見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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え、お金? 管理局に請求するから無問題ッ!!

 ……さーて、更新データも終わったし最後に全機体の細々した調整をやっていきますか。

 ぶっちゃけ今の状態でももう普通に動作するけど、これは使い手の命を守る物だからな。

 妥協なんてしてたまるかってんだ。

 

「へぇ〜、なのはちゃん達は昨日ケーキ作ったんだね」

 

「うん、と〜っても上手に出来たよ〜!!」

 

「僕も食べさせて貰ったけど、あんな美味しいケーキ食べた事なかったよ。

 なのはってお菓子作り得意だったんだね」

 

「あぁ、本当に最高だった。

 ありがとうな、なのは、フェイト」

 

「にゃはは、どう致しましてなの!」

 

「……うん」

 

 グラディウスは既にヤマトに合うように最適化してくれてるみたいだ。流石は優等生。

 ミラクルホープも最適化してるって言い張ってるけど、こいつはもう少し改良出来そうだからちょいと弄って……え、自分で直すから放っといてくれ?

 なんだテメェ、人の好意を無碍に扱いやがって。

 アスカロンと同レベルの究極デバイスひなちゃんにプレゼントしていらない子にしてやろうか?

 

「な、なのはアンタまた抜け駆けして……それにフェイトまで……!!」

 

「ま、まぁまぁ……なのはちゃんはともかくフェイトちゃんはお母さんに食べてもらう為に作ったんだから……それでお母さんは喜んでくれた?」

 

「……うん」

 

「わたしも今回はレオ君の差し入れが理由なの。

 ……ところでフェイトちゃん、どうしたの。さっきからうわの空だよ」

 

「え、そうかな?」

 

 次にフレイムアイズとスノーホワイトだけど……あれ、リミッターがAIから干渉出来るようになってる。

 これは普通に俺のミスだな、気づけてよかった。

 ここ弄られたら命削るタイプの無茶が出来るようになるからプロテクトしておいて……いや、何かあった時の最後の手段として敢えて残すか。

 二機にはむやみやたらにここに干渉するなって釘差しとこ。

 

「……もしかしてお母さん食べてくれなかった?」

 

「ううん! ちゃんと食べてくれたし美味しいって言ってくれたよ!!」

 

「ほんと?」

 

「……うん」

 

「…………」

 

「…………」プイ

 

「なんで目を逸らしたのよ?」

 

「……悪いけど、あんまり聞かないであげておくれよ」

 

「なるほど……。

 プレシア、あなたと言う人は本当に……!!」

 

「……そっか。辛かったんだな、フェイト。よしよし……」

 

「はぅ、や、ヤマト……」

 

 レイジングハートとバルディッシュは……あぁ、やっぱり。この2機もリミッターをAIが弄れるようになってる。

 絶対に干渉出来ないように超厳重ロックしておくか。

 ……おい、文句言うな。テメェら釘刺しても絶対気軽に弄るだろうが。

 いーや、絶対やるね。今までの戦闘データからやらかすって信用してんだ。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「あれ? なのちゃん達いつもはヤマト君が頭ナデナデしてたらわたしも〜って言うのに今日はなにも言わないね。頭ナデナデはいいの?」

 

「う〜ん、羨ましいは羨ましいけど……」

 

「フェイトになにがあったか色々察しちゃったから……ねぇ?」

 

「うん、今日は許してあげよ。

 ヤマト君、フェイトちゃんの気が済むまでいっぱいナデナデしてあげて」

 

「よし任せろ。

 ……フェイト、いいんだ。こう言う時は泣いたって。

 悲しければ泣いていいんだ。泣き止むまで……いや、満足するまでオレが頭でも背中でもさすっててやるから……な?」

 

「う、うぅ……うぇえええええん!!!!」

 

「よっしゃ終わり! は〜、たった三日なのに凄く長く感じた……。

 って、どうしてフェイトちゃん泣いてるの?」

 

「わかんない。

 フェイちゃんママちゃーんとケーキ食べてくれたみたいなのに変なの」

 

 集中しすぎて話を聞いてなかった俺と、泣いた理由を察することが出来なかったひなちゃんは揃って首を傾げた。

 

 

 ◇

 

 

「最終調整中にごめん。うるさかったよね」

 

「いや、集中してて聞いてなかったし。

 それに完成したらすぐ渡せるようにって、我が家に誘ったの俺だから」

 

 フェイトちゃんが落ち着くまではチョコを齧りながら待っていたが、彼女も落ち着いた為デバイスをテーブルの上に並べてやる。

 

「さ、お待たせしました。皆さんのデバイスでございます」

 

「わぁ、ありがとうれお君!!」

 

「レイジングハート……良かった…………」

 

「無茶させてごめんな、グラディウス」

 

「バルディッシュ……」

 

「ごめん、フレイムアイズ。アタシが情けないばかりに……」

 

「ごめんね、スノーホワイト。これからはもっと大事に使うよ」

 

 各々がデバイスを手に取り、大事そうに胸に抱く。

 みんなにとってデバイスは武器ではなく一緒に戦ってくれる戦友……友達。

 だからこそ、修理が成功して一安心といったところなのだろう。

 

「今回の一件でデバイスの耐久力について考えさせられたから、君たちのデバイス全部にアスカロンに使用してるフレームを採用してる。

 更にプラスアルファでセットアップ時にデバイスの周りに魔力の膜を張るように設定したから、もうぶっ壊れる事はないと思うぞ。

 更に! みんなの戦闘データを元に細かいところも調整を加えてるから前より使い易くなってるはずだ!!」

 

 俺はジュエルシードの一件でみんなと一緒に戦うようになってから、戦闘データを取得していた。

 今回良い機会だったので、その戦闘データを利用して各々のデバイスの強化も図ったと言うわけだ。

 

 ぶっちゃけ強化を行わずに単純な修理だけなら一日半で終わったのだが…………ただ強化しただけじゃ同じ壊れ方するかもだし、やるからには手を抜かないと言う俺の流儀に反するからな。

 文句は決して受け付けない。ニコポナデポで黙らせてやる。

 

「そしてここがミソなんだけど、なのはちゃん、フェイトちゃん。デバイス立ち上げてみて」

 

「え、う、うん。レイジングハート」

 

「バルディッシュ」

 

「「セットアップ」」

 

 俺に促されるままにデバイスを武器状態にした二人。

 二つのデバイスはそれぞれ魔法少女の杖と戦斧の姿を形とる。

 さて、二人の反応は……?

 

「にゃ!? レイジングハートが以前のと違うの!!」

 

「バルディッシュも変わってる……」

 

 レイジングハートは新たに青い装甲が追加され、シューティングモードのときの引き金を新たに追加。

 バルディッシュもレイジングハート程ではないが、先端の刃部分を中心に強化を施してやった。

 

「元々レイジングハートはなのはちゃんの為に作られたものじゃ無かったから、なのはちゃんに合うように最適化を施しました。

 また、フェイトちゃんのデバイスも改良の余地があったから、俺流に魔改造を行いました」

 

「「……」」

 

 二人はまじまじとデバイスを見つめていたが、やがてブンブンとデバイスを振り回し始める。

 やるなら庭でやれ。何かにぶつけたらニコポナデポ3時間の刑だからな?

 

「すごい、前より凄く手に馴染むの!!」

 

「うん、とても扱いやすい……!

 そっか、これが昨日言ってたビックリする事だったんだね」

 

 二人もすごく驚いてるし、サプライズは大成功みたいだな。

 こうして喜んでくれるだけでも、糖分不足による禁断症状で苦しむまで頑張った甲斐があるってもんだ。

 ニートになってからも、たまにはデバイスマイスターの仕事をするのも悪くないかもしれないな。

 

 二人の喜びように満足していると、「良かったねぇ二人とも」と笑っていたすずかちゃんが何かに気づいたような顔をする。

 

「……ねぇ、レオ君」

 

「なに?」

 

「私も時計とか電化製品とかを弄るから分かるけど、修理するのも改良するのもタダじゃないよね?」

 

「そうだね」

 

「レオ君さっき、アスカロンに使ってるフレームを採用したって言ってたけど、あのフレームって高級品なんだよね?

 それに今回かなり壊しちゃったから内部のパーツも殆どを交換したんじゃないかな?」

 

「……そうだね」

 

「…………ねぇ、今回の修理だけでいくら使ったの?」

 

「「「「!!」」」」

 

「?」

 

「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ。

 ひなちゃんみたく鈍ければ良かったものの……」

 

「え、ひな鈍くないよ!

 フェイちゃんとおんなじ位の速さで動けるもん!!」

 

 どうやらメチャクチャ金を使った事に気づいてしまわれたようだ。

 金銭面のトラブルは面倒臭いから、敢えて言わなかったというのに…………。

 

「内部パーツについては家にあったストックを使ったから問題ない。

 だから損失はフレーム分なんだけど、全部含めて10万……」

 

「デバイスの相場は分からないけど、6人分も修理してその程度で済む訳ないと思うのよね」

 

「ぐ……」

 

「……今回は正直に言った方がいいぞ。

 さもないと言霊で嘘をつけなくするしかなくなる」

 

「…………今月の生活費と予想外の出費に備えてた貯金全部合わせて1000万……残りの財産は財布の中の三千円だけです」

 

「…………アタシ達のために色々考えてやってくれた訳だし言うべきじゃ無いのかもしれないけど、敢えて言わせてもらうわ……。

 バッッカじゃないの!!??」

 

「全くだ! それにまだ月初めだろ?

 なのに全財産使ったって、後一ヶ月どうやって生活する気だお前!?」

 

「いや、婆ちゃんに事情話して今月だけお金借りようかなって」

 

「しゃ、借金はダメなの!!」

 

 いや借金て。

 あくまで親族(仮)間のやり取りな上に、今回はキチンとした理由もある。

 それに来月になったらキチンと返済するって決めてるから、金融機関に借金するのとはまた違うんだけど……。

 

 脳内でなのはちゃんにツッコミを入れていると、「そうだね。借金は良くないよね……」と呟いたすずかちゃんが携帯を取り出し……

 ……それを操作する前に彼女の手を携帯を取り上げた。

 

「……どこに電話かけようとしてるんすか?」

 

「お父さんとお母さんに。

 スノーホワイトだってタダじゃなかっただろうに、タダで修理までしてもらうなんて良くないよ。

 魔法の事とかバレちゃうけどしょうがないよ。

 ちゃんと払わせて。あと携帯返して」

 

「嫌です。仮に親御さんが払うって言っても絶対に受け取りません。

 電話をかけないと約束するまで返しません」

 

「ちょ、何よそれ!?

 それじゃあアンタ一人が損をするじゃない。

 アタシもせめて自分の分位は払ってもらうわ!!」

 

「もちろんオレもだ!

 心配すんな。毎月の生活費の余りは貯金してるからそれくらい全然余裕だ!!」

 

「わたしは結構まずいかもだけど……

 お父さんとお母さんにごめんなさいして、お金出してもらうの!!」

 

「? とりあえずひなも!」

 

「えぇっと、わたしは…………

 アルフどうしよう……わたしそんなにお金持ってない!!」

 

「それくらい鬼婆に払わせれば良いんだよ!

 ジュエルシード集め強要してんだから、それくらいやれってんだ!!」

 

「待ってみんな!

 そもそも今回の件は僕がこの街にジュエルシードをばら撒いてしまったのが原因だ!

 だから今回の損失は全部僕が……!!」

 

「いや、値段考えろ馬鹿野郎ども!

 まだ10にも満たないガキに請求していい金額ちゃうわ!!

 後ひなちゃん、なに言ってるか分からないなら取り敢えず頷くのはやめなさい!!」

 

 1000万を6人で分割したら一人当たり約166万円。

 娘が預かり知らぬ所で軽自動車を買えちゃう程の金額の借金をして来たなんて、親御さんが知ったら卒倒するのは目に見えている。

 絶対に家族会議では済まないだろう。

 

「簡単に払うって言ってるけど、お金は君達が稼いでるわけじゃないだろ?

 急に娘が借金抱えて帰って来た時の親の気持ちを考えてあげろよ」

 

「う、それはそうだけど……

 と言うかそれ言ったらレオ君も小学生が出していい金額じゃないの」

 

「いやいや、こっちも考えなしに全財産費やした訳じゃないぞ?

 今回のケースならお金もちゃんと返って来るし」

 

「え?」

 

 今回デバイスが壊れた理由はジュエルシードの暴走を抑えようとしたから。

 更に言うなら金髪がジュエルシードを暴走させたから。

 もし管理局がもっと早く来て、ジュエルシード捜索の妨害を行う金髪をしょっぴいていれば未然に防げた事態。

 つまり管理局の怠慢が原因で経済的損失を被ったと損害賠償を請求することができるのだ。

 

「壊れたデバイスの写真は撮ってるし、今回購入したフレームの領収書も取ってる。

 それに過去の事例で管理局に損害賠償を請求して、管理局が金を払ったことがあるって事も調べがついてる。

 なんなら親戚が管理局員の重役だから、難癖つけてゴネるなら最悪そっちに話を持っていけばいい!

 断言しよう。この損失、確実に取り返せるッ!!」

 

「そ、そこまで全部計算してたって言うの……!?」

 

「と言うかコイツ、請求できたからオレ達のデバイスにあれだけ金かけたんじゃないか?」

 

「ぬ、抜かりないわね……。

 パパとママが見たら絶対ウチの会社に欲しいって言うわ……」

 

 こちとら管理局の法や過去の事例なんかは執務官もビックリなレベルで全部頭に叩き込んでるんだ。

 故にこう言った事態にどう立ち回れば良いかは把握している上に、なんならこの状況を逆手に取ることだって容易い事。

 むしろ今回は実質タダでみんなのデバイスを徹底的に魔改造できて得したわ。

 ワハハハハハハッ!!

 

「と言うわけで、俺については気にしなくて良いよ。

 ガキはガキらしくデバイスがパワーアップした事を素直に喜んどけ」

 

「そ、そう? なんか釈然としないけど、そう言う事なら……」

 

「と言うかさっきからアタシ達をガキ扱いしてるけど、アンタも同い年でしょうが」

 

「スピ〜……」

 

 複雑な表情をしながらも納得した様子で引き下がったなのはちゃん達。

 後ひなちゃん、難しい話は終わったからそろそろ起きて?

 金銭トラブルに発展しなかった事に胸を撫で下ろしながらすずかちゃんに携帯を返還していると、微弱な魔力の流れを感じた。ジュエルシードだ。

 

「ふわぁ〜……あれ、ジュエルシードかな?」

 

「みたいだな。グラディウスも強化されてるみたいだし、模擬戦で慣らし運転しときたかったんだが……」

 

「こればっかりは仕方ないよ。

 ……取り敢えずレオ君へのお礼は、パワーアップしたレイジングハートでジュエルシード集めに貢献するって事で!!」

 

「そうね! リュウヤが余計な事する前にちゃちゃっと封印しましょ!!」

 

「あ、ごめん。今日俺不参加で」

 

 完全に全員で出撃と言ったムードだったが、俺の空気の読めない一言で全員がずっこけた。

 

「ちょ、ここはみんなで行くところでしょうが!」

 

「そうだよ、一緒に行こうよ〜」

 

「いやぁ、実は金銭面は問題ないのですが、睡眠で深刻な問題が発生してまして……

 と言うのも実は三徹しており……」

 

 今回の修理と強化、三日で全部をやるにはあまりにも過密スケジュールであり、睡眠時間すらも修理に当ててしまってたりする。

 昨日の自動修理とダウンロードも、翠屋から帰宅後はエラーが発生した時に備えてエナドリがぶ飲みしながら起きてたし……。

 

 正直に言おう。流石に寝させてくれ!!

 

「そ、そう言う事なら仕方ないの……」

 

「うん、頑張ったんだから流石に休んでもらお?」

 

「そう言ってくれると助かりま『金髪君が余計な事した際に、一番に動けるのは誰でしょう?』…………やっぱ俺も行くわ」

 

「……なんと言うかその……情けないオリ主ですまん。

 アリサも言ってたが、龍帝院が来る前にちゃちゃっと済ませて解散しよう」

 

「だな……」

 

 俺が寝てる間にまた金髪が余計な事して被害を拡大されても困る。

 コレばっかりは仕方がない為、眠くて怠い身体に鞭を打ちながらみんなと共に家を出たのだった。




 レイジングハートとバルディッシュがアニメ版から映画版の姿に強化された!!
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