見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます! 作:蒼天 極
「リュウヤさん、見つかりませんね……」
「そうだねぇ、一体どこ行ったんだあのクソガキ……」
リンカーコアの覚醒の影響で、数日休まなければならなくなったアリサとすずか、そして二人のデバイスを改造しなければならなくなったレオが一時離脱して早三日。
三人の抜けた穴を普段別行動でジュエルシードを探しているアルフとリニス、そして療養に専念していたユーノに埋めてもらい、七人で龍帝院の捜索を行っているが一向に見つかる気配がしない。
「こんなときにすずかがいたら、スノーホワイトのレーダー機能を使ってリュウヤを探す事ができそうなんだけど……」
「そうだね。それにもしリュウヤ君を見つけたとしても、アリサちゃんがいないからヤマト君が一人で前線を維持しないといけないんだよね?」
「うんうん。それに今回はれお君もいないから、リュウヤ君を簡単にやっつけられるか分かんない」
「……いなくなって初めて人のありがたみを知るって奴だな」
確かにみんなの言う通りだ。
レーダー機能や補足、そして強力な防御魔法を持つすずかがいれば、より広範囲の索敵だけでなく、戦闘においても強力なプロテクションによる援護が出来るだろう。
オレと同じく御神流を学んでおり、炎の魔力剣で間合いを気にせずに戦えるアリサがいれば、オレの攻撃の合間を埋めてくれるだけでなく、強力な一撃で相手を怯ませて相手の隙を作る事ができるだろう。
近距離、遠距離、索敵、援護、なんでもござれなオールラウンダーであり、龍帝院の天敵でもあるレオがいれば、より安定して戦える上に予想外の事態が起きても柔軟に対処してくれるだろう。
……龍帝院も今の所大人しいし、この際三人が合流するまで静かに待つべきなのかもしれないな。
…………。
「……いや、それは流石にダメだよな」
「どうしたのヤマト君?」
あの三人がいないからってなに甘えた事を考えてるんだオレは!
きっとレオがいたなら「なに腑抜けてんだこのオリ主は」なんて言うに決まってる。
レオ曰く、オレはオリ主だ。だからこそ三人が抜けた穴はオレがしっかりと埋めなければならない。その為に女神様から貰ったレアスキル。その為の力だ。
……ところで前から思ってたけどオリ主ってどういう意味なんだ? レオに聞いてもはぐらかすし。
「……ま、オリ主の意味については今はいいや。まずは龍帝院を探す事を優先しないとな」
「そだね。でもリュウヤ君本当に見つからないよ?」
「う〜ん、これは探し方を変えないとダメかもしれないの」
「どうしよっか。手分けして探そうにも、もしリュウヤを見つけたとしても、合流する前に撃破されちゃう可能性もあるし……」
「あぁ〜、面倒くさいねぇ! 誰かここにあのクソガキを連れて来てくれれば、アタシらはぶっ飛ばすだけなんけど!!」
アルフが投げやりにそう叫ぶが、それが出来れば苦労しないんだけどな…………ん? 連れて来る?
「…………」
「あれ、どうしたのヤマ「それだ!!」うわっと、ビックリした!!」
「ナイスだアルフ! そうだよ、見つけるんじゃなくてあいつをここに連れてくればいいんだ!!」
オレの言葉に怪訝そうな視線を向けるなのは達。
そりゃそうだろう、龍帝院をここに連れて来るにはあいつを見つけ出さなければならず、オレの言っていることはそもそも破綻している。
……オレが言霊というレアスキルを持っていないければな。
「言霊を使えばあいつを目の前に強制召喚する事が出来るはずだ。呼び出したらすぐに結界に閉じ込めて、みんなであいつを叩けば……」
「そっか! ヤマト君には言霊があったね!!」
「流石はヤマト、そうと決まれば……」
「早速戦う準備するの。ユーノ君!」
「分かってるよ。結界の準備は任せて!!」
言霊の存在を思い出したなのは達は、納得したような、感心したような表情を浮かべながらいつでも戦えるように戦闘態勢に入る。
よし、オレもすぐに言霊を使えるように魔力を溜めよう。
……どこにいるかも分からないやつを強制召喚するのに、どれだけ魔力を持っていかれるか分からない。ここからは集中力を高めるか。
「……ふぅ、
直後、目の前にオレの魔力光と同じ黒色の魔法陣が現れたかと思うと、それはオレから大体10メートルくらい離れた位置へ勝手に移動して黒色に輝き出す。
あまりの眩しさに思わず目を閉じてしまったが、やがて光が止んだのを感じて目を開けてみると……そこにいたのはブロリーと化した龍帝院。
「ぐぉ!?」
「よっしゃ成功! ユーノ、今だ!!」
「分かってる。封鎖領域、展開!!」
すぐさまどこかへ逃げようとしていた龍帝院だったが、既に用意を整えていたユーノによって結界に捕える。
「さぁ、もう逃げられないの!」
「早くジュエルシードを返して……」
「フェイちゃんにごめんなさいって言いなさい!」
「……おぉおおおおおおお!!!!」
流石の龍帝院も逃げ切らないと悟ったのだろう。
耳が痛くなるほどの咆哮を上げながら、なのは達に殴り掛かろうとするのをオレが受け止める。
「おぉおおおお!」
「くっ、流石はブロリー並の筋肉……
言霊で自らのステータスを補強して、龍帝院の攻撃を押さえ込む。
もう少し倍率を上げても良かったかもと思ったが、これならむしろ二倍で充分だったかもな。……というか倍率五倍でようやく五分五分に持ち込めるレオってなんなんだよ。
そんなことを考えながら力を込めて龍帝院の拳を弾き飛ばすと、既になのはとフェイトが龍帝院の背後を取っていた。
「ディバイィィン……」
「アーク……」
「ぐるぉおおお……」
「「っ!?」」
なのはの砲撃とフェイトの斬撃が龍帝院に射出される直前。突如龍帝院の首がグリンと180度回転したかと思うと、口からくすんだ金色の光を発する。
いや、あれ絶対龍帝院の首折れてるだろ。……ってそんなこと考えてる暇はないか。二人を守らないと──
「教え子達に手出しはさせませんよ! ジェットスマッシャーッ!!」
「ごがぁっ!?」
「リニス!」
「ありがとうリニスさん!」
「どういたしまして。さぁ、二人とも!」
龍帝院の口から光線が出る直前、なのは達と龍帝院の間にリニスが割って入り龍帝院の砲撃を相殺、そして素早くなのは達の攻撃に巻き込まれないように安全な場所まで撤退してしまった。
流石はひなの使い魔兼家庭教師。一挙手一投足に一切の無駄がない。
「行くよフェイトちゃん!」
「うん!」
「せーの、バスターッ!」
「セイバーッ!」
「ぐぅおおおお!!」
「まだまだ! ウィングキャッチ!!」
「おぉ!?」
二人の連携攻撃を喰らって更に吹っ飛ばされた龍帝院。
そんな彼をひながエンジェルウィングで掴み上げると、そのままアルフのいる方向へ思い切り投げ飛ばす。
「アルちゃん、パース!!」
「え、アルちゃんってアタシかい!? やめとくれよ恥ずかしい! ……まぁいいや、さーて、ようやく捕まえたよクソガキィ。これでも……くらいなぁああああ!!」
「ガハァッ!?」
「うぉ……エグいことをする……」
ひなの巨大な翼でまるでボールのように投げられた龍帝院。そんな彼の背中を抱きしめるように捕まえたアルフは、投げられた勢いも利用して高度約20メートルの地点から龍帝院にバックドロップをお見舞いした。
……流石にこれはあいつでも死んだんじゃないか? ……いや、大丈夫か。首が180度回るやつだし。
取り敢えずアルフを怒らせるのはやめようと考えながら龍帝院の元へ向かうと、そこには仰向けの状態で地面に埋まった龍帝院ブロリーの姿。
「がぁあああ……」
「ここまで弱らせればいけるか」
「そうだね。自業自得とは言えこれ以上は可哀想だし、早く封印しちゃお。フェイちゃん、お願い」
「うん。ジュエルシード、シリアルナンバー5。ふうい──」
カッ!
フェイトが龍帝院のジュエルシードを封印しようとした次の瞬間、フェイトと龍帝院のすぐ近くの草むらから強大な魔力が溢れ始める。
……間違いない、ジュエルシードだ。
龍帝院の中のジュエルシードの魔力に誘発されて起動したっぽいな。
「お、ラッキーだね。クソガキからとっととジュエルシードを取り返して、コイツも封印しようじゃないか」
「そうだね。こっちはわたしが封印する「がぁああああ!!」きゃっ!?」
「あ……しまった……!!」
「あー! リュウヤ君がジュエルシードを食べちゃった!! それは食べ物じゃないんだよ!!」
「……アンラッキーだねぇ」
……オレらが新たに起動したジュエルシードに注意を向けたのがよくなかった。
龍帝院は仰向けに倒れた状態から、地面を蹴って宙返りして立ち上がると、そのまま新たに起動したジュエルシードをもぎ取りそれを口に入れて、まるで食べるように取り込んでしまったのだ。
「まずい、ルインズスマッ──」
「おぉおおお……アァアアアアアアッ!!」
「ぐぁああああああ!?」
「ヤマト君!?」
ジュエルシードを完全に取り込む前に二つまとめて封印してしまおうと、ブラスターモードのグラディウスを構えようとする。だがその次の瞬間、オレは鈍い痛みと共に宙を舞っていた。
殴り飛ばされたのだ。
「……くっ」
「大丈夫なの!? ヤマト君……」
「しっかりして……」
「大丈夫、流石にこの程度でやられるほど柔じゃない。だが……」
ジュエルシードを二つも取り込んだ龍帝院は以前よりも更に筋骨隆々になり、髪もまるでスーパーサイヤ人3のように長くなっていた。眉毛がなくなれば完璧なんだけどなぁ……。
「オォオオオオラァアアアアアアッ!!!!」
「チッ、
この際眉毛を剃ってやろうかと考えていると、再び龍帝院が殴りかかろうとして来たため、今度は言霊での強化ありきのプロテクションで受け止めるが、凄まじい衝撃がオレの腕を襲う。
「ぐっ……フェイト! 悪いけど念話でレオを呼んでくれ! 事情を話せば作業を中断してすぐに駆けつけてくれる筈だ!!」
「わ、分かった……!!」
近くにいたフェイトに救援の連絡をしてもらいながら、龍帝院の攻撃を必死に耐える。
くっ……いくら言霊で補強していようが、オレは防御魔法が苦手なんだ。しかもバフの倍率も50倍なんてぶっ飛んだ数値にしてしまったから、魔力大量消費の反動もデカい……。
「でもレオならここまですぐに駆けつけてくれる筈。あと5分……いや、3分耐えれば……」
「ヤマト! レオに連絡したら、もう少しでアリサとすずかのデバイスが出来るから、防戦一方で構わないから10分耐えてくれって……!!」
「……マジか」
……この状態をあと10分なんて、流石にキツいぞ…………。
「いい加減にしなさーい! シャイニングバスターッ!!」
「グォッ!?」
「ナイスだひな!」
プロテクションを維持するのに精一杯で動く事が出来なかったが、ひなが龍帝院に砲撃を当てて隙を作ってくれたおかげでなんとか龍帝院から距離を取る事に成功する。
「オォオオオオッ!!」
「チッ、流石はジュエルシード二つ分……厄介だねぇ」
「うん、厄介だ。……ねぇヤマト、ひな。今のリュウヤを倒せる自信はある?」
「む〜……これはちょっと無理かも。……ごめんね」
「ハァ……ハァ……悪い。オレも無理だ」
何せジュエルシードを取り込んだ事で、龍帝院の力が爆発的に上がってしまった。
どうやら二つを取り込んだから二倍になったと言う単純なものではなく、相乗効果で強さが2乗されており、これではバフをかけても奴の力には追いつかない。
かと言って龍帝院の中のジュエルシードだけ言霊で封印しようにも、言霊を発動できるだけの隙をあいつが与えてくれるとは思えない。
「ふぇえ、ヤマト君でも無理だなんて……。それじゃあレオ君達が来てくれるまでなんとか頑張るしか──」
「オォオオオオオッ!」
「っ!? きゃあああああ!!」
「なのちゃん!?」
どうやって時間を稼ごうかと考えていると、凄まじい踏み込みで一番離れていた所にいたなのはの元へ移動し、拳を振り上げる龍帝院。
なのはも油断はしておらず咄嗟にシールドを貼るが、それはあっさりと割られてしまいなのはは殴り飛ばされてしまった。
「なにしてんだ龍帝院っ!!」
「オォオオオオオッ!!」
そのまま追撃を行おうとする龍帝院の懐に神速で移動して、袈裟に斬りつけるが筋肉の鎧が邪魔をしてまともに攻撃が入らない。
それどころか龍帝院の肥大化して右腕に掴まれてしまった。
「モォオオブゥウウウウッ!!」
「ぐぁあああ!」
凄まじい圧迫感……コイツ、オレを握り潰すつもりか……!
「ヤマト! この……離せぇええええっ!!」
「ラァアアアッ!!」
「ぐぅ!!」
「あぁあああ!!」
フェイトが龍帝院の腕からオレを解放しようと斬りかかろうとしてくれたが、フェイトが龍帝院に到達するよりも早く、コイツはオレをフェイトに投げつけた。
だがオレのせいでフェイトまで危険な目に遭わせるわけにはいかない。
吹っ飛ばされながらもフェイトを抱き止めて空中制御を行い、なんとか壁に叩きつけられずに持ち直す。
「すまんフェイト」
「うぅん。大丈夫……」
「イタタ……、リュウヤ君すっごく強くなっちゃってるの……」
「大丈夫なのちゃん?」
「う、うん。なんとか「オォオオオオオッ!!」っ! また来たの!!」
なのはの介抱に向かっていたひなと合流し、現時点で撃墜された人がいないことに胸を撫で下ろしていると、龍帝院は再び咆哮を上げてオレらの元に殴りかかってくる。
「させませんよ!」
「あんたの相手はアタシらさ!!」
「ガァア!」
「ぐぁあああ!」
「きゃあああ!」
「アルフ!!」
「そんな……リニス!!」
オレらに接近してくる龍帝院を止めようとしてくれたアルフとリニスだが、龍帝院の裏拳の一撃でぶっ飛ばされてしまった。
くそ、使い魔二人でもダメか……。ユーノは結界を維持するので精一杯みたいだし……やっぱりここはオレがなんとかしないと……。
「ヤマト君! 言霊でひなのウィングバリアーをうんと硬くして!!」
「わ、分かった!
「ウィングバリアー!!」
咄嗟にひなの翼を強化したが、ひなのエンジェルウィングの強度はレオやすずかのシールドに次いで固い。
それを言霊で強化したら、流石の龍帝院ブロリーでも簡単には壊せないようだ。たが龍帝院は意地でも壊そうと連続で攻撃を叩き込んでくる。
「オォオオオオオッ!!」
「むぅううううう! 負けないもん!!」
「くっ、負けるなひな!!」
「頑張って……!」
「頑張るの! ケーキご馳走するから!!」
「イチゴのショートケーキィイイイイッ……!!」
なのはのケーキに釣られていつもより気合い充分なひなは、顔を真っ赤にしながらも龍帝院の攻撃からオレらを守ってくれるが、流石のひなでもとうとう限界が訪れてしまう。
硬質化した翼は龍帝院によって破壊され魔力になって霧散してしまったのだ。
「あー! 流石に無理だったよぉ!!」
「オォオオオオオッ! モォオオブゥウウウウッ!! ヨォオオオメェエエエエッ!!」
「くっ!!」
これ以上なのは達に攻撃は与えさせない!
オレがやられてしまうのも覚悟の上で龍帝院の攻撃を剣で弾こうとした次の瞬間──
「フローズンシールドッ!!」
「ガァア!?」
龍帝院の拳は氷を纏った魔法陣に阻まれ、その魔法陣の設置面から奴の腕は凍りついていく。
そしてフワリとオレらの近くに降り立ったのは、紫色のバリアジャケットに身を包んだ少女……
「すずかちゃん!」
「おまたせ、みんな!!」
「しっかり押さえておきなさいよ、すずか! フレイムスラッシュッ!!」
「ゴォオオオッ!?」
氷で腕を固定されて動けなくなっていた龍帝院。そんな彼の懐に赤色のバリアジャケットに身を包んだ少女が潜り込むと、炎を纏った一撃で龍帝院をぶっ飛ばしてしまった!!
「アリサ!」
「遅くなったわね! アリサ・バニングス、復活よ!!」
「うっわー、ジュエルシード二つ取り込んだって聞いてたけど、スーパーサイヤ人3化してんじゃん。とりま追撃しておこ、トールサンダーッ!!」
「ガハァアアアアッ!!」
ぶっ飛ばされた龍帝院を見つめる、ひなと似た銀色の衣装の上から白衣を纏ったオッドアイの少年。彼が豪華な装飾の杖を天に掲げると同時、空から凄まじい威力の雷の槍が龍帝院を貫いた。
「れお君!」
「はいはいレオ君ですよ〜。ひなちゃん、みんな、待たせてごめんね! お詫びと言っちゃなんだけど……本気デバイスを解禁させてもらうよ!!」
アリサとすずか、そしてレオが合流。
これでいつものメンバーが揃ったということだ。
「お、ヤマト。随分消耗してんじゃん。なら美味しいところは踏み台その2が持っていこうかな〜?」
「ふっ、この程度ただの準備運動だよ。いくぞみんな、反撃開始だッ!」
「「「「「「おー!!」」」」」」
〜おまけ〜
「ところでレオ君」
「なぁになのはちゃん?」
「なんだかバリアジャケットが変わってるの。……て言うか白衣を羽織ってるの」
「おや、気づきました? そうです。これこそアスカロンを用いた真の変身形態、その名もトゥルースフォームなのです!!」
「……ぶっちゃけ、フリルの衣装の上から白衣ってあんまり似合ってないの」
「ぐふぅっ!? ……い、言ってくれるじゃないか制服のくせに……」
「にゃ!? それを言ったら戦争なの! リュウヤ君の前にやる!?」
「上等だよ、アスカロンを抜いた俺は理不尽な権化だと言うことを教えてやる!!」
「いやいや、龍帝院が先だからな!?」