見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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ミッドチルダに行って見た

 金髪の股間に不意打ちの一撃をブチかました上にオリ主君と面識を持ってから数週間後、今日も今日とて鍛錬漬けの日々を送っていた。

 と言うのも前回は不意打ちで金髪を退治する事が出来たとはいえ、真正面から戦ったら勝ち目がない。という事で真っ当に鍛えて今のアイツよりも強くなってやろうと思ったのだ。

 

「う〜ん……」

 

『おやおや、悩んでますねぇ。若い子はたくさん悩んだ方がいいですよ。あ、精神年齢はとっくにおっさんか。アッハッハ「アスカ黙れ」ア、ハイ……』

 

 しかし強くなる事に関して大きな問題にぶち当たっていた。

 

「……やっぱり今俺が使ってるNロッドを更に強化させないとダメだよなぁ」

 

『ですね。ほんのちょっと力んだだけでスクラップになるようでは戦う事は夢のまた夢……Nロッドの大幅アップデートは至急必要でしょうね』

 

 踏み台転生者特典である魔力SSSだが、ほんの少し出力を見誤るとデバイスに膨大な魔力を流してしまい、せっかく作ったストレージデバイス……Nロッドが壊れてしまうのだ。

 

「ただ今の俺の実力じゃあNロッドを修理できても、ここから更に強化するのは難しいんだよなぁ。なぁ、本当にデバイスチート貰ってるんだよな?」

 

『何言ってるんです? マスターが頼んだのはデバイスに関する知識だけで、チート性能のデバイスが作れるような特殊技能なんて頼んでないでしょう?』

 

「…………ゑ?」

 

 詳しく聞くと俺はデバイスを組めるだけの最低限の知識を持ってるだけで、今持ってるチートではNロッド以上の物は作れないのだと言う。

 

「で、でもデバイスに対する知識の補正値は大にしておくって……」

 

『だから確かに対する補正値が大でようやくデバイスを組めるんですって。小だと最低限の基礎を知ってるだけですし、中でも修理程度しか出来ませんよ』

 

「…………マジか」

 

 身体から力が抜けて、膝から崩れ落ちてしまう。

 なんだよ……なんだよそれ……。ストレージデバイスくらいしか作れないって、これじゃあ装備を充実させるのはおろかデバイスマイスターにもなれないじゃんか……。

 

『あぁ、可哀想なマスター……。転生特典にデバイスの知識を頼んでいなければ、今頃SSSの膨大な魔力をフルに使っても問題ない超高性能インテリジェントデバイスを与えられたと言うのにデバイスを作ろうだなんて考えるから……』

 

「……は?」

 

 さり気なくアスカがとんでもないことを言い出した件について。

 え、何? デバイスを自力で作ろうだなんて考えなければ超高性能なインテリジェントデバイス貰えてたの? アスカみたいな性悪AIじゃなくって…………?

 

『あなた今失礼なこと考えましたね?』

 

「うん、考えたよ。『マスター、テメェ……』デバイスの知識を願ったとしても最低限のデバイスを作れるだけで、これさえあれば超高性能デバイスを作れるってわけじゃないのになんだそれ……つまりデバイスの知識を要求したせいでむしろ弱くなった……?」 

 

『あれ? もしかして泣いてます……?』

 

 な、泣いてなんか……あれ、なんで目から汗が止まらないんだろう…………?

 

「う、うぅ……うぅうううううううううっ!!」(号泣)

 

『うっわ〜、メチャクチャ泣いてますよ……』

 

 ……いけねぇ。小さくなったからか涙脆くなってやがる…………。

 落ち着け、希望を持つんだ。さもないと心が折れて原作が始まったタイミングで引きこもりになる未来が見える。……いくらあの邪神でも一丁前に踏み台特典を無理やり押しつけたんだから、そんなクソ雑魚チートを寄越したりなんかしないだろう。

 

『あ、私のストレス発散に付き合ってくれたんで神製の超高性能サポートAIをつけておきますね。改造なりしてインテリジェントデバイスの脳にでもして使ってやってください』

 

 ……あ。

 よく思い返せばあの邪神はアスカをインテリジェントデバイスの脳にしてやれって言ってたな。と言う事はこのチートを上手く使えばアスカほどの高性能AIに見合うほどのデバイスを作れるって事。

 それに考えてみればチートに頼ってばかりで努力しないって、それこそ踏み台じゃねえか。

 

「……つまりは努力をしろって事か…………」

 

『そう言う事です。マスターには頑張ってもらわないと、私も最高のインテリジェントデバイスにはなれませんので』

 

 どうやらアスカは遠回しに勉強しろと言いたかったらしい。

 別にストレートに言ってくれても……いや、それじゃあ俺のためにはならないと思ったんだろうなぁ。なんだかんだ俺のこと考えてくれてるってか……。

 

『なんか生易しい目で私を見てますけど、あなたのショックを受けた表情を見たかっただけですからね。いやぁ、泣いた姿はあまりに滑稽だったんで創造主に送らせていただきますね?』

 

「…………」

 

 コイツ叩き壊してやろうか?

 でもそうと決まれば今日からデバイスの知識を更に深める為に勉強するか。

 ストレージデバイスを作れるくらいには基礎は完璧に理解できてるし、応用から始めてもいいだろう。

 

「よし、なら早速ミッドに行って参考書なんかを買いに行くか」

 

『ですね、思い立ったら即行動です。あ、創造主から返信来ました。男泣きしててマジウケるんですけど〜w……だそうで痛い痛い! な、なんで握るんですか!! 壊れちゃう……私壊れちゃう〜!!』

 

 と言う事で手早く外出の準備を整えた俺はこの性悪AIの能力で時空間転移でミッドへと旅立ったのだった。

 

 

 ◇

 

 

 時空間転移を発動した直後に感じたのは浮遊感。

 だがそれもほんの数秒すると収まり、目を開けるとそこは東京に勝るとも劣らない大都市、ミッドチルダの首都クラナガンだった。

 

「おぉ〜、ここがミッドチルダ……」

 

『はい。それではとっとと目的のブツを購入してずらかるとしましょうか』

 

「だな」

 

 ぶっちゃけ観光したい気分ではあるけど、いかんせん今の俺は四歳だからね。迷子と勘違いされないうちにさっさとデバイスの参考書を購入してずらかるとしますか。

 

『……あ、そういえばマスターってミッドの文字読めましたっけ? 文字読めないと本屋に行くのも難しいでしょうが』

 

「ミッド語は英語と同じだしミッドの文字がアルファベットのどの文字に対応してるのかも勉強したから無問題。ほら、あそこが喫茶店でそこがリサイクルショップだろ?」

 

『このマスターが地味に有能な件について……』

 

 そりゃあ、どっちにしろ近いうちにミッドに行ってみたいなぁって思って勉強してましたから。

 それにミッドの通帳にクラナガンの地図、それに最悪の事態を想定して防犯ブザーなんかも持って来てるから予想外のこともある程度は対応できますぜ?

 

『流石は元社会人、抜かりないですねぇ……』

 

「もっと褒めていいんだぜ? 『調子乗んな』さて、それじゃあさっさと本屋に向かう「あ、ごめんねお嬢ちゃん。ちょっといいかなぁ?」……え?」

 

 早速地図を開いて近くの本屋を探そうとすると大人のお姉さんに呼び止められた。

 咄嗟に数歩下がって防犯ブザーに手をかけたが、彼女の服装を見て警戒するのを止める。彼女の服……間違いない。時空管理局の制服……つまり彼女は管理局員だ。

 

「はいどうしました? あと俺、男です」

 

「え、男の子なの!? ごめんね、髪長いからてっきり女の子かと……」

 

「いえいえ。それで、何かご用でしょうか?」

 

「今あなた管理外世界から転移して来たでしょ? お父さんとお母さんと一緒に来たのかな?」

 

「いいえ。お父さんとお母さんは空の向こうですね」

 

「えぇ!?」

 

 紫色のお姉さんはショックを受けたような表情で俺を見る。

 ありゃりゃ……流石に四歳のガキンチョが両親と一緒じゃない。ましてや父と母とは既に死別したって流石に重いかな?

 そんな事を考えていると、局員のお姉さんはしばらく考えたような素振りをしたかと思うと、俺の両手を包み込む。

 

「あなた……ウチに来ない? あなたみたいな子は親と一緒の方がいいよ。丁度子供欲しいなって思ってたし、大切に育てるから……どうかな!?」

 

「絶対嫌です。その手を離さないと防犯ブザー鳴らしますよ?」

 

 何が悲しくって今更誰かのましてや初対面の人の養子にならなければならないんだ。

 彼女が局員じゃなければ今頃とっくに防犯ブザー鳴らしながら全力ダッシュで逃げてるぞ。

 

『あー……失礼管理局員の方。コイツちょっと色々あって親という存在そのものに嫌悪感を抱いてるパターンなんで出来れば放っておいてあげてくれませんか? なんだかんだ逞しいやつなんで一人でも十分生活できてますし……』

 

「そ、そうなの……? でもやっぱりその歳なら私じゃなくても誰かの庇護の元にいた方がいいと思うんだけど……まぁ、それは少しずつ外堀を埋めていけばいっか」

 

 なんて物騒な事を言う公務員だろうか? 相手が局員だろうが防犯ブザーを鳴らそうかと葛藤していると「はいはい、心配しなくてももう誘わないよ」と言いながら警戒を解くためか俺に笑いかける。

 

「それじゃあお仕事しちゃうけど、管理外世界から管理世界に転移して来た人は一番最初に入国許可を取らないといけないんだ。君も小さいけどちゃんと手続きすれば審査に通るはずだからちょっと難しいかもだけど入国審査しようね?」

 

 へぇ、入国審査なんてあるんだな……って、そりゃあ言ってしまえば外国から急に入って来たんだしそりゃあ入国審査もあるか。

 ここで拒否する必要もないため素直に「分かりました」と言うと、局員のお姉さんはニコリと微笑む。

 

「それじゃあすぐ近くだからお姉さんが連れてってあげる」

 

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 

 入国審査の為にお姉さんに役場に案内してもらうのだった。

 この際どこに何があるのか大体の場所をお姉さんに聞こうかな?




 〜おまけ〜

「あそこがクラナガン最大の百貨店だよ。欲しいものはあそこで大体揃うよ」

「へぇ、入国審査終わったらあそこに行って見ようかな……」

「そして向こうを真っ直ぐ進めば遊園地があるんだけど……君くらいだと大人と一緒じゃないと入れないかな〜」

「そうですか。まぁ行こうとも思わないし、入れるような年齢になってから友達と機会があればですね〜」

「ぐぬぬ、意外と強敵……」

「あ、いたいた。クイント〜!」

「ん? どったのメガーヌ?」

「アンタのパトロール地点で小さい子にウチの子にならないって言い寄ってる変な局員がいるって通報があったんだけど……」

「なんですって!? 局員ともあろう者が親から子供を引き剥がそうとするなんて許せない!! 私今この子を役場に送ってる所だからメガーヌは犯人を探し出してちょうだい!!」

「犯人あなただと思いますよお姉さん」

「やっぱり犯人はクイントか……。あのねぇ、ゲンヤさんにも言えることだけど子宝に恵まれないからって片っ端から親いない子を養子に誘うんじゃないわよ……」




……はい、お姉さんの正体はクイントさんでした。
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