見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます! 作:蒼天 極
「はぁ……はぁ……フェイト、大丈夫かい?」
「う、うん……」
レオの機転で管理局員の前から逃げることができたわたしとアルフは、現在拠点にしているマンションへ辿り着き息を吐いていた。
普段から探知を避ける為に複数箇所関係のないところを経由して帰っているが、今回は念には念を入れて30箇所以上経由した。ここまですれば絶対に見つかる事はないだろう。
「全く……レオが機転を効かせてくれなきゃどうなってたか……想像するだけでゾッとするね」
「うん、あの子には今度お礼を言っておかなくっちゃ」
でもどうしよう。
管理局が来てしまったからにはこれからの行動は今までよりももっと難しくなる。
それにわたしとヤマト達が繋がってるって思われたらあの子達に迷惑をかけちゃうし、もう一緒に行動するべきじゃないだろう。
「……また、二人になっちまったね」
「……仕方ないよ。むしろ今までが上手くいきすぎてたんだよ」
「せっかく、なのは達と仲良くなれたのにね……。
それにせっかくリニスにも会えたってのに……」
「…………」
仲良くなったなのはやヤマト達ともう一緒に戦えなくなってしまった事、それはとても残念だ。
初めに手を組もうって言われたときは、ジュエルシードが手に入るならなんでもいいと思っていた。ジュエルシードをが手に入るなら他の事はどうでも良いと。
でもあの子達はそんなわたしを暖かく迎え入れてくれた。
すずかは疲れたときによく声をかけてくれたし、この世界の文字がよく分からないわたしに日本語なんかを教えてくれた。
アリサはすぐに暗い気持ちになっちゃうわたしを励ましてくれたり、一緒に探すときによく美味しいものを奢ってくれた。
レオはちょっと怖くて苦手だけど、バルディッシュを壊してしまったときに修理だけでなく強化までしてくれた。
ひなはリニスの新しいマスターだった。リニスを取られてしまって悔しい気持ちだったわたしにの手を引いて一緒にリニスに甘えさせてくれたし、ひなの方が強いのにわたしのことを姉弟子さんと慕ってくれた。
ヤマトは酷いことをしてくるリュウヤって子からわたしを守ってくれた。あの姿はまるで王子様みたいで……なのは達がヤマトが好きな理由が分かってしまった。
そしてなのはは他の子以上にわたしに構ってくれて、一緒にケーキも作ってくれた。それにわたしがあの子に宣戦布告をしたときも、嬉しそうに受け入れてくれた。
みんな、わたしには勿体無い最高の友達だった……。
「…………ぁ」
「フェイト……?」
気がつくと目から雫が落ちていた。
いけない、どうやら泣いちゃってたみたい。
わたしはジュエルシードを集めなきゃいけないんだから、しっかりしないと……!
「ねぇ、フェイト。もうやめようよ」
「え……?」
袖で涙を拭っていると、アルフが懇願する様な表情をわたしに向ける。
「もうやめようよ! 涙を流してまでジュエルシードを集める必要はないよ!!
あの鬼婆……アンタの母さんなんてフェイトに酷いことばかりする! あんな奴のためにこれ以上フェイトが傷つく必要なんて……」
「……母さんのこと悪く言わないで」
「言うよぉ! だってアタシ、もう見てられないよ!!
せっかくフェイトに友達が出来たと思ったのに、こんな事で別れなくってもいいじゃないか!!
今からでも遅くない、もう自首してしまおうよ!!」
「アルフ……?」
「そうだ。自首しちまえばもう鬼婆はアンタに手を出さない……!
レオは親戚に局員とツテがあるって言ってたし、あいつに話を通して貰えば……すぐには無理でもなのは達にだってまた……ちょ、フェイト、どこへ行く気だい!?」
「外の空気を吸ってくる。悪いけどついて来ないで……」
◇
「……逃げてきちゃったな。アルフには後で謝らないと…………」
街へ出たわたしは目的も宛てもあるわけがなく、フラフラと街を彷徨っていた。
アルフの言ってることはきっと正しい。
わたしが管理局に自首すればもう母さんに痛い事はされないだろうし、みんなにも会う事が出来る。
ジュエルシードなんて気にする事なく、みんなとのびのびと遊ぶ事ができるだろう。
……でも全部のジュエルシードを手に入れて母さんの元へ帰れば、きっと昔みたいな優しい母さんに戻ってくれるはずなんだ。
だからここで投げ出すのは……絶対に嫌だ。
「よう、フェイト! なのは達は一緒じゃないのか?」
「っ!?」
普段は街も警戒しながら歩くのに、今日は色々と考えてしまって警戒を怠ったのがいけなかった。
この街には
「なのは達はいないみたいだな。
なら丁度いい、フェイトとの絆イベントでも消化するか」
「っ!」
そう言ってニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながらわたしに近寄るリュウヤ。
ま、まずい……いつもヤマトやレオに簡単に倒されてるけど、それでもこいつはわたしより強い……。
それにまた剣なんて向けられたら、恐怖で動けなくなってしまうだろう。
……なら、逃げなきゃ!!
彼の隙をついてマンションへと引き返そうとしたが、行動を移すには遅すぎた。
彼に手を掴まれてしまったのだ。
「は、離して!!」
「まぁ待てよフェイト! 俺をプレシアの拠点、時の庭園に案内してくれよ」
「っ!? な、なんで母さんのことを知ってるの!!」
「知ってるぜ。なにせ俺様は原作を知ってるからな!!」
「げ、げんさく……?」
か、彼は一体何を言ってるの……?
「原作じゃフェイトは報われないからな。
お前の運命は俺様が救ってやるよ! それがオリ主の役目だからな!!」
「あ、あなたは何を言ってるの……? 意味分かんないよ!!」
「あ? もしかして意味分かってねぇの?
仕方ねぇな、一から説明してやるよ。お前には元々アリシア・テスタロッサって言う姉……いや、オリジナルがいてだな……」
あ、アリシアって誰……? それにわたしのオリジナル……?
……ダメだ、これ以上聞いたらダメな気がする。
これ以上聞いたら……わたしが今まで守ってきた世界が全て破壊され尽くしてしまう……。
「……もういい!」
「おいおい、そりゃないぜフェイト。人の話は最後まで聞くもんだ」
「嫌だ!!」
パァアアン!
直後、頬に衝撃を受けて身体のバランスを崩してしまう。
頬を叩かれたのだ。
「……フェイトォ。俺様、聞き分けの悪い子は嫌いだぜ?
前から思ってたけど、お前嫁のくせに俺様に反抗的だよなぁ?」
「……ぁ」
「こんなに聞き分けが悪いんじゃ、プレシアがお前に鞭を打つのも納得ってもんだ」
……どうして彼はわたしが母さんに鞭打ちされている事を知ってるの…………?
なんでわたしの知らないわたしの事を知ってるの……。
怖い。
怖い、怖い……。
でも、身体がすくんで……動かない。
「あ……あぁ…………」
「でも安心しろ、そんな生意気なお前でもちゃーんと救ってやるよ。
それがオリ主様の使命だからな。
勿論、アリシアもプレシアもこの俺が救ってやる」
「あぁ……!」
怖い……こいつの笑顔が……怖い…………。
逃げたい、逃げたい、でも身体が言うことを聞いてくれない……
「でもその前に……やっぱお前はお仕置きだな。
助けられる方もそれ相応の態度と誠意が必要ってことを、徹底的に体に教え込んでやるよ」
「や、やだ……やだぁ……」
「大丈夫だ。俺様は優しいからな、ちゃーんと従順でいればお前のお母さんほど痛いことはしねぇって。
場所は……そうだな。お仕置きといったらやっぱ時の庭園だろ。
おい、案内しろよ?」
い、嫌だ。
嫌だ……嫌だ……。
「た、たすけ…………」
「助けて? おいおい、お前が悪いくせにそりゃないだろ。
……オラ、とっとと時の庭園に案内しろ」
「やだ、たすけて……!」
「はぁ〜……聞き分けが悪いやつだなぁ、お前は!
フェイトってこんな生意気なやつだったか……?
……軽いお仕置きじゃ足りねえな。まずはお前のその根性、徹底的に矯正してやるよ!」
「やだ! たすけて、ヤマト!!」
「はぁ!? なんでここであのモブの名前が出てくんだよ!!
浮気か? 浮気したのか!? この尻軽女が!!」
直後、リュウヤの拳がわたしに迫る。
殴られる……!!
…………。
だが、いつまで経っても痛みも衝撃も来ない。
恐る恐る目を開けると、目の前にはリュウヤの拳を掴む黒髪の少年の姿……。
「……なにやってんだ。龍帝院!」
「や、ヤマト……!」
「フェイト、こっちに!!」
「リニス……!」
そして今はひなの使い魔である筈のリニスが、動けないわたしを抱き上げてリュウヤから物理的に距離を取ってくれた。
「また邪魔しに来やがったかモブゥ!
いつもいつも邪魔しやがって……!!」
「前に言っただろ。もうお前にフェイトを虐めさせないと!
……ごめん、フェイト。来るのが遅くなって怖い思いをさせた」
ヤマトの言葉にブンブンと首を振る。
管理局が来てしまったからみんなと距離を取らないといけないから、もうダメかと思った、助からないと思った……。
だから、助けに来てくれただけで充分だ。
「あぁ、こんな酷い顔になって……なぜフェイトを虐めたんですか……!!」
「虐めてねぇよ、人聞きの悪い猫だなぁ!
俺様はせっかくフェイトもプレシアもアリシアも救ってやるって言ったのに、こいつが聞かねぇからだ!!」
「っ! な、なぜあなたがアリシアの名を知っている!?
……いや、今はそれはどうでもいい。あなたはフェイトをなんだと思ってるんですか!!」
「俺様の嫁だ! なのにこいつ夫の俺様に逆らいやがった!!
どけよ、庇うならお前も調教してやろうか。あぁ!?」
「……あなた達は結婚していないでしょう!
それにあなたにとって嫁とは奴隷なんですか!?」
「は、当たり前だろ? 嫁ってのは夫に尽くすだけの存在だ。
俺様が見初めてやったんだから、むしろ感謝して欲しいもんだ」
さも当然の様にそんな事をいうリュウヤ。
わたしはここで、ようやくこいつに対する得体の知れない恐怖の正体が分かった。
彼はわたしの人生を破壊しつくす存在、管理局よりも最も警戒しなければならない相手だったんだ。
「っ!」カタカタ
「……そうですか。よ〜く分かりました。
つまりはあなたのくだらない欲望の為にフェイトに酷い事をしたんですね」
「くだらないだと……?
おいおい、ヤマネコ風情が何人間様に楯突いてんだ。
ハーレムに加えてやんねぇぞコラ?」
「入る気なんてありませんし、この子を入れるつもりもない。
……もうあなたは許しません。ヤマネコの教え子を傷つけるとどうなるか、人間様に教えてあげましょう」
「まぁ、待てリニス」
「ヤマトさん……?」
リニスが優しくわたしを降ろしてリュウヤと相対するが、ヤマトが彼女の前に出る。
「どけよモブ。コイツら調教して時の庭園に行って、アリシアを蘇生させないといけないんだからよぉ?」
「まぁ待てよ龍帝院。お前はどう言う風に二人を調教するつもりなんだ?」
「あ? 決まってんだろ、フェイトは鞭で嫌ってほど叩かれてるだろうから、俺様のゴッドセイバーで斬りまくんだよ」
『……あ、あのそれは流石に…………』
「うるせえよセイバー! テメェ俺様の武器なんだから武器らしく黙ってろや!!」
『くっ……』
ヘラヘラと笑いながら金色の剣を取り出していたリュウヤだが、金色の剣の苦言を聞いてイラついた表情でそれを乱暴に地面に叩きつける。
「……殺傷設定でか?」
「お前はバカか? そんな事したらフェイト死ぬだろうが。
……まぁ、死んでも俺を怒らせた自業自得だけど、俺様は優しいからな。非殺傷で痛みだけ与えてやるよ」
「……へぇ、それは……こんな風にか!?」
「え──あがっ! がはっ! うぐぁああああっ!?」
直後、あがったのはリュウヤの悲鳴。
ヤマトが一瞬でリュウヤの懐に侵食して、連続で斬り込んだのだ。
「あぁああ! て、テメェ、モブの分際でなにすんだ!!」
「我が身をつねって人の痛みを知れって言うだろう。
お前がやろうとしてる事がこんなに痛い事だって、これで分かったんじゃないか?」
「うるせぇ、モブの分際で一丁前に説教か!?
あぁ、ムカつく……! テメェのその態度、万死に値するぅ!!」
「……反省してないな。それならもう一セットだ」
「しね──あぎぇっ! ぐへっ! あぎゃああっ!?」
憤怒の表情を浮かべていたリュウヤに再び連続で斬撃を加えるヤマト。
再び連続攻撃を受けたリュウヤはどさりと地面に倒れるが、すぐに先ほど以上に怒りに満ちた表情で勢いよく立ち上がる。
「モブゥウウウウッ!!!!」
「なに怒ってるんだ龍帝院。やられても仕方のない事をしようとしたってのに。
……流石に今回ばかりはオレも堪忍袋の緒が切れてる。
フェイトに土下座して、二度と彼女の前に現れないと誓うまでは攻撃はやめないぞ」
「うるせぇ! なんの権利があってオレとフェイトの仲を裂くって!?
テメェふざけるのも大概にしろよ!!
あぁ、決めた。お前は楽には殺さねぇ。
痛ぶって、痛ぶって……もう殺してくださいと懇願してもじっくり痛めつけた後、フェイトやなのはを俺様が侍らす姿を見せつけて「長い」がっはぁああああああ!?」
「はぁ、ここまでやってもまだ反省できないとは……神様もとんだ存在を転生させてしまったな…………」
「がぁああああああ!! 許さねぇ! ぜってぇ許さねぇ!! 殺す!! 殺すぅ!!!!
死ねアンリミ「叫喚地獄」おっごぉおおおおおおおっ!!!??!!??」
何度も何度も非殺傷のグラディウスで斬られたリュウヤは、血管を浮かばせ、目を血走らせながら剣を射出しようとした。
……しかしその瞬間、彼の顔は一瞬で真っ赤から真っ青になる。
犯人は彼の背後にいたレオだった。
「て、テメェ……踏み台ぃいいい…………」
「……おい、レオ。流石に今回は手を出さないでくれ。
今日こそこいつを「起こされた」え……?」
「コイツがフェイトちゃんに酷い事してるから助けてあげてって、羽鳥さんから連絡受けた。
……寝てたのに……三日ぶりの睡眠だったのに…………起こされた。寝て早々……起こされた。
コイツのせいで………………オコサレタ」
真っ赤になっていたリュウヤとは対照的に能面の様な表情でそう呟きながら、お股を押さえて悶絶するリュウヤを持ち上げると、近くのゴミ箱へと移動する。
そして凄まじい勢いでリュウヤを頭からゴミ箱へと突っ込んだ。
「ガバァッ!?」
「ヤマトぉ、お仕置きしてたんなら一旦後にして…………。
俺がやった後にちゃーんとお仕置きすればいいから。
先にコイツ、去勢しよう。
そうすればちょっとは……大人しくなって…………くれるよねぇ?」
そう言って黒い笑みを浮かべたレオはチェーンソー型のデバイスを取り出し、ゴミ箱からはみ出た足の間へと差し込む。
ギュィイイイイイイン!!
「あ"ぁ"あ"あ"あ"あああああああああ!!??」
「時空管理局、クロノ・ハラオウンだ!
龍帝院竜弥、君には次元震発生による世界崩壊未遂の罪の疑いがかけられている。
ちょっとアースラまで同行をねが……一体これは何が起こってるんだ!?」
「っ! 管理局……!!」
「逃げましょう、フェイト!!」
「う、うん!!」
◇
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫だろ。
……それにしても、結局龍帝院に謝らせる事ができなかったな」
「えぇ……。次に会ったときこそ、しっかりと反省させましょう。
……しかし、あの捻じ曲がった根性……果たして彼が反省するのか…………」
「…………」
「おっと、龍帝院の事は今はいい。大丈夫かフェイト?」
「あぁ、右頬が赤くなって……叩かれたんですね。
ヤマトさん、治療できますか?」
「あぁ、
……よし、叩かれた跡は消えたな」
「ありがとうございますヤマトさん。
他に痛いところはありますか、フェイト?」
「…………う、うぅ……」ジワ……
「ちょ、フェイト! 身体、まだ痛むのか!?」
「ヤマトさん、次は全身に治療をお願いします!!」
「分かった、
「うぅううううううううううっ!!!!」
「あ、ようやく見つけたよフェイト! こんな所にいたんだね!!
……って、どうして泣いてるんだい!?」
「……アルフ、少しそこに座りなさい。
リュウヤと言う危険因子がいる中で、ご主人から目を離すとは何事ですか!!」
「な、何かあったのかい!?」
◇
リュウヤから逃げられた安堵や、ヤマトが助けに来てくれた事への安心感、そして自分で何も出来なかった事の悔しさがぐちゃぐちゃになって泣く事しか出来ないわたしを、ヤマトはオロオロとしながらも背中をさすってくれた。
「龍帝院……! アイツまたフェイトを……!!」
リニスから先ほどあった事を聞いたアルフは手から血が出るのではないかと心配になる程、強く手を握る。
「アルフ、今は彼の他にも管理局もいるのです。
一応管理局はジュエルシードを全て集め、なのはさんとの決闘を行うまでは手を出さないと言っていますが油断はできない状況です。
そんな中でフェイトを一人にするべきではありませんでした。反省しなさい」
「待って、リニス。
わたしがついて来ないでって言ったの。だからアルフは悪くない。
叱るならわたしを叱って」
「いや、いいよ。リニスの言う通りだ。
外の空気を吸うならアタシも一緒に着いて行けばよかったんだ!
本当にごめんよ、フェイト」
「うぅん、わたしの方こそごめんなさい……」
今回は沢山の人に心配をかけちゃったし、迷惑をかけた。
特にレオは寝てる所を起きてわざわざ来てくれたみたい。
今日の軽はずみな行動は反省しないと……。
「ところで、ヤマトとリニスはどうしてここに?
アンタらと接触して大丈夫なのかい?」
「さっきリニスが言ったけど、管理局の方針が当分フェイトを放置らしくってな。
でも何かあってからじゃ遅いし、フェイトを管理局に捕まらせない様に護衛しようと思ってな。
もちろん、オレだけじゃなくてみんなも心配してたぞ。オレはその代表だ」
「私もひなが行ってもいいって言ってくれたので来てしまいました。
やはり大切な教え子が危険な状況に置かれているなら放っておけません」
「いい子! 揃いも揃って、あの子達いい子だよぉ!!
良かったねぇ、フェイト!!」
「でもわたしと一緒にいたらヤマト達まで逮捕されるんじゃ…………」
「オレは友達を見捨てるくらいなら喜んで一緒に逮捕される。
それに大丈夫、レオ程じゃないとはいえオレも強いからな。管理局程度には負けないさ」
そう言ってニカッと笑うヤマト。
……どうしよう、嬉しい。
こんな状況で、それでも寄り添ってくれる友達がいるのがこんなに嬉しい事だなんて思ってもいなかった。
ヤマトに迷惑かけちゃうかもだけど……甘えちゃってもいいのかな……?
「ヤマト……」
「ん?」
「ありがとう」
「どういたしまして」
わたしはヤマトに抱きついた。
あぁ……やっぱり安心する……。
なのは達がヤマトの事が好きなの……分かっちゃうなぁ…………。
ヤマトと抱きしめ合っていると、それを微笑ましそうな表情で見守っていたリニスが真剣な表情でわたしに歩み寄って来る。
「フェイト、あなたはこれからもジュエルシードを集める。……そうですね?」
「うん、やっぱり母さんには、優しい母さんに戻って欲しいから」
「そうですか……。
ならばあなたには真実を知って貰わなければならない」
「え……?」
「アリシア・テスタロッサ」
「……っ!」
アリシア……リュウヤが言っていた名前だ。
思い返してみれば、リニスはリュウヤからその名前を聞いた時に反応していた。
……もしかしてリニスは何かを知っているの?
「リニス、お前は今回の事件について……なんか知ってるのか?」
「……はい。この子に伝えるのは酷かと思い、今まで黙ってしまっていました。
しかし龍帝院が話してしまった以上、この厳しい状況下で尚ジュエルシードを集めようと思う以上、この子は知らなければならない」
「……そうか。今話すならオレは席を外すぞ」
「いえ、どうかヤマトさんもこの子の真実を一緒に知ってあげてください。
この子の真実はあまりに残酷……支える人が必要です」
「支える人が必要なほどの真実…………」
だが、ヤマトは怖気付くでもなく笑って頷いた。
「分かった。ならオレも一緒に聞こう」
「……ありがとうございます。
さぁ、フェイト、アルフ。わたしを時の庭園へ連れて行ってください。
そこで全てをお話します」
〜おまけ〜
「龍帝院の捕縛、協力してくれて感謝する」
「いえ、別に」
「……しかし他に方法はあったんじゃないか? ほら、君も一応男の子なんだし……」
「いえ、別に」
「本当にごめんね、レオ君。寝てた所を起こしちゃって」
「いえ、別に……それじゃあ俺帰ります。
すみませんけど、当分は連絡を控えてくれると助かります」
「えぇ、もう呼ばないから大丈夫。本当にごめんなさいね」
『あ〜! フェイトに逃げられた〜!!
せっかく見つけたのに、これじゃあまた迷子だよ〜!!』
「……アスカ、お前今、念話した?」
『いえ、してませんよ』
『一体どうしたら……待てよ、そう言えばこの子フェイトを守ってた子と話してたよね?
それにフェイトに酷いことしたアイツに仕返ししてくれたし』
「アスカ、実は本当は念話してるだろ?」
『だからしてませんって。疲れすぎて幻聴でも聞こえてるんじゃないですか?』
『ゲッ、この子もオッドアイか〜……。
アイツのせいでオッドアイってなんだか苦手なんだよね〜』
「アスカ?」
『してませんって』
「レオ君、あなた大丈夫……?」
『う〜ん、でも背に腹は変えられないし、それに顔はあたしのタイプだし、何より悪い子じゃなさそうだし……。
よし、この子に取り憑いてればいつかまたフェイトとも会えるよね!
それじゃ、お邪魔しま〜す!』
「うるせぇよアスカ! いい加減にしろ!!」
『だから念話してないって言ってるでしょう!
羽鳥さん、マスター疲れすぎて幻聴聞こえてるんですど、どうしてくれるんですか!!』
「ごめんなさい! 本っ当にごめんなさい!!
レオ君、私の家近いししばらく泊まって行って。ほら、おぶってあげるからもう寝ていいわよ!!」