彼女はキヴォトスを駆ける。   作:アキ・レーシング

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割と久々の投稿ですね…

今回もよろしくねぇ……!


ティーパーティーの忘れ物とミコ

「にしてもティーパーティーねぇ…。何を運ばせようとしてるんだろ…」

 

 

ミコは、ティーパーティーの部室近くに向かってペダルを漕ぎ続けていた。たまに正義実現委員会の子達に「自転車降りてくださーい!」と大声で呼びかけられるが、それは完全に無視している。

正実モブちゃんの涙目が容易に想像出来てしまうが、それを気にしていたら集荷が出来ないと割り切って進んでいく。

 

 

「それにしてもアーレーキャットねぇ…最後に出たのはまだ私が学校に真面目に行ってた頃だっけ…懐かしいわぁ…」

 

 

彼女は自転車に乗りながら先程ステーが言っていた事を呟いてみる。遡る事2年前。当時、かなりヤンチャしていた先輩が乗っていた青いクロスバイクを借りて参戦した。優勝賞品だった白いピストバイクが景品で、それを手に入れるために本気で走った。

 

結果は無事(?)優勝。そこから2年間、メッセンジャーとして働きながら、せっせとカスタムを続けている。

 

 

「さてと……ここか〜。なんともまぁお高く止まった場所……そんでもってメンドくさいもののオンパレードって感じだねぇ…うーん、私には似合わない…」

 

 

しばらく歩いたのち目的地に辿り着くと、自転車を建物の柱に括り付けて、彼女は建物の中に入っていく。

純白の建物を眺めてはそう吐き捨てた。

彼女はいつも道路に出ては、一つのミスが命取りになるかもしれない環境に自ら飛び込んでいる。

 

自分と同じ生徒や、企業に入って真面目に生きている人たち。そんな人たちからすれば彼女たちメッセンジャーは異常だろう。車とすれ違えば「自殺志願でもあるのか!?」やら「邪魔なんだよクソ野郎!」などなど。

 

だが彼女たちはそんな事をお構いなしに走り続ける。理由は単純明快。そうやって走ることが楽しいからだ。

金のためにメッセンジャーをする奴は、荒波に揉まれて、いつか淘汰される。

 

 

「どーも。メッセンジャーでーす! 集荷に来ました〜」

 

「あ! メッセンジャーの方ですね! ささ、急いでいるのでこちらに! ほら急いでください!」

 

 

ドアをノックしてそう声をかける。すると勢いよく扉が開き、とても焦った様子の生徒が中に入れと急かしてくる。

 

なんでこんなに焦ってるんだ…?と考えながら待っていると、その生徒が持ってきたのは如何にも高そうな袋に入れられた茶葉。しかも凄く多い。読者に伝わるように言えば、コス○コとかで買うようなサイズ感に近いだろうか。

 

 

「えーと…茶葉…だよね…こんなにいる?」

 

「はい! これはナギサ様が本来持っていくはずだった茶葉でございます…。ですがナギサ様は間違って昆布茶を持っていってしまいまして…出来るだけ速く、シャーレまで運んで欲しいのです」

 

「りょーかい。それならこれ書いて、少しは代金弾ませてよね〜?」

 

 

こんなにいる? という問いかけに対してはかなり食い気味にそう答えるティーパーティーモブちゃんを見ながら依頼書を渡す。

 

モブちゃんは更々と綺麗な字で依頼書を書き上げると、ミコにそれを手渡す。

 

 

「それじゃ承りました。出来るだけ速く、シャーレまで届けますね〜」

 

「はい! よろしくお願いいたします!」

 

 

依頼書を受け取ったミコは、笑顔でそう話して茶葉をメッセンジャーバッグの中に入れて、部屋の外に出ていく。

ティーパーティーのモブちゃんが心配そうに見ているのも気にせず、自分の自転車を括り付けた場所まで歩いていく。

 

そして鍵を開けるとチェーンを腰あたりに巻いて自転車に跨り漕ぎ始める。しばらく漕いでトリニティから出ると、大きなため息が出た。

 

 

「はぁ……やっぱりトリニティは苦手だな…」

 

 

今回はたまたま温和な人だったから助かったが、あのピリピリ感が常に感じる学校というのも中々ない。

 

そういえば今回の目的地となるシャーレという場所に自分は行ったことがなかった、とペダルを漕ぎながらそう思い出す。

たまに後輩は同期の仲間からその事について話していたりしているが、いざ行こうとした事はなかった。

 

仮にも自分は学校に行っていない身。生徒として扱われるかはよく分からなかったし、行ったとて「……誰?」となるのがオチだと思っていたからだ。

 

だが今回は仕事で行く事になり、内心嬉しい気持ちもあった。どんなもんかな…と気になってはいたし、色んな生徒たちと交流してそこから客が増える可能性も…と考えると…もう楽しいと思っている。

 

 

「にしてもなるべく速く……か」

 

 

その一言は彼女を心配させていた。

彼女のような自転車メッセンジャーのような仕事でちょっと違うものとして、バイク便たるものが存在する。その名の通り、バイクで配達をするのだが、自転車よりも速くため、ある程度は早くたどり着けたりするのだ。

 

これで「バイク便の方が…」と思われるとこちらの営業も困るし、色々と大変なのだ。

 

 

「…アレかな? だいぶ大きいな……」

 

 

トリニティからだいぶ離れていき、車道をすり抜けるように走っていると少しずつではあるが、大きなビルのような建物が見えてくる。スマホのナビゲーションによれば残りももう短く、予想以上に速いペースで来たことに自分自身、驚いていた。

 

 

残りはもう少しだ。




さぁ…遂にミコちゃんがシャーレに! ちゃんと荷物を届けられるのか!

それではまた次回! 気長に待っていてくだせぇ!
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