見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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ジュエルシードが揃ったぞ〜……え、雷!?

「せっかく最後みんな集まったんだから……名乗りやっちゃおうよ!!」

 

「……ひなちゃん。流石に敵は待ってくれないだろうし、今まで連勝だからって油断してると痛い目見るから名乗りはまた時間のあるときにでも「ひなちゃん、それ名案なの!!」……高町さん?」

 

 突如場違いなことを言い出したひなちゃんを流石に注意するが、この子の考えに同調したなのはちゃん。

 なのはちゃんはヤマトやひなちゃんがいると精神年齢が途端に低下する上、名乗りに関してかなりノリノリだったっけ?

 

「最後だしせっかく考えたんから披露しないと勿体無いの!」

 

「だよねだよね! みんなもいいよね!?」

 

「あのねぇアンタら……これは遊びじゃないし、レオも言ったけど敵は待ってくれないから……」

 

()()()()()()()()()()()()()()。……よし、動き止めたぞ」

 

「……ヤマトもノリノリなのね」

 

 呆れたようにため息を吐くアリサちゃん。

 

 と言うかかなり適当に言霊使ったけど、これそもそもジュエルシードの活動自体が止まるんじゃないか?

 

 そう思って八岐大蛇ならぬ六岐大蛇を確認するが、時間が止まったように停止するだけ。

 どうやら運良くヤマトの都合のいいように効果を発揮したようだ。

 

「確かにこの場でやるのは危ないかもだけど、何かあったときにすぐ動けるようにしながらならいいと思うな」

 

「うん、なのはやひなと練習してたし、やらないのはもったいないよ」

 

『? 何言ってるのか分かんないけど、フェイトがやりたいならやっていいんじゃない?』

 

「すずかにフェイトまで……あぁ、もう!

 ならリンディさんに怒られないようにパパッと済ませるわよ!!

 レオも良いわね!?」

 

「こりゃもはや俺が何言っても止まらないパターンだろうしね〜……」

 

 ヤマトが言霊で動きを止めたお陰で名乗り口上中に攻撃を仕掛けるなんて、アバレキラーみたいな暴挙はしてこないだろう。

 それに最後だから特別な何かをしたいって言うのも理解はできる。少しは遊ばせてやろう。

 

「よ〜し、それじゃあみんな並んで〜! ほら、ユー君にリニス達も!!」

 

「ちょ、やめとくれよ恥ずかしい! アタシは見てるだけで良いよ!!」

 

「そもそも子供達の中に大人が混ざるのもおかしな話ですし……。

 私は言霊の効果が切れた際に備えておきます」

 

「僕も名乗りは考えてなかったし別に良いよ。考えとけば良かったな〜……」

 

 結局使い魔どもは参加を表明しなかった為、俺達だけが六岐大蛇の前に並ぶ。

 ……ピンクのひなちゃんが中央かと思ったらヤマトが中央なのかよ。

 空気読め男だろうがテメェ。多様性なんざ認めねえ、俺同様お前は端っこだ。

 

「よ〜し、それじゃあ早速……!

 大空の魔法少女、ひな!!」

 

「不屈の魔法少女、なのは!!」

 

「ね、熱血の魔法少女、アリサ!!

 うぅ、やっぱ恥ずかしいわ…………」

 

「氷創の魔法少女、すずか!!」

 

「雷光の魔法少女、フェイト!!」

 

『美少女幽霊、アリシアちゃ──』

 

「奇跡の魔導師、ヤマト!!」

 

『あー! イケメン君、あたしの名乗りと被ってる〜!!

 見えないのは仕方ないけど空気読んでよ〜!!』

 

アリシアちゃん、何やってんだか……叡智の魔導師、レオ!!」

 

「この街を守る七人の魔法使い! U&Mエレメンツ!!

 街を荒らそうとする悪いドラゴンさん! みんなの力でやっつけちゃうんだから!!

 …………決まった!!」

 

 途中アリシアちゃんが余計な事をすると言うアクシデントがあったが、無事名乗り口上を成功させてドヤ顔を浮かべるひなちゃん。

 いつの間にチーム名決めたんだよとか、U&Mエレメンツってなんだよとかツッコミ所は満載だが取り敢えず一言……

 

「上手く行ってよかったね」

 

「えへへ〜」

 

 直後、言霊の効果が解けたのか六岐大蛇が動き出す。

 口上直後とはまさにナイスタイミングだな。

 

「遊びは終わりだ。みんな切り替えろよ!!」

 

「うん!」

 

 ヤマトの掛け声と同時にその場から離脱して六岐大蛇に攻撃を開始する。

 ……と言っても全員揃っている上に金髪が邪魔をしに来ない今、ジュエルシード6個が相手だとしてももはや余裕だ!!

 

「すずか、レオ! こいつを凍らせてくれ!!」

 

「うん! フリージングワールドッ!!」

 

「あいよ! ニヴルブリザードッ!!」

 

 ヤマトの指示を受けてアスカロンを展開、氷魔法で六岐大蛇を凍らせる。

 よっしゃ、これでもうこいつは動けない。ここからは一方的に攻撃できる!

 

「フェイト、レオ! 俺と一緒にこいつを破壊してくれ!

 はぁあああ、御神流、薙旋ッ!!」

 

『やっちゃえ〜、フェイト〜、レオ〜ッ!!』

 

「うん! アークセイバーッ!!」

 

「あいよ! アルギュロスラッシュッ!!」

 

 ヤマトの指示を受けて今度はNワンドを展開、魔力刃で六岐大蛇を斬り刻む。

 剣士のアリサちゃんに頼まなかったのは、彼女の攻撃で氷が溶けるからだろう。

 

「ひな、レオ! 斬り刻んだ氷の粒子を風で吹き飛ばしてくれ!!」

 

「分かった! エンジェルウィンドッ!!」

 

「あいよ! せいやっ!!」

 

 ヤマトの指示を受けて今度はWファンメランを展開、風で氷の粒子を集めて空中の一箇所に集める。

 ひなちゃんはエンジェルウィングを羽ばたかせて風を起こしてるけど、いつの間にこんな素晴らしい精度で風を起こせるようになって……お兄ちゃん嬉しいわ!!

 

「なのは、アリサ、レオ、集めた氷の粒子を消し飛ばしてくれ!!」

 

「了解! 全力全開、ディバイーンバスターッ!!」

 

「任せなさい! フレイムスラストッ!!」

 

「あいよ! ムスペリウムブラストッ!!」

 

 ヤマトの指示を受けて今度はMブラスターを展開、火属性の砲撃で氷の粒子を一瞬で気化させ消し飛ばしてやった。

 これで身を守っていた水がなくなって、本体のジュエルシードが露出したな。

 …………って

 

「おいコラ、ヤマトッ! テメェ、さっきから俺を働かせすぎじゃないか!?

 ブラック労働反対! 労基駆け込むぞコラァッ!!」

 

「悪い。お前どのポジションでも動けるからつい……」

 

『アハハ、それだけ頼りにされてるって事だよ』

 

 アリシアちゃんはこう言ってるけど納得いかねぇ。

 取り敢えずヤマトには今度翠屋のケーキ奢らせてやる。

 

 ……まぁ、何はともあれ露出したジュエルシードをなんとかしないと。弱点を隠そうと海水を巻き上げようとしてやがる。

 使い魔三人が海面に結界を張ってくれてるお陰で海水は少量しか集まってないけど、再び六岐大蛇の身体を成すのも時間の問題だ。

 

「フェイトちゃん、せーのでいこう!!」

 

「うん……!!」

 

 デバイスをシーリングモードにして、大技の準備をするなのはちゃんとフェイトちゃん。

 俺はここにいる人たちの数倍は働いた。ラストアタックは二人が行ってくれるみたいだし、あとは二人にお任せして高みの見物といきますかね。

 

「なのは達にだけ美味しいところは持って行かせないわよっ!!」

 

「うん、最後はみんなで……!!」

 

「よーし、それじゃあ必殺技の準備しちゃお〜!!」

 

「……え〜、結局全員でやんの?」

 

「ならレオは休んでていいぞ。ジュエルシード6つに対して6人なら丁度いいしな」

 

「ほざけ。ひなちゃんに空気読んでって怒られるのも嫌だし、こうなったら最後までやってやらぁ!!」

 

 結局最後は全員でやる事になった為、最大火力の大技を放つために準備する。

 Mブラスターを起動して構える横で、ヤマトも剣と銃を合体させて巨大な銃剣へと変形させる。

 おぉ、こいつも本気みたいだな。てかこれで最後なんだし気合いが入らない方がおかしいか。

 ……この際だし、俺もMブラスターぶっ壊す勢いでやるか。

 

「せーの! ディバイーンバスターッ!!」

 

「サンダーレイジッ!!」

 

「タイラントスラッシュッ!!」

 

「フローズンバーストッ!!」

 

「シャイニングバスター・フルバーストッ!!」

 

「ルインズバスター・フルブラストッ!!」

 

「エクストリウムブラストッ!!」

 

 7人分の最大火力の一撃を受けた6つのジュエルシード。

 明らかにオーバーキルなこの攻撃にはロストロギアといえど耐えられる筈はなく、攻撃が止むとそこには封印されてすっかり沈静化したジュエルシードがそこに佇んでいた。

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

 俺を含めたここにいる誰もが21個のジュエルシードを集めきったと言う実感がないのか、辺りを静寂が支配する。

 

 グゥウウウウ……

 

 直後、お腹が鳴るような音が聞こえた。

 犯人はひなちゃん。

 

「……ひな、お腹すいちゃった」

 

「「「「「…………アハハハハハっ!!」」」」」

 

 なんだかおかしくなったのか、思わず笑ってしまった俺以外の皆々様。

 …………オイ?

 

「ちょ、ひな。それは空気読めなさすぎだぞ!」

 

「全くよ! ひなったら食いしん坊なんだから!!」

 

「にゃははは、そうだね、お腹すいたよね!!」

 

『ひなったらフレンチトーストお代わりしてたのにね〜』

 

「むぅううう! お腹なっただけなのに酷いよみんな!!」

 

「そうだよ。もしひなちゃん泣かしたらテメェらここを墓場にするからな?」

 

「ご、ごめんね。ちょっとおかしくなっちゃって……。

 あとレオ君は物騒すぎるって」

 

 そりゃひなちゃんファーストですし。

 

 ひとしきり笑って、ようやく終わったと言う実感が湧いたのか、アリサちゃんはぐぐ〜っと伸びをする。

 

「あー! ひなのお腹の音聞いてようやく終わったーって気になったわ!」

 

「うん、そうだね。私達、全部集めたんだよ!」

 

「本当、僕一人じゃ集まらなかったよ。みんな、本当にありがとう!」

 

「どういたしまして! フェイトちゃんもこれで目的達成だよね!!」

 

「うん、これで母さんも……うぅん、まだだ」

 

 フェイトちゃんの一声で空気が変わった。

 

 フェイトちゃんは本来敵側の人間。ヤマトと言うイレギュラーが説得したお陰で手を組めていただけで、原作では主人公のなのはちゃんに立ち塞がったであろう存在だ。……多分。

 ジュエルシードを集め終わった今、もう俺らと手を組む必要は無くなったと言えるのだ。

 

「……21個集まったなら、今度はフェイトの戦いなんだよな」

 

「うん。……なのは、約束は覚えてるよね?」

 

「うん。全てのジュエルシードを賭けてフェイトちゃんと戦う」

 

 そう言いながら、漂っていたジュエルシードを手に取ったなのはちゃん。

 そして半分の3個をフェイトちゃんに差し出す。

 

「次会ったときが泣いても笑っても最後、恨みっこ無しでやろう?」

 

「……うん!」

 

『積もる話をしているみたいだけど少しいいかしら?』

 

 フェイトちゃんがジュエルシード3つを手に取った直後、宙にディスプレイが浮かぶ。リンディさんだ。

 管理局に捕まるわけには行かないフェイトちゃんがバルディッシュを強く握りしめるが、彼女は『今は捕まえる気がないから、大丈夫よ』と微笑んだ。

 

『初めまして。私はリンディ・ハラオウンって言うの』

 

「は、初めまして。フェイト・テスタロッサです……。

 管理局の方が……なんのご用ですか?」

 

『あなたに一つ伝えたい事があってね。

 ハトリ……ひなのお母さんから、あなたのお母さん……プレシア・テスタロッサがあなたに酷いことをしているかもしれないと通報を受けました』

 

「……!」

 

『ひなのママ、いつの間に……』

 

 いきなり核心をついてきたリンディさん。

 目を大きく見開いたフェイトちゃんに対し、リンディさんは静かに話を続ける。

 

『もしここでこちらに来てくれるなら、私達はあなたを保護する準備が整っています。

 ……大丈夫、逮捕ではないから前科がつくことはないし、なのはさん達にこれからも会えるように便宜を取り計らうわ』

 

「……いいえ、私はそちらには行きません。

 分かってるんです、母さんのしようとしてこと。でも、それでもわたしは「フェイトちゃんストップ!!」むぐっ!?」

 

『ちょ、レオ!?』

 

「これ以上余計なことをいうのはやめておきな。捕まったときに不利になる」

 

 咄嗟に彼女の口を塞いでこれ以上喋らせないようにする。

 怖がってる相手に口を塞がれるのはかなりの恐怖かもしれないが、流石にこればかりは止めなきゃならん。

 なにせフェイトちゃんが言おうとした事は、自分の意思で管理局と敵対すると表明するようなもの。

 管理局に捕まったとき保護ではなく逮捕される可能性が大いにあるのだ。

 

『ナイスよレオ君! ここから先を言っていたら危なかった……』

 

「ならそもそもこの場で降伏勧告を出さないで欲しかったですね」

 

『ごめんなさい。でも戦いの前に一度聞いておくべきだったの。

 ……フェイトさん、はいかいいえで答えて頂戴。

 引く気はないのね?』

 

「……はい」

 

『……分かりました。ならばこれ以上は何も言いません。

 ですがそうですね……。最後の戦いの場は私たちが用意しましょう』

 

『全力で壊しても問題ない舞台、しっかり用意しちゃいますよ!』

 

 おっと、あからさまに罠を設置しに来たぞこの人。

 もし最後の戦いでフェイトちゃんが負けたらその場で捕獲できる上に、仮になのはちゃんを倒してジュエルシードを手に入れたとしても、転移魔法を解析してプレシアのいる場所を特定する事ができる。

 

 ……これは次で何もかもが終わるだろうし、フェニックスウィングの研究は大急ぎで終わらせた方がいいかもしれん。

 

「……あれ、急に曇ってきたね」

 

「わ、わたし傘持ってないの」

 

「これは……」

 

 そんなことを考えていると、突如空が雲に覆われる。

 ……急に曇る時はあるけど、ここまで急なのはありえない。

 それにこの雲から魔力が検出されてる…………もしかして次元のどこかから誰かが天候操作系の魔法を使ってるのか?

 

「か、母さん……?」

 

『も、もしかしてここに攻撃するつもり!? ここにはフェイトだっているんだよ!?』

 

「え、フェイトちゃん。お母さんがどうしたの!?」

 

『じ、次元干渉!? 別次元から当艦及び戦闘区域に向けて行使魔力……決ます!』

 

『いけない! みんなすぐに防御魔法を展開して!!

 自分の身を守ることを一番に行動して!!』

 

「え、きゅ、急に言われても……す、すずかちゃん!!」

 

「ダメ、これじゃあ間に合わない……!!」

 

「レオ、頼む!!」

 

「はいよ、アルティメットプロテクション!!」

 

 Nワンドを展開して防御魔法を張った直後、恐ろしいほどの威力の雷がこちらに襲いかかってくる。

 

「ぐぅうううう!? 威力高すぎだろふざけんな!!」

 

 SSSの魔力を保有する俺にとって防御魔法は爆破魔法の次に得意な魔法だ。

 そんな防御魔法がもう少しで突破されそうってどんな威力だよ!?

 

「……だが、この程度魔力をフルで活用すればどうって事はねぇ!!

 踏み台その2を舐めるなぁああああ!!」

 

『マスター、魔力を込めすぎです!!

 このままではNワンドが壊れますよ!?』

 

「クソが、アスカロン使えばよかった!!

 オリ主、あとは任せた!!」

 

「分かってる! ()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 直後、先ほどからしつこいほどに襲いかかって来た雷は消えて、再び夕陽が差し込み出した。

 流石はオリ主のチート、俺が対応しきれない予想外の事態にもなんとかできる。そこに痺れる憧れるぅ!

 ……でも結局Nワンド壊れちまった。これ損害賠償請求できないかな?

 

「母さん、凄く怒ってる。すぐに帰らないと……! ごめんね、みんな! わたし帰る!!

 なのは、次が最後だから準備しててね。それじゃ!!」

 

「ほんとごめんよウチの鬼婆が!!」

 

「あ、フェイトちゃん!?」

 

 フェイトちゃんはそういうとアルフと共に次元跳躍魔法で帰っていってしまった。

 

『…………ママ、フェイトに向けて魔法を撃ってた。

 ……なんであんな酷い事ができるの? 昔は優しかったのに……もうあたし分からないよ……』

 

「……アリシアちゃんには悪いけど、あれは本当にどうにかした方がいいと思う。

 フェイトちゃんが勝とうが負けようが、プレシアは捕まえないとダメだろうね。

 ……それはそうと、フェイトちゃんと一緒に帰らなくてよかったの?」

 

『あ…………』

 

 と言う事で、もう少しの間アリシアちゃんと一緒に生活する事になった俺であった。

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