見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます! 作:蒼天 極
今回は本当に秒殺してとっとと帰って寝ると決めた為、
大仕事を終わらせてホッとしたからだろうか本格的に眠くなり始めたため、ヤマトにでも担いでもらって寝てしまおうかと考えていると、「にゃはは」っとなのはちゃんが急に笑い始めた。
「どうしたのなのはちゃん、急に笑ったりなんかして?」
「うぅん。前回はアリサちゃんとすずかちゃん、それにレオ君もいなかったから。
でも今回はみんながいるからすっごく心強いなって改めて実感しちゃって」
「そうだね。ヤマトとアリサが前で戦って、なのはが後ろから砲撃を叩き込む。ひなとフェイトが遊撃で、レオとすずかは全体の援護。
理想的なチーム編成だと思う」
「それもあるけど……やっぱりなんかほっとすると言うかなんと言うか……」
「まさかなのはちゃんの口からそんな言葉が出るとは……。
てっきりヤマトを独り占めできてラッキーと思ってたとばかり……あ、フェイトちゃんいたか」
「……レオ君がなのはの事どう見てたのか、よ〜く分かったの」
「アハハ……でも分かるな。
アルフと二人の時は早くジュエルシードを集めないとって焦ってて戦うのも楽しくなかったけど、今は落ち着いてるし、戦うのもなんだか楽しいから……」
「それはきっと絆を感じているんだな」
「絆?」
「あぁ。オレ達と一緒にいるのが楽しいって思ってるんだ」
くせえ事言いやがって、熱血漫画の主人公かよ。
……なんて言うのは流石にKYかな?
「ヤマトやなのは達と一緒にいるのが楽しい……」
「ひなも! フェイちゃんと一緒にいるの楽しいよ!!」
「私も!」
「もちろんアタシもよ。アタシ達は絆で繋がった最強のチーム!!
もし共闘が終わって戦うことになったとしても、アタシ達とフェイトは友達よ!!」
「……うん!」
…………なんかアリサちゃんがフラグを建設した件について。
そう言えばこの間の次元震、一歩間違えたら他の世界にも悪影響を及ぼすものだったし、お役所仕事の管理局も流石に行動するんじゃ…………
……これはフラグ回収も近いかもしれないな。
「ん、どうしたのれお君。心配そうな顔して」
「ん、別になんでも。
やっぱりちょっと眠くって……」
「分かった、ひなおんぶしてあげる!!」
「……いや、丁度魔力の発生地に到着したし、さっさと封印してさっさと帰ろう」
現場に到着したが、そこにいたのは木の化け物。
俺やお嬢様コンビが参戦した際の大樹とは違い、腕っぽい幹はあるし咆哮なんかもあげてやがった。
「レオもキツそうだしね。さっさと終わらせましょ!
フレイムウィップッ!!」
木は炎に弱いと分かっているからか、アリサちゃんが炎の一閃を叩き込む。
しかしそれが木の化け物に当たる直前、突如化け物の前にシールドが展開されアリサちゃんの一撃を防いでしまった。
「ヒュウ、生意気にバリアなんて貼るのかい!」
「今までより強いね。急がないとあの子が来るのに……」
「……! みんな、来るよ!!」
ひなちゃんの一声と同時、木の化け物の足元から巨大な根っこが現れて、俺達を拘束しようとしにかかる。
「ヤマト〜、あの時の悲劇を繰り返すなよ?」
「分かってる。ユーノ、しっかり掴んでろよ!!」
「はい!!」
「飛んで、レイジングハート! もっと高く!!」
根っこによる攻撃は高所をとることで無事に回避。
それでもなお追撃をかけようとして来るが、アリサちゃんが全ての木の根っこを焼き尽くし、すずかちゃんが本体を氷で拘束して動きを止めてしまった。
「今だよ!」
「ぶちかましてやりなさい!」
「おう!
「そんな……」
「よう嫁達! 俺様のためにお膳立てしてくれたんだな。後でいい子いい子してやるよ!!
トドメは任せておきな。アンリミテッド「邪魔、トールサンダーッ!!」ギャァアアアアアアアアッ!!??」
本来なら問題を起こしてから対処した方が良いだろうが、流石の俺もこれ以上コイツの相手をする余裕は残っていない。
故に金髪に落雷を落としてささっと撃墜してやった。
……コイツ耐久力高いしもう数発撃っておくか。
「トールサンダーッ!! ニヴルブリザードッ!! ムスペルフレアッ!! サイクロンッ!! エクスプロージョンッ!!!!」
「イギャァアアアアアアアッ!!!!」
「お、オーバーキルなの……」
「……確実に沈黙させた方がいいし、コイツもストレス溜まってるだろうしやらせてやろう。
俺が金髪に追撃をかます中、言霊をこめたヤマトの弾丸が木の化け物をシールドごと貫く。
本体を攻撃されて完全に怯んだ隙を突き、なのはちゃん、フェイトちゃんの二人がデバイスを向けた。
「貫いて、ディバイーンバスターッ!!」
「貫け豪雷、サンダースマッシャーッ!!」
『グゥォオオオオオオオオッッ!!!!』
三人の必殺の砲撃を受けた木の化け物の中央部からジュエルシードが浮かび上がる。
それを見たひなちゃんは二人の砲撃を縫うように木の化け物と距離を詰めると、ジュエルシードにミラクルホープを突き出した。
「ジュエルシード、封印!!」
◇
「みんなお疲れ様、今回も無事に勝てたね」
「うん。なのは、合わせてくれてありがとう」
「どういたしまして!
……あ、でもまだジュエルシードを回収してないの。リュウヤ君が起きてとんでもないことになるかも知れないし、早く回収しちゃお」
「そうだね。それじゃあバルディッシュ、おねが──」
「少し良いだろうか」
フェイトちゃんがジュエルシードを回収しようとすると、俺でもヤマトでも、ユーノ君でもない少年の声が聞こえる。
声の主の方を向くと、そこにいたのは肩に棘をつけた黒服の少年。
「時空管理局、クロノ・ハラオウンだ。
君達が今封印したロストロギア、ジュエルシードの回収に来た。
申し訳ないが事情を聴取したい。一緒に来てもらえないだろうか?」
「時空管理局……確か魔法の世界の警察さん……だよね?」
「う、うん。ようやく来てくれた。でも…………」
ユーノ君がそう言ってフェイトちゃんを向くと、彼女は顔を青くして数歩下がっていた。
純粋なユーノ君の協力者である俺達と違って、彼女は違法収集者。管理局に捕まる展開だけは絶対に回避しなければならないため、そう言う反応にもなるだろう。
「……そこの金髪の君」
「え、アタシ?」
「あぁ、すまない。君ではなくそこの斧型デバイスを持った子だ。
何故顔を青くする? ……もしかして君は…………」
相手はプロ、フェイトちゃんの僅かな表情の変化を見逃さなかった。
……これは本格的にまずいな。
『フェイト、捕まったらマズいのか?」
『……うん』
『……分かった。それならオレが彼を抑えるからその間にジュエルシードを回収して逃げ『待てヤマト』……レオ?』
『金髪ならまだしも、相手は管理局員。
下手な行動で管理局を敵に回したら一生を棒に振る可能性すらある。
武力を行使すべきじゃない』
『な!? フェイトを見捨てろって言うのか……?』
『それはダメなの!!』
『んな訳ないだろ。やりようはいくらでもあるって事だ。
……ここは俺に任せとけ』
フェイトちゃんに違和感を持った管理局員……クロノ氏が彼女に歩み寄ろうとする中、俺はその間に立つ。
そして表情筋を動かして憤怒の表情を浮かべ、クロノ氏を睨みつけた。
「テメェ、今管理局員って言ったよなぁ!!
来るの遅ぇんじゃボケェッ!!」
「そ、それに関しては申し訳ない……!
批判は後でいくらでも受け付ける。だからまずはこちらの用事を……」
「じゃかあしい!
テメェらが惰眠を貪ってる間、どれだけ俺が苦労したと思ってる!?
ジュエルシード程度は楽に封印できるから良いとしても、金髪……龍帝院のアホが剣撃って妨害してくるわ! 俺らを見るなり攻撃してるわ! ジュエルシードを強奪して暴走させるわ! 挙げ句の果てに次元震引き起こすわ!!
それもこれも全部金髪が……金髪が…………金髪金髪金髪金髪アァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
「ほ、本当に苦労したんだな。申し訳ない!!
……と言うか次元震を引き起こした……!? それはどう言う事だ!!」
「どう言う事もそう言う事もあるか! ジュエルシードを二つも取り込んで暴走するから止めたけど、取り込んだのが原因でジュエルシードが魔力暴走起こしたんだ!!
お陰でみんなのデバイスが大破するから三徹して修理することになったんだぞこっちは!!
……と言うか来るならタイミング考えろや! こっちは三徹明けなんじゃ!! 眠いんじゃ!!!!」
「……れお君すっごく怒ってる」
「そりゃあリュウヤのせいで一番苦労してるのってレオだしね」
「やりようはいくらでもあるって言ってたが、想像の左斜め下だったな。
……フェイト、今だ」
「う、うん。バルディッシュ、お願いね」
俺の考えた作戦、それは悪質クレーマー作戦だ。
武力行使はクロノ氏の仕事を妨害した公務執行妨害や傷害罪に問われるが、これなら武力を行使してないし何よりクレーマー行為自体は管理局法でも罪には問われていない。
また、今回管理局側は手続きに手こずり行動が遅れたと言う負目もある。故に行動が遅れた件に関して憤る俺に対して対応する義務が生じる。
「あ、コラ君、待て!!」
「おいどっち見てんだコラッ!
さてはテメェ俺が苦労した件について何も思ってねぇな!?
管理外世界の人間だからって粗末に扱っても良いと思ったら大間違いだぞ! あぁん!?」
「ぐぅううう、やはりクレーマーは苦手だ……!!」
「クレーマーじゃないですぅ! 正当な批判ですぅ!!」
俺がクロノ氏の注意を引いている隙に、こっそりとジュエルシードを回収してその場を離脱したフェイトちゃんとアルフ。
それを見たクロノ氏が追いかけようとするが、彼の肩を掴んで逃げられない様にしたことで、彼はフェイトちゃんを取り逃してしまった。
「……はぁ。すみません艦長、二名、取り逃してしまいました」
『お疲れ様クロノ執務官。こればっかりは仕方がないわ。
来るのが遅れてしまったのは事実なんですから』
直後、クロノ氏の隣に魔力式ディスプレイが表示され、そこから緑髪の女性が映し出される。
どうやら彼女はそこのクロノ氏の上司の方の様だ。
…………。
「おぅ、上司の方ですか!?
何でよりにもよって来たのが今日なんすか!!
俺を過労死させる気かコラァッ!!!!」
『ごめんなさいね。管理局も神様じゃないから、あなたの都合の良い日を把握しているわけじゃないの。
…………それと、彼女はもう逃げたので良い加減クレーマーの演技、やめてもらっても構わないわよ?』
おっと、流石はロストロギアの指揮を担当するであろうお方。どうやら俺の目論見はお見通しであった様だ。
…………でも
「演技だとコラッ!
こちとらお宅らが来るの遅ぇから後処理に追われて三徹してんだよぉ!
しかもこれから寝ようと思ったタイミングで来やがって……来るなら来るで空気読めやアホンダラァッ!!」
『あ、これ本気で憤ってるわね。ごめんなさい。
……彼には改めてお詫びもしたいし、今回の事件を聞かないとならないわ』
『それに……』と緑髪の女性はひなちゃんに視線を向ける。
『この事件には関係のない事なんだけど、私個人その子に用があるの』
「え、ひな?」
「……!」
『えぇ。
……あぁ、そんなに睨まなくても、この子に酷い事とかしないわ。ただ少し聞きたいことがあるだけ。
……クロノ執務官、この子達をアースラまでご案内して差し上げて』
「分かりました。
君達、先程も言ったが今回の件について、話を聞きたい。
同行願おう」
……ぶっちゃけ適当言ってとっとと帰って寝たかった所だが、緑髪の女性がひなちゃんに用があると言うのならば話は別。
クロノ君に案内されるがままに、時空管理局の次元船、アースラへと向かうことにした。