見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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とある夜の一騒動

 先ほどの無差別念話の際に一体どこから念話を発信したかどうかは逆探知していたため、走って現場へ急行する。

 …………っ!!

 

「おおぅ。これはこれは……」

 

『なかなかに酷い光景ですねぇ……』

 

 現場から近くなるにつれて舗装されていた道が段々ヒビや抉れた後が目立つようになってきた。幸い民家への被害はすくなそうだけど、こんな芸当は人間や動物には絶対にできない。……バケモノかなんかでもいるのか……!?

 

「ったく、またとんでもない奴が暴れてるな……!!」

 

「そ、その……何が何だかよく分かんないけど、一体なんなの……何が起きてるの……!?」

 

「おっと」

 

 聞き馴染みのある女の子の声に咄嗟に身を隠すとボロボロになった道の向こうからヤマトと彼に手を引かれたフェレットを抱いたなのはちゃんがこちらに走ってきていた。

 ……なのはちゃんは俺が魔導師であること知ってるし、身を隠す必要はなかったような……。と言うかあのフェレット……人間だな。きっと彼が無差別念話を街中にばら撒きやがったのだろう。

 

「君達は魔導師ですか? ならお願い力を貸して……!!」

 

「ふぇえ……な、なのはは魔導師じゃないの!!」

 

「なのははオレやレオ、それにひなと同じで魔法の才能があるからな……。それで、力を貸せってどう言うことだ?」

 

「僕はある探し物の為にここではない世界から来ました。でも……僕だけの力では思いを遂げられないかもしれない。だから……迷惑だとは思ってはいるんですが、資質を持った人に協力して欲しくて……」

 

「ならヤマト君達なら……」

 

「まぁ、あいつくらいなら倒せるが……悪いがまずはなのはの身の安全を優先させてもらう!!」

 

 どうやらヤマトはバケモノ退治よりも先になのはちゃんの身の安全を優先する事にしたようで、隠れている俺に気づかずなのはちゃんの家の方へと向かう。

 だがその直後、ヤマトとなのはちゃんの前に黒い毛玉のようなバケモノが回り込んで退路を塞いでしまった。

 

『グォオオオオオオオッ!!』

 

「ヒッ……!」

 

「チッ、グラディウス、セットアップ!!」

 

『かしこまりました』

 

 直後ヤマトは黒いTシャツに赤の差し色が入った黒いジャケット。そして黒い短パンのバリアジャケット姿に変身する。そして両腰にはそれぞれ鞘とホルスターに収納された刀と銃が一つずつ……オリ主専用の刀と銃がセットになったデバイス、グラディウスだ。

 ヤマトは早速鞘から刀を引き抜くと、居合斬りの要領でバケモノの攻撃を斬り弾く。

 

「なのは、こいつはオレがなんとかする。さっさと家に帰れ!!」

 

「で、でも……ヤマト君!!」

 

「心配すんな。オレはこいつより強い! ハァッ!!」

 

『グゥウ!?』

 

 次は腰のホルスターにささった銃を引き抜いてバケモノに魔力弾を撃ち込んで怯ませ、その隙に刀による一閃。流石、高町道場で御神流とかいう古流武術を学んで、それを自らの戦術に落とし込んでいるだけはある。いつ見ても惚れ惚れする戦いっぷりだ。

 

「バケモノも押されてるしこれはヤマトの勝ちだな。俺らは帰るか」

 

『まぁまぁ。こう言うのは必ず邪魔が入るものなんですよ』

 

「ヒャッハーッ!!」

 

 アスカの発言の直後、なんか世紀末風な掛け声をあげた金色の鎧を着込んだ金髪が未だ逃げずに立ちすくんでしまっていたなのはちゃんの前に降り立つ。

 

「よぉなのは! この俺様が助けに来てやったぜ!!」ニコッ

 

「ヒッ、リュウヤ君!? なんでこんなところに……」

 

『ほら、来たでしょう?』

 

「流石っすアスカ姐さん」

 

 金髪は得意気な顔でバケモノに金色の剣のデバイスを向けるが、すでにバケモノはヤマトとの戦闘で息も絶え絶えなご様子。それを見た金髪は額に青筋を浮かべ始めた。

 

「トドメだ。行くぞグラディウ「なんでお前がここにいんだモブゥ!!」っ! 龍帝院!? ちょ、おま、なんで俺を攻撃するだ……! 敵はあっちだろ!!」

 

「ウルセェ! モブの分際でなに俺様の獲物を横取りしてんだ!! 死ねぇ、無限の剣製(アンリミテッドブレードワークス)ッ!!」

 

「ぐっ!?」

 

 どうやら先に戦っていたオリ主が許せなかった踏み台その1はバケモノがいるにも関わらずヤマトを攻撃し始める。

 ヤマトならば金髪に遅れは取らないがバケモノとの二対一なら話は別。攻撃が止んで持ち直してらしいバケモノと金髪の攻撃を裁き切るので精一杯になってしまう。

 

「やめてよリュウヤ君! ……どうしようこのままじゃヤマト君が…………!!」

 

『これを……これを使ってください!!』

 

「え、これって……?」

 

『あ、あのフェレット、なのはちゃんにデバイスを渡しましたよ。……フン、私より低位のデバイスですね』

 

「黙れナルシスト」

 

 ヤマトの絶対絶命のピンチに焦った様子のなのはちゃんであったが、フェレットが自分の首にかかっていたネックレス……いや、インテリジェントデバイスをなのはちゃんに渡す。

 なるほど……、これが原作でなのはちゃんの相棒になるデバイス…………。

 

「おっと、そろそろヤマトもやられそうだし、俺もフォローの一つでも入れてやるか」

 

『ですね。さぁ、どのデバイスを使いますか? Nワンド? Mブラスター? それともわ・た・し?』

 

「Nワンド、セットアップ!」

 

『無視は酷いですよ』

 

 懐から取り出したアスカよりも一回り小さめな星型のエンブレムを取り出して天に掲げると、その直後銀色のフリルのついたプリキュアのようなドレスに身を包み、先端に星のついた短い杖を装備した形態に変わる。

 

『……なるほど、なのはちゃんやヤマト君の前に姿を現さないのはこの姿に変身するためだったんですね。お友達の近くでこっそり女装するなんてマスターも上級者ですねぇ…………』

 

「ちゃうわい。基本形態だから仕方なくや』

 

 ひなちゃんから杖をお揃いにしたいと言う要望を受けた後、バリアジャケットもお揃いにしたいと言い出したため彼女の要望に完璧に答えて武器も姿もひなちゃんをパクった姿。イミテーションフォームだ。

 

 ま、この姿を見せるのも恥ずかしいし、このままコッソリと力を貸してやるか。

 なのはちゃん達に見つからないようにNワンドをバケモノに向けると、その直後バケモノは銀色の魔力の拘束に絡め取られて動けなくなる。

 

『グォオオ!?』

 

「こ、これって……!?」

 

『グッドイーブニーング。アスカに感謝しなよ、金髪が来たときの為に様子を見に行けって言ったのアイツなんだから。二体同時が無理でも一体ずつなら倒せるよな?』

 

『……あぁ、もちろんだ! 助かる!!』

 

 ヤマトに念話を送ると、アイツは俺に礼を一言言ってからバケモノを無視して金髪に襲いかかる。

 さ〜て、あとはゆっくりと高みの見物と洒落込むか。バケモノが拘束から逃げようと暴れてるけど魔力SSSのバインドから逃げられるなら逃げてみろってんだ。

 

「あれって……」

 

「誰かが助けてくれたみたい……でも長くは持たないかもだから急いで目を閉じて心を澄ませて。僕の後に続いて!」

 

「う、うん!」

 

「我、使命を受けし物なり」

 

「我、使命を受けし物なり……」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「えっと……契約の元、その力を解き放て……」

 

「風は空に星は天に……」

 

「風は空に星は天に……」

 

「そして不屈の心は……」

 

「そして不屈の心は……」

 

「「この胸に! この手に魔法を……レイジングハート、セットア〜プッ!!」」

 

『スタンバイレディ、セットアップ』

 

 直後、ひなちゃんと同じピンク色の……いや、ひなちゃんよりも白みの強い桜色の魔力がなのはちゃんから溢れ出す。

 おぉ……なのはちゃんが魔法を使えるって知ってたけど、なかなかの魔力量を持ってるな。……俺には劣るけど。

 

「ふ、ふえぇ……」

 

「なんで魔力だ……落ち着いてイメージして! 君の魔法を制御する魔法の杖の姿……そして君の身を守る強い衣服の姿を…………!!」

 

「そ、そんな急に言われても……えっと……えぇっと…………と、とりあえずこれで!!」

 

 直後、なのはちゃんの手に収まっていたデバイス……レイジングハートから発生した桜色の光に包まれてなのはちゃんは見えなくなってしまう。変身するときは一瞬全裸になる為、その痴態が周りに見えないようにする為の配慮である。やっぱコンプライアンスって重要だよね。

 

「な、なのはの初変身シーン……こんな良いシーンを見逃せるか! どけモブゥ!!」

 

「いい加減気持ち悪いぞ龍帝院! ファングスバレットッ!!」

 

「グハァッ!?」

 

 ヤマトを押し退けて光の中へ入ろうとする金髪。だがあのオリ主がそれを見逃す筈もなく金髪の鳩尾に銃を突きつけると、容赦なく彼の腹に魔力弾を撃ち込む。

 それを直に受けた金髪はバケモノの方へ吹っ飛んでいって…………。

 

「バインド解除」

 

「グォオオオオオオォッ!!」

 

「グギャァアアアアァ!?」

 

 空気を読んでバケモノの拘束を解いたことで金髪はバケモノの一撃をもろに受けてしまい、壁に叩きつけられて白目を剥いて倒れてしまった。

 変身シーンを覗こうとする変態にはお似合いの末路だな。もうウザいからこのまま起き上がらなければ良いのに。

 ……まぁ何はともあれ

 

『んじゃ、邪魔者も消えたし俺は帰るわ。後はガンバ』

 

『おいおい、ここまで来たなら最後まで戦ってくれよ。あのフェレット……ユーノからも事情を聞かないとだし』

 

『昼間言ったろ? 俺は用事があって忙しいから合流するのはその後だって。俺の用事が片付いた後に色々教えてクレメンス』

 

 金髪が消えたのならばもうここには用はない。とっとと帰って()()の研究を進めさせて頂こう。

 この際なのはちゃんの変身後の姿を見てやろうかとも考えたが、それは今後のお楽しみということにして、バケモノをヤマトとなのはちゃんの二人に任せて帰宅した俺であった。

 ……小腹空いたし、深夜だけどカップラーメンでも食べようかなぁ。




 リメイク前はこのシーンは少し適当だったんで、詳しく書かせていただきました。
 また、レオ君の基本武器がNワンドになり、姿もひなちゃんのバリアジャケットの銀バージョンであるイミテーションフォームとなっています。(ただしスカートではなく長ズボンに腰マントである)


 〜おまけ〜

 戦闘後……

「そういえば途中であの怪物さんが何かに縛られてたけど、誰が助けてくれたのかなぁ……?」

「レオだ。どうやら来てたみたいで龍帝院を黙らせる時間を稼いでくれたみたいだな」

「え、そうだったの!?」

「レオさん……確かヤマトと同じこの街に住んでる魔導師なんですよね?」

「う、うん、そしてわたし達の友達なの、明日お礼を言わないとね……。でもなんでわたしたちの前に出てこなかったんだろう?」

「あ〜……うん。バリアジャケットが恥ずかしいからだと思うぞ。だってアイツのバリアジャケット…………見せてもらってからのお楽しみということで」

「レオ君一体どんな服なの!?」
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