見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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え、ご飯はカロリーメイトで睡眠時間は二時間? 馬鹿野郎!!

 すずかちゃん家でのお茶会から二日後、俺は今までにないほど激しい負担を強いられていた。

 ……ぐぅ、足が痛い。最近学校終わりにはジュエルシードの捜索してるし、流石のこのチートボディも悲鳴を上げているってか。

 

 だが、ここで諦めてしまったら生活が破綻してしまう。もっと足に力を込めて……地面を蹴って……後少しだ。今日の体力を……いや、限界のその先まだ力を発揮して……今この瞬間に全てを賭けるんだ!!

 

「うぉおおおおおおおあああああ!」

 

 取った!!

 

 

 本日の戦果、お一人様一つまでの一玉99円の大玉キャベツ。

 ギリギリ買えた! 残り三玉くらいしか残ってなかったし、割と小さいキャベツしか買えなかったけど、大玉キャベツって宣伝文句で売ってるし、俺も小っこいからこれくらいの大きさで充分だ。

 

「ゼェ……ゼェ……ハァ……ハァ……」

 

「なぁなぁレオ君。今日動きにキレがなかったけどかなり疲れてない? だいじょぶ?」

 

 俺のより二回りほど大きなキャベツを膝の上に乗せた、車椅子レーサーはやてが心配そうな表情で声をかけてきた。

 

「いや〜、最近日常生活が忙しくってあんまり休めてないのよな。だからその負担が足を引っ張ってな……」

 

「体調管理は重要やで? お大事にな」

 

「心配してくれてありがとう。キャベツを掲げてドヤ顔してなかったら最高だったよクソッタレ。俺に対する当てつけのつもりか?」

 

「うん。せいぜいレオ君がポンコツなうちに特売の恩恵を享受させて貰うで〜」

 

「テメェ……」

 

 ほんと性格悪いなぁこの車椅子狸は。

 動物園にでも寄贈してやろうか? ……いや、足動かないし流石に引き取ってもらえないか。

 

「さ、こんな大きなキャベツ、私一人じゃ食べきれないし、ヤマト君をご飯にでも誘おかな? それじゃねーレオく「おぉ、はやてじゃないか! こんな大きなキャベツ持って……俺に手料理食わせてくれるのか!?」ぎゃぁあああああ! リュウヤ君やっ!!」

 

「どうしたはやて、追いかけっこか? 全く、足が動かないのにお茶目だな! 待て待て〜!!」

 

「いやぁああああああ!! 近寄らんといてぇええええええ!!!!」

 

 全身に包帯を巻いた金髪に見つかってしまったはやては、恐怖に顔を歪ませながら車びっくりの速度で車椅子を動かし地平線の向こうへと行ってしまった。

 ククク、人のザマを嘲笑ったからバチが当たったんだな。ザマァ見ろってんだ!

 

「……あ、はやてのやつキャベツ落としてやがる。不用心だなぁ」

 

 いや、それだけ切羽詰まってたってことか。

 …………これ落としたって事は俺が持って帰っても良いよな? だって車椅子レーサーの家知らないし、わざわざ渡してやる義理はないし…………

 

 ………………。

 

『ヤマト、悪いけどお使い頼んでいいか?』

 

『内容によるけどどうしたんだ?』

 

 流石に人のものを捕るのは人としてどうなんだ案件なので、ヤマトを念話で呼び出してはやての家にキャベツを届けるように頼んだのだった。

 

 

 ◇

 

 

 ヤマトにはやてのキャベツを託した後、良い事をしたと考えながら帰宅。

 その途中、ジュエルシードを捜索していたらしい、ひなちゃんとその使い魔のリニス、そしてなのはちゃんとフェイトちゃんの四人と鉢合わせた。

 

「あ、れお君!」

 

「やっほー、ひなちゃん。珍しい組み合わせだね」

 

「ふふーん。フェイちゃんもリニスに魔法教えてもらってたらしいし、ひなもリニスに魔法見てもらってるから、私とフェイちゃんは姉妹弟子なのだ!」

 

「そうかー。姉弟子ができて良かったねぇ」

 

「えへへ〜……」

 

 こうも無邪気にえへんとされると微笑ましすぎて思わず頭を撫でると、ひなちゃんは気持ち良さそうに目を細める。ひなちゃんにニコポナデポが効かなくて良かった〜。じゃないとこの子の頭撫でられないもん。

 

「まだジュエルシード探してる途中? なんなら荷物置いて合流しようか?」

 

「うぅん。今日は見つからないからもうおしまいなの」

 

「……ね、ねぇなのは。やっぱりもう少し探したほうがいいんじゃないかな?」

 

「ダメですよフェイト。アルフから聞きましたよ、あなた昨日夜更かしして探したんですってね。いくらプレシアに急かされてるからって身体を壊したら元も子もないんです。焦りは禁物、今日はもう休みなさい」

 

「……分かったよリニス」

 

 なんだかリニスがフェイトちゃんのお母さんに見えて来たでござる。……いや、まぁかつて付きっきりで面倒を見てた子ならこうなってもおかしくはないのかな?

 ……それよりも

 

「ねぇねぇフェイトさんや。君はさっきからどうしてリニスの背後に隠れてんすかねぇ?」

 

「え、だって……」

 

「大丈夫だよフェイちゃん! れお君本当はすっごく優しいよ?」

 

「ちょっと喧嘩っ早いけどそれだけなの!」

 

「そんなに喧嘩っぱいかなぁ……アリサちゃんよりは自制してる自覚あるんだけど」

 

「それアリサちゃんに聞かれたら怒られちゃうよ?」

 

「う、うん。悪い人じゃないのは二人を見れば分かるよ。でも……この人、オッドアイだから……」

 

 金髪ぅううう! 何やってんだお前ェ!!

 完っ全にトラウマになってんじゃねえか! 金髪を知ってる周りからも当初はオッドアイと言うことで怖がられたりはしたけど、ここまで怯えられたことはなかったぞ!?

 フェイトちゃんに一体何をしたぁ!?

 

「大丈夫なのフェイトちゃん。レオ君はいいオッドアイだから」

 

「そもそもオッドアイ=悪という前提やめてくれないかなぁ!?」

 

「それにこの間バルディッシュを分解しようとしてたし……」

 

「レオ君、フェイトちゃんに謝るの!!」

 

「すんませんっしたぁああああ!」

 

 どうやらバルディッシュをバラディッシュにすると言う脅しは相当堪えたようで、俺も悪い人認定されてしまっていたようだ。一緒に脅してたアリサちゃんとはすずかちゃんの仲裁で仲直りしてるらしいし納得いかねえぜ。

 なのはちゃんかひなちゃんに仲裁をお願いしようかなぁと企んでいると、ひなちゃんが思いついたように手を叩く。

 

「あ、そうだ! 今日みんなひなのお家に晩御飯食べにおいでよ! ママもお友達連れて来ていいよって言ってたし」

 

「え、いいの? それじゃあご同伴に与ろうかね」

 

「あ、わたしはお母さんが今夜はお鍋だから早く帰って来なさいって言ってるし、今日はもう帰るの」

 

「わたしも帰るよ。ひなのお母さんに悪いよ……」

 

 なのはちゃんはともかくフェイトちゃんはなんだか遠慮してるような感じだ。

 それに一昨日から思ってたけど、なんだかこの子って凄く顔色悪いんだよなぁ。まるで社畜生活で疲弊しきってた俺みたいで…………ま、まさか……

 

「……フェイトちゃん。昨日の晩は何を食べた?」

 

「え、カロリーメイトだけど……」

 

「一昨日は?」

 

「栄養ゼリーだよ」

 

「……いつもそんな感じ?」

 

「うん」

 

「オーケー。それじゃあ昨日は何時間寝た?」

 

「え、二時間だけど……」

 

「一昨日は?」

 

「三時間」

 

「馬鹿野郎!!」

 

「ひぅ!?」

 

 俺に苦手意識を持つフェイトちゃんは怯んでリニスの後ろに逃げ込むが、俺はリニスの背後に回り込む。

 フェイトちゃんは俺から逃げようと更にリニスの前へ行こうとするが、流石にその不摂生な生活習慣を看過できなかったのかリニスに捕まった為、俺は彼女の前へ移動して言ってやる。

 

「あのなぁフェイトちゃん……。確かに俺もカロリーメイツとか栄養ゼリーとか食うよ? 徹夜で作業するときなんかは小腹も満たせて栄養補給できる心強いアイテムだし。……でもさぁ、それ朝ごはんとか夜ご飯とかの代わりにするもんじゃないんだよ!!」

 

「え、そうなの?」

 

「そうだよ! 美味しいご飯食べないと元気になれないんだよ!!」

 

「ちゃんと主食に主菜に副菜、汁物を食べないとダメなの!」

 

「それに睡眠時間だって……そもそも俺らの年代は一日に9時間から10時間しっかり寝ないとダメなんよ!」

 

「え、でもレオは徹夜するって……」

 

「あ、徹夜するにしてもたまにであって、普段は9時に寝て5時に起きてるから……って話を逸らすな馬鹿野郎! ニコポナデポすんぞコラ!!」

 

「ひぃ!?」

 

「ちょ、フェイトちゃん怯えちゃってるの! ……でもレオ君の言う通りだよ。ちゃんと寝ないと集中出来ないんだよ? 今日もフェイトちゃん少しぼーっとしてたよね?」

 

「う、うん……」

 

「それに早寝早起きできない子は大きくなれないってママ言ってたよ!」

 

「う、うぅ……」

 

 三人がかりで叱られたフェイトちゃんは目の端に涙を浮かべる。

 この子ってもしかしたらひなちゃん以上の泣き虫かも知れないなぁ。そんな子が使い魔ありきとは言え二人でジュエルシード集められるのか……?

 フェイトちゃんの情けない姿に心配していると、そんな彼女の様子を見たリニスがため息を吐く。

 

「……仕方ありません。アルフとお母さん……ひなのお母さんにはこちらから伝えておくので、今夜は泊まってゆっくり休んでください」

 

「それが良いよ! フェイちゃんにきょひけんは無し! ひなのお家にれんこーだー!!」

 

「り、リニス離して!」

 

「ダメです! 私は今はひなちゃんの使い魔なので、彼女の命令に従います!」

 

「諦めろフェイトちゃん。諦めて飯を食え」

 

 ジタバタと抵抗するフェイトちゃんを抱っこして連行するリニス。

 やはり元教え子がそんな生活をしているのはリニスとしても問題だと思ったようで、小声で「全くプレシアは何をやっているのかしら? キチンとご飯を食べさせて寝させるように言ってたはずなのに……」と呟いていた。

 プレシアって人がフェイトちゃんの母親かな?

 

「それじゃあわたしもう帰るの。フェイトちゃん、今日はちゃんと休んでね? それじゃあまたね!」

 

「う、うん。またねなのは」

 

「それじゃあひな達もお家に行こっか」

 

「そうだね。……あ、ごめん。先に家に荷物置いてから来てもいい?」

 

「いいよー。ひな達は先帰ってるね〜」

 

「早く来てくださいね? 早くフェイトにご飯を食べさせないといけないので」

 

「はいはーい。今日特売で体力使い果たしたせいで、走るのキツイけどなるべく急いでくるわ」

 

 疲れてる状態だったが少しばかり無茶をして走って帰ると、荷物を置いてひなちゃん家に向かう。

 その晩俺も泊まらないかと尋ねられたが、フェイトちゃん怖がってるし、オリ主を差し置いてヒロインとお泊まりするわけにも行かなかったためこの日は辞退した俺であった。




 〜おまけ〜

 その日の晩……

「スゥ……スゥ……」

「スピー……えへへぇ、こんなに食べられないよぉ……」

「……助かったよリニス。ようやくフェイト寝てくれた」

「この子も頑固ですからね。そう言えばアルフ、なんだかフェイト……すっごく怖がりになってません? 昔はそんなに泣き虫でも怖がりでもなかったはずなのに……一体何があったんですか?」

「聞いておくれよリニス! 聞くも涙、話すも涙の話なんだけどさぁ……!!」


(少女回想中)

「流石はフェイト! あとちょっとだよ!!」

「うん! このまま……!!」

「ヒャッハー! 大丈夫かフェイト、俺様が来たからにはもう安心だ! ジュエルシードから守ってやるよ!!」

「っ!? ちょ、ちょっとそこどいて!!」

「オラオラ死ね死ねぇ! ……チッ、逃げたか」

「逃げたかじゃないよ!」

「コラお前! フェイトが封印しようとしてたのに横槍入れたから逃げちまったじゃないか!!」

「はぁ、俺様のせいにする気かよ! せっかく助けてやったてのに!!」

「何言ってんだい! アンタがしたのは助けじゃなくて邪魔だろう!?」

「あなたが邪魔しなければジュエルシードが手に入ったのに……もう邪魔はしないって誓って」

「……どうしたんだよフェイト、どうしてバルディッシュを俺様に向けてんだ?」

「ジュエルシード入手の邪魔をするならわたしの敵だから……。もう邪魔しないで」

「……あ? なんだよさっきから邪魔邪魔って。せっかく助けてやろうとしたのによ。いくらなんでもツンがすぎるぞ」

(金髪は剣をフェイトちゃんに射出、剣はフェイトちゃんの頬を掠めた)

「……え?」ツー……

「俺様ツンが多い女嫌いだからさ……今ここで教育し直してやるよ!」

「ひ、ひぃ……!」

「なんだいコイツは……フェイト、逃げるよ!!」

(回想終了)


「……それでなんとかアイツからまいたは良いんだけど、逃げる間もバンバン剣を撃って来てね……。フェイトにとってあれは凄く怖かったみたいでトラウマになっちまったんだよ」

「あの金髪オッドアイ……!!」
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