が空いたのなら親御さんにご飯を作って貰えば良い。そう思って言うと親など居ないと言う答えが返ってきた。ついでに帰る家も無いらしい。
これはヤバそうなのに関わってしまったなと思いつつそのまま放置している訳にも行かないので一旦家で何かを食べさせることにした。
と言う事で家に帰って来たんだけどさて、何を作ろうか。の前に、凄い汚れてたから彼女?にはシャワーを浴びて貰った。魔王と言う設定だからかもしくは家庭環境がアレなのかは分からないけれど、シャワーを知らなかったらしくやり方を教えるのが少し面倒臭かった。何処までを信じれば良いのか分からないけど。その間に何かあったか冷蔵庫を探ってみる。
……そうだ、何にも無いから今日帰りにスーパーへ寄ろうと思ってたんだっけ。中には賞味期限ギリギリのキムチのパックが一つあっただけだった。
「冷凍庫に何がある筈、多分」
こう言う時の為に冷凍食品が何かあった筈だと思い、漁ってみると中から冷凍炒飯が出てきた。
「よし、これで良いか」
下手に手作りして腹でも壊されて訴えられたら泣くに泣けないし。そう思いながら、ブーンと言う電子レンジを見ていると、丁度上がってきたらしい自称魔王の姿が反射して見えた。
『水浴びなのに、暑かったぞ?』
「お湯だよ、お湯」
『オユ?』
そんな問答をしている内にチンが終わり、タッパーに詰めた炒飯を取り出した。そして上にキムチを少し乗っけてテーブルに置く。
「ほら、冷める前に食え」
フラフラと匂いに誘われる様に魔王は席に着くと、そのまま勢い良く炒飯をかき込み始めた。
『あ、あ。いたい』
火傷しながらも魔王が炒飯を口へと運ぶ手は止まらない。それ程腹減ってたんだな。
「冷まして食べろよ」
食べ終わるまでスマホでスーパーのチラシでも確認するか。何が安いかなー。
『美味かった』
「お、食べたか」
さほど時間もかからず夢中で平らげてくれた様で何よりだ。……さて、どうするか。施設に連絡か?いや警察の方が良いのか?あ、そしたら俺が警察のお世話になるから……。
色々考えを巡らせながら、まずは本人の意思が大事だなと思い、聞いてみる事にする。
「これからどうしたい?」
『……は』
「は?」
『腹減った』
「え、食べたじゃん」
『腹減った』
どうやらまだ足りないらしく、態々お腹を叩いて魔王様は空腹をアピールしている。そうか、そうですか。
「分かった。でも今ここに飯はもう無い。だから買いに行く」
『わかった』
「一緒に行くか?」
『……いく』
お腹を鳴らしながら、魔王は俺の後ろへと着いてきた。目指すは最寄りのスーパー。魔王にとってはちょっとした冒険かもな。