見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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お茶会か〜。……俺パスで

 俺とお嬢様コンビがなのはちゃん達と合流してから数日後、今日はジュエルシードの捜索を休んで原作前のような平和な放課後を過ごしていた。

 

「ひなちゃ〜ん、プリン作ってるんだけど食べる?」

 

「ほんと!? 食べる〜!!」

 

 ククク、今日のプリンはかなりの自信作だぞ。なにせカラメルソースにちょっとした隠し味を入れてるんだ。

 これならなのはちゃんに勝てるのではないか。……と言っても勝ったところで自慢するわけでもなく、なのはちゃんにレシピを共有するだけなんなけど。

 

「ひなちゃん、このプリンとなのはちゃんのプリン。どっちが美味しい?」

 

「ん〜……どっちも好きだけど、なのちゃんかなぁ」

 

「クソゥ……」

 

 まだまだパティシエの娘には遠く及ばないようだ。

 いいもんいいもん、あくまでお菓子作りはひなちゃんの喜ぶ顔が見たくてやってるだけで、将来パティシエになるつもりなんて微塵もないから別にいいもーん。…………おっと。

 

「今のこの感じ……ジュエルシードが起動したっぽいね」

 

「ほんとだ。よ〜し、いくよれお君!」

 

「おう! …………でもその前にプリン急いで食べちゃって」

 

「は〜い。あむ……ん〜♪」

 

 

 ◇

 

 

「あ、二人とも遅刻なの!」

 

「ごめんね〜、プリン食べてたから……」

 

「急いでって言ったのに、この子味わって食べちゃうからさ〜」

 

 と言う事でジュエルシードが起動した為、ひなちゃんのスイーツタイムの後に現場に駆けつけたが、そこでは既になのはちゃん達が亀を素体にしたであろう怪物と戦っていた。

 

「遅刻しちゃったしその分頑張らないとね。いっくよ〜、エンジェルフェザー! ……あ、防がれちゃった!?」

 

 いつもよりも気合を入れたひなちゃんが魔力羽を飛ばして亀を攻撃しようとするが、流石は亀を素体にした怪物と言うべきか甲羅に弾かれてしまった。

 

「羽がダメなら砲撃で……ディバイーンバスター! ……あ、これもダメなの!!」

 

 ディバインバスターって結構火力高いけどそれも防がれるか……。これはまず甲羅をなんとかしないとダメかも知れないなぁ。

 どう攻略したものかと思案していると甲羅に籠っていた亀が頭や足を出して、こちらに凄まじい勢いでこちらに突進を仕掛けてくる。それに対して前に出たのはアリサちゃん。

 

「甲羅に籠ってダメでも、カウンターならいけるわよね! バーニングスラッシュ!!」

 

 彼女の繰り出した炎の斬撃が亀の頭にヒットしそうになったが、直前で再び頭を引っ込めた事によって甲羅で塞がれてしまった。

 斬撃が無理でも炎による熱ダメージが入るかと思ったけどそう簡単にはいかないようだ。

 

「もぉ、その甲羅ずるいわよ!!」

 

「まぁまぁ、仕方ないよアリサちゃん。……あ、よく見たらアリサちゃんの攻撃で甲羅が熱くなってる。それなら……ハーベストスノウ!!」

 

 アリサちゃんの炎の一閃で急激に熱された甲羅にすずかちゃんが氷を纏った刺突を繰り出すと、甲羅は急激に冷やされヒビが入った。

 なるほど、急激な温度変化は物質にかなりの負荷をかける。その特徴を上手くついたのだろう。流石はすずかちゃんだ。

 

「今だよ!」

 

「オッケ。デバイスチェンジ、Iロッド」

 

 以前も言ったが、Iロッドは氷属性専用デバイスであり、ロッドに氷を纏わせて長物の武器として扱うもの。

 今回はロッドの先端に直方体の氷ブロックを纏わせてハンマーとして扱う。

 

「せーの、どっせぇい!!」

 

 急激な温度変化で負荷のかかった甲羅に、更に強大な衝撃が加わるとどうなるか……答えは簡単。甲羅は砕け散り、亀の自慢の装甲は意味を為さなくなるのだ。

 

『グォオオオオオオオッ!!』

 

「っと、甲羅を壊されて奴さんキレてやがる。……それじゃ、後は任せたオリ主」

 

「おう。行くぞグラディウス!」

 

 刀を鞘ごと抜いたヤマトは自らの足の裏にシールドを張ってそれを足場代わりにすると、思い切りそれを蹴って凄まじい速さで暴れ回る亀の頭部に到達。

 

「恭也さん直伝! 御神流、徹!!」

 

 暴れ回る亀の化け物の頭部に鞘による刺突を放つと、亀はくぐもった鳴き声をあげてズシンと倒れる。

 確かあの技は鎧通しの容量で防御を無視して内側に直接ダメージを与える技だったはず。それで亀の脳を揺らして一時的に沈静化させたんだろう。流石にジュエルシードに飲み込まれた動物を殺すわけにもいかないしな。

 

「なのはちゃん、ひなちゃん! 今なら攻撃が通るはずだよ!!」

 

「ぶちかましてやりなさい!!」

 

「分かった! なのちゃん、なのちゃん。一緒にやろ?」

 

「分かったの!」

 

 レイジングハートとホープの先端に桜色とピンク色の魔力が集まると二人は一度頷き合う。

 

「ディバイーン……」

 

「シャイニング……」

 

「「バスターッ!!」」

 

 二つの桜色とピンク色の砲撃が一つに合わさり、一本の太い光線となり亀を飲み込む。

 いや〜この間のヤマトの合体砲撃と違って、二人の魔力光はほとんど同じ色だからこっちの方が統一感あるなぁ……。

 と言うか甲羅を破壊されて、脳を揺らされて、挙げ句の果てに極太光線食らってってちょっとばっかし亀さんに同情するなぁ。

 

 

 ◇

 

 

「かめさん、バイバーイ!」

 

 その後ジュエルシードと分離した亀は予想通り甲羅が割れて弱り切っており、ひなちゃんの回復魔法で傷ついた亀を癒してやる。

 あれアカミミガメって外来種だから駆除した方がいいんだけど……まぁいいや。

 

「ふぅ、これで10個目。随分と集められたわね」

 

「ユーノ君、ジュエルシードって残り半分なんだよね?」

 

「はい。ジュエルシードは合計21個……この短期間で半分集められるなんて…………」

 

「何言ってんだユーノ。まだ残り11個、半分じゃないぞ?」

 

「バッカヤマト。細けぇことはどうでもいいんだよ、大体半分集まったんだから残りは半分だ」

 

「ししゃごにゅーだー!」

 

「ひなちゃん、それは意味合いが違うの」

 

 それにしても……いくらユーノ君を含めた7人で動いてるとしても、日常生活の傍でジュエルシードの捜索をしたり、暴走したジュエルシードの位相体と戦ったりはちょっとハードだよな。

 特にひなちゃん以外の女子はそれに加えてリニスの魔法の訓練までこなしてる。……ここらで一度休息を取りたい所だよなぁ。

 そんなことを考えているとすずかちゃんがいい事を思いついたと言った表情を浮かべる。

 

「あ、そうだ。みんな、明日ウチでお茶会しようよ。半分集めたお疲れ様会も兼ねてね」

 

「え、でも遊んでる間にジュエルシードが発動したら……」

 

「なのは。手伝ってくれるのはありがたいけど、その為に魔法の訓練までこなしてて少し疲れが溜まってるよね? 無茶ばかりして身体を壊したらそれこそ本末転倒だ。いつも頑張ってくれてるんだし明日一日くらい休むべきだよ」

 

「ナイスだユーノ。特になのははオレ達以上に気が張ってるしここらで休んだ方がいい」

 

「……分かったの」

 

 流石のなのはちゃんも二人に止められては首を横に触れないようで、渋々と言った様子ではあるが頷く。

 最近気づいたけど、なのはちゃんってすぐに無茶をする悪癖があるからなぁ。無茶するべき所をしっかり見極めないとここぞと言うときに痛い目に遭うで?

 

「それじゃあ、明日はみんなですずかの家に集合でいいわね?」

 

「あぁ、それでいいぞ」

 

「うん。……あ、すずちゃん。リニス連れて来てもいい?」

 

「いいよ〜、ウチの子達もリニスに懐いてるから。あ、なのはちゃん、お姉ちゃんが恭也さんに会いたがってたから、帰ったら恭也さんを誘ってくれる?」

 

「分かったの。また忍さんにお兄ちゃんを軟禁されてお姉ちゃんと全面戦争になっても困っちゃうからね」

 

「うんうん。ここらで発散させておかないと……」

 

「何やってんだよ忍さん!?」

 

 いや、確かに忍さんと恭也さんって誰がどう見てもバカップルだし、忍さんにヤンデレ属性が入ってるのは知ってるよ?

 でも軟禁ってなんだよ。全面戦争ってなんだよ。いくらなんでも物騒すぎるわ!!

 ……っと、今忍さんはどうでもいいんだよ。

 

「あ、ごめん。俺、明日パス」

 

「ほぇ? どおしたのれお君、ひなみんなでお茶会したいよ」

 

 ひなちゃんが不満そうにそう言うが俺には明日やるべき事があるのだ。

 

「いや〜、明日ちょっとミッドに行ってデバイスの備品なんかを補充しようかなって思ってたんだよね。ついでに親戚に管理局員がいるからとっとと地球に局員派遣しろって急かしてもらおうかなと」

 

「確か管理局ってこっちで言う警察よね? 確かに来てもらった方が安心できるし、レオに頼んだ方がいいかも知れないわね」

 

 納得したような表情のアリサちゃん達。

 正直この一件はガキの俺らでは手に余る。なのでミゼット婆ちゃんに頼んで急いで回収しに来てもらおうと考えたのだ。

 今回の一件なら数日もあれば管理局で対応できるだろうし、手続きに手こずってるなら婆ちゃんの……伝説の三提督の一人が後ろ盾につけばすぐに終わらせられるだろうし。

 

 それにこの機会になのはちゃん達もヤマト君との仲を深めたいだろうしな。まぁあの朴念仁をどうにかできるとは思えないけど。

 

「う〜、ならしょうがないよね……。一緒にお茶したかったなぁ……」グスッ

 

 だが、そんな目の端に涙を浮かべるひなちゃんが俺の視界に写って……。

 …………。

 

「……ごめん、やっぱ行くわ」

 

『ひなちゃんの泣き落としに屈服したね?』

 

『まぁ、仕方ないんじゃない? せっかくのお茶会なのにひな一人だけつまらなそうにしてるって言うのもねぇ。明日土曜だし日曜に行けばいいわよ』

 

『……なんかすまんね、せっかくヤマトを奪い合えるチャンスだったのに』

 

『気にしないでレオ君。レオ君がいてもいなくても変わらないから』

 

『そう言ってくれると助かります』

 

 ひなちゃんの泣き落としに屈服し、ミゼット婆ちゃんを介しての管理局への通報を一日延期した俺であった。

 だが、この選択が実は英断であったと言うことは今の俺はまだ知らない。

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