見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます! 作:蒼天 極
「……くふふ、ようやく完成したぜ」
とある開発が終わるまでは原作に合流する気はないと宣言した俺であるが、あまり待たせてヤマト達に急かされたり金髪がバカやって知らない間に俺以外全滅エンドってのも嫌な為、数日の間学校を休んでアレの製作に専念していたがようやく完成した……。
あ、無断欠席したら後が面倒臭いから、先生にはしっかりと風邪ひいたって言ったよ?
『お疲れ様でした。……まさか本当に完成させてしまうとは…………ぶっちゃけやるだけやって、んなもんできるかぁ!! って投げ出すとばかり……』
「お前が俺のことをどう思っていたのかよ〜く分かったよ」
でもまぁアスカの言うことも分かる。今回の開発はアスカのように既存の技術を全て使った今作れる最高峰のデバイスを……ってコンセプトじゃなくて、全く新しい技術をこの世に生み出す系のものだからな。ぶっちゃけ俺もダメ元での研究だったし……。
「……正直このまま寝てしまいたい所だけど、寝るのは我慢しようか。驚く顔が早く見たいし、早速アリサちゃんとすずかちゃんに渡しに行こうじゃないか……このバッテリー式デバイスをよぉ……!」
バッテリー式デバイス……これこそが俺が今まで作っていたアレだ。
一年の頃のお泊まり会で「アタシも魔法使ってみたいのよねぇ。……ねぇレオ、アンタどうにかしなさいよ」と言うアリサお嬢様の要望を受けて、アスカロンを製作しているときから基礎理論を少しずつ作っていたものがようやく完成したのだ。
コイツを使えば魔法の才能がない人でも魔法が使えるようになる優れもの! ……まぁ一般の魔導師と同等レベルまでしか出力が出せないから、ヤマトとかひなちゃんみたいに強くはなれないけど……まぁこれは今後の課題ということで。
『というかこれをミッドチルダの学会で発表したら、一生遊んで暮らせるほどのお金をもらえると思いますよ。ニートの夢が目の前に来たじゃないですか』
「確かに」
魔法なんて才能のあるやつの特権だ。それを魔法の才能のないやつでも使えるようになったとなればそれは世紀の大発明だろう。
……でも世紀の大発明なんてしたらそれを知った他の科学者とかが俺を抱え込もうとするのは目に見えてるからなぁ。バッテリー式デバイスが無くても人は死なないんだし、発表はまだ数年くらい経ってからでいいかなぁ……。
ピルルルルル ピルルルルル
ん、電話? ひなちゃんからだ。
「もしもーし、どうしたのひなちゃん?」
『あ、れお君? 今から士郎さんがコーチやってるサッカーチームの練習試合を観に行くんだけど一緒に見ようよ! ヤマト君も出るんだよ!!』
なんでも士郎さんが監督を務める地域のサッカーチーム、翠屋JFCというチームが
『……どうしたのリサちゃん? 変わって? 分かった、はい』
『てか、アンタもいい加減家に引きこもってないで来なさいよ! 何をやってるの!?』
『そうだよ〜、引きこもってばっかりだと身体に悪いよ〜?』
ちょ、アリサちゃん……電話の向こうで叫ばないでクレメンス! 耳元で叫ばれたら俺の鼓膜が死んじゃう……。
でもまぁ丁度いいタイミングだ。せっかくの機会だからこのデバイスをアリサちゃんとすずかちゃんに渡してしまおう。
「ククク……もし二人が事件のことを知ったら、性格的に手伝いたくて仕方がないはず……ならばこれは絶対に受けとるだろうなぁ。二人だけ安全な所で高みの見物なんてさせねぇ、せいぜい我が発明のテスターとして原作に巻き込んでやろうじゃねえか。ウハハハハハハハァッ!!!!」
『うわ、メッチャ悪い顔してますね〜。写真撮ったからホープに送ってやろ』
「おい」
◇
その後待機状態にしたバッテリー式デバイスをポケットに突っ込んで、ひなちゃんに教えてもらった場所へと向かうと、そこにはもうなのはちゃん達が待っていた。
「よっすよっす。みんな久しぶり」
「久しぶりじゃないわよ! アンタ三日も学校ズル休みして……そんなに休んで何やってんのよ!!」
「え、アリサちゃん心配してくれてるの? あらやだおじさんうれしいわ!」
「殴るわよ?」
そう言って握り拳を見せてくるアリサちゃん。
あらあらこれは相当怒ってらっしゃるな。あんまり調子に乗って殴られたくないし、もはや隠しておく理由もないし俺が引きこもって何をしていたのかと言う崇高な理由を話してやるとしよう。
「いやー、これにはマリアナ海峡より深〜い事情がありましてな。というのも天才であるこの私は既存の魔法技術を応用して、新たなる新技術を「あ、なのちゃん、すずちゃん、リサちゃん! サッカーの試合始まるよ!」「あ、ほんとだ。ごめんレオ君、事情には後で聞かせてね」解せぬ」
どうやら優先順位は俺<<越えられない壁<<ヤマトのようだ。まぁ、ヤマトはオリ主で俺は踏み台なんだしそりゃそうか。
でもまぁせっかく来たんだ。ヤマトの勇姿を目に焼き付けないのも失礼だよな、応援くらいはしてやろうじゃないか。
「がんばれヤマト君〜!!」
「ヤマト、後ろから追って来てるわよ〜!」
「あ、取られた。油断してるからだばっきゃろ〜!!」
「奪い返すのヤマトくーん!」
「そのままシュートだよ〜!」
…………何故だろう。俺たちが応援すれば応援するほど、相手チームのヤマトへの妨害が苛烈になっていく。そしてそれと反比例するように味方チームの動きが悪くなって、ヤマトへボールが渡らなくなってて……あれれ〜?」
「士郎さん、士郎さん。おたくのチームなんか調子悪くないっすかね?」
「……君たちのせいだと思うよ?」
え、なんで……あぁ。
まだまだお子様とはいえ今の時点でかなり美少女なウチの女性陣。そして踏み台の特徴である銀髪オッドアイが目立ちすぎて印象が薄いとはいえ、俺も男のくせにイミテーションフォームでついつい鏡の前でポーズを撮ってしまう程に女装が似合う美少女顔だ…………。
とどのつまり……
「爆ぜろリア充ってか。いや〜、スポーツに私情を持ち込むだなんてアイツらにスポーツマンシップと言う概念はないのかね?」
「まぁ、試合が終わった後に注意はするけど……男として仕方ないと思うよ? まぁ俺は桃子さんさえいればそれでいいけど」
「ほんと士郎さんって桃子さん大好きですよねぇ……」
愛妻家で子煩悩な理想的な父親で良きかな良きかな。良い両親に恵まれたもんだよなのはちゃんは……。
「グブェ!?」
「ん?」
悲鳴のような声が聞こえ咄嗟にサッカーコート内を見ると、ヤマトと同じユニフォームを来た少年が鼻血を出して仰向けに倒れていた。
状況から察するに敵チームか味方が蹴ったボールが顔面に当たってしまったのだろう。
リア充に当てられてやる気を無くしたバチが当たったんだ。これに懲りたらリア充が居ようが全力で取り組むんだなフハハハハハハ!!
内心倒れた少年を嘲笑っていると、彼にヤマトが駆け寄る。
「お〜い、後藤大丈夫か?」
「…………」
「後藤……? ちょ、こいつ気絶してます士郎さ〜ん!!」
「なんだって!?」
どうやら少年は顔面への一撃で意識を失ってしまったようで、その後士郎さん達に介抱されて近くの木陰に移動させられる。
軽い脳震盪っぽいし、さりげなくヤマトが能力を使って彼を回復させたっぽいから少年は大丈夫そうだが、翠屋JFCの人数が減ってしまったからこの練習試合はかなり不利だろうなぁ。
「困ったなぁ……後藤君はヤマト君に並ぶウチの主戦力だからチーム全体のモチベーションが下がってしまいそうだなぁ……」
「誰か助っ人が欲しいですよねぇ……」チラッ
「……は?」
……おい、なんでこっちを見るオリ主?
確かに俺は運動神経いい自信あるよ? 研究とか開発で引きこもってるとき以外は毎日鍛錬してますから。
でもさ、俺サッカーよりもバスケ派なんだよぉ!! だからこっちを見るんじゃねぇ、巻き込もうなんてバカなことは考えるなぁ!!
「レオ、メチャクチャ運動神経いいですよ! サッカーが出来るかは分かりませんが後藤の抜けた穴を埋められると思います!!」
「おぉ、そうなのかい! それじゃあ、よろしく頼むよレオ君!!」
「……このオリ主いつか絶対潰す」ピキビキ
◇
「れお君ファイトだよ〜!」
「はいはい……。頑張りますよ〜」
……という事で、急遽助っ人として試合に参加することになりました。
ったく、今日は観戦とお嬢様コンビにバッテリーデバイス渡すために来ただけで運動する気は微塵もなかったのに……。
まぁここ数日は製作の最終段階ってことで引きこもって運動してなかったし、そのリハビリと思えばいいか……。
「ほら行くぞレオ! 学校をズル休みしてじっくり蓄えた力を今こそ解放するんだ!!」
「マジでぶち転がすぞテメェ! あぁ、もう覚えとけよ!?」
恨み言を吐きながらも適当にやっては、士郎さんや翠屋JFCの選手に迷惑がかかってしまうため真面目にヤマトからパスされたサッカーボールを受け取る。
ゴールへ向かう俺を当然のごとく迎え打つ敵チームだが、ヤマトほどじゃないにしても地味に妨害が苛烈じゃないですかねぇ?
「れお君がんばれー!! ゴール決めちゃえー!!」
……応援してくれてありがとひなちゃん。
ひなちゃんの応援を受けている俺もリア充と認識されて攻撃が苛烈になっているため、ある程度敵選手を引きつけてからヤマトにパスをする。
そして選手達がボールを追いかけて行った隙に、敵選手のいない敵のゴールから近すぎず遠すぎずの絶妙な位置へ移動する。
『ヤマト、今だ!』
『おう、それじゃああとは任せた!!』
ヤマトは右足から放たれたボールはジェット機のごとく豪速球で俺に迫ってくる。
本来ならばこんな殺意マシマシでボールを寄越すなんてふざけんな!! ……っと思うだろうが、サッカー素人の俺では足を引っ張るからとヤマトと事前に打ち合わせしておいた作戦の一環だからこれでいい。
あまりの速さに誰もがボールについていけず一瞬で俺の下までやって来たサッカーボール。それを身体を傾けてボールが垂直に反射するように胸で受け止めると、まるで車に轢かれたような鈍い痛みが俺の身体を襲う。
「ガハッ……! ヤ、ヤベ……一瞬意識飛びかけた……」
神から与えられたこの強靭な肉体じゃなきゃ、今頃俺は肉塊と化していただろう。
悶えたくなるような激痛を歯を食いしばって耐え、目論み通り真上に跳ね上がったボールが落ちてくるタイミングを見計らう。
……まだ。…………まだ。…………よし、ここ!!
「究極天技イカロスダイナマイト!!」
「な、なに!?」
自ら宙返りをして天地が逆の状態でボールを蹴る。つまりはオーバーヘッドキックだ。
完全に虚をつかれたのか一瞬反応が遅らせながらもボールを止めようと動きだしたゴールキーパー。だがヤマトに及ばないまでもチートボディから繰り出されたシュートは綺麗な弧を描きながら、キーパーの横をすり抜けネットの中へ収まった。
直後試合終了の笛が鳴り、練習試合が終了する。
翠屋JFCの勝利だ。
「よっしゃ! ナイスレオ!!」
「おう。思わぬタイミングだったとは言え、一度はやってみたい特撮・アニメの技10選のうちの一つを実践できてその上成功したのはラッキーだった……ゴフッ!」
「ちょ、レオ!?」
「すごいよれお君! ……って血を吐いてる!? だ、誰かきゅーきゅーしゃー!!」
「あ、大丈夫。回復魔法かけるから」
…………翠屋JFC勝利の代償に、肉体に大ダメージを負ってしまった俺であった。まぁ回復魔法で治したけど。
〜おまけ〜
「あ、ちょっと良いかな、ひなちゃん」
「どーしたのなのちゃん?」
「以前から思ってたんだけど、ひなちゃんの名乗りが大空の魔法少女なのってどうしてなの?」
「それはねぇ。ひなが上手に飛べなかったときにれお君がひなを背負って飛んでくれたんだけど、そのときに見た景色がすごく綺麗で……だからひなは誰よりも上手に飛べるようになりたいって思って飛ぶ練習だけは頑張ったんだ。そしてヤマト君やれお君よりも上手に飛べるようになったときに、れお君が大空を駆ける翼の魔法少女って言ってくれたんだよ。それがお名前の由来」
「そうだったんだ。なんだか素敵だね」
「でしょ〜? そう言えばなのちゃんはどうして不屈の魔法少女なの?」
「え、わたし? えっと〜……う〜ん…………なんとなく勢いで……かな?」
「へぇ〜。でもなのちゃんは一度決めたことはしっかりやり切るタイプだし、上手くいかなくても絶対に諦めないから結構似合ってるなぁ」
「にゃはは、ありがとひなちゃん」