見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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恋バナしようZE☆

「レオ、せーので行くわよ」

 

「了解」

 

「せーの……せぇい!!」

 

「おらっしゃぁああ!!」

 

 バシャーンッ!!

 

 恭也さんのお仕置きを受けてからまだ意識が戻らないヤマト。そんな彼を脱がせて腰にタオルを巻いてやると、アリサちゃんと協力して広い湯船の中に投げ入れてやる。

 その後しばらくヤマトが沈んだところからブクブクと泡が発生していたが、そろそろ救助しないと死ぬかと思ったタイミングでヤマトの身体が浮上する。

 

「ぶはぁ! ……ゲホゲホ…………ぜぇ、ぜぇ……殺す気か!?」

 

「イエス」

 

「すずかを泣かせた罪は重いわよ」

 

 ヤマトが意識を取り戻したのを確認した俺達もシャワーで軽く身体の汚れを落としてから湯船に浸かる。

 ふぅ、極楽極楽……広いお風呂って開放感があっていいねぇ。近々近所のスーパー銭湯、チャレンジしてみようかなぁ……。

 

「ふにゃあ……やっぱりお風呂は気持ちいいの…………。あれ、なんでレオ君端っこにいるの?」

 

「お構いなく。俺の事は背景のように扱っておくれ」

 

「なんで目瞑ってるの」

 

「なんでも」

 

 君達が良くてもロリとは言え異性と入るのは普通に恥ずかしいんじゃ。いいから君達は自然体で風呂を堪能してやがるヤマトとイチャついてな。俺の事は背景のように扱ってクレメンス。

 

 ……それにしても薄目でチラリと見たけど、ヤマトのやつ……全裸の女子に囲まれて周りから羨ま死ねって言われそうな状況なのに一切動じてない…………さては一緒に入り慣れてるな?

 

 なんてけしからん……。近いうちに海鳴小に強制転校した金髪を唆してけしかけてやろうかしらん?

 

「……なぁ、レオ。お前なんか恐ろしい事考えなかったか?」

 

「別に〜」

 

 なんで俺の近くにいる人達はこうも鋭い人が多いんだろうなぁ……悪巧みもできやしねぇ……。

 そんな事を考えていると、「それじゃあ先に身体洗うわね」と言う声と共に湯船から出る音が聞こえる。どうやらアリサちゃんが立ったようだ。

 

「アリサちゃん、悪いけどひなちゃんの身体洗ってあげてくれないかな? この子適当に洗っちゃうんだよ」

 

「そう言えばさっきも言ってたわね、いいわよ。ひな〜、こっちおいで〜」

 

「ひ、ひないつもちゃんと洗ってるもん!!」

 

「そう? それじゃあひなから先に洗いなさい」

 

「分かった!」

 

 ひなちゃんの元気な挨拶と共にシャワーを流す音が聞こえる。

 さて、今日はちゃんと一人で身体を洗えるか……見物ですなぁ……。だが一分もしないうちに「洗ったよ!」とひなちゃんの元気な声が聞こえた。

 

「洗い直しね」

 

「ぶー……」

 

 やっぱりね……。

 ひなちゃんには将来立派なレディになってもらいたいからこういう所はもっとちゃんとしてほしいものである。でもだからと言って厳しく叱りつけたら泣いちゃいそうだしなぁ。でもここで心を鬼にしないとひなちゃんの為にならないし…………どうしたものか。

 

「……思えば()()()()こんな感じだったよなぁ…………」

 

「にゃ? レオ君何か言った?」

 

「え、俺なんか言った? ごめん、無意識に何か喋ってたっぽい」

 

 その後、アリサちゃんとひなちゃんが身体を洗い終わり、それに続くかのように今度はなのはちゃんとすずかちゃんが洗いっこを始め、綺麗に身体を洗って戻って来た。

 

「よし、オレらも洗いっ子するか」

 

「気色悪いこと言うんじゃねぇよ。一人で行けや」

 

「なんだよノリ悪いなぁ……」

 

 何が悲しくて中身高校生と中身おっさんが洗いっこをしなければならないんじゃ。精神年齢考えろ。

 無理やりヤマトを洗い場へ送り出してから、ヤマトに聞こえないような声量でアリサちゃん達に気になっていた事を聞いてみることにした。

 

「ねぇねぇ、ぶっちゃけヤマトのどこがいいの?」

 

「い、いきなり何言ってんのよ!!」

 

「ん、どうしたんだアリサ。大きな声出して?」

 

「なんでもない!」

 

 いやだってヤマトは見た目はイケメンの部類に入るんだろうけど、いかんせん鈍い。とことんまでに鈍い。

 そして先ほどのすずかちゃんのクッキーの件のように無自覚に失礼なことを言ったりする。

 というかさっきのド屑ムーブは一発で嫌われるほどの案件だというのに、アリサちゃんたちにはそんな気配は微塵もない。だからちょっと気になったのだ。

 

「君達がヤマトのこと好きなのは知ってるけど、あの鈍感野郎のどこがいいのか気になってさ。恋バナしようZE☆」

 

「ず、随分楽しそうね……まぁいいわ。………………アタシとすずかってさ、アイツに助けてもらった事があるのよね」

 

 アリサちゃんは続ける。かつてアリサちゃんとすずかちゃんは誘拐された事があるのだという。そんな中、王子様のように二人の前に現れ、大人達を薙ぎ倒して助けてくれたのがヤマトだったのだと。

 

「なるほど……普段金髪から守ってくれるのに、そこまでしてくれれば嫌でも惚れるよな……」

 

「……まぁ今のがアタシ達がヤマトを好きになった理由じゃないんだけどね」

 

「あのときのヤマト君は王子様みたいでカッコよかったけどねぇ」

 

「そこじゃないんかい! ……だとするとその後になんかあった感じ?」

 

「そうね。訳あってすずかの秘密を偶然知った「ア、アリサちゃん! レオ君の前だから!!」あ、やば!! ごめんすずか……ついうっかり…………!!」

 

「もぉ!!」

 

 すずかちゃんの言葉にアリサちゃんは青い顔で口を抑える。どうやらこれは言っては行けないことだったらしい。

 

「……今の、聞かなかった事にしておくな」

 

「…………うぅん。ここまで知られちゃったし、私の秘密を知らないのはレオ君とひなちゃんだけだから……お話しできるギリギリまでは教えるよ」

 

 すずかちゃん曰く、なんでも月村家にはとある重大な秘密があるらしく、ヤマトは二人を救出する過程で偶然それを知ってしまったのだと言う。……いや、何があったし?

 そして秘密を知ってしまったヤマトは、その代償に自らが抱えていた重大な秘密を教えたのだと言う。

 

「ごめんだけど秘密については…………」

 

「あぁ、別に全然秘密にしてくれて構わないから。少なくとも俺は人間誰しも秘密を抱えてるものだと思ってるし。事実、俺も秘密を抱えてる身だからさ」

 

「そうしてくれると助かります……」

 

 申し訳なさそうな声で礼を言うすずかちゃん。

 すずかちゃんの秘密……恐らくリリカルなのはの前身、とらいあんぐるハートシリーズの設定なのだろう。

 でも思い出すつもりはないし、知ろうとも思わない。俺も前世の記憶の事とか魔法の事とか内緒にしてるんだから、知らなくていい事はあるのだ。

 

 だがその直後、アリサちゃんとすずかちゃんがニヤニヤ笑ってこちらに詰め寄ってくる。

 ちょ、君達……近い近い! オリ主の前でそれはマズイって!! 羞恥心を持ってくれ頼むから!!

 

「アタシ達は話したし今度はアンタの番よね?」

 

「レオ君がどうやってひなちゃんと知り合ったのか聞いちゃおっかな〜?」

 

「ひなちゃんが木に引っかかって泣いてたのを助けたのが始まりだね。想像以上に懐いてくれてるし、なんだか放って置けなかったからずっと一緒にいたんだけど、今では可愛い妹みたいな存在だね」

 

「あ、なんか分かるわ。あの子なんか心配で放って置けないのよねぇ」

 

「みんなの妹って感じだよねぇ。…………ところで木に引っかかってたって何があったの!?」

 

 そんな事を話しながらひなちゃんの方を向くと、なのはちゃんが止めるのも聞かずにお風呂で泳いでいるひなちゃん。……お風呂で泳いだことは後でちゃんとお話ししないとダメかな?

 厳しく叱りつけるか、優しく諭すかを悩んでいると、アリサちゃんが「あれ、もう終わり?」と呟く。

 

「ちょっと、アタシ達よりも話す時間が短いわよ!」

 

「と言われても、アリサちゃんやすずかちゃんみたいに運命的な出会いはしてないからさぁ……」

 

「じゃあヤマト君とどうやって知り合ったのかも聞いていいかな? ごめんなんだけど、レオ君ってオッドアイだから…………」

 

「確かに、リュウヤのせいで警戒されそうなものよねぇ」

 

 いや、ホントに地味に失礼なこと言うね君達!?

 しかしひなちゃんとの出会いに関して、説明した時間が短いと思ったのもまた事実……いいだろう。今度はしっかりと説明してやろうではないか!!

 

「ある日ひなちゃんと遊ぶ約束をして、約束の場所に向かってるとね……」

 

 

 〜数分後〜

 

「……てな訳でヤマトとアイツの友達だったなのはちゃんと知り合ったってワケ」

 

「リュウヤ君からひなちゃんとなのはちゃんを守ったから、オッドアイなのに警戒されなかったんだね」

 

「というか、なのはとはヤマトと同時に仲良くなったのねぇ。……そう言えばちょっと気になったんだけど、アンタってヤマトの秘密って知ってるの?」

 

「魔法の事でしょ? 知ってる知ってる。なんなら俺も使えるよ」

 

「「えぇ!?」」

 

 そう言って小さなスフィアを指先から発生させると、アリサちゃんとすずかちゃんは驚いたような表情を俺に向ける。

 ククク、驚いてる驚いてる。ここでのカミングアウトは雰囲気もクソもないけど、ヤマトが秘密を明かしてるんだ。ならば俺が教えた所で問題はないだろうよ。

 

「そ、そっか。ひなも魔法使えるんだし、その友達のレオが使えないわけがないんだ……!」

 

「普段魔法のまのじも出さないから分からなかった…………巧妙に隠してたんだね……」

 

「俺は逆にひなちゃんが魔法使えることを知ってたことの方が驚きなんだけど? ちゃんと隠しておくようにって念押ししてたのに」

 

「無駄よ。ひなに隠し事は向いてないわ」

 

 確かにそうだ。どうせ遊んでるときとかちょっとした拍子に魔法使ったか、ついつい口を滑らせてしまったのだろう。

 実際なのはちゃんが転んで膝擦りむいたときに、ひなちゃんが回復魔法使ったせいで魔法の存在がなのはちゃんにバレたくらいだし。

 

 というかアリサちゃんとすずかちゃんは既に魔法を知ってしまっているのか……。

 オリ主め、めちゃくちゃしやがって……これじゃあ原作ブレイク待ったなしだよ。

 

「そう言えばアタシも魔法使ってみたいのよねぇ。……ねぇレオ、アンタどうにかしなさいよ」

 

「いや、無茶言うなよ。パワハラだよそれ?」

 

「そうだよ。ヤマト君にも魔法の才能はなのはちゃんしかないって言われてるでしょ?」

 

「でもヤマトが魔法使ってる所見た事あるけど、すごくカッコよかったじゃない。あんな風にアタシも戦いたいわ!」

 

 …………魔法が使えないやつでも使えるように……ねぇ……。

 う〜ん、カートリッジシステムを応用させればワンチャンいけるかな? いや、そんな無理やりな方法だと身体への普段が尋常じゃないだろうし、負担を限りなく低く出来たら…………アスカロンを作ってる過程で色々と知識とか技術とかも上がって来てるし、ちょっとオリジナルの研究としてやってみるのもありかも知れないな。

 

「ふぅ……次レオ体洗っていいぞ〜」

 

「あ、ヤマト……」

 

 身体を洗い終わり湯船に戻って来たヤマトの元に無言で寄ると、そのまま奴の頬を摘んで千切れるほどの力で思いっきり引っ張る。

 

いへへ(いてて)……なにひやはる(何しやがる)!?」

 

「おい、ヤマト。てめぇペラペラペラペラ喋りすぎなんだよ! もう少し隠せや!! その舌抜いたろか、あぁん!?」

 

「い、いひなりどうひた(いきなりどうした)ほーひっはんは(頬引っ張んな)!!」

 

 俺の預かり知らぬ所で魔法に関して大特価安売りバーゲンセールをやっていたヤマトの頰を千切れるほどの力で引っ張ってやる。

 こいつあの金髪が可愛く見えるほどの問題児じゃねえか。オリ主補正かかってるからってもう少し考えて行動してくれ!!

 

「ったくよぉ、金髪よりも問題児になってどうすんだよ。もう少し隠す努力というものをなぁ……!!」

 

「いつつ、いや龍帝院は端から隠す気ないだろ」

 

「そうだよ。なんならリュウヤ君何もないところから剣出すし、あれも魔法でしょ? ヤマト君やひなちゃんよりも隠す気ないよ」

 

 ……それもそうですな。

 さてヤマトも戻ってきたから、今度は俺が身体を洗う番だ。

 俺とヤマト以外は二人同時に洗ってたとは言え、みんな長い時間湯船に浸かってることになる。これ以上は逆上せるだろうし、ちょっと急いだほうが良さそうだ。




 〜おまけ1〜

「う〜ん……」

「唸ってどうしたのよすずか。早く身体吹かないと風邪引くわよ?」

「うぅん。レオ君も秘密を明かしてくれたし、私の秘密も話すべきかなぁ……って」

「別にいいよ。魔法以外にまだ隠してる秘密あるし」

「そ、そう?」

(……レオ君の秘密って、ヤマト君があの時教えてくれたもう一つの秘密の事かな……?)



 〜おまけ2〜 ※とらハはプレイした事がないため独自解釈あり

 ヤマトが誘拐犯からアリサとすずかを救出した後、月村家にて……

「さて……まずは私の大切な妹を助けてくれてありがとう。ヤマト君」

「いえ、友達が危険な目にあってて助けないわけには行きません」

「そう……でもね。いくら恩人の貴方でも一族の秘密について知ってしまったのは見過ごせない……」

「そんな……お姉ちゃん!!」

「分かって頂戴、夜の一族という存在が世間に知れ渡る訳にはいかないの。……ヤマト君、貴方には二つの選択があるわ。秘密を共有してすずかと生涯連れ添う関係になるか……記憶を消すか」

「…………」

「心配しなくても、記憶を消す場合はすずかが……私達月村家の秘密に関してだけを上手に消すわ。だから夜の一族という事は忘れるけど、すずかと今まで通り友人でいられる。……どっちがいい?」

「…………記憶を消して、先の誘拐を無かったことにしてすずかと接するとしても、すずかには俺の記憶を消したという罪悪感が残る。少なくとも記憶を消されるわけには行きません」

「それじゃあすずかと将来連れ添う関係になると? アリサちゃんは友達として生涯連れ添う関係を選んだけど、異性の貴方はそうはいかない。それはすずかと結婚するって事よ……?」

「いえ、それもしない。秘密を知ったからと、それが結婚の理由になるというのは違うと思います」

「つまりどちらも断ると? ヤマト君、すずかの事を考えてくれてるのは伝わるわ。……でも、必ずどちらかは選ばなければならないの。拒否する事は出来ないわ」

「ならばすずかの……月村家に負けないほどのオレの秘密を公開するというのはどうでしょう? 俺が月村家の秘密を外にバラしたら、この秘密をそちらも流せばいい」

「それは誘拐犯を退治したときに使った不思議な力……魔法の事かしら? 確かにあれなら秘密としては釣り合いが──」

「それだけじゃありません。オレのもう一つの……墓場まで持って行く予定だった秘密……前世の記憶についてもお教えします」

「え、何言ってるのヤマト君……?」

「前世の……記憶ですって……?」

「……あまりに突拍子もない話だけど、嘘……ではないっぽいわね。確かに魔法と前世について……二つの秘密を私達が握るならば、互いに弱みを握り会う関係という事で納得できるわ。……でも分からないわね。どうしてあなたはそこまでするの? 記憶を消しても日常生活において困る事はないのに、どうしてすずかの為にそこまで……」

「決まっているでしょう? それはオレがすずかとアリサの事が(友達として)大好きだからですよ。だからこそオレは彼女の秘密を……あの事件を忘れたくないし、彼女に余計な罪悪感を背負わせたくもない。すずかの為なら……オレは喜んで秘密を差し出しますよ」

「ヤマト……」

「ヤマト君……」


 アリサとすずかがヤマトに惚れた瞬間であった。
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