見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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テメ、この金髪ぅ! アスカロンの餌食にしてやらぁ!!

「…………」

 

 一年生になって早くも半年過ぎた頃、俺は学校を休みディスプレイを睨みながら無心でキーボードを打ちまくっていた。

 長い社畜生活で徹底的に鍛えあげられたタイピングスキルにより、どんどんとディスプレイにプログラムを書いていく。

 

「…………」

 

『あ、あの……マスター……?』

 

「どうしたの? 不具合?」

 

『い、いえ、かれこれ休憩なしで六時間もプログラムを打ち続けています。いくら社畜時代に培われたスキルを存分に発揮してるとはいえ、そろそろ休憩したほうが「不具合じゃないなら喋らないで。せっかく今ゾーンに入ってるんだから」ア、ハイ』

 

 冷たい言い方になっちゃったし後でアスカに謝らないと…………。でも、今集中力が切れたら再びゾーンに入る事はもう出来ないだろうし、お願いだから休ませようとしないでくれ。

 いくら時間はたっぷりあるとはいえ、ここまで来たならばもう一思いに仕上げてしまいたいのだ。

 

「…………」

 

『…………』

 

 よし、最後にエンターキーを打てば……ぐっ!?

 直後、身体から力が抜けて椅子から転げ落ちてしまう。……どうやらゾーンが切れてしまったようだ。

 

「ガハッ…………ハァ、ハァ……」

 

『あ〜言わんこっちゃない……。ゾーンが切れた事により精神的な疲労や脳を酷使し過ぎた反動が出たんでしょう。ったく、無茶をするからそうなるんですよ』

 

「あ"〜、社畜時代のようには行かんもんやねぇ。平和にのんびり暮らしてる弊害だわ……」

 

 ここまで本気で脳を動かしたのは社畜時代以来。久しぶりにゾーンに入っただけでこれとは相当脳が鈍ってるなぁ。

 これは社畜時代のように10時間以上ゾーンでいられ続けるようにリハビリを…………いや、無理。何が悲しくて社畜時代の地獄を再び味合わなければならないんだ。そもそも人間ぶっ倒れるまで脳を酷使するものじゃねぇんだよ。

 

「倒れる直前にギリギリエンターキー押せたからこれで完成な訳だけど…………異常とかおかしな所は? 誤魔化さずに申告してくれ」

 

『了解です。それでは早速全力で粗探しさせていただきますね』

 

 これでもしバグとか不具合とかが報告されたら、今の俺にそれを修復する気力はないし明日になってしまう………………頼むからバグ無しであってくれよ…………。

 

『…………』

 

「…………」

 

『……いいえ、どこにも異常は見られません。また追加したプログラムを一通り実行してみましたが、どれも異常なく実行できました』

 

「ということは……」

 

『完成ですね。お疲れ様でした』

 

「…………!」

 

 一瞬とも永遠かも分からない時間アスカは無言を貫いていたが、やがて静かに……けれど嬉しそうにアスカがそう告げた。

 それを聞いた俺はデスクの近くにある試験管の中から一本の豪華な装飾の杖を取り出す。

 

「やっと…………やっとやっとやっと完成した! 長かった……コイツを作るのに本っ当に長い時間をかけた……!!」

 

『えぇ……本当に長い時間をかけましたね。しかし、それだけの長い歳月をかけた分本当に素晴らしい機体となっています。まさかここまで素晴らしい身体を作ってくださるとは…………。ありがとうございますマスター』

 

「あ……アスカが素直に礼を言った……だと…………? す、すぐに天変地異が起きたときの対策をしないとッ!!」

 

『自律稼働を駆使してこの新たな機体の最初の犠牲者にしてやろうかこのクソマスター……?』

 

 おいやめろ。そんな事したら曰くつきのデバイスって事で誰からも使われなくなるぞ。短気は損気だ、落ち着けステイステイ。

 ……まぁ何はともあれ、アスカと言う神が作った超高性能AIを脳にしたぼくのかんがえたさいきょうのデバイス……“白銀の星杖アスカロン”がついに完成した。

 

 材料集めから始めて、最初に作ったと言う事でなんだかんだ思い入れのあったNロッドをベースに強化改造して機体を作り上げることに一年…………。

 ミゼット婆ちゃんの所へ遊びに行った時に偶然知り合ったカリム・グラシアを始めとした古代ベルカのレアスキル持ちの所へ取材に行って、ミッド式と古代ベルカ式を良いとこ取りした新しいプログラミング言語を一から作り上げてプログラムを組むのに更に半年…………。

 計一年半かけてようやく完成した…………。

 

 今までの苦労を思い出しその努力が報われた事にホロリと涙を溢していると、アスカが抑揚のないながらもどこか恍惚な機械音声を漏らす。

 

『はぁ……♡ 本当に素晴らしい身体です……。ホープに散々未完成品と罵られて来ましたが、ホープはおろかヤマト君のデバイスであるグラディウスよりも高性能なデバイスになったので、ホープを散々見下す事が出来ますね』

 

「お前とホープって本当に仲悪いよな」

 

 ひなちゃんとはかれこれ一年以上一緒にいるのに、今だ俺の事を目の敵にするホープとアスカの相性は最悪。ひなちゃんの教育に悪すぎると諭して以降は声に出して喧嘩をする事は無くなったが、それでも険悪な雰囲気なのだ。

 逆にヤマトのグラディウスというデバイスとアスカの相性は非常に良い。……と言うかグラディウスは性格面においては神の作ったAIの中で一番良いため、流石のアスカもお得意の悪口を言う気にはなれないらしい。

 

「まぁ、デバイスどもの関係はどうでも良いとして……お前はあくまで切り札的な立ち位置で基本的な立ち回りは今まで通り属性デバイスを使った手数の多さを売りにする予定。それにNロッドの代わりになるものも用意する予定だし……ぶっちゃけアスカを使う機会があるとも思えないんだよなぁ……」

 

『いや、使って下さいよ。原作が始まったら何があるか分からないだろうし、最悪オーバーキルで相手を叩き潰せば良いじゃないですか』

 

「オーバーキルねぇ……だとしたら金髪のお仕置き用とか?」

 

『いや、せっかく超高性能に作ったのだから、それだけに使わないでくださいよ……』

 

 と言ってもそれくらいにしか使えるイメージが無いんだよなぁ。強化し過ぎてロストロギア級にしてしまった自覚があるし…………。

 

「〜!」

 

「〜!!」

 

「……おや?」

 

 そんな事を考えていると、外から子供の騒ぎ声が聞こえる。と言ってもふざけて騒いでいるような声ではなく、トラブルがあったのか真剣な問答のようなそんな声が…………。

 

「ま、まさか……!!」

 

 嫌な予感を感じてすぐさま外に出ると、我が家の目の前でひなちゃんが金髪に腕を掴まれ必死に抵抗している様子であった。

 

「放してよ!! ひな、今日はれお君のところに行くの! リュウヤ君とは遊びたく無いよ!!」

 

「はは、何言ってんだよひな。あんな踏み台よりも俺と遊んだ方が楽しいって! ほら新作ゲーム買ったから早く行こうぜ!」

 

「はーなーしーてー! リュウヤ君と一緒は嫌だよ!!」

 

「なんでそんなこと言うんだよ! 例えツンデレだとしても限度があるだろうが!! クソが……来い、言葉遣いについて俺がちゃんと一から教えてやるよ!」

 

「うぇええええん! れおく〜ん!!」

 

 …………金髪の話題を出したのが出現フラグになってしまっか。そしてウチに遊びに来たひなちゃんが見つかってしまったと……はいはい、そう言うことね。

 

「……早速お前の使い所だな」

 

『結局金髪のお仕置き用ですかそうですか…………。ですがひなちゃんを見殺しにするわけにも行きませんもんね。分かりました、では踏み台その1を叩き潰しましょうか』

 

 毎度の如くひなちゃんに夢中になって俺の存在に気がつかない金髪の背後に回ると、毎度の如く金髪の股間目掛けて爪先を蹴り上げる。

 

「等活地獄ッ!!」

 

「おごぉおおおおおお!!??!!?」

 

 今回はひなちゃんに触れやがった為いつもよりも二倍の力で蹴り上げると、金髪は脂汗を流しながら膝をつく。だが意識を保っていたようでピクピクと痙攣しながらもこちらに顔を向けてくる。

 

「ま、またお前か踏み台ぃ……いつもいつも……俺様の股間を蹴りやがって…………。俺様の遺伝子が後世に残らないのは……この世の損失だと言うのに…………」

 

「お前の遺伝子は後世に残るべきじゃ無いと判断したから蹴ってんだよ。……まぁ、今回はこの程度では済まさんけど」

 

 俺の姿を見たひなちゃんが泣きながら俺の背後に隠れた為、一切の躊躇なくギロリと俺を睨みつける金髪にアスカロンを向ける。

 

「死んだらあの邪神によろしくな。ストーミング・スフィアーズ!!」

 

「なっ!? 魔法使うなんて卑怯だぎゃぁああああああああああああ!!」

 

 魔法使うなんて卑怯だって言ってるけどお前、いつも気に食わない事があれば無限の剣製で剣打ちまくってるじゃねえか。お前が言うなとはまさにこの事だよ。

 魔力変換資質風により発生させた竜巻と、風に流されて渦を描く無数のスフィアに襲われた金髪は、スフィアでダメージを受けながら遥か空の向こうへと旅だち…………

 

「トールサンダーッ!!」

 

「あ"ぁあ"あああああぁあッ!?」

 

 トドメに魔力SSSの魔力をふんだんに使った落雷をプレゼントしてやった。

 え、バリアジャケットも着てないやつにそんな攻撃をして殺す気か? はい、殺す気で魔法使いましたが何か? (サイコパス)

 

 まぁ天に召されたであろう金髪はどうでも良い。

 

「ええええええぇん! うわぁああああああん!」

 

「よしよし、もう大丈夫だからね〜。諸悪の根源は死んだからね〜」

 

「びぇええええええんっ!!」

 

「ほらチュッパチャップスあるから泣きや「あー! レオ君がひなちゃん泣かせてるの!!」げ、このタイミングで……」

 

 アスカを待機状態に戻してから泣きじゃくるひなちゃんを慰めていると、なのはちゃんとアリサちゃん、すずかちゃんの仲良し三人娘がこちらに駆け寄る。

 この状況はマズい……あっちから見たら十中八九俺がひなちゃんを泣かせた風に見れるだろ……。

 

「レオ、アンタ何やってるのよ! ひなに謝りなさい!!」

 

「え、いや、泣かしたの俺じゃないんだけど!? 俺は悪くねぇ!!」

 

「加害者はみんなそう言うのよ! 良いから謝れー!」

 

「お、俺は悪くねぇ!! 俺は悪くねぇ!!」(鈴木千尋ボイス)

 

「……何やってんだよお前ら」

 

 その後ヤマトが仲裁に入ってくれたのと泣き止んだひなちゃんがあった事をアリサちゃん達に教えてくれたおかげで、なんとかひなちゃんを虐めたのは俺では無いと信じてもらえた。

 

「ったく、俺がひなちゃんを虐めるなんて天地がひっくり返ってもあり得ないと言うのに……仮にやらかしてしまって泣かせたとしたら命を持って償うつもりだと言うのに…………」

 

「だからごめんって言ってるじゃないの……」

 

「と言うか流石にそれは重すぎるんじゃ……」

 

「にゃはは……」

 

 おいなにわろてんねん。なのはちゃん?

 元を正せば貴様が「あー! レオ君がひなちゃん泣かせてるの!!」って言ったのが誤解の始まりと言うのを忘れてはいなぁよなぁ? またニコポナデポ食らわせてやろうか……。

 

「……まぁいいや。それでみんな揃ってどうしたの?」

 

「ひなが呼んだんだよ〜」

 

「ひなちゃんが?」

 

 詳しく聞くと昨日の雨の中。

 翠屋にお使いに行った帰りに道端で弱った猫を見つけたのだと言う。

 連れて帰って治療したかったらしいが、ひなちゃんの家はパン屋さん。猫を飼える訳がないという事で、こっそり家へと連れ帰り部屋で介抱していたらしいが嘘がつけないためものの数秒で見つかってしまったらしい。

 しかし奇跡的に飼って良いと言われたので、みんなに自慢したくて一人一人声をかけて回っており、俺で最後だったとの事。

 

 なるほど、だからみんなここにいるんだね。おっさん納得。

 …………でも

 

「ひなちゃん、猫も生き物なんだよ? 元気なときならともかく弱ってるときに知らない人が見に来たら怖いはずだよ? それに具合が悪いなら一緒にいてあげなきゃダメでしょ?」

 

「う、ご、ごめんなさい……。でもねでもね、ギュッてしたらもう元気になったんだよ!」

 

 手をパタパタさせてそんなことを言うひなちゃん。

 抱きしめたくらいで元気になる訳がないと思うだろうが、ひなちゃんの事だ。抱きしめながら無意識的に自らの転生特典を使ったのだろう。

 ひなちゃんの転生特典ならばどんなに弱っててもすぐに元気にする事ができるからね。

 

「ね、ね、だから見においでよ!」

 

「うーん、でもみんなでゾロゾロと行ったら猫ちゃんも困っちゃうんじゃ……。俺はまたの機会で……あ、ごめん! 行く、行くからまた泣かないでよ!!」

 

 と言うことでみんなでひなちゃんが拾ったという猫を見にひなちゃんの家へ向かう事になったのだった。




 〜おまけ〜

「ひな〜、帰って来たの〜?」

「う、うん! ママただいま…………」

「……どうして冷や汗流して私から視線を逸らしてるのかしら?」

「な、なんでもないよ。ひななにも隠し事してないからね……?」

「ふ〜ん……それで、本当はなにを隠しているのかな〜?」

「なにも隠してないよ! 猫ちゃんが弱ってたからって家に連れて来てないんだから「なるほど、猫を拾ったのね。お部屋にいるのかしら?」あ……」


 ◇


「ニャー……」

「ねぇパパ、この子どうしようかしら?」

「そうだなぁ……ウチはパン屋だからちょっとなぁ……」

「そんなぁ! お願いパパ、ひなが責任を取って育てるから捨てないであげて!! お外は雨降ってて可哀想だよ!!」

「そう言われてもなぁ……ダメ元でレオ君に飼ってあげられないか聞いてみるかい? パパも一緒にお願いするから……な?」

「でも拾ったのはひなだしそれは無責任だよぉ……」

「だよなぁ、無責任すぎるよなぁ……でも保健所には送れないし外に出すのは論外だし、どうしたものか……」

(……あれ、この猫って…………?)

「……分かったわ。そこまで言うならウチで買いましょうか」

「ほんとママ!?」

「ちょ、羽鳥さ「パパ耳貸して」え? …………そ、そう。なら大丈夫かな?」

「? なにをお話ししてるの〜?」

「ひなには内緒。……飼っても良いけど、命を預かる者としてちゃんとお世話する事。……約束できる?」

「うん!」

「なら今日からこの子もウチの家族ね。お名前つけてあげないとね」

「うん! 良いお名前考えてあげないとね。……あ、そうだ! 明日れお君やなのちゃん達にも見せてあげよ!!」
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