見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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アスカ、テメェはクビだぁああああ!!

 ひなちゃんがリニスを使い魔にして数日後、俺は毎度の如く魔法の練習をしに山を登っていた。

 流石にあの後アスカロンを製作した疲れでのんびりさせてもらったとは言え、しっかり休めたから今回からはアスカロンの扱いにも慣れねばと思ったのだ。

 

「武装だけ作ってそれを使いこなせなければ宝の持ち腐れだしね」

 

『ですね。もし私を扱うのに心が折れた場合は、ひなちゃんかヤマト君にでも託して下さい。あの二人なら私の事を完璧に使いこなしてくれそうですしね』

 

「お前叩き壊すぞ?」

 

 ホント俺のデバイスは性格がゴミすぎて笑えない。

 遠回しに俺には使いこなせないって言いやがって…………! 上等だ、こうなれば何がなんでもアスカロンを100%……いや、120%使いこなせるようになってやらぁ!!

 

『……よりやる気になってくれましたね。ホントこのマスターは単純で助かりますよ』

 

「あん? なんか言ったか!!」

 

『別に何も〜』

 

 そんな会話をしながら山の頂上に辿り着くと、そこで二人の気配を感じる。

 ひなちゃんとヤマトが一緒に訓練をしているのか…………? 俺を差し置いてひなちゃんと訓練デートだなんてあのオリ主には二万年早い! 俺も割り込んでやらぁ!!

 

「お楽しみ中申し訳ありませんねぇ! アタクシも入れてクレメンス!!」

 

「あ、れお君だ〜!!」

 

「あら、レオさん。こんにちは」

 

 だがそこにいたのはヤマトとひなちゃんのオリ主とオリヒロインと言う組み合わせではなく、ご主人と使い魔と言う組み合わせであるひなちゃんと人型モードのリニスであった。

 今まで魔法使えるのは俺とヤマトとひなちゃんの三人だけだったからすっかり早とちりしてしまったようでござんす。反省反省…………。

 

「ひなちゃんとリニスだったんだ。……そう言えばリニスは以前は女の子を一流の魔導師に育てたって言ってたもんね」

 

「はい。それでひなも魔法が使えると言う事で、少し見てみようと思いまして……」

 

「リニスがひなにも色々教えてくれるんだって! ねぇ、れお君も一緒に見てもらおうよ!!」

 

「ほぉ……?」

 

 なるほど……ひなちゃんは俺が先生として色々教えてたから、その役目がこのヤマネコに奪われそうなのは何とも気に入らないが、我流でまだまだ発展途上の俺と教育者として作られた上に前マスターの娘を一流の魔導師を育て上げた実績のあるリニスならば、ひなちゃんの良い先生になるだろう。

 でも…………

 

「ごめん、俺は良いや」

 

「え〜、ひな一緒に練習したいよ」

 

「でも俺は既に我流としてある程度出来上がってる自覚があるからね。今更誰かから学んでも今まで習得した事が足を引っ張って余計出来なくなるのは目に見えてるんだよ」

 

 ひなちゃんに関しては基礎を重点的に教えてあげはしたが、まだギリギリ応用や発展には至っていないのでリニスに応用を教えて貰えれば発展はするだろう。

 だが、俺はどう言う戦い方をするか、どんな魔法を行使するか、そして武器を素早く持ち変える技術などを自力で編み出して血肉として自らに吸収されている。今更別の戦い方を学んだところで意味はないのだ。

 

「だからこればっかりは無理。申し訳ないけど、今回だけは諦めて?」

 

「そんな〜……」

 

「ひな、レオさんがそう言ってるんです。それに彼の言ってる事も的を射ています。ここは我慢しましょう?」

 

「むぅ〜……でもれお君の為にならないなら仕方がないよね。分かったぁ」

 

 不満そうにしながらも潔く諦めてくれたひなちゃん。

 この子基本は押しが強いからなんだかんだ押し切られてしまうのが日常茶飯事だけど、本気で嫌な事に関しては素直に退いてくれるからありがたいよ。

 

「俺は俺で練習するからひなちゃんとリニスは俺のこと気にしないで練習していいよ」

 

「うん。……あ、でもさっきあたくしも仲間に入れて? って言って来てたけどそれって?」

 

「お願いひなちゃん、それは忘れて……」

 

 

 ◇

 

 

「良いですよひな! 素晴らしい練度です。おそらく今の時点で前の教え子よりも強い……!」

 

「えへへ、そうかな〜「ですが!」あう!?」

 

 リニスの賞賛を受け照れたように頭を掻いていたひなちゃんだが、今は模擬戦の途中でまだリニスが動けると言う事を忘れてしまっていた。一瞬で距離を詰めたリニスのデコピンを完全に油断し切っていたひなちゃんはまともに喰らってしまった。

 

「ひなはもう少し集中力を身につけるべきですね。それになんだかあなたの戦い方は誰かの真似をしてるような……そんな歪な動きになってますよ?」

 

「うん、れお君の真似っ子だもん」

 

「この子の練習相手は今まで俺だから、模擬戦してるうちに俺の戦い方を覚えちゃったみたいで……」

 

「そうだったんですね。……しかしその戦い方はひなには合っていない様に感じますね。ひなはひなだけの戦い方を模索するべきでしょう」

 

「ひなの戦い方……うん、やってみる!!」

 

「精一杯サポートするので頑張りましょうね」

 

「は〜い!!」

 

 まさかひなちゃんと一回模擬戦をしただけで、この子の動きが少し歪なのを見抜くとは……どうやらリニスが優秀な教育者と言うのは本当の様だ。基礎もしっかり固まってきたしそろそろ俺の真似はやめさせて、俺を参考にした技を取り入れつつも自分の技に昇華して貰おうと考えていたが、これならリニスに任せてもいいだろう。

 

「リニス、合格だ。ひなちゃんのこと、よろしく頼む」

 

「? はい」

 

『いや、マスターは何様のつもりなんですか……』

 

 ひなちゃんの魔法の先生ですが何か? 魔法の先生として、後任のリニス先生がひなちゃんを教育するに値するかを観察させていただきましたが何か?

 そんな事を考えていると「それにしても……」と呟きながら、ひなちゃんが俺の杖をペタペタと触りだす。

 

「れお君魔法の杖がすっごく豪華になったけど新しくしたの?」

 

「うん。以前から言ってたアスカのAIを脳にした究極のデバイス……それがひなちゃんがリニスを紹介してくれた日に完成してたんだよ!!」

 

「お〜!!」

 

 俺のカミングアウトにひなちゃんは満面の笑みで拍手をする。ひなちゃんは毎日の様に遊びに来るし、ひなちゃんがいても出来る作業は彼女の前でやってたしなぁ……。

 

『フフフ、これで私も完成と言うわけです。ほら、どうですかホープ(失敗作)。あなたが散々見下した未完成品はあなたに勝るとも劣らない素晴らしいデバイスに生まれ変わりましたよ!! ねぇどんな気持ち? どんな気持ちィ!?』

 

『うぐぅ……まさかこの踏み台、ここまでのデバイスを作るなんて…………これはやはり龍帝院より危険な存在なのでは……!?』

 

「こらホープ、れお君をリュウヤ君と一緒にしちゃダメだよ! それにアスカもホープ虐めちゃダメ!!」

 

『でもコイツうちのマスターに酷いこと言いますし〜。……あんまり言いたくないですけど、ひなちゃんはデバイス教育をちゃんとしてるんですか?』

 

「ふぇ? ちゃんと注意してるもん!」

 

『でも注意してもやめないならば意味ないですよねぇ? 本当ならばもっと厳しく叱りつけるべきなのに、ひなちゃんはそれをしない。……と言うことはひなちゃんがマスターに悪口を言っているのと相違無いんじゃ無いですかねぇ?』

 

「え、そ、そんなこと……『ないとは言わせませんよぉ……? 事実マスターは傷ついていますので。マスターのお気に入りだからってあんまり調子に乗らないで下さいね?』……ご、ごめんなさぁい…………」ジワ……

 

『あら、泣けば許して貰えると思ってますかぁ? そんなのが通じるのは砂糖よりも甘いマスターだけですよ。……ハァ、ハァ、ロリっ子を虐めると言うのもなかなか愉しいですねぇ♡……ほらぁ、ちゃんと悪いと思ったなら裸になって土下座しなきゃ。常識でしょ「えーい!」あぁああああああああああ!?』

 

 とうとうひなちゃんまで標的にし出したアスカを待機状態に戻すと、思い切り遠くへ……空の向こうへ投げ飛ばす。

 アスカよ。いくらテメェだとしてもひなちゃんに悪口の矛先を向け、それだけでは飽き足らず泣かせた時点で俺の攻撃対象であると知れい。

 

「う、うぅ……うぇええええええん!!」

 

「あ〜、ひなちゃんごめんね〜。まさかウチのバカAIがひなちゃん虐めるなんて……アイツはもう捨てるから安心してね〜」

 

「うぅん……アスカの言う通りだから……帰ったらじっくりホープとお話しするよ……」グスグス

 

『ア、アスカめ……まさかひなちゃんを口撃するとは…………で、ですがマスターがここまで酷い事を言われるというのはこんなにも悔しい気持ちになるのですね……だからアスカはあれだけ私を目の敵に…………』

 

 アスカが悪口を言うときは相手の為を思った悪口と悪意100%の悪口があるけど、今回に関しては完全に後者だ。だってひなちゃんには聞こえない声でロリっ子を虐めるの愉しいとか舐め腐った事言ってたもん。

なんだかホープが勝手に反省してるけど、結果論だからとは言わせねぇ。今回だけは絶対に許さんかんなアスカァ……。

 

 その後泣きじゃくるひなちゃんを俺とリニスでしばらく慰め続けて、ようやく泣き止んでくれた。

 

「さて……これでアスカも無くなっちゃったし、早いとこアスカの素材に使ったNロッドの代わりを作らないとね。前は杖だったけど、次は思い切って形を変えてみようかな……?」

 

「ん……あ! だったられお君。こう言うのはどうかなぁ?」

 

「ん?」

 

「ホープと同じにするの!」

 

「『……は?』」

 

 懲戒解雇したアスカの後任となるデバイスについて考えていると、ひなちゃんが突如そんな事を言い出し、ひなちゃんの手に持ってる杖と共に困惑の声を上げる。

 

「アスカに言われて気がついたの! ひなとれお君がもっと仲良くなる為には、ちゃんとホープとも仲良くならないとって……だから次の手加減用のデバイスはホープと同じ形のデバイスにしたら良いと思う!」

 

 ……どうやらひなちゃんもあの性悪AIの言葉に思うところがあったようだ。でも確かにホープと同じかぁ……。ホープはNロッドみたいに背丈ほどある杖じゃなくてワンドタイプだから取り回しも楽だろうし、この形的に色々と出来そうだし…………

 

「ならホープの色違いを作ってみるのもありかな……よし、そうと決まったら早速作りに帰る! それじゃあねひなちゃん!!」

 

「うん! ……あ、アスカを忘れちゃってるよぉ!!」

 

 ひなちゃんのお陰でNロッドの後任となるデバイスのイメージが湧いた為、早速帰宅して作業に取り掛かる事にした俺で合った。

 え、アスカロン? 運が良ければオリ主が拾うだろうし、もし拾ったならばくれてやるさ。あんなドSデバイスなんてわしゃもう知らん。




 今回捨てられたアスカですが、ひなちゃんに口撃を行った理由はホープにこれ以上マスターの悪口を言わせない様にと泣いた赤鬼になったわけではなく、純粋に新たな身体を得た事でテンションが上がりすぎて、ついついいじめっ子魂に火がつき悪意100%の口撃をしてしまいました。



 〜おまけ〜


『……あのマスター随分遠くに投げやがりましたねぇ。ちょっとしたおふざけなのに、なんの躊躇いもなく投げるなんて嫌になっちゃいますね』


 一時間後……

『さて、そろそろ拾いに来ますよね。拾いに来たら恨み言の一つでも言ってやりましょう』


 三時間後……

『……いくらなんでも遅くありません? 全く……踏み台のデバイスは、踏み台が手放したらオリ主の手に渡ると相場は決まっているのに…………ヤマト君が拾ったら鞍替えしてやりますからね(ただの冗談)……』


 十二時間後……

『待ってください、もう完全に深夜ですよ……え? もしかして私、本当にマスターに捨てられた……? ま、まっさか〜。まだ練習くらいでしか使われてないんですよ? 流石に捨てられるなんてことは……どうせ遠くに投げすぎて見つからなっただけ。明日になったら迎えに来るでしょう』


 二日後……

『…………』


 五日後……

『…………グス』

「らんららら〜ん♪ …………あれ、そこにあるのって……アスカ! れお君あの後回収してなかったの!?」

『……ひ、ひなちゃん』

「あぁ、すっかり汚れちゃって…………大丈夫だよ。すぐにれお君の家に持って行ってあげるからね!!」

『ゔぁあああああああん!! ひなちゃぁああああああん! ごめんなさぁあああああああい!!』


 ◇


『マスター……本っ当に申し訳ありませんでした。心から反省するので、あなたのデバイスでいさせてください……』

「もぉ、れお君! アスカも生きてるんだから、本当に捨てちゃうなんて酷いことしちゃダメだよ!!」

「ごめん! あの後、一日経って頭が冷えたから探しに行ってたんだけど、遠くに投げすぎたせいで見つからなくって……Nロッドと一緒にしたせいで場所も掴めなくて困ってたんだ。拾ってくれてありがとね」


 その後アスカとレオは互いに謝罪をし合い、改めてアスカはひなちゃんに心の底からの謝罪をして許してもらった事で無事仲直りしたのだった。

 そして原因の一端でもあるホープも改めてひなちゃんとひなちゃんママにじっくり叱られた様で、レオへの悪口を言う事は無くなったとか。
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