見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます! 作:蒼天 極
数日前から始まった人生で二度目の小学校生活。
入学式の自己紹介が良かったのか話しかけてくれる子達が何人かいた上に、こちらからも積極的に対話を行なった事で何人か新しく友人ができた。
そして勉学に関しても流石は私立というべきか勉強に関しては小学一年生にとってはなかなかハードな内容であるが、前世は高校中退とはいえ流石に小学生の内容は分かる。
今世では充実した学校生活が送れる。
「ねぇゆうた君! 掃除当番でしょ!?」
「あぁん、お前がやれよ!! おれはリュウヤ様の友達だぞ! 言いつけても良いのか!!」
「ひぃ!」
「ノアちゃんのせいでアカネちゃんが学校来なくなったじゃない!!」
「だから? わたしリュウヤ君の友達なんだけどぉ?」
「う……」
「おう、どうしたんだノア?」
「リュウヤ〜、この子がわたしをいじめるの〜。やっつけて〜」
「へぇ……女だから殴りはしないけど、これは少し教育が必要かもな。ちょっと来い!!」
「い、いやぁああ!!」
「ひな! リュウヤ様が探してたぞ。一緒に来い!!」
「やー!!」
「リュウヤ様に気に入られるなんて名誉な事なのになんだその態度は!? いいからとっとと「死ねい」おっごぉおおおおおぉおおお!!!??!?!?」
「れ、れおくん……うぇえええええん!!」
「よしよし、もう大丈夫だからね〜……」
……と思っていた時期が僕にもありました。
普段俺やヤマトにボコられてるから目立たないが、金髪も腐っても転生者。俺ら以外ならば能力を使わなくても喧嘩が強く、その上横暴で傲慢な上に先生の言う事も聞かない。
そんな奴がクラスに一人いたらどうなるか?
答えは簡単。金髪に取り入って甘い汁を吸おうと来る奴が現れ、やがて派閥となってしまうのだ。
小学一年生の分際で一丁前に派閥を作るなんて、この世界は若いのに成熟してる子達が多くておっさん嫌になっちゃうよ。年相応のひなちゃんを見習えひなちゃんを!!
「ったく、龍帝院のせいですっかりこの学校も不良校になったな……」
「入学してからまだ一ヶ月しか経ってないのにな。……しかも派閥に目をつけられてるからタチが悪い……」
金髪派閥の連中は、金髪と俺とヤマトが仲が悪いと知るや否や、派閥じゃない連中に俺らを仲間外れにするように強要したり、物を隠したりするようになってしまったのだ。
それによりせっかく出来た友人もすぐにいなくなり、今では俺に話しかけてくれるのはヤマト達くらいなものだ。
あまりに陰湿すぎてマジで笑えねぇ……これなら正々堂々と一人ですずかちゃんを虐めてたアリサちゃんの方がまだマシだよ。
「ヤマト君達だけじゃなくてなのは達も狙われてるからね……」
「ホントよ! せっかくの学校生活がアイツのせいでメチャクチャだわ!!」
「ヤマト君とかなのはちゃんと会えるのは嬉しいけど、最近学校に行くのがちょっとだけ辛くなって来ちゃったよ……」
「ひなもだよぉ……。学校楽しみにしてたけど、これなら入学する前の方が良かったよぉ〜……」
それでも俺達はまだマシな方。
ひなちゃん達四人は金髪に狙われている為、派閥の連中に隙あらば金髪に連れていかれそうになり、その度にヤマトや俺が止める日々。
もうはっきり言おう。ここは楽しい学舎ではなく、悪意に塗れたただの地獄だ。
「……もぉ学校行きたくないなぁ…………ママにお休みしていいか聞いてみようかなぁ……」
………………
「……派閥の連中も金髪も邪魔だな。排除するか」ボソッ
「え、排除? レオ君、今排除って言ったよね……?」
あら、口に出しちゃってた? だとしても小さな声で呟いたはずなのに聞こえたってすずかちゃん地獄耳だねぇ……。
排除という言葉について追求しようとするすずかちゃんは完全無視してヤマト達に向き直る。
「ねぇみんな。悪いけど少しの間学校を休んでてくれないかな? 上手く立ち回って派閥の子達を大人しくさせるからさ?」
「排除する気だな」
「排除する気なの」
「排除する気なのね」
「排除する気なんだね」
「はいじょってなーに?」
「あらら、すずかちゃんが反応しちゃったせいで何をしようとしてるかバレちゃった……。あとひなちゃん、排除って言葉はまだ知らなくていいからね?」
…………先生達もしっかりと対応している上に、職員室の前を通りかかったときに対金髪対策本部が設置されたのは知っている。
これなら近々先生達が金髪と共に派閥をなんとかするだろうし、動くつもりはなかったのだが、ひなちゃんを学校に行きたくないと言わせるほどに追い詰めたのだ。すこーし、お灸を据えてやる必要があるだろう。
◇
その後、みんなを説得して学校を休みたいと親に相談してもらって無事休ませる事に成功したため、早速翌日から行動に移す事にした。
……のだが
「……なんでここにいるんですかねぇ。ヤマト、アリサちゃん?」
「武力行使でなんとかするんだろ? 一人で背負うなんて水臭いぞ」
「そうよ! 平和な学校生活を取り戻したいのはアタシも同じなの。このままリュウヤのやりたい様にさせてたまるもんですか!!」
そう言う二人の目には強い決意の炎がメラメラと宿っていた。
これは俺が何を言っても引く雰囲気じゃないな……。まぁ、ヤマトもアリサちゃんなら仲間に加えても俺の作戦になんの支障もないだろうしいっか。
「今回は殴り合うつもりは微塵もないし、二人がやる事はないよ。それでもついて来るなら止めないけど……」
「武力行使じゃないのか。……まぁ、それでも何かあったときの人員は必要だろ?」
「こっちは覚悟決めて来てるんだから遠慮なく使いなさいよね!」
心強いねぇ。ならお言葉に甘えて予想外の事態に対応する人員として採用させていただきますか。
その後ヤマトとアリサちゃん以外は学校を休んでいる為、二人でアリサちゃんの警護をしてなんとか放課後まで乗り切ると、コッソリと適当な派閥の子を追跡する。
「……後を追いかけてどうするんだ?」
「一人ずつ叩くの?」
「まぁ見てなって……」
派閥の子を追いかける事数分、彼は真っ直ぐ靴箱へ向かい同じ派閥のクラスメイトと合流した。
「あ、やっと来た。おせ〜よ!」
「ごめんごめん。リュウヤの命令聞いてたからさ〜。アイツホントマジでうぜぇ、ちょっと良い顔してたら調子に乗って色々命令してきやがって……!」
「まぁ、いいじゃん。リュウヤの言うこと聞くだけでせんせーとかの言う事聞かなくていいし、文句言って来るやつも黙らせられる……。やりたい放題、虐めたい放題、ホント、リュウヤ様様だな!!」
「アイツら…………!!」
「待てアリサ。レオは武力行使じゃないって言ってただろ? ここは見守ろう」
「そうそう、短気は損気だよアリサちゃん。一旦落ち着いて」
怒りに任せて飛び出そうとするアリサちゃんをヤマトと二人で止めると、悔しそうな顔をしながらも聞き分け良く再び息を潜める。
大丈夫だよ。この後最高にスカッとする展開が待ってるからさ……。
「それにしてもホント、リュウヤってクソだよな! 気に入らない事あったら先生だろうがすぐ殴るし。まぁアレックスを病院送りにしたときは本当にスカッとしたけど! あいつムカついてたんだよな。外国人の癖に偉そうに注意してきて!!」
「リュウヤの性格はクソだけど単純だし、せいぜい邪魔者排除に使ってやろうぜ!! あ、次は担任を殴らせるか?」
「いいねいいねぇ。そうしようぜ!!」
「……ホントに胸糞悪いな。レオ、まだ動かないのか?」
「今から動くよ。でも二人はここで待機、俺がやるわ」
二人は待機させて、予想以上に最悪な考えを持っていた二人の前に立つ。
「ねぇねぇちょっと良いかな〜、ゆうた君。しょうた君?」
「あ、なんだよ?」
「今の聞いてたのか? でもまぁお前リュウヤに嫌われてるし、チクった所で信じてはもらえないよなぁ?」
「それはどうかな〜」
そう言って取り出しますはボイスレコーダー。
だがまだ小学一年生の二人はボイスレコーダーを見てもどう言う機械なのか分かってなさそうなので、二人の今の音声を再生してあげる。
『それにしてもホント、リュウヤってクソだよな! 気に入らない事あったら先生だろうがすぐ殴るし。まぁアレックスを病院送りにしたときは本当にスカッとしたけど! あいつムカついてたんだよな。外国人の癖に偉そうに注意してきて!!』
『リュウヤの性格はクソだけど単純だし、せいぜい邪魔者排除に使ってやろうぜ!! あ、次は担任を殴らせるか?』
『いいねいいねぇ。そうしようぜ!!』
「「な!?」」
「これは会話を録音するものだよ。確かに俺が何を言おうが金髪は信じてくれないかもだけど、証拠ありきでならば信じてくれるよねぇ?」
「そ、それを渡せ!!」
「こっちは二人だ。なんとしてでも奪い取るぞ!!」
そう言って二人は俺に襲いかかって来る。うん、まぁそうなるよね。
だが俺も転生者……言わば金髪と同じ立場なのだ。そんな俺が鍛えていない小学生二人ごときに遅れをとるわけがなく、途中からヤマトとアリサちゃんが加勢してくれた為アッサリ制圧できた。
「ぐっ……さ、三対二なんて卑怯だぞ!!」
「二人がかりでレオを攻撃しようとしてた癖に何言ってんのよ、この卑怯者!!」
「全くだな。それにこれで少しは殴られる側の気持ちも分かったんじゃないか?」
「うるせぇよ!! おい、良いのか! この事をリュウヤにチクったら「この音声を金髪に聞かれたらどうなるだろうねぇ?」ぐっ……」
「お前らはこれから俺の奴隷な。少しでも俺に逆らえばこの音声を金髪に聞かせるから」
そう言いながらしょうた君に俺が調べた範囲で判明している金髪の派閥の子の名前と出席番号が書かれた紙を渡す。
「お前らこれから毎日一人ずつ、この名簿に書かれた人が金髪……龍帝院の悪口言ってたって龍帝院に言えよ」
「……は?」
「な、何言ってんだよ! そんな事できるわけねぇだろ!?」
そりゃあやりたくないよね。これは派閥に対する裏切り行為。もしも嘘の通報をしたのがお前らってバレたら通報され返されるかもしれないし、派閥内で排除される可能性も極めて高い……。
でもさぁ……
「拒否権があると思ってんの? お前らの音声データ俺が持ってるんだけどな〜……」ニチャア
「「ヒィッ……」」
ここで普段笑わない様に動かさない様に意識している表情筋を動かしてニヤリと笑うと、派閥の男子二人は顔を真っ青に染め上げて尻餅をつく。
「お前らのせいですっかり学校生活が楽しくなくなったから、責任とって元に戻して貰うだけだよ。心配しなくても名簿の名前の奴らをぜーんぶ金髪に通報して殴らせたらこのボイスレコーダーあげるから。それじゃあこれから頑張って。……あ、サボったり逃げたら音声データ金髪に渡すんで悪しからず」
そこまで言うとガタガタと震える二人は放置してさっさと撤収。
後は高みの見物を決め込んでいれば、金髪が一日一人ずつ派閥の人間をカタに嵌めるだろう。そしてショウタ君とユウタ君以外が金髪にボコボコにした後に、最後に二人の音声データを金髪に渡せばミッションコンプリート。
金髪も普通に殴り倒せば当分は大人しくなるだろうさ。
「さて、今日は帰ろっか。ヤマト、アリサちゃ……アリサちゃん、なんでヤマトの後ろに隠れてるの?」
「お前が笑った所見たんだよ。……それを差し引いてもさっきのお前はマジで怖かった…………」
「マジで? ……ごめんアリサちゃん。目を瞑る様に言ってたらよかったね」
「う、うん。それは良いんだけど……流石に今のはどうなの? ビンタしてお説教をするでも…………」
「いじめっ子に人権は無い。せいぜい自分らが利用した人間にボコられて自分がしたことを反省すれば良いさ」
その後、ショウタ君とユウタ君はしっかり仕事をしてくれたそうで、一人、また一人と教室から姿を消していった。
そして悪運の強い事に最後までバレずに金髪にチクりきった二人に、ボイスレコーダーを聞いた金髪に襲わせて派閥は完全に壊滅した。
そしてその翌日、何故か金髪は退学となり聖祥大附属小学校に真の平和が訪れたのだった。
リメイク前を読み返すと、金髪は相当タチが悪いキャラなんで、学校で大人しくしてるわけがないなぁって思ったんですよ。
と言うわけで、暴れさせて退学にさせましたw
〜おまけ1〜
「いじめっ子に人権はない……つまりすずかを虐めてたアタシにも人権がない…………? てことはアタシもリュウヤに…………」ガタガタガタガタ
「大丈夫だよアリサちゃん。アリサちゃんはアイツらと違って一人で正々堂々すずかちゃんを虐めてた。虐めてた分はなのはちゃんにビンタされることで報いは受けて、最後はすずかちゃんに謝って許してもらった。アリサちゃんには人権はちゃんとあるよ!!」
「それにお前は俺にとって大切な存在だ。もし龍帝院がちょっかいを出して来るなら俺がしっかり守ってやるから大丈夫だ!」
「大切な……存在……////」
「どうしたんだ? そんなに顔を真っ赤にして……?」
「俺先に帰るな。お幸せに〜」
〜おまけ2〜
数日後……
「う〜ん、それにしてもすっかり学校も平和になったわね〜! これで安心して過ごせるってもんよ!!」
「そうだねぇ! おかげでまた学校が楽しくなったよ!! ……そういえばリュウヤ君の言うこと聞いてた子達がみんな怪我してるけどどうしちゃったのかな?」
「あれは自業自得だよ。あの後親御さんにもかなり怒られたっぽいし、金髪も退学になって後ろ盾がなくなった。それに派閥の人達は好き放題やり過ぎてみんなからかなり嫌われてたから、しばらくは誰からも相手にされないだろうね。ザマァ見ろってんだ」
「でもこのままってわけにもいかないし、ある程度時間が解決したら仲直りする為に動いてやらないとな。…………あと金髪と言えば、どうして龍帝院は急に退学になったんだろうな? この学校は暴力沙汰は子供のすることだからって退学は無かったはずだけど…………」
「ナ、ナンデダロウネ〜……」
「にゃ? すずかちゃん、どうしてそんなにたくさん汗をかいてるの? 暑い?」
「う、ううん! ナンデモナイ!!」
「…………すずかちゃん?」(눈_눈)
「ワ、ワタシナニモシラナイヨ!! ナンデモナイカラ!!」
(お、お姉ちゃんが裏から手を回してもらったなんて絶対に言えないよ〜!!)