見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます! 作:蒼天 極
「おやすみ、おやすみ、ランララ〜ン♪」
「いや〜平日に学校ないとなんだか得した気になるよね」
「ね〜」
ジュエルシードによる大樹事件の翌日。道路のあちこちがヒビが入ったりしていて、スクールバス等の交通機関にも影響がでたため本日は休校となったため、みんなと昨日の詳しい話をするためにひなちゃんとヤマトの家へ向かっていた。
今日は魔法の話と言うこともあり、ひなちゃんの使い魔のリニスも一緒だ。
「ねぇねぇ、昨日は凄かったねぇ! リサちゃんとすずちゃんも変身しちゃって、これでもう敵なしだよね!!」
「確かに六人も……いや、リニスとユーノ君も含めて八人もいればジュエルシードは余裕っぽいけど、だからって油断してたら痛い目にあうよ?」
「そうですよひな? どんなことでも一番危険なのは油断した瞬間です。この間だって三連休に浮かれすぎて、宿題のプリントを一枚無くしていたでしょう」
「う、ごめんなさい……」
そういえばそんな事あったなぁ。泣きながら電話してきたもんだから、俺の宿題プリントをコンビニでコピーしてパン買うついでに持って行ってあげたんだっけ?
でもね、リニス。例えが微妙なんだよ。
そんな事を話していたら、ヤマトの家に到着。
ピンポーン
「…………」
早速インターフォンを鳴らすが反応はない。
ふむ、なのはちゃん達と好感度イベントでもやってんのかな? そう思い音を立てずにコッソリとヤマトの庭に回りバレないようにリビングを覗く。
「スゥー……スゥー……」
「なんだ、寝てるだけか」
ったく、驚かせやがって。もし本当に好感度イベント中ならまた後で来てたし、今の年齢でしちゃいけない事してるなら大人になってからやれと邪魔してやったと言うのに。
…………よし(ゲス顔)
「あ、あの……レオさん、何を企んでるんですか?」
「いや、寝てたからイタズラしてやろうと思って」
「面白そう。ひなも「ダメですよひな」え〜……」
再び玄関に回りドアノブを捻ると鍵は空いていたので、家主の許可なく上がらせてもらい足速にリビングのドアを乱暴に開ける。
「強盗だ! オリ主の座をよこ「ふん!」ぐへぇええぇっ!?」
「れお君!?」
リビングを開けた瞬間に飛んできたのは裏拳。
バ、バカな……こいつ、寝てたはずなのに……まさか襲撃に気づいて凄まじい速さで対応を…………グフッ
「あ、悪い。マジの強盗かと思った」
「お、おま……強盗入ってきたら殴り倒す気かよ……。警察頼れよ……」
いやまぁ、今回は悪ふざけをした俺が悪いんだけども! 念話で起こせば良かったものなんだけれど……!!
そんな事を考えているとなのはちゃん達も遅れてやってきたようで、なのはちゃん達も部屋へ入ってきた。
「お邪魔しまーす。来たよヤマト君……ってなんでレオ君鼻血出して倒れてるの!?」
「気にしないでください。今回のはレオさんの自業自得ですので」
その通りとはいえ、辛辣なリニスであった。
◇
その後ヤマトの家に置いてあるソファーや座椅子に各々が適当に腰掛けて、昨日の反省会をスタート……しようとしていたのだが、なのはちゃん一人だけは立ったままだった。どうしたと言うのだろうか?
「…………」
「どうしたんだ、なのは?」
「……あのね、昨日の暴走……わたしが悪いの。本当はね、知ってたんだ。あの子がジュエルシードを持ってたこと。でも気のせいだって思っちゃった」
なのはちゃん曰く、なんでもヤマトが俺を翠屋の裏に連れて行った直後に、帰宅中の翠屋JCFの選手の男の子がジュエルシードを持っているのに気づいたらしい。
だがそれを気のせいと思って見て見ぬふりをしてしまったと。
「わたしが気のせいだって思わなければ……あのとき男の子にちゃんと話していれば、こんなにたくさんの人に迷惑かけなかったのに……」
「違うよなのは、それは違う! 君はよくやってくれている! それに元々は僕が原因で「レオ、このバカチンを頭なでなでの刑に処しなさい」「かしこまりー」え?」
アリサお嬢様の指示に従い、なのはちゃんの背後に回った俺。そして普段の無表情から笑顔を解禁してとても素敵な笑みをなのはちゃんにプレゼントしてあげる。
「ほーらなのはちゃん。悪い子でちゅね〜。よーしよしよしよしよしよしよしよしよし」ナデナデナデナデナデナデナデ
「うにゃああああああああああああああああああ!!!!」
「え、えぇ!?」
〜数分後〜
「う、うにゃぁああああ……」ピクピク
その後長時間ナデコニコポを食らわせ続け、その結果なのはちゃんの髪はボサボサになりピクピクと軽く痙攣してしまった。
そんななのはちゃんにアリサちゃんは近寄る。
「これでチャラにしてあげる。これからは一緒にジュエルシードを探しましょ」
「これ以上街のみんなに迷惑をかけないようにするためにも……ね?」
「で、でも……」
涙目で頭を抑えながらも、ニコポナデポで許された事に納得がいかない表情のなのはちゃん。そんな彼女に対してヤマトが口を開く。
「ミスをしたなら取り返せばいい。それになのはのミスなんてオレのそれに比べたら全然大した事がない」
「え、ヤマト君がミスを……?」
「正直に言うけど……実はオレ、今まで本気で戦ってないんだ。龍帝院が状況を悪化させるのを知ってるのに。本気出さないと周りに迷惑がかかるって知ってるのに」
「そんな……」
「あ、ヤマトの名誉の為に言っておくけど、コイツも悪意があって本気出してないわけじゃないんだよ。こいつの本気はレアスキルって言う特殊能力を用いたものなんだけど、そのレアスキル関連でちょっと色々あって使う事そのものがトラウマになっててな……」
俺の補足説明になのはちゃんは納得したような表情を浮かべるが、すぐに影を落としたヤマトのフォローに入る。
「でもでも、トラウマになっちゃってるならそれは仕方ないの!!」
「そうだな、仕方がない。だから昨日のなのはのミスも仕方がないんだ。なにせお前はまだ魔法を使い慣れてないからな」
「あ……」
いや、自分で仕方ないって決めつけんなよ。あのレアスキルが使えればめっちゃ楽なんだから、もう一度使えるように頑張れよ。あと魔法を使い慣れてないのと見落としたのはまた別問題だから。励ますのに集中するあまり着眼点ズレてますぜ?
頭の中でヤマトの発言の指摘を考えていると、ひなちゃんもなのはちゃんの手を掴む。
「そうだよ! それを言ったらひなはそもそもケーキ食べるのに夢中になっちゃって、ジュエルシードなんて見えてなかったもん!!」
「ひなちゃん……」
「なんだか次は俺の流れだから言わせてもらうけど、俺の場合はそもそもジュエルシードよりも自分の研究を優先してヤマト達を手伝おうとしなかったからなぁ」
「レオ君……」
「ま、そう言う事だ。だからなのはが悪いって思うならそれはオレ達全員が悪いんだ。だからそんなに気を落とすな」
そう言ってなのはちゃんの頭を優しく撫でるオリ主。
そんな彼女になのはちゃんは涙を浮かべて「ありがとう、みんな……」とヤマトに抱きついた。
「これがオリ主のニコポナデポ……踏み台の俺とはレベルが違うや」
だってなのはちゃん泣きながらだけど気持ちよさそうに、ヤマトのヨシヨシを受け入れてるんだもん。俺が撫でたら痙攣するほど嫌がられるのに。
…………ヤベェ、俺のガラスのハートのメンタルがブレイクしそう。
「あれ、れお君悲しい顔してるね。ほら、よしよし……」
「ゔぁ"〜……癒されるんじゃあ……」
なぜひなちゃんのよしよしにはこんな癒し効果があるのだろうか。
……そう言えばなのはちゃん達はひなちゃんのなでなでにはヤマトに匹敵するくらいの安心感があるとか言ってたなぁ。
なるほど、これがオリ主とオリヒロインが持つ真のニコポナデポか…………。
ひなちゃんの天然ニコポナデポで癒されていると、ヤマトはユーノ君の方を向く。
「あとユーノ、お前もお前だ。輸送中の事故なんだからお前は悪くない。本当の責任の所在はジュエルシードを輸送してた運送会社だ。だからお前もそんなに気に病むな」
「……はい」
「マジレスしてやるけどさ、ロストロギアの輸送は民間の運送会社じゃなくて時空管理局が行うものだから今のお前の説教はお門違いとだけ言っておくわ。ほらヤマト、管理世界の運送会社全部に土下座してこい「空気読みなさい」あいた!」
「……この人はいつもこうなのかい?」
「にゃはは……」
アリサちゃんに頭をペシンと叩かれてしまった俺であった。
◇
その後昨日の件はみんなで反省しようと言う事で解決となった為、次は今後の活動方針を決めていく事になった。
「……っと言ってもその時その時で動ける奴らで行動すればいいと思うけどな。アリサとかすずかは習い事多いからそのときはオレらが動けばいいし、オレらが塾のときはレオに任せておけばなんとかなるし」
「うん、それでいいよ」
「いぎな〜し!」
「ま、それが妥当よね」
「みんなで頑張ろうね」
「俺も問題なっしんぐ……って言いたいんだけど、また金髪が出たらどう対応するよ? ひなちゃんから色々聞いてるけど、あの金髪が関わったら必ず状況が悪化してんじゃん」
これは結構真面目に考えないといけない問題だ。
初めの夜はヤマトの妨害をした。そしてその翌日、ひなちゃんがなのはちゃんの仲間になった日もヤマトを妨害して合流出来なくしたと聞いた。
そして極めつけは昨日。金髪はまたヤマトを妨害しに現れたらしく、ヤマトと戦っている隙をついてあの大樹は金髪を吸収したと言う。
ならば昨日みたいな事態がまた発生するだろうし、今度は全滅する可能性だってある。
ぶっちゃけ今のうちに金髪を怪我でもなんでもさせて大人しくさせた方がいいと思うんだよね。
だが俺の不安に対して、ヤマトは少し悪い顔を浮かべて胸を張る。
「それなら問題ない。昨日の帰り気絶してる龍帝院を見かけたから、水かけて無理やり起こして無理やり決闘持ちかけてやった。徹底的にやって大怪我させたからしばらくは戦場に出られないはずだ」
「オリ主がやっちゃいけないことしやがって! だがよくやった!!」
ならあれが動けないうちにさっさとジュエルシードを全部探し出してしまおう。
そんな事を考えていると、ひなちゃんの胸に抱かれたリニスが「そう言えば……」となのはちゃん達魔法初心者組に切り出す。
「そう言えばなのはさん達はまだ魔法に触れて日が浅いですよね? 実は私、過去に魔導師を育ててだ事があり教える事には自信があるんです。もしよろしければですが、魔法について私がお稽古をつけましょうか?」
「え、本当!? ならよろしくお願いしますなの!!」
「アタシ達はヤマト達ほど魔法を使いこなしてないものね。うんと厳しく育てて頂戴!!」
「えぇ!? ……そんなに厳しくなくていいけど……いや、でもジュエルシードも厄介だし早く一人前になったほうがいいよね……お願いねリニス」
確かにリニスのお陰でひなちゃんも自分なりの戦い方を見つけたし、リニスが教えてくれればなのはちゃん達もすぐに上達するだろう。
っと、それならアリサちゃんとすずかちゃんにはこれを渡してたほうがいいな。
「アリサちゃん、すずかちゃん。はいこれ」
懐から赤と青のパーツを三つずつ取り出すとアリサちゃんとすずかちゃんにそれぞれ渡す。
「これはフレイムアイズとスノーホワイトのバッテリーの予備。戦闘中でも気軽に交換できるように取り外しは簡単にしてるから。練習とかジュエルシード戦でバッテリーが少なくなったら取り替えて。そしてバッテリーが無くなったのは俺に渡してね。その場で充填するから」
「分かったわ。何から何までありがとねレオ」
「私達頑張るよ」
と言う事でこの日は早速リニスが初心者組に稽古をつけると言う事で解散。翌日以降はジュエルシードが起動した場合、用事のない動けるメンバーが出撃してジュエルシードを封印する事になったのだった。