見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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いい加減、話しを聞けぇ!!

 ひなちゃんの必死の介抱のおかげで胸の痛みが引いたのか、静かに眠るアリサちゃんとすずかちゃん。

 そんな二人の状態に胸を撫で下ろしながら、必死に髪にペンを滑らせていた。

 

「我が親愛なる祖母、ミゼット・クローベルへ……。あなたがこの手紙を読んでいるとき、私はこの世にはいないでしょう。私の身体はきっと限界をとどめていないほどの……いや、亡骸すら残らないかもしれません。しかし私を殺めた人をどうか恨まないでください。これは私の自業自得なのです……」

 

「えっと……レオはなにしてるの……?」

 

「遺書を一筆したためてるの」

 

 アリサちゃんとすずかちゃんが同時に倒れたということは、その原因は確実にバッテリーデバイスが原因。

 そして二人が倒れたともし両家の親御さんに知られた場合、いくら二人には事前にバッテリーデバイスのリスクなんかを説明していたとしても俺は許されないだろう。

 その上二人は良家のお嬢様……言わば権力者の家柄の子達だ。つまりバニングス家と月村家の怒りを買った俺は文字で表現できないような目に合わせた末に消されるのが関の山……。

 

「だからせめて唯一の親族(自称)にお別れの言葉でもと……」

 

「そっか……。短い間だったけど楽しかったよ、きちんと成仏してね」

 

「全てを諦めるのが早すぎるの、レオ君! そしてその返しはあんまりだと思うな、フェイトちゃん!?」

 

「そうだよ! れお君がいなくなっちゃうのイヤ!!」

 

「というかそもそも、二人が倒れたのはバッテリーデバイスが原因なのか? お前に限って不良品をアリサ達に使わせるなんて事はしないと思うけど」

 

 そりゃ、バッテリデバイスのせいで死にましたって展開は嫌だし、一億回くらい安全検査した上に定期的に二人に身体の状態とか聞いてたけどさ……。

 

「でも倒れたって事は重要ななにかを見落としてたとしか……」

 

「あ、そういえば今日のリサちゃんとすずちゃんは凄く張り切って魔法を使ってたよ。リサちゃんはいつもよりも激しく剣を振り回してたし、すずちゃんも氷のバインドなんかをいっぱい張ってた」

 

「てことは魔力を使いすぎて倒れちゃったのかな?」

 

「そこは問題ないはずなんだ。身体に影響が出るほどの魔力の行使は出来ないように制限かけてたし、フレイムアイズとスノーホワイトに搭載しているAIにも勝手に解除できないようにしてた」

 

 故に今回の原因として考えられるのは俺が限界を間違えてしまっていた。フレイムアイズとスノーホワイトがなんらかの不具合を起こして、魔力の制限が解除されてしまっていた。もしくはその他のイレギュラーが起きた。

 

「とりあえず一度キチンと調べてみろよ。ひなのおかげで二人の容態も落ち着いたんだし、デバイスが不具合を起こしてるならしっかり修理するべきだろ」

 

「せやね、解析してみるか。アナライザー、セットアップ」

 

 懐から白色のカードを取り出して展開すると、それは銀色のバイザー型ゴーグルに姿を変える。

 これは解析や探知にスペックを全振りしたもので、これ一つで癌とかも瞬時に見抜けるほどの透過能力と解析能力をつけている。

 また、アナライザーで読み取った情報をアスカやPCなどの機器に回して情報を処理することも可能だ。

 

「……アスカ、ぱっと見だと二人のデバイスに異常が見えないけど、どんな感じだ?」

 

『そうですね〜、ぱっと見どこも不具合はありません。強いていえばフレイムアイズのフレームが熱で0.01mm歪んでるくらいでしょうか』

 

「次のメンテナンスでもう少し熱耐性のあるフレームにしておくか。でもフレームの歪みは関係ないし一体何が原因で……ん?」

 

 二人のデバイスに問題がないという事で何が原因か分からず、なんとなくアリサちゃんとすずかちゃんをアナライザーを倒して見ていたが二人の身体に少し異変を感じる。

 それを注意深く観察するとアリサちゃんとすずかちゃんの胸の中心に朱い光と紫の光があって……

 

「……アスカ、これってアレだよな?」

 

『アレですね。大方胸を押さえて痛がってたのは、この光が原因でしょう』

 

「レオ君、アリサちゃんとすずかちゃんは……」

 

「えっと……うん。今起きてる四人組、集合ー」

 

 気を失っているアリサちゃんとすずかちゃん以外のメンバーを呼び出して解析結果を伝える。

 結論から言うと二人の命に別状はなかったし、一度キチンと検査する必要があるとはいえ、この先再び倒れる事はもうないだろう。

 なんというか……嬉しすぎる誤算だった。

 

「ん……」

 

「あれ……?」

 

 二人が倒れた原因的に二人の実家に消されることもなさそうだと胸を撫で下ろしながら、したためた遺書を破り捨てていると、胸を撫で下ろしているとアリサちゃんとすずかちゃんの二人が目覚める。

 

「あれ、アタシ……急に胸が苦しくなって……」

 

「リサちゃん! すずちゃん! 大丈夫……!?」

 

「え、えぇ。大丈夫よ」

 

「う、うん。心配かけてごめんね」

 

 どうやらもう痛みや苦しさはないようだ。

 おそらく急に胸の()()が覚醒した事で一時的に身体が拒絶反応を起こしてしまった。だが胸の覚醒が身体に悪いものではないとすぐに身体が理解したのか、痛みも退いたとかそんなところだろう。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん。悪いけど二人は三日から一週間くらい安静にしててくれないかな? その間にフレイムアイズとスノーホワイトを最適化しておくから」

 

「……え?」

 

「それはどういう事…………?」

 

 ()()が覚醒したばかりなのに魔法を行使するのは身体的なリスクがある。

 それに身体の状態が変わってしまった二人にバッテリーデバイスを使う事は出来ない。二人の身体に合うように調整しなければならないのだ。

 そう説明しようとしたが、突如焦った表情の二人が俺に詰め寄ってきた。

 

「待ちなさいよレオ、フレイムアイズは良くやってくれてる……! 改造する必要なんて……」

 

「そうだよ。今回は私達が調子に乗ってたくさん魔力を使っちゃったから……」

 

「え、急にどうした二人とも……あ、そっか。倒れた理由を話してないのに急にんなこと言われても困るわな」

 

 大方一度倒れてしまったことで、バッテリーデバイスを取り上げられて魔法が使えなくなってしまうことを怖がっているのだろう。

 原因を話さずに休め、デバイスを渡せって言うべきじゃなかったな。反省反省。

 

「大丈夫だよ二人とも。倒れた原因についてだけど「ちょっと落ち着いてアリサちゃん、すずかちゃん! フレイムアイズとスノーホワイトが悪いんじゃないよ。アリサちゃんとすずかちゃんの身体が変わっちゃったから、二人のデバイスを最適化させるだけなの!!」ちょ、なのはさん?」

 

「そう言ってアタシ達のデバイスを使えなくする気でしょ!? 今までこの子と一緒に頑張って来たのに一度倒れちゃっただけでお役御免なんて冗談じゃないわ!!」

 

「そうだよ! 私達はまだ頑張れるし、次からは倒れないように気をつける……だからお願い、私達も戦わせて!!」

 

「嫌だからこれからも戦って頂くために改造をですね「でもリュウヤの前で倒れちゃったし、この状態で戦うのは危険すぎる……! 今はちゃんと休むべきだと思う」あ、あのフェイトさん?」

 

「アンタ達には分からないわよ! 魔法の才能のない……バッテリーデバイスに頼らないと戦えないアタシ達の気持ちは!!」

 

「リサちゃん駄々っ子はダメだよ! 少しだけお休みするだけだし、その間はひな達が頑張るから!!」

 

「でもみんなだけで戦わせてられないよ!!」

 

「アリサ、すずか。分かってくれ、これは二人のためでもあるんだ。だから……」

 

「分からないわよ、絶対にフレイムアイズは渡さない……! アタシ達も最後まで戦うんだから……!!」

 

「そうはさせないの! アリサちゃんとすずかちゃんの為にも……ここでバッテリーデバイスを没収するよ!!」

 

「抵抗しないで。アリサ、すずか」

 

「上等よ! 行くわよすずか!!」

 

「う、うん! ごめんね、みんな!!」

 

「こうなったらひなも戦うよ! すぐにやっつけちゃうんだから!!」

 

「無論オレもだ。無茶しようとするのを看過できないからな。行くぞアリサ、すずか、恨みっこなしだ!!」

 

「…………(怒)」

 

 キチンとした説明をせずに頭ごなしに休めと言うなのはちゃん達と、戦い続けることに意固地になって話しを聞かないアリサちゃんとすずかちゃんにはお仕置きが必要だ。

 無言で喧嘩してるみんなの元へ歩み寄ると、なのはちゃんの頭とアリサちゃんの頭に掌を優しく乗せる。

 そして何をされるか察しがついたのか、顔を真っ青にしながらこちらを向くヒロインズ達に対してにっこりといい笑顔を浮かべると……

 

「いい加減に……しろやコラァアアアアアアアアッ!!!!」ナデナデナデナデナデナデ

 

「「あぁあああああああああ!?」」

 

「「ひぃ!?」」

 

「ほらフェイトちゃんとすずかちゃんも!!」ナデナデナデナデナデナデ

 

「「ひぁああああああああああ!!」」

 

「さて次はひなちゃんとヤマトだけど……」

 

「はわわ……れお君が怒っちゃった……で、でもひなはれお君の頭ナデナデは効かな「次遊びに来たときはお菓子抜きです」そんなぁああああああああ!!」

 

「くっ、ひなまでやられたか……だがオレはお菓子もニコポナデポも効かな「秘技、飛龍竜巻投げェ!!」略してドラゴンスクリュゥウウウッ!!??」

 

「お〜い、フェイト〜。魔力反応を感じたけど一体何があったんだい……って、レオ以外全員倒れてるけど一体何があったんだい!?」

 

「あ、アルフ。今回はなのは達の自業自得だから大丈夫だよ」

 

 

 ◇

 

 

「頭は冷えましたか?」

 

「「「「「「…………はい」」」」」」

 

 なのはちゃん達にはニコポナデポ、ひなちゃんにはお菓子抜き宣言、ヤマトには純粋な暴力で黙らせた俺は、喧嘩に参加しなかったユーノ君とO☆SHI☆O☆KI途中に合流したアルフを除いたみんなを正座させていた。

 ……うん、みんな落ち着いてるし今なら色々と説明をすることが出来そうだね。

 

「単刀直入に言います。アリサちゃんとすずかちゃんの身体を解析した結果、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「リンカーコア……?」

 

「魔力を発生させる器官……つまり魔導師としてと心臓とも言える内臓の事だよ」

 

 本来リンカーコアは誰にでもある器官だが、魔法の才能がない者のリンカーコアは非常に小さく、それから魔力を発生させることが出来ない。つまり魔力を持たないから魔法を使うことが出来ないのだ。

 だがアリサちゃんとすずかちゃんのリンカーコアはバッテリーデバイス内にある魔力を流し続けた事で活性化したのか、なのはちゃんやフェイトちゃんと遜色ないほどの大きさに肥大化し魔力を発生させるようになったのだ。

 

「それってつまり……」

 

「アタシ達も、ヤマトやなのは達と同じく……」

 

「イエス、バッテリーデバイスに頼らなくても魔法を行使できるようになったのです!!」

 

「「…………」」

 

「あれ、泣いて喜ぶと思ったのに二人とも呆然としてらぁ。喜ぶと思ったんだけど……」

 

「いや、嬉しいは嬉しいんだけどね……?」

 

「いきなりすぎて現実感がないと言うかなんと言うか……。ま、まぁ何はともかく、アタシ達はこれからも戦えるのよね?」

 

「うん。でもリンカーコアが覚醒したばかりだから数日は魔法を使うのを控えた方がいいってのと、魔力を持ってる人がバッテリーデバイスを使ったら故障するから、二人のデバイスを普通のインテリジェントデバイスに作り変えないといけないんだよ」

 

「そう……そう言うことならフレイムアイズはアンタに返すわね」

 

「早とちりしちゃってごめんねレオ君」

 

「いえいえ」

 

 ただ、二人がなのはちゃん達と同じちゃんとした魔法少女になって嬉しい反面、一つ大きな問題がある。それはつい先ほど取り逃しちまった金髪についてだ。

 リンカーコア覚醒の影響でアリサちゃんとすずかちゃんは数日魔法を使えない上に、俺も二人のバッテリーデバイスをインテリジェントデバイスに作り替えるのに時間がかかる為、金髪の追跡や他のジュエルシードの捜索に参加できない。

 つまりしばらくはヤマト達4人で戦わなければならないのだ。

 

「しばらくの間戦力が大幅ダウンだけど大丈夫なん?」

 

「大丈夫、みんなのおかげでまた言霊を使えるようになったし、何かあったらなのはもフェイトは守ってみせる」

 

「「ヤマト君……」」

 

「うんうん、それにひなもまだとっておきの魔法があるもんね。だから三人は安心して任せてくれて大丈夫だよ!」

 

「そっか。ちょっとの間戦えないのは残念だけど……」

 

「アタシ達がいない間よろしく頼むわよ」

 

「それじゃあ俺もさっさとデバイス改造しないと行けないから今日は帰るわ。申し訳ないけど金髪が出たらよろしくな!!」

 

 残念ながら俺とアリサちゃんとすずかちゃんは当分の間脱落だ。

 ある意味今回の金髪のブロリー化は俺の油断も原因にあるため、それの尻拭いをヤマトらにさせてしまうのは心苦しいが、せめて急いで作業を終わらせてみんなに合流しないとな。

 

 ……あ、そろそろタイムセールのお時間だしスーパー寄ってから帰ろ。




 〜おまけ〜

「それにしてもアリサとすずかのリンカーコアが覚醒した……か…………」

「どうしたんだユーノ?」

「ヤマトは驚いてないの? レオの発明したバッテリーデバイスっていうのは魔法の才能のない人に才能を与えるデバイスなのかもしれないんだよ!?」

「リンカーコアが覚醒するってそんなに凄い事なの?」

「凄いなんてもんじゃない! ただでさえ魔法が使えない人が擬似的に戦えるようになるだけでも充分すぎるほどに凄いのに、リンカーコアが覚醒して魔法を使えるようになるだなんて、もしこれを管理世界で公表したら大きな技術革新が起きる!! まさに世紀の大発明だよ!!」

「そんなに!?」

「そ、そんな凄いデバイスを私達は今まで使ってたんだね……」

「もしかしてレオってアタシが思ってるよりも天才なのかしら……?」

「うん! れお君はとっても頭がいいんだよ、えっへん!!」

「なんでひなが自分の事みたいに…………でも、そんなに頭がいいならジュエルシードを作れたりもするかな……? だとすればお願いして作ってもらったら母さんも……」

「やめなフェイト。あの坊主が管理局に捕まっちまうよ」

「あいつのこと、これから博士って呼ぼうかな……。と言うか世紀の大発明をしたって今頃狂喜乱舞してるだろあいつ……」


 〜一方その頃〜

「と言うかよくよく考えたら、バッテリーデバイスって魔法の才能がない人でも魔導師になれるってことじゃ……こりゃあ世紀の大発明! 論文を書いて特許を申請すれば億万長者だぜヒャッホウ!!」

「レオ君ったら、急に小躍りを始めてどうしちゃったかしら?」

「こらレオ君、ここで体力を使ったら商品取れないわ「桃子さん、ここは黙ってましょう。なんで小躍りしてるかは知らんけど今のうちに消耗させて、少しでも有利にするべきやと思います」そうね、はやてちゃん」
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