GATE 自衛隊彼の地にて、モンスターと斯く戦えり   作:国盗りしたいお

1 / 1
第1話 襲撃のリオレウス

20☓☓年 夏

 

その日は、蒸し暑い日であったと記録されている。気温は30度を超え、ヒートアイランドの影響もあって街は灼熱地獄のようになっていた。しかしその日は土曜と言うこともあり、外国人観光客や家族連れなどが暑さに音を上げつつ、買い物やウィンドウショッピングを楽しんでいた。これから惨劇が始まるとも知らずに。

 

午前十一時五十分。

太陽が中天にさしかかり、気温が最高点に達しようとした頃、東京の中央たる銀座に突如、巨大な門が現れた。高層ビル等がひしめく銀座には不似合いな中世的なデザインの門に人々が困惑していると、門がゆっくりと開いた。そして溢れ出してきたのは、中世ヨーロッパ風の武装をした騎士と歩兵。そして…現実には存在せずファンタジーの中の住民であったオーク、トロル、ワイバーン、そして恐竜のような生物。あまりに予想外すぎる事態に、人々は最初は恐怖したが、映画の撮影か何かかと誰かが言ったのを境に、人々は安堵し場の緊張は解けた。しかしその安堵は、一人の女性がワイバーンに食い千切られたのをキッカケに呆気なく瓦解する。ワイバーンの攻撃を合図とするかのように、異世界の軍勢は攻撃を仕掛けてきた。あるものは食われ、あるものは刺し殺され、あるものは巨大な拳に押しつぶされた。悲鳴、怒号、断末魔があちこちで上がり、ショッピングで賑わっていた銀座は一瞬で地獄と化した。

 

 

 

 

伊丹耀司は目の前の事態に唖然としていた。自他ともに認めるオタク自衛官である彼はこの日、待ちに待った同人誌即売会に向かっていた。しかし、そこで待っていたものは同人誌ではなく異世界の軍による一方的な殺戮。空はワイバーンが我が物顔で飛行し、陸では騎士やトロル、そしてパラサウロロフスのようなものが暴れまわっていた。そんな事態に面を食らいつつ、自衛官として避難誘導をしようと外に出ると、一人の歩兵が短剣で警察官に襲いかかっていた。伊丹は咄嗟にその歩兵を投げ飛ばすと、その首を歩兵が落とした短剣で掻っ切る。そして伊丹は、付近の警官を集め、避難民を皇居に集めると提案した。突然の事態で指揮系統が混乱しているため、自衛隊の出動もままならない。そのためこれ以上被害を出さないよう、異世界の軍勢と同じレベルの相手に対し作られた城塞に加え、数万人の人を収容できる広さを持つ皇居を選択したのだ。そして伊丹は、行く先々で警官や避難民を集め、皇居に籠城した。最初は皇居警察がうるさかったが、皇居にお住まいの『偉い方』のお言葉で静まった。その後、皇居の近衛と称される第一機動隊、市ヶ谷から来た第四機動隊、そして陸上自衛隊の歩兵部隊や、航空科のヘリ部隊がやってきた。歩兵部隊は機関銃や小銃で騎士やゴブリンを射殺し、ヘリ部隊は巨体を誇るトロルや恐竜擬き、そして航空戦力であるワイバーンを撃ち殺していく。圧倒的文明格差により行われる攻撃に異世界軍は為す術なく、最早勝敗は火を見るより明らかであった。やがて数を減らした異世界軍は、門へと退却を始めていく。敗走して行く異世界軍を見て、この戦いもこれで終わりかと、誰もが安心した。

 

 

 

 

 

しかし、異変はすぐに起きた。門に退却した異世界軍が、急に引き返してきたのだ。また攻撃かと誰もが身構えたが、様子がおかしかった。よく見ると、全員が何かにおびえていたのだ。いったい何に怯えてるのかと考えていると、門の中から異世界軍を巻き込みながら2体の巨大な物体が転がり込んできた。空中から門を監視していたヘリのパイロットは、その2体の姿を見て絶句する。1体は頭以外の部分を黒い毛で包み、特徴的な顎を備えたティラノサウルスのような生物。もう1体は、全身を赤い甲殻で覆っており、翼の膜には黒い炎のような模様がある竜。姿こそは先程殺したワイバーンに似ていたが、この竜のサイズと放つ威圧感はそれの比ではなかった。どちらもサイズは20メートルに匹敵していた。2体の怪物は争っていたのか、全身が傷だらけだった。2体は見慣れぬ場所に最初は困惑していたようだったが、すぐに互いを睨みつけ、戦闘を始めた。まず最初にティラノサウルス擬きが竜に向かい突進した。しかし竜はそれを空中に飛び上がることで回避した。竜が回避したことでティラノサウルス擬きは突進を急停止したが、猛スピードで走っていたためすぐには止まれず、ビルに激突してしまう。それを見た竜はこの機を逃すまいと、ティラノサウルス擬きに火炎弾を撃ち込む。1発着弾しただけでティラノサウルス擬きの全身が見えなくなるほどの爆炎が発生する火炎弾を、更に2発撃ち込む。その攻撃でティラノサウルス擬きの突っ込んだビルは爆炎に包まれた。その圧倒的破壊力に驚愕していると、爆炎の中からティラノサウルス擬きが出てくる。しかしその姿は痛々しいもので、全身の大部分が炭化していて、立っているのもやっとという様子だった。だがそんな姿でも闘争心を失っていないのか、ティラノサウルス擬きは竜に向け咆哮をする。しかしそんな健気な姿にも竜は何も感じないのか、直ぐ様火炎弾を発射し、着弾する。それがトドメとなったようで、ティラノサウルス擬きは力なく地面に倒れ込む。竜の圧倒的な力に驚愕していると、パイロットはあることに気がつく。それは、ティラノサウルス擬きを倒した竜がこちらを見ているのだ。そこで、パイロットは悟る。今度はこちらが狩られる番になったのだと。ティラノサウルス擬きの二の舞いにはならぬと、戦闘ヘリ部隊は攻撃態勢に入り、それに応えるよう、竜は空に舞い上がる。

銀座の空の王者を決める戦いが、始まった。




ハンターでもない現代人にとっては、アプトノスすら脅威になると思い、登場させました。なお、なぜ帝国軍がアプトノスを使役していたかは、後々書いていきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。