見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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人手が足りないの? なら力貸すよ

「えぇっと、このパーツはここに繋いで一度接着剤で仮止め……いや、今これを組み立てると基盤が入らなくなるな。まずは基盤の完成を急いで……」

 

 アスカのAIを元にしたぼくのかんがえたさいきょうのデバイスを作るための材料がようやく揃い、設計書も今の俺にできる最高の出来に仕上げたため作業に取り掛かっていた。

 だがひなちゃんやヤマトのデバイスに並ぶ……いや、それを超えるデバイスを作るとなるとやはり難易度は異常なまでに跳ね上がり一日に0.1%ほどしか進まないのが現状であります…………。

 

「ごめんアスカ。今の俺だとお前を作るのに年単位でかかるかも……」

 

『まぁそれは仕方がないかと。しかし一度超高性能なデバイスを作ったら経験となり、成長補正も相まってデバイスマイスターとしての技術や知識はより深いものになるでしょう。なのでどんなに時間をかけても構わないので超高性能なデバイスを……ホープとか言う失敗作をより見下せる程の最高のボディを私に下さいな♡』

 

「お前ホープのこと嫌いすぎだろ」

 

 確かにあのデバイス俺のことを目の敵にして言いたい放題言ってくるけどさ。ひなちゃんの教育に悪いから更に技術力を高めてからそのAIを弄って俺を崇拝するようにしようと思ってるけど…………いや、それは使い手のひなちゃんが可哀想だ。目の敵にしないようにする程度に留めよ……。

 

 その後、デバイス製作もきりのいいところまで進んだため、ほどほどの所で切り上げてとある場所へと向かっていた。

 とある場所……それは喫茶翠屋。

 

 今までは金髪が好き放題暴れてなんとなく入りづらかったのだが、なのはちゃんと友人になったこと、母親の桃子さんと面識があったと言うことで入りやすくなったため、雑誌にも取り上げられる程のシュークリームとコーヒーを食べに行ってみようと思ったのだ。

 

「周りからの反応も左目でも瞑ってれば大丈夫だろ」

 

『いや、オッドアイについては気にしなくていいと思いますがね。せいぜい桃子さん以外の店員から警戒されるだけで』

 

「それが問題なんじゃバカタレ」

 

 アスカとくだらない会話を繰り広げながら翠屋へ到着。

 ……やべ、ちょいと緊張するな。でも大丈夫……一応なのはちゃんの友達だし、オッドアイも見えないようにした。ニコポナデポも笑わなければ発動しない……完璧だ!!

 

 いざ……!!

 

「いらっしゃいませー! ……あ! れお君だ!!」

 

「……え、ひなちゃん?」

 

 覚悟を決めて喫茶店のドアを開けると、子供用に作られた翠屋の制服を着込んだひなちゃんが出迎えてくれた。

 ……え、どゆこと?

 

 

 ◇

 

 

「……従業員が揃いも揃ってお休みねぇ…………」

 

 その後ひなちゃんと同じ翠屋の制服を着込んだヤマトとなのはちゃんに事情を聞いてみると、翠屋の従業員の人達が揃いも揃って風邪で休んでしまったのだと言う。

 

「お兄ちゃんとお姉ちゃんも外せない用事が会っていないから代わりにわたしが手伝ってたの」

 

「ひなもママと翠屋に来たけど、忙しそうだったからお手伝いしてるの!」

 

「オレも早めの昼ごはん食べに来たんだけど、大変そうだから手伝いを申し出たんだ。普段桃子さんや士郎さんにはお世話になってるし」

 

「三人とも偉いねぇ……」

 

 ただ5歳の子供を働かせるのって法律的にどうなん? ……いや、誰からもツッコまれてないって事は問題ないんだろうな。大方ちょっと早めの職場体験をしてるって思われてるんだろ。

 ……なら俺が入っても問題ないかな?

 

「なのはちゃん、制服まだ残ってる? 微弱ながら力貸すよ」

 

「え、ホント!? 今日お客さん多くてひなちゃんとヤマトくんが手伝ってくれてても大変だったの!!」

 

 ひなちゃんやヤマトの流れ的に俺も手伝う流れだった上に、桃子さんに恩を売っておけば次の特売で手加減してくれるかもと言う下心を持ちながら手伝いに立候補。

 その後翠屋の厨房で忙しく働いていた桃子さんやなのはちゃんパパの士郎さんに話を通して、俺も翠屋の制服を着込んで手伝いをする事にした。

 

 …………のだが。

 

「なんで女の子用の制服やねん……」

 

「ごめんなさいね。男の子用はヤマト君の来てるのしかなくって……でも似合ってるわよ!!」

 

「うんうん、すっごく可愛いの!!」

 

「れお君とお揃いだ〜! ねぇねぇ、あとで一緒に写真撮ってもらおー?」

 

 周りからは大好評だけどおっさんの女装姿とは誰得なんだよ一体……。しかも今は女顔だし髪長いから鏡見たらなかなかの美幼女になってるのが悔しい。

 ……これ成長しても女顔のまんまなんじゃないの…………?

 

「ぷ、くくく。レオ、お前これから女の子として生きたらどうだ? 違和感マジでないぞ」

 

「ヤマト、オメェ後で屋上な。前回は不覚を取ったが今回こそはお前を叩き潰して俺がオリ主やってやらぁ……」

 

「ちょ、喧嘩はダメなの!!」

 

 なのはちゃんに止められたため素直に引き下がる。心配しなくても喧嘩で制服をボロボロにするわけにもいかないし今はする気はなかったよ。

 だが覚えておけよヤマト、俺の姿を見て笑った事は忘れねぇ……いつか機会があったらお前にも女装させてやるからな?

 

 さて、そんなこんなで始まった翠屋の手伝いだが……

 

 

「ショートケーキとコーヒーお願いします」

 

「ショートケーキとコーヒーですね。かしこまりました〜」

 

 

「お待たせしました、翠屋特製シュークリームでございます。あ、コーヒーのお代わりもお持ちしましょうか?」

 

「ありがと、気が効くねぇ」

 

 

「あ、フォーク落としました? すぐ代わりのものをご用意します。少々お待ちください」

 

「す、すみません……」

 

 

「レオくん凄いの……」

 

「凄く手際がいいな……」

 

「ひな達も負けてられないね。がんばろなのちゃん、ヤマト君!!」

 

 三人が尊敬するような目で俺を見てくるが、こちとら飲食店でバイトしてた事もあるんだ。この程度楽勝よ!!

 それに子供という事で難しい事はしなくてもいいし、ミスしても見た目は子供だからお客さんも笑って許してくれるし、その上頑張ってと応援してくれる。

 子供人生ヌルゲーですわ! うはははは!!

 

「よぉ、なのは! 今日従業員足りないんだってな。婿である俺に連絡がないなんて水臭いぞ!!」

 

「ヒッ、リュウヤくん!?」

 

 だが内心調子に乗っていたのが悪かったのか、突如翠屋のドアが乱暴に開かれると龍帝院がズンズンと入ってくる。

 

「それにひなもいるじゃないか。夫妻で力を合わせて翠屋を盛り上げようぜ!!」

 

「あ……あうぅ……」

 

「なのはもひなも青い顔だけどどうしたんだ……もしやそんなに辛い仕事なのか!? いくらなのはの両親の店だとしても娘をこんなになるまで酷使するなら許せねぇ! 俺が懲らしめてやる……なんだお前?」

 

 士郎さんも今は忙しすぎて動けなさそうだし、ヤマトもお客さんの対応をしているという事で、今回は俺が変な事を言い出した金髪の前に仁王立ちで立ち塞がる。多分俺いま恐ろしい表情してんじゃないかな?

 だが俺の顔を見た金髪は所詮は雑魚とでも思っているのか、傲慢そうな笑みを浮かべてニヤニヤと俺を舐め回すように見る。気持ちわりぃ……

 

「銀髪にオッドアイ……さてはお前踏み台だな? 女装までしてなのは達の気を引こうだなんてやってることが女々しいなぁおい。なのは達は俺の嫁なんだよ邪魔すんじゃねえ」

 

 一発で男であるのに気づいたのは流石と言えるが、随分と見当違いなことで。

 ほらなのはちゃんの方を見てみろよ。怯えた表情でヤマトの背後に隠れてるぞ。……あとひなちゃん、ヤマトより俺の方に懐いてるのは知ってるけど、今俺の後ろに隠れるのは危ないよ?

 

「おら、なんか言ってみろよ踏み台?」

 

「え、なんか言っても良いの? それじゃあ遠慮なく。なのはちゃんの方見てみなよ、あの子明らかに君よりそこの黒髪君に懐いてるだろ? それに俺の後ろに隠れてるひなちゃんだってお前のこと随分と怯えてるじゃんか。それを翠屋のせいにして営業妨害しようだなんて人間性を疑っちゃうね。なのはちゃんがお前を呼ばなかった理由が分かるよ」

 

「……あ?」

 

「あれ、怒ってる? なんで怒ってるんですかぁ? 僕何か言えって言われたから正直に思ったこと言っただけなんですけどぉ? そんなんだからお手伝いとして呼ばれないんだよ。呼ばれなかった時点で踏み台のこの俺にも及ばない負け犬という事を自覚したらどうかな〜」

 

「…………」ピキピキ

 

 まぁ俺もひなちゃんもヤマトも偶然翠屋に来たら困ってたから手伝いを申し出ただけなんですけど……まぁ、それは些細な問題だよな。

 なんか言ってみろと言われたから素直に思った事を言っただけなのに、俺の言葉を聞いて茹蛸のよつに顔を真っ赤にしてピキピキと青筋を浮かべる金髪。

 そんなどうしようもない彼に対し、とっても良い笑顔で中指を立てる。

 

「お前みたいな負け犬は泣きながら帰ってママのお乳でも吸ってな♪」

 

「コロスゥ! 踏み台の分際でオリ主の俺をここまでコケにするなんて万死に値するぅ!! 死ねぇ、アンリミテ「地獄の閻魔の裁きじゃあああああああっ!!」おっごぉおおおおおおおおお!!???!??!?」

 

「あ、れお君の必殺技だー!!」

 

「うわぁ……彼、なかなかエゲツないことするね……」

 

「そうね。……でもリュウヤ君には困ってたしスカッとしちゃった。ね、なのは?」

 

「うん。レオ君一年前もこの間もこれで助けてくれたの」

 

「にしてはやり方あると思うけどな……」

 

 結局怒り狂った金髪が能力を使おうとして来た為、毎度の如く金髪のゴールデンボールにつま先を捩じ込むと、そのまま白目を剥いた金髪を外のゴミ箱に放り投げておいた。

 ある意味正当防衛ではあるが、お手伝い中に暴力沙汰を起こしたのは事実。

 怒られる覚悟がしていたのだが、好き放題暴れ回る金髪には高町夫妻も常連客も手を焼いていたようで、むしろ「良くやった」「スカッとした」と言われた俺であった。

 

 

 ◇

 

 

 金髪による被害はなかったという事で、何事もなく営業を再開した翠屋。

 その後忙しい時間帯となんとか乗り越え、残りは高町夫妻でなんとかなると言う事でお手伝いを終了した。

 

「ふぅ……三人ともありがとうね。お父さんとお母さんのお手伝いしてくれて」

 

「どういたしまして! 忙しかったけど楽しかったね〜」

 

「だね。たまには労働で汗を流すのもいいもんだ」

 

「子供のセリフじゃないな。……桃子さんも士郎さんも一人暮らしで苦労してるオレを助けてくれてるし、こう言う時くらいはな」

 

 着替え終わり喫茶店のテーブルを借りて休んでいると、桃子さんと士郎さんがシュークリームとココアを持って来てくれた。

 

「みんな今日はありがとうね。桃子さんも士郎さんもすっかり助かっちゃったわ」

 

「レオ君は今日シュークリームを食べに来てくれたんだろう? とっておいたから是非とも食べて帰ってくれ」

 

 その後みんなでシュークリームを食べてたが、流石は雑誌に取り上げられる翠屋のシュークリーム。涙が出るほど美味しかった為、いくつかお持ち帰り用で注文してしまった。

 それ以降、翠屋のシュークリームやケーキの虜になった俺はすっかり常連となったのだった。




 〜おまけ〜

「レオ君ちょっといいかな?」

「はい、なんでしょうか士郎さん」

「ずっと左目を閉じてるけど怪我でもしたのかと思ってね。もし良かったら知り合いの腕のいい医者を紹介するよ?」

「えぇ!? れお君目怪我しちゃったの!?」

「いや、目は怪我はしてないんですが、開けられない事情があると言うかなんと言うか……」

「えぇ〜、せっかく綺麗な黄緑色なのに〜」

「ちょ、ひなちゃんシー!」

「黄緑色? レオ君の目の色は紫だけど……」

「あー、レオは龍帝院と同じオッドアイなんですよ。それを本人も気にしてるんです」

「いや、別にそこまで気にしてはないんだけどさ……やっぱりここぶっちぎりで金髪の被害デカイし無用に警戒させるくらいならと……」

「そうだったのか。でもオッドアイだから悪いと言うわけではなく、結局はその人の性格なんだ。だから君が気にする必要はないよ」

「そうですかねぇ……」

「うん、なのは達も気にしてないし目を開けていいよ!」

「そ、それじゃあ……」

「ねぇ、あの子の目見てよ……」

「えぇ!? あの金髪の子と同じじゃん! ヤバ、今日もう帰ろ!!」

「…………やっぱりお手伝い終わるまでは目、閉じておきますね」

「えっと……次の特売のときは神速使うのやめるわね?」
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