見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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初めて会ったときか、懐かしいな…………

 お嬢様二人のリンカーコアが覚醒したと言うことで、現在進行形で二人のバッテリーデバイスをインテリジェントデバイスに作り替える作業を始めて早三日、デバイスの改造も山場となっていた。

 ひなちゃんから毎晩連絡をもらってるけど、金髪はどっかに隠れてるのか見つからないみたいだし、アリサちゃんとすずかちゃんも倒れて以降は具合が悪くなってないみたいだから一気に仕上げて合流したい所である。

 

「「…………」」

 

「…………」

 

「「…………」」

 

「……ところでお嬢様お二人、なんで俺ん家にいるんですかね?」

 

「今日はバイオリンのお稽古がお休みだったから……」

 

「いくら休養中とはいえ、アタシだけ家でダラダラするのも落ち着かなくてね」

 

「まぁ、気持ちは分かるよ。こうしてのんびりしてる間にヤマト達が金髪とやり合うかもしれないし。でもさ……一応俺、踏み台なんよ」

 

 俺が悪ふざけでしか金髪みたいなことをしないって信頼してくれてるからかは知らないけど、抑止力になりうるヤマトもいないのに踏み台の巣窟に身体なんていくらなんでも無謀すぎやしませんかね?

 

「大丈夫だよ。レオ君はオッドアイだけど良い人だもん」

 

「アタシ達の為にデバイスを作ってくれてる善人が、悪ふざけ以外でリュウヤみたいな事する訳ないじゃない。オッドアイだけど」

 

「取り敢えず二人は金髪を除いた世界中のオッドアイの方々に土下座して来な」

 

 全く。金髪のせいですっかりオッドアイ=悪いやつっていう定義が定着してやがる。

 このままじゃこの街に引っ越してくるオッドアイの人は俺みたく肩身の狭い思いをしながら生活しなければならなくなるんじゃないか。

 これ以上オッドアイの悪評が広まる前に金髪は処分した方が良いのかもしれん。

 

「これは一刻も早くデバイスを完成させてヤマト達と合流しないとな。……ふう、それにしてもバッテリーデバイスを魔導師対応デバイスに作り替えるなんて想定してなかったから思った以上に時間かかるなぁ……。ごめんだけど、もうちょいかかるかも」

 

「うん、大丈夫だよ。精密機械を手作業で作るなんてすっごく時間がかかるって知ってるから。…………それにしてもスノーホワイトの中身ってこうなってるんだね。ここの仕組みはコンデンサーの代わりなのかな?」

 

「アタシはもう何が何だか分からないわ。よくこんな複雑なのを組み立てられるわよね」

 

「そりゃあデバイスの勉強なんかは本気でやったからねぇ」

 

 せっかくの知識チートもストレージデバイスを組み立てるくらいの知識しかなくて役に立たなかったから、当時はオリ主や金髪に舐められないようにって気持ちをバネにガチで勉強したからね。東大……いや、ハーバード大の受験生以上に勉強してた自信はある。

 しかも使えるかもって思って地球のプログラムとか機械工学まである程度は頭に入れたし……我ながらよくあそこまで勉強できたもんだ。

 

「ねぇすずか。アンタならデバイス組めるんじゃないの? 機械いじりが趣味なんだし」

 

「む、無理だよ。私なんてまだまだ趣味の範疇を出てないんだから……」

 

「何が趣味の範疇を出ていないよ。この間なのはのお家のテレビが壊れたときに、アンタなのはと一緒に完璧に修理してたじゃない」

 

「そ、それはそうだけど〜……」

 

「うん、完全に趣味の範疇超えて専門知識まで吸収してますがな。と言うかなのはちゃんも修理に携わったのかよ」

 

 いや、知ってたよ? なのはちゃんも隠してるけど実は機械弄りが結構好きって。

 だって一年位前にひなちゃんのホープになのはちゃんが興味沸いて、二人で取り返しがつかないレベルまでデバイスを分解して俺に泣きついて来たことあるもん。

 と言うかなのはちゃんって、お菓子作り、機械弄り、飛行機オタクって結構多趣味なんだよなぁ。

 

「まぁなのはちゃんの事はいいや。テレビの修理ができるほど工学系に理解があるなら、少し勉強すれば簡単なデバイスを組めるようにはなれるかもしれないね」

 

「ほんと!?」

 

「うぉっと!? す、すずかちゃんは近い近い! 作業中、わたくし作業の途中でしてよ!!」

 

「あ、ごめんね!!」

 

 ふぅ、ビックリした、急に詰め寄ってくるんだもん。

 すずかちゃんがデバイスに興味あるの知ってたけど、彼女の興味がここまでとは思わなかった。

 

「えっと……興味あるならこの事件が終わった後にでも教えようか? デバイスの組み方」

 

「え、いいの?」

 

「うん」

 

 どうせアニメとか見てなくて暇なときなんかは、適当にデバイスを作って時間を潰しているのだ。

 ならばその時間を使って教えてあげるのも悪くはない。それにこっちもアウトプットの良い勉強になるだろうし。

 

「え……。これは予想外だったわ……」

 

「なんでアリサちゃんが驚いてんの?」

 

「レオの事だから、すずかが弟子入り志願しても断ると思ってたのに、まさかアンタから誘うなんて……」

 

「アリサちゃんが俺をどう言う風に見ていたのか、よーく分かったよ」

 

 報復としてもし現在作業中のフレイムアイズは手抜きで作ってや……ごめん、やっぱ今のなし。魔導師の命を預かるデバイスを適当に作るなんて流石にアウト……と言うか職人として論外だわ。

 

 それにすずかちゃんにデバイスの作り方を教えるのはこちらとしても利点はある。

 もしデバイスが不具合を起こしたり、壊れてしまった際は次からは自分で修理できるだろうし、なんならヤマトがデバイス壊したときはすずかちゃんが修理すれば奴の好感度も上がるだろうし。

 

「なんならデバイスの教本でも読んでみる? ミッド言語で書かれてるけど、ミッド言語=英語だからすずかちゃんなら読めるは──」

 

『もしもし、レオ、ちょっと良いかな!?』

 

 せっかくだからと本棚に入れてあった教本を取りに行こうと席を立った瞬間、フェイトちゃんから念話がかかって来た。

 その声は切羽詰まっており只事でないのだろう。

 

「ど、どうしたのよレオ。立ちあがろうとしたら急に止まって?」

 

「あ、そういえば二人は今まで念話使った事なかったっけ?」

 

 バッテリーデバイスは便利だが変身している間しか魔法が使えないと言う制約上、変身してるときしか念話が使えない上に、変身後は基本みんな一緒に行動するから念話の使い方を教えてなかったなそういえば。

 

「悪いけどフェイトちゃんから念話がかかって来たから。二人にも後で教えるね」

 

「分かったよ」

 

『はいはーい、こちらレオ。どったのフェイトちゃん』

 

『リュウヤを見つけたんだけど大変な事になった。アリサ達のデバイスを作ってる所で悪いけど、すぐに合流してほしい!』

 

『大変な事……、一体何があった?』

 

『ついさっきリュウヤを見つけてジュエルシードを取り返そうとしてたんだけど……二つ目のジュエルシードを吸収してしまった!!』

 

「マジかよ!?」

 

「「!?」」

 

 ぶっちゃけあの金髪ブロリーは大して強くなかったが、ジュエルシードを2個も吸収すると言う事はその力は2倍ではなく、相乗効果で2乗されるはずだ。

 おそらく4人だけでは対処がしきれないだろう。

 

「な、何かあったのレオ君!?」

 

「金髪が二つ目のジュエルシードを吸収。超絶パワーアップ。俺も助太刀に行かなきゃまずいかも」

 

「何ですって!?」

 

 驚愕の表情を浮かべるアリサちゃんとすずかちゃん。

 二人はまるで行きたそうな顔を……ま、二人ならそう言う顔をするわな。

 …………よし。

 

『10分! 自分の身を守る事に全力を注いで良いから10分だけ何とか四人で頑張れない!? 今作業も最終盤に入ってて後10分以内に完成する! そして丁度アリサちゃんとすずかちゃんも近くにいるから、完成したら三人で合流できる!!』

 

『10分……分かった、何とか頑張ってみるよ!!』

 

 フェイトちゃんからの念話が切れると同時、俺はすぐさま座り直して作業を再開する。

 

「二人とも! 10分以内にデバイスを完成させる! 家を出る準備をして!!」

 

「え、良いのレオ君!?」

 

「うん、こうなったら7対1の数の暴力でぶっ飛ばしてやろう!!」

 

「……そうね。一度リュウヤの顔面をぶん殴りたいと思っていた所だわ!! ありがとうレオ、急いで準備をするわね!!」

 

 さて、ここからは時間との勝負、ヤマト達が全滅する前に作り上げて合流する!!

 先ほどよりも集中力を上げて、早く手を動かしてデバイスを作り上げていく中、アリサちゃんとすずかちゃんの二人は大急ぎで我が家を出る準備をする。

 

「ねぇアリサちゃん、覚えてる? 私達が初めて会ったときのこと……」

 

「……えぇ、忘れもしないわ」

 

「初めて会った頃はさ。私は今よりずっと気が弱くて、思ったことは全然言えなくて、誰に何を言われても反論できなくって……」

 

「アタシは我ながら最低な子だったっけね……。自信家で我儘で、だからクラスメイトを揶揄って馬鹿にしてた……」

 

 お、入学式当日の出来事か。懐かしいな。

 ……え、二人の会話を聞き入ってる余裕はないだろ?

 ククク、こちとら聖徳太子もビックリなレベルのマルチタスクの使い手、作業をしながら聞き耳を立てる……なんなら返答をすることくらい楽勝なのだよ!

 

「当時は俺も金髪と一緒にされるのがコンプレックスで、それについて追求したやつとは喧嘩してたっけ? まぁそれは今もだけど」

 

「そうだったわね……。アタシがすずかのカチューシャを取って揶揄ってたとき、なのはに頰を叩かれて……」

 

「あのときなのはちゃん、何て言ったんだっけ?」

 

「痛い? でも取られた方はもっと痛いんだよ」

 

「ふぅん、あのなのはちゃんがそんな事をね……。小学一年生が言う言葉じゃないな」

 

 なのはちゃんって俺やひなちゃん、ヤマトがいるときは年相応なのに、何故ここぞと言うタイミングで精神年齢が一気に成熟するのだろうか?

 もしかして本当は精神年齢が高いはずなのに、俺らの影響を受けて精神年齢が下がってるんじゃ……いや、考えるのはやめよう。精神年齢が下がってるとしても、それで年相応だから問題無かろうなのだ。

 

「そしてその後アリサちゃんとなのはちゃんが取っ組み合いの喧嘩になっちゃって……」

 

「それを見たひなが止めようとしたけど、アタシとなのははそれでも止めずにひなは泣いちゃって……」

 

「そして、ひなちゃんの泣き声を聞いた俺が駆けつけたけど……」

 

「アタシがレオの気にしてる事を言ったせいで、レオも喧嘩に加わった……。あの時はリュウヤと同類扱いして本当に悪かったわ」

 

「いや、それは俺も同じだからお相子だよ」

 

 う〜ん。それにしても、俺となのはちゃんとアリサちゃんは取っ組み合いの大喧嘩。そしてその近くでひなちゃんはギャン泣きして、それをすずかちゃんが宥めながらもオロオロして……うん、カオスだな。

 

「そしてそれを止めたのがヤマトと……」

 

「ことの発端の酷くおとなしい子」

 

「あの時は、だって、必死だったんだよ……」

 

 そうそう、オロオロしてたすずかちゃんが大きな声で「やめてっ!!」と言ったと同時に俺はヤマトの裏拳で沈められて、喧嘩を止めたなのはちゃんとアリサちゃんをヤマトが仲裁したんだった。

 

「……あれ、俺だけ扱いが酷いような……あれで奥歯取れたんだけど……」

 

「ええっと、それは災難だったねとしか……」

 

「近いうちに仕返しするか。正確にはマキシマムブラスト中に手元が狂ってヤマトを巻き込んで……」

 

「止めなさいよ、時効でしょうが。……そしてあの喧嘩と、ヤマトって言う共通の友人がいたのがきっかけでなのは達と話すようになって、すぐに友達になって……」

 

「それから6人で一緒に遊んだね。ヤマト君のお家でお泊まりもしたし、一緒に旅行にも行った」

 

「そして魔法を通じてフェイトちゃんと出会って友達になった」

 

「……私はみんなと一緒にいるのが好き。ひなちゃんもなのはちゃんも、ヤマト君もフェイトちゃんも……そしてアリサちゃんやレオ君だって欠けてほしくない」

 

「アタシもよ。だからなのは達だけで危険な目にあって欲しくない。アタシ達も手伝うの」

 

「そうだね。その為の魔法……その為のデバイスだ。アリサちゃん、すずかちゃん、出来たよ」

 

 話している間に二人のデバイスの調整が完了した為、二つを待機状態に戻して二人に差し出すと、二人は頷いてそれぞれの愛機を手に取る。

 フェイトちゃんとの念話から大体7分……予想よりも早く仕上げられたな。

 

「さ、急いでヤマト達と合流しよう」

 

「えぇ、行きましょう」

 

「みんなでジュエルシードを取り戻そう」

 

 俺達は三人で頷き合うとアリサちゃんとすずかちゃんは新生フレイムアイズとスノーホワイトを、そして俺はポニーテールのゴム紐にくくりつけていた星型のエンブレムを手に取る。

 流石にジュエルシードを2個取り込んだ金髪が相手なら手加減は無しだ。とっておきのデバイスで行かせてもらう。

 

「フレイムアイズ!」

 

「スノーホワイト!」

 

「アスカロン!」

 

「「「セットアップッ!!」」」




 〜おまけ〜

 一年前……

「ねぇねぇ、ひなちゃん」

「なーに、なのちゃん?」

「ひなちゃんの魔法のステッキを見せて欲しいの」

「いいよ〜。はい」

「ふわぁ、可愛いの……」

『そうでしょう、そうでしょう? 私はひなちゃんの為に作られたデバイスですから』

「……これって中身どうなってるのかな?」

『……え?』

「あ、実はひなもちょっと気になってたんだよねぇ。どうやってお喋りしてるんだろうとか、どうやって待機モードになってるのかなとか」

「だよねだよね。ちょっと気になっちゃうよね?」

『ちょ、ひなちゃん……? なのはちゃん……?』

「……ちょっと見てみよっか?」

「賛成なの! ドライバーとかペンチとかの工具持ってくるね!!」

『……え、ちょ、ひなちゃん。一旦冷静になりましょ、ちょ、やめてくださ……やめ……わ、私の……私の側に近寄るなぁああああああああッ!!』


 〜数時間後〜

 ピンポーン

「あ、いらっしゃい、ひなちゃん、なのはちゃん。丁度今ヤマトが遊びに来てるから四人で「うぇええええん! ホープが……ホープがぁあああああっ!!」ちょ、どうしたのひなちゃん!?ホープがどうか……し……た…………?」

「ごめんね、レオ君……。ひなちゃんのデバイスを分解したら複雑すぎて戻せなくなっちゃったの……」

「え、ひなのデバイスがなんだって……うぉ、ミラクルホープが原形を留めてないレベルでバラバラになってる!?」

「…………」(絶句)

『アハハハハハハハハハハハッ!! なんてザマですかホープ、私を未完成品と馬鹿にしたあなたが、ジャンクになるだなんて……アハハハハハハハハハハハwwwwww』

『ワ……わタ……ワタし…………ハ……じゃんク……なんかジャ…………ジャんく……なんかジゃ……』

『アスカロン、その辺にして下さい。大変でしたねミラクルホープ。分解された程度ならマイスターの手でなんとかなりそうですが……修理できますか、マイスターレオ?』

「うん、この程度なら10分で組み立てられるけど、その前に……ひなちゃん、なのはちゃん! こればっかりは流石に許せません、正座しなさいっ!!」

「………………子供って、ときに残酷だよな」


 その後、ホープはひなちゃんとなのはちゃんへのお説教が終わったレオ君の手で僅か10分で綺麗に修理され、それ以降ホープは少しだけレオ君に優しくなりました。
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