見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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被害拡大!? クソ、こうなったら……

 説明と言われても俺はまだ部外者であり詳しい事情は分からないので、ヤマト達に説明を押し付けて聞くことに専念させてもらう。

 

 なんでもジュエルシードはユーノ君が発掘したロストロギアであり、管理局に回収してもらったらしいのだが、その輸送中に輸送船が事故にあいこの世界にジュエルシードがばら撒かれたらしい。

 それに責任を感じたユーノ君は一人この世界で回収しようとしていたが、返り討ちにあいなのはちゃんやヤマトに救援を求めたのだと言う。

 

「そうだったのね……。まさかこの街でそんなことが起きてたなんて……」

 

「ということはこの間のボートが壊されてた件なんかも、ジュエルシードの仕業だったりするのかな?」

 

「はいその通りです……」

 

 すずかちゃんの問いに、隠し事をしていた負い目からか気まずそうに答えるなのはちゃん。そんな顔しなくても良いと思うけどなぁ。すずかちゃんだって隠し事を……ってそれ知らないのは俺と口が軽いひなちゃんだけだっけ?

 

「うわぁあああああん! ええぇーん!」

 

「よしよし、そこの鬼女が怖かったね〜。「アンタ、後で覚悟しなさいよ?」……でもまぁなるほど、急にそんなクソヤバロストロギアが現れたと思ったらそんな理由で……」

 

 アリサちゃんの怒気を受けてギャン泣きを始めてしまったひなちゃんを宥めながら納得していると、なのはちゃんが心配そうな表情をこちらに向けてくる。

 

「それでなんだけど、ジュエルシード集めをレオ君にも手伝ってほしいの。……でも用事があって当分は合流できないってヤマト君言ってたけどいつまでに終わりそう? ……あ、別に急かしてるわけでは無いんですが、出来れば早くがいいなぁっと言うかなんと言うか…………!!」

 

「いや急かしてるじゃないすか。……まぁ丁度ひなちゃんからの電話が来る直前に終わったからこれから合流できるけどさ……」

 

「本当ですか!? ヤマトからレオさんは現時点でこの街最強の魔導師って聞いてるから、味方になってくれるならば心強いです!!」

 

「お、上手だねぇユーノ君。おじさんをおだてても何も出ないよ。後、俺の事は呼び捨てで……って、は? ごめんユーノ君、ヤマトのやつはなんだって?」

 

「現時点でこの街最強の魔導師だと」

 

 おいコラ、なに話を盛ってんねん。俺がヤマトを差し置いて最強だと……?

 …………いや待てよ。そう言えば最近模擬戦でヤマトに勝てるようになって来たからな。最もオリ主のやつ訳あって本来の転生特典を使いたがらないから、それを抜きにした戦いだけど勝ったのは事実であって…………

 

「ウヘヘヘヘ、そっか〜、俺最強なのか〜。ついに俺がオリ主になったのか〜、ウヘヘヘへへへへへへ……」

 

「レオ君、その顔ちょっと気持ち悪いの……」

 

「ニコポナデポ抜きでそんな顔できるってもはや一種の才能だぞお前……」

 

 みんなからドン引きされました。

 っというかニコポナデポの被害に遭ってないヤマトがニコポナデポと比べんなよ。そんなに酷くはないよねぇ、隣にいるすずかちゃん…………あ、あの〜、こっち向いてくれません?

 

「……レオの顔がキモかったのはどうでもいいのよ。「アリサちゃんテメェ……」アンタが数日も引きこもってたのはその用事を終わらせてたからなのね?」

 

「そうだね」

 

「単刀直入に聞くけど何してたのよ。引きこもってアタシ達に心配かけさせたんだから聞く権利はあるはずよ?」

 

「あ、あのアリサちゃん。何もそんなに追求しなくても……」

 

 自らも隠し事があるすずかちゃんが控えめにアリサちゃんを諌めるがこうなったアリサちゃんは誰にも止められないし、そもそも今回はその話しに来たと言っても過言ではないから丁度いい。

 

「そうだね。どこぞのオリ主のサッカーの試合とか言う、どうでもいい事で後回しになってしまったけど今日はその話をしに来たし丁度いいや」

 

「おい、どうでも良いとはなんだ。どうでも良いとは」

 

 ヤマトの批判的な視線は完っ全に無視して、真剣な表情でアリサちゃんとすずかちゃんに向き直る。俺の表情を見ておふざけ無しの真剣な話だと察したアリサちゃんとすずかちゃんも真面目な顔になる。

 

「単刀直入に聞くけど、今ジュエルシードの話しはアリサちゃんとすずかちゃんにとっては蚊帳の外……仲間外れにされてると思わない?」

 

「……え? えっと、レオ君? 真剣な顔で何を「いいから答えて」…………うん、そうだね。ちょっとだけ寂しいかな」

 

「でも仕方ないわよね。アタシ達魔法の才能がないんだから」

 

「アリサちゃん……すずかちゃん……」

 

 二人の本音を聞いた魔導師の三人が顔を曇らせる。少なからず二人を仲間外れにしている罪悪感があったのだろう。

 

「ならばもし才能が無くても魔法の力を使えるようになる方法があると言ったら、二人はどうする?」

 

「え、そりゃあアタシ達も魔導師になってなのは達の手伝いをするけど……」

 

「でも、そんな手段はないってヤマト君に聞いてるよ?」

 

 チラリとヤマトの方を向くと、なのはちゃんの肩に乗ったユーノ君と一緒にうんうんと頷いている。

 ククク、確かに魔法ってのは才能が無いとどんなに努力した所で使えないからな。ならばこれを見たらオリ主とフェレットはエネル顔で驚く事間違い無しだ!!

 

 ニヤリと笑ってバッテリーデバイスを取り出そうとポケットに手を入れた──その瞬間、遠くで大きな光の柱が発生し、辺りに魔力を撒き散らし始めた。

 

「うぉっと!?」

 

「……ほぇ、なに! 何なの!?」

 

「あれって木? わぁ……どんどん大きくなってく。これ雲まで届くかなぁ?」

 

「言ってる場合か!? ジュエルシードが発動したんだ。警戒しろみんな!!」

 

 光の柱が発生した地点からどんどんと樹が急成長を遂げて大樹と化していく。そして樹の根っこはあちこちを侵食して街を破壊して……おいおい、これは流石に笑えねぇって被害総額億単位だぞ!!

 この損害はユーノ君に請求して良いものを考えていると、根っこの一つが商店街……つまり俺達の方へ侵食しようとしているのに気がつく。

 

「おっと、Nワンドセットアップ! アルティメットプロテクション!! ……よし、止まった」

 

「な……あれだけ巨大で強固なシールドを張るだなんて……これが海鳴最強の魔導師の実力…………?」

 

 感心したような感じで呟くユーノ君と驚いたような表情を浮かべるなのはちゃんとお嬢様コンビ。

 こ、これがチートを曝け出して周りから称賛を浴びる典型的ななろう展開ってやつか……や、ヤベェ。めっちゃ気持ちいい……。

 

「こ、こんなに魔力を使って大丈夫なの!?」

 

「大丈夫だよなのちゃん! ひなの魔法の先生は強いのだ!!」

 

「大丈夫、こいつ金髪と同等以上に保有魔力多いから」

 

「金髪と一緒にすんじゃねぇよ。あとまだ魔力は99.99%くらい残ってるから全然余裕! 踏み台その2を舐めんなよ!!」

 

 しばらく商店街に迫り来る根っこを押し返していると、やがてこちらへの侵食は諦めたのか根っこの動きが停止したため、油断はしないようにしながらもプロテクションを解除して一息つく。

 

「ど、どうなっちゃったの?」

 

「あそこのビルの屋上からなら様子見えるだろうし、見に行ってみるか。レオ、お前も手伝ってくれ」

 

「分かっ…………」

 

「レオ?」

 

 …………なんだこの胸騒ぎ。

 これほどの規模だ。あの金髪が黙って見てるわけがない。きっと余計な事をしにくるだろう。そしてヤマトの足を盛大に引っ張って結局被害が拡大する。なんかそんな気がする。

 

「……俺は最悪の事態を想定してここ守ってる。封印はなのはちゃんたちに任せるよ」

 

「……分かったの。ならレオ君はアリサちゃんとすずかちゃんをお願い!!」

 

「行ってくるね!」

 

「任せたぞ! それじゃ!!」

 

 変身したなのはちゃん達は飛んでビルの上に向かい、今この場に残っているのは俺とアリサちゃんとすずかちゃんの三人。

 俺が行ったところで金髪が俺とヤマトを同時に見つけたら、同時に剣を飛ばしてくるのは目に見えている。ならばここを守って、金髪がヤマトにちょっかいかけたタイミングで不意打ちするしかないべ。どうせひなちゃんが俺に助けを求めるだろうし。

 

「なのはちゃん達、大丈夫かなぁ……」

 

「大丈夫よ。ヤマトがついてるもの」

 

 おぉ、なかなか信頼されてんねぇ。

 心配そうに事態を見守るアリサちゃんとすずかちゃんをよそに、大樹の動きに最大限の警戒をしながらもアスカと念話を行う。

 

『アスカ。お前的にこの状況での最悪の事態ってどんな感じだ?』

 

『そうですねぇ……金髪があの大樹に取り込まれて、金髪のSSSの魔力と言う栄養を得た大樹がさらに急成長。そして私らごと海鳴市全域を飲み込んで、海鳴市に落ちてるジュエルシードをも飲み込んで更に巨大化。日本全域が木に飲み込まれて、世界自然遺産とギネス世界記録に登録されましたエンドですかね』

 

『うん、マジで笑えないねそれ。…………仮に金髪が取り込まれたとして、金髪の魔力でパワーアップした大樹の根っこを俺のシールドで防げるもんなの?』

 

『本気出せばいけると思いますよ? ただ金髪も魔力だけはマスターとタメを張ってますし、守るのに精一杯でここから動けなくなるでしょうね……』

 

『なるほど、つまりなのはちゃん達頼みになる訳か。……まぁでも大丈夫だろ』

 

 俺が動けなくてもなのはちゃん達が封印するまで耐えればいい。

 最悪アスカロンに搭載してるカートリッジとかを悪用して限界突破でもすればなんとかなるだろ────っ!?

 

 凄まじい魔力と共に再び大樹から今度は金色の光の柱が発生した。それは金髪の魔力光とおんなじ色で……はいはい、金髪が取り込まれたんですね、分かります。

 

「警戒を解いてなくて良かったよ! もっかい、アルティメットプロテクションッ!!」

 

 Nワンドを掲げて再び商店街へ侵食を開始した根っこを食い止める。

 今回は流石に意地でも押し通ろうと言うのか、シールドを支えにして根っこはシールドの側面に伸びて周りから侵食しようとするが、そうは問屋が卸さない。

 属性変換を炎にする事で、燃えるシールドにしてそれを支えにしている根っこを燃やしたった。

 

 その直後ひなちゃんから念話が入る。

 

『大変だよれお君!!』

 

『金髪が取り込まれたんだね。分かります! 商店街はまだ守れてるから三人で頑張って!!』

 

『そうも言ってられない事態になりました!』

 

『どったの、オコジョのユーロク!?』

 

『フェレットのユーノです! と言うかそもそもフェレットでもないし! この姿はあくまで魔力を回復させるためなだけで、人間ですから! ってそうじゃない!!』

 

 鋭いノリツッコミをしていたユーノ君であるが、その声はかなり深刻だ。どうやら冗談を言っている場合では無かったらしい。それにしては向こうも律儀にノリツッコミを返してくれたけど。

 

『あのねあのね! ジュエルシードを見つけたんだけど、とっても分厚い木に覆われちゃって、なのちゃんの砲撃もひなの羽もヤマト君の刀と弾丸も全部弾かれちゃうの!!』

 

「最悪の事態すぎて草超えて大草原っすわ。クソッタレェ!!」

 

 アスカの言っていた最悪の結末が刻一刻と迫っている事実に思わず叫んでしまった。

 急に叫んだ事に驚いたようにこちらを振り向くお嬢様コンビだが、俺の緊迫した表情をみて事態の深刻さを感じ取ったのだろう。焦ったような表情でこちらへやって来た。

 

「ど、どうしたのレオ君! なんか不味いの!?」

 

「非っ常に不味い。下手したら俺もここの防衛を捨ててなのはちゃんの達のところに行かなきゃいけない」

 

「でもそうなったら商店街が……!!」

 

 そうなんだよなぁ! 

 流石にここを離れて商店街守れる自信はないし、ここには翠屋とかモモザキベーカリーとか気に入ってる店も多くあるから必要な犠牲って事で諦めたくないんだよなぁ!!

 

「……悔しいわ。なのは達だってあんなに頑張ってるのに、アタシたちは見てることしかできないって言うの!!」

 

「私達も魔法が使えたらなのはちゃん達を……ヤマト君を助けてあげられるのに…………!!」

 

 さてどうしたものかと、マルチタスクも駆使しつつ必死に考えているとアリサちゃんとすずかちゃんが悲痛な表情を浮かべて叫んだ。

 ……本当は安全なタイミングに渡して動作テストとか安全確認をした上で実戦に出てもらいたかったけど仕方がないか。

 

 俺はポケットから朱色のブレスレットと紫色の指輪を取り出すと、二人に突き出す。

 

「はい。アリサちゃん、すずかちゃん。俺からのプレゼント!!」

 

「え、えぇ、指輪!? ……だ、ダメだよレオ君、私にはヤマト君が〜……!!」

 

「そうよ! そもそもアンタ、アタシらが誰が好きか知ってるでしょ!? ……っというか今この場で渡すべきものじゃ……」

 

「今じゃなきゃダメなんだよ。早く取って!!」

 

「「!!」」

 

 色ボケ始めた二人だったが、俺の表情からこれらがそう言うものではないと分かったようで、一度お互い顔を合わせて頷きあうと、アリサちゃんはブレスレットを、すずかちゃんは指輪を手に取る。

 

「一年の頃のあの日、アリサちゃんは言ったね? アタシたちも魔法を使えるようになりたいって。そしてついさっきも魔法が使えるようになったらなのはちゃん達の手伝いをするって……」

 

「え、えぇ。でもアタシらには才能が……」

 

「こいつは才能が無いやつでも魔法を使えるようにってコンセプトで作ったバッテリーデバイス。これを使えば才能のないやつでも、デバイスに込められた魔力を消費して限られた時間だけ魔導師として活動することができる」

 

「え!? てことは私達もなのはちゃんみたいに魔法使いになれるの!?」

 

「アンタ……もしかしてアタシらの為に引きこもってこれを…………」

 

「お礼はいらないし惚れなくてもいいからね。……でも、これは俺が新しく作った技術……つまりは試作機なんだよ。だからどんなデメリットがあるのか、どんな最悪の結果をもたらすか分からない。二人は俺の開発した物の実験台になるってことだ。俺はキュウベエじゃないからはっきり言うけど、安全性だけは一切の妥協なく徹底的に追求したけど最悪死ぬことになる!!」

 

「最悪……」

 

「死ぬ……?」

 

 正直これがあるから作ってる最中も本当にいいのだろうかと常に葛藤し続けていた。だがやはり二人だけ蚊帳の外というのもどうかと思うし、二人が魔法の事件に巻き込まれた場合に対抗する為の手段が必要だったのもまた事実。

 

 だからこそこれの危険性なんかを事前に全部説明した上で二人に決めて貰おうと思ったのだ。……最も、こんなクソやばい状況の中で聞くのは流石に卑怯だと思うけど。

 

「……こんな状況で聞くなんて卑怯よ。そんなの……やるとしか言えないじゃない!!」

 

「どうすればいいのレオ君!?」

 

「こいつらに名前を。そして名前の後にこう叫ぶんだ、セットアップ!!」

 

 俺の言葉に頷いた二人はしばらくデバイスを見つめていたがやがて名前が決まったようで、アリサちゃんは右手首に朱色のブレスレットを、すずかちゃんは左手中指に紫色の指輪装着して手を空に掲げる。

 

「フレイムアイズ!!」

 

「スノーホワイト!!」

 

「「セットアップ!!」」

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