見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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おばあさん俺の母親と面識があるんですか!?

 その後クイントさんと言う局員に役場に案内してもらった俺は手早く入国審査を済ませ、ついでに次回から入国審査をスルーできると言う渡航許可証の手続きまで終わらせて渡航許可証を入手した。

 

「せっかく遊びに来たのに呼び止めてごめんね?」

 

「いえいえ。むしろこちらこそ入国審査に付き合っていただきありがとうございました。お陰様ですんなりと手続きを済ますことが出来ました」

 

「そっか。あ、レオ君あなた魔法が使えるっぽいけど、ここで使うのは違法だから使っちゃダメだからね? お姉さんとの約束ね! もし破ったらウチの子にしちゃうから「はいはい、行くわよクイント。アンタのデスクワーク溜まってるでしょうが」あ、ちょメガーヌ! 分かったからポニテ引っ張らないで〜!!」

 

「それじゃあクラナガンを楽しんでね?」って言いながら、初対面で養子入りを提案した変わり者の局員のお姉さん……クイントさんのポニーテールを引っ張りながら行ってしまったメガーヌさん。

 彼女の同僚と言う事で苦労してるんだろうなぁメガーヌさん……。

 

「さて……、渡航許可証もゲットしたし次回からは手続きをスルーできるな」

 

『ですねぇ。それではとっとと目的のブツを入手しましょう』

 

 アスカお前さぁ、参考書買いに行くだけでブツって言うのやめろよ? 薬とかそう言うのと勘違いした局員に絡まれるだろうが?

 

 

 ◇

 

 

 その後役場から出た俺は早速役場へ向かうときに見た百貨店へと向かう。

 せっかくだし百貨店の中を探検してもいいかもしれないな。もしかしたらいいもの売ってるかもしれないし……。

 

「────っ!!」

 

「〜〜っ!!」

 

「……ん?」

 

 百貨店へ向かってる途中、路地裏の方から何か騒ぎ声が聞こえる。

 ミッドチルダの治安は日本よりも良くないらしいし不良同士の抗争かと思ったが、争っていると言うよりは誰かを一方的に襲っているような叫び声……。

 

『……マスター、触らぬ神に祟りなしって言葉は知っていますか?』

 

「いや、分かるんだけどさ……このまま放っておくのも後味悪くね?」

 

『まだ満足に魔法も使えないガキに何が出来ます? 殺されて処理されるのがオチですよ』

 

 アスカの言うことは最もだ。

 ここは平和な日本じゃ無いから俺みたいなガキが飛び込んだとしても、子供だからと見逃されず殺される可能性が高い。

 ……でも何も勝つ必要はない。襲われてるであろう人を救出すればそれでいいわけだし…………。

 

「よっしゃ、行くぞアスカ!!」

 

『はぁ……身体ないんで骨は拾えませんからね?』

 

 覚悟を決めた俺は勢いに身を任せて路地裏に入り騒ぎのする方へ向かうと、やがて建物との間の広い空間へと出る。

 そこには複数の杖を持ったガラの悪い大人……魔導師っぽい人達とそんな彼らに囲まれたおばあさんがいた。

 

「…………」

 

「へへ、絶対逃すなよ。コイツは金のなる木だ」

 

「あぁ、コイツを人質に身代金を要求すれば俺達も億万長者だぜ……」

 

 おいおい、魔導師のくせして強盗かよ。魔法使えるなら才能主義の管理局でそこそこ重宝されるだろうに……。

 このままではおばあさんが危ないと即座に防犯ブザーを鳴らすと、俺の存在に気がついた魔導師はこちらを睨みつけてくる。

 

「あぁ、なんだお前? ……なんだ、ガキじゃねえか」

 

「こんなやつ一人いれば十分だろ。おい、お前やれよ」

 

「へーへー」

 

「いけない、私はいいから逃げなさい!!」

 

 おばあさんがそう言ってくれるが、魔導師の一人がこっちに歩いて来てるしもう手遅れっすよ。

 ニヤニヤと笑いながらこちらに一歩一歩迫ってくる魔導師に対して、俺はごく自然に後ろに下がって背中を壁につける。

 

「なぁボク? こんな裏路地に入ったらいけませんってママから教わらなかったのかな?」

 

「物心ついたときから親はいないっすよ」

 

「へぇ、なら教えてやるよ。ガキがこんな所に来たらなぁ……こうなるんだよ!!」

 

 そう言って手に持っていた杖を容赦無く振り下ろしてくる魔導師の男。

 あらら、このままじゃあ頭部を強打して確実にあの世行きだろうなぁ。やはりミッドチルダは子供にはハードな世界らしい。

 

 …………はい、ここ。

 

「プロテクションッ!!」

 

「なっ!?」

 

「ガキだからって油断しましたねぇ!!」

 

「ぐぉお!?」

 

 杖が俺の頭部に当たる直前、即座にNロッドをセットアップしてプロテクションを展開。

 俺みたいなガキが魔法を使えると言う事実に呆気に取られる魔導師の男にスフィアを当てて吹っ飛ばすと、すぐさまおばあさんと男達の間に入って大きめのプロテクションを張る。

 

「あ、あなたは…………」

 

「チッ、こいつガキのくせに魔法使えんのかよ!!」

 

「クソが、せっかく隙をついて統幕議長を狙えたと思ったのに……!!」

 

「おいコラ、クソガキ! とっととプロテクション解除しろコラァ!!」

 

「やだよ。解いたら殺されるのは目に見えてるんでねぇ!!」

 

 魔導師の男達が杖やスフィアでプロテクションを破壊しようとしてくるが、こちとら魔力はSSS。いくら半人前にも満たない実力とはいえ、この程度で壊れるやわなプロテクションじゃねえんだよ!!

 

『マスター、魔力込めすぎです! このままではNロッドが壊れてプロテクション解けますよ!?』

 

「問題ない、プロテクションだけはデバイスを使わなくても使えるように仕上げた!!」

 

『いつの間に……』

 

 そりゃあプロテクションは命を守るための生命線だからな。デバイスが壊れても使えるようにとっくの昔に仕上げたっての!!

 

『ですがならどうするつもりですか!? このままではジリ貧ですよ!!』

 

「そりゃこうするんだよ!!」

 

 杖を空に掲げてスフィアを空に射出する。

 いくら防犯ブザーを持ってるとしてもたかが知れてる。ならばスフィアを空に打ち上げて仕舞えばいい。

 ミッドで魔法を使用するのは禁じられてるにも関わらず空にスフィアが打ち上げられたら局員が見に来るだろ。

 

「さーて、後は局員が来るまで耐えれば良いだけだなぁ」

 

「……チッ、おいテメェら! ズラかるぞ!!」

 

「クソが! せっかくのチャンスを……おいガキ、お前の顔覚えたから「行かせると思いますか?」え? ぐあ!!」

 

「は──ガハッ!?」

 

「ぐはっ!?」

 

「……ゑ?」

 

 捨て台詞を吐きながら逃げようとしていた魔導師達は、おばあさんの声と共にどこから飛んできたスフィアに襲われてものの数秒で全滅。

 魔導師が倒れたのを確認した俺がプロテクションを解除しておばあさんの方を向くと、申し訳なさそうな顔をしたおばあさんはいつの間にか杖を持っていた。

 ……あぁ、はいはい。これをやったのはおばあさんですかそうですか。

 

「……ごめんなさい。彼らが油断したタイミングを狙って一瞬でやってしまおうと考えていましたが、あなたを巻き込んでしまいましたね」

 

「…………危険を犯して助けようとした意味よ」

 

『ドンマイマスター』

 

 

 ◇

 

 

 どうやらおばあさんは管理局のお偉いさんらしく、お忍びで来ているのに局員に見つかっては大変と言う事で、魔導師をバインドで縛ってから彼女に連れられて裏路地から脱出。

 

「……いやまぁ、取り調べとか面倒だからぶっちゃけ助かりましたけど…………管理局のお偉いさんがそれで良いんですか?」

 

「たまには立場を忘れてのんびりお散歩したいんですよ。……まぁお陰であの人達に狙われてしまったんですが。…………ところで」

 

「はい?」

 

「急で申し訳ないんだけど、あなたのお母さんの名前を聞いても良いでしょうか?」

 

 いや、本当にいきなりですね。

 え、このおばあさんもクイントさんと同類なんだろうか、また防犯ブザー抜いたほうがいいかな? ……でも俺今世の親の名前知らないしなぁ。知らないならば仕方がないし、素直に知らないって言うか。

 

「母親の名前は知らな『彼の母親の名前は宮坂レーヴェです』おいアスカ?」

 

「っ!!」

 

 どうやらこのAIは俺の母親の名前を知っていたようで、素直にぶっちゃけやがった。

 おいおい素直に言うなよ……って言うか俺の母親のレーヴェって言うんだな。外国人っぽい名前だけど……そりゃあ地毛が銀髪なら外人の血は入ってるか。

 そんな事を考えていると、おばあさんは大きく目を見開くとなんだか意味深な目で俺を見ていた。

 

「あなた……レーヴェの…………」

 

「え、母親のことを知ってるんですか?」

 

「えぇ、あなたのお母さんとは面識があるんです。あの子は亡くなったって聞きましたけど……子供がいたんですね。初めて知りました」

 

 この人死んだ設定の母親の知り合いだった件について……。

 いや、知らない母親の知り合いと言われても俺はどう反応すれば良いんだろうか?

 

「宮坂麗央って言います。おばあさんは?」

 

「私はミゼット・クローベルよ。あなたのお母さんとは……そうね。昔あの子のお世話をしていたの」

 

 なんか表現濁したぞこの人。

 お世話って言ってたけどもしかしてこの人死んだ母親、レーヴェの母親……つまり俺のおばあちゃんって事かな?

 ……いやいや、肉親いない設定なのにそれはないか。おばあちゃんだったらストレートにおばあちゃんだって言うだろうし。

 

「……それであなたは今どこに住んでいるの?」

 

「え、母親と面識があるとはいえ初対面の人に流石にそれは『第97管理外世界、地球の日本という国の海鳴市という街です』おいコラ、アスカ?」

 

「地球ですか……レオさんのお父さんも亡くなってた筈ですが親戚がいるのでしょうか?」

 

『いえ、一人暮らしです。あ、マスター今の生活に満足している上に親という存在に嫌悪感を持ってるので変に同情せず放置してあげたほうがいいですよ』

 

「そう……あの子ったらレオさんとどう接したのかしら……」

 

 流石に少し怖いため答えるのを躊躇っていると、アスカが勝手に俺の情報を公開し始めた。

 コイツさっきから俺の情報をミゼットさんに公開しまくってるけど、それってつまりこの人が本当に俺の母親と……俺となんらかの関係がある人って事なのか?

 

 これは帰宅してからアスカに問い詰めたほうがいいかと考えていると、アスカと情報交換を終えたミゼットさんがこちらに視線を合わせて来る。

 

「それでレオさんはどうしてクラナガンに来たの?」

 

「……デバイスの参考書を買いに来ました。買ったらさっさと帰る予定です」

 

「あらそうなの……いろんな種類の本が揃っている所を知っています。さっき助けようとしてくれたお礼に私が買ってあげますよ」

 

「いえ、悪いですよ」

 

「構いませんよ。お給料は沢山貰ってるので。ここはおばあちゃんに格好つけさせて下さい」

 

 その後ミゼットとの問答をしていた俺であるが、ミゼットさんの押しの強さに負けて古今東西のデバイスの参考書と、ついでに買おうかなと考えていた管理世界の法律書なんかを買っていただいたのだった。

 祖母が孫にお小遣いを渡すときの力は強いって聞くけどこれも似たようなものなのか……

 

「ありがとうございましたミゼットさん」

 

「いえいえ構いませんよ。……もう帰るんですよね?」

 

「えぇ、本も重いですしそろそろ日も暮れそうなので……」

 

「そう……ならせめて連絡先を交換しておきましょう。何かあったら連絡してちょうだい?」

 

「え、あ、はい」

 

 その後連絡先を交換してからミゼットさんに見送られながらクラナガンを後にして帰宅。

 買った本を本棚の空きに入れてから一息つくと星型エンブレムを机の上に置く。

 

「アスカ、ミゼットさんと母親の関係を聞かせてもらおうか?」

 

『ノーコメント』

 

「いや、絶対母親と深い関係ある人だろ!! あれか? ミゼットさんってもしかして俺のおばあちゃんなの!? 母親いない癖におばあちゃんはいたのかよ!?」

 

『ノーコメント』

 

「おい正直に答えろ! 叩き壊すぞこのAIが!!」

 

『やったらミッドに行けなくなり行動はかなり制限されますよ?』

 

「テメェ……」

 

 その後結局アスカがミゼットさんについて吐くことはなく、彼女と俺の母親については分からず仕舞いであった。

 

 そしてそれ以降定期的に連絡を取り、ミッドに遊びに行く際にはミゼットさんと予定が合えば一緒にお茶をする関係になった。




 〜おまけ〜

「……グス」

「どうしたんだミゼット?」

「あぁ、レオーネ。いえ……ね。本当の親子ではなかったですが、娘のような存在がいたでしょう?」

「あぁ、レーヴェか。喧嘩して疎遠になってそして最後まで仲直りできずに死んだって泣いてたな。……それでアイツがどうしたんだ?」

「どうやらあの子には子供がいたそうなんです。男の子なんですが、あの子に瓜二つで……」

「……詳しく聞こうか?」

「今日お忍びでクラナガンを散歩してたときなんですが……」


 〜数分後〜

「そして連絡先を交換しました。せっかくだからこの後一通メールを送ろうかしら?」

「……悪い事は言わねぇ。次会ったらおばあちゃんだって言って養子縁組しろよ」

「ですがあの子親という言葉に嫌悪感を持つらしいんです……。なんとかして囲い込むしか無いですかね……」

「おう、外堀を埋めてやれ」






この踏み台、管理局の伝説の三提督の一人の孫のような存在でした。

次回、オリヒロイン登場。
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