見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます! 作:蒼天 極
ヤマトやなのはちゃん達にアリシアちゃんの存在を明かしてから数日。
ただでさえやる気に満ち溢れていたなのはちゃんだったが、改めてフェイトちゃんの境遇を知りアリシアちゃんからの涙ながらのSOSを受けてついにやる気が天元突破。
彼女はフェイトちゃんに勝つという揺るぎない信念の元、残りの数日を鍛錬に明け暮れ、同じくやる気になった俺達も徹底的に付き合った。
教えるのが上手なヤマトやユーノ君の鍛錬により得意分野を更に伸ばし、俺のシゴキという名の虐めすらも乗り越えてある程度弱点を克服。
そしてアリサちゃんやすずかちゃん、ひなちゃんとの模擬戦を通して魔導師としてのスキルも向上。
原作の主人公という事で、とてつもない潜在能力を秘めていた彼女に徹底的な鍛錬を施した結果…………
「ハイペリオンスマッシャーッ!」
「あぁあああああっ!!」
どこに出しても恥ずかしくない一流の魔導師が爆誕しました。
最後のウォーミングアップでなのはちゃんの砲撃の餌食になったアリサちゃんに合掌していると、隣で様子を見ていたクロノ君が感嘆する。
「まさかあの短期間でここまで実力を伸ばすとは……」
「なのはの関心がある事に関しての知識の吸収力は人の数倍ある。
その上空間把握能力が高いのか、対応できずともほとんど全ての攻撃に反応する事はできていた。
だから魔導師としてのレベルを上げる事で、彼女の持っていた空間把握能力を存分に活かせるようにしたんだ」
「そうだったのか。
だがこの短期間でここまで実力を上げたのは、他ならぬ君の教え方が良かったからでもある。
ヤマト、君は教導隊が向いてると思うぞ」
「そうか?」
クロノ君からの純粋な賛辞に照れ臭そうに頬をかくヤマト。
こいつ教えるのは俺より上手い上に、無茶にならない範囲を絶妙に見極められるからな。
実際、俺も剣撃とか射撃スキルに関してはプライドをかなぐり捨ててヤマトに師事したくらいだし。
もし教導隊に入ったら稀代の名教官って持て囃されるだろう。
閑話休題
「でも油断はまだまだ禁物なんだよな。
今回の鍛錬で確かになのはちゃんのレベルは上がったけど、それでもリンカーコア覚醒でパワーアップしたアリサちゃんとすずかちゃんとの差を埋めた程度だ。
油断してたらフェイトちゃんには簡単にやられる」
お嬢様コンビがリンカーコアの覚醒により超強化された事で、なのはちゃんはこの中で最弱になってしまっていた。
今回その遅れを取り戻したに過ぎない為、フェイトちゃんに勝つにはやはり知恵と戦術が一番重要だろう。
冷静に現状を分析していると、隣でなのはちゃんの様子を見てたひなちゃんがフルフルと首を振る。
「なのちゃんは油断なんてしないよ。
フェイちゃんの実力は誰よりもなのちゃんが知ってる筈だもん」
「そうだね。今のなのはちゃんならきっと勝てる」
「そうであればいいが……ところでリンカーコアの覚醒とは?
レオ、君は一体なにを言って──」
「…………来たよ。なのは」
「フェイトちゃん……」
俺の言葉に疑問を感じたクロノ君が問いを投げかけようとするが、それと同じくしてふわりとフェイトちゃんが降り立つ。
約束の時間ギリギリ。5分前行動について今度ヤマトに教えてもらえ。
「…………」
「…………」
無言で対峙するなのはちゃんとフェイトちゃん。
……口を挟むのも野暮ってもんだろ。俺たちはアースラで勝負の行方を見届けて「フェイちゃん!」およ?
撃墜されピヨっているアリサちゃんをヤマト達と救助しながらアースラへ帰還しようとしていると、ひなちゃんがフェイトちゃんの元へ飛んでいく。
「ねぇ、フェイちゃん。リニス達から聞いたよ?
フェイちゃんのママがすごく酷いことしてるって」
「…………」
「……それでも戦うの?」
「…………うん」
「……そっか」
直後真紅の翼、フェニックスウィングを展開したひなちゃんがフェイトちゃんに抱きつく。
……あの魔法は怪我を完全回復させるもの。どうやら虐待で負った傷を癒しているようだ。
「ひな……傷を……」
「これで思いっきり戦えるでしょ?」
「……ありがとう」
「うん!
……ひなね、生まれ変わる前はパパだった人にすっごい嫌なこととか痛いこととかされてた。
フェイちゃんは生まれ変わる前のひなと同じだから……そんな人の為に無理して戦わなくていいと思ってる」
「生まれ変わる? ひな、なにを言って……?」
「でもあの人の事が大っ嫌いだったひなと違って、フェイちゃんはママの事が大好きなんだろうし、これはなのちゃんとの大切な約束だもんね。
だからひなは止めたりしないよ。
勝ってねとは言えないけど……頑張ってね!! あ、もちろんなのちゃんも!!」
「うん」
「にゃはは。もちろんなの」
そう言うとこちらへ戻ってきたひなちゃん。
どうやらフェイトちゃんの意思の確認と、治療が目的だったようだ。
確かにプレシアの鞭のダメージが原因で負けましたとかじゃフェイトちゃんも悲しいだろうからな。
「さ、アースラに行こ?」
「……ひなはフェイトを止めると思ったが……止めなくてよかったのか?」
クロノ君がそう問いかけるがひなちゃんは首を振る。
「いいの。確かにひなはフェイトちゃんに逃げてほしいと思ってる。
でもそれはひなの気持ちだから、それを押し付けちゃダメ。
正しいことだけが正解じゃないんだよ?」
ひなちゃんは前世で酷い虐待を受けてた子、その上フェイトちゃんとはなのはちゃんの二番目に仲良くしていた。
故にフェイトちゃんが助かって欲しいという気持ちは人一倍あるはずだ。
でも頭ごなしにやめろというのが正しいとは思えなかったらしく、フェイトちゃんを尊重する事にしたようだ。
「それにシアちゃんが止めようとしないのにひなが止めちゃうのも違うからね」
『……ありがとね、ひな。気を使ってくれて』
「どう致しまして!」
「でも、アリシアちゃん。本当にフェイトちゃんと話さなくていいの?」
『……うん、いいの』
今なお俺に取り憑いているアリシアちゃん。
ヤマトの言霊があればフェイトちゃんと話す事もできると言う事で、ヤマトの力を借りて説得をするものと思っていたが、彼女は首を振る。
『あの子は無理をする子だからきっとあたしが言っても止まってくれない。
でもなのはは……あの子はフェイトの一番の親友なんでしょ?
ならあの子が止めてくれるのを信じるよ』
「……大丈夫よアリシア。なのははきっと勝つから」
「うん。今のなのちゃんなら絶対に勝てる」
なのはちゃんを信じているからこそ見守ることにしたらしいアリシアちゃん。
そんな彼女を連れてアースラに帰還。
アースラに搭載されたモニターで二人を見守る中、静かにフェイトちゃんが口を開く。
『……なのは、ついにこの時が来たね」
『うん。こんな事言ったらリンディさん達に怒られちゃうかもだけど、実はこの日を楽しみにしてたんだ』
『ふふ、わたしも。
……勝ってジュエルシードを母さんの元へ持って帰る。そしてアリシアを生き返らせて母さんの笑顔を見る……。
悪いけど今回ばかりは手加減できないよ?』
『わたしもだよ。
フェイトちゃんの境遇を、フェイトちゃんのお母さんがやろうとしてる事を知って見過ごすわけにはいかなくなった。
本当はお話しして分かり合えるのが一番なんだけど……それじゃあフェイトちゃんは納得できないよね?』
『……うん』
『なら、全力でぶつかりあって……勝つ!
勝っても負けても恨みっこなしでやろう』
『うん、泣いても笑ってもこれが最後。
なのはも本気で戦わないと許さないから』
『もちろんだよ』
もはやお互いに語る言葉は無くなったのだろう。
お互いに無言でデバイスを構える。
『…………』
『…………』
『『いくよ!!』』
そして数十秒、しかし10分にも20分にも感じられる時間睨み合うと、全く同じタイミングで距離を詰めてデバイスをぶつけ合わせた。
◇
そこからはなのはちゃんとフェイトちゃんの激戦。
縦横無尽にフィールドを駆け回り、なのはちゃんに攻撃を加えようと立ち回るフェイトちゃんと、彼女の攻撃を一つ一つ的確に捌きながら隙を窺うなのはちゃん。
「うっわ〜……こんなハイレベルな戦い、教導ビデオでもなかなか見れませんよ!
2人ともまだ9歳なのに凄いな〜……」
「えぇ、本当にあの子達は……いいえ、この街の魔導士達は才能に満ち溢れているのね」
「でしょ? なにせ娘の友達だし、みんな強いわよ〜」
アースラのオペレーターらしいエイミィさんとリンディさん、そして流石に今回ばかりはとパン屋をひなちゃんパパに任せてアースラにやって来ていた羽鳥さんが感嘆の声を漏らす。
普段はどうだすげえだろぉ? とドヤ顔決める所だが、今回は勝負の行方が気になるため二人を無視してモニターに齧り付かせていただく。
『はぁ!!』
『くぅ……!!』
「あぁ……! フェイトちゃん、前より強くなってる…………」
「……フェイトは頑張り屋だ。
なのはと戦うと約束してから、暇を見つけたら訓練だったり、ヤマト達の戦いを見ての自己分析だったりを続けてたんだよ。なのはに勝つために」
『そっか、フェイトも頑張ってたんだね。
流石はあたしの妹……』
……そりゃあ精進しているか。
フェイトちゃんが格下だからと舐めてかかっていたのならば余裕で勝つ事はできてただろうが、あの子は手を抜かない真面目ちゃんタイプ。
魔導師としては100点満点の心構えが、更に攻略難易度が跳ね上げてしまったようだ。
『凄いねフェイトちゃん……以前戦ったときよりもっとずっと速い!』
『なのはも以前戦ったときよりもかなり動きが良くなってる。
とても頑張ったんだね。
でも、これくらいならまだ勝ちは譲ってあげないよ……!!』
『!!』
直後、手元のスフィアを閃光弾のごとく輝かせてなのはちゃんの視界を奪うと、ジグザグに動き回って彼女の懐に侵食。
『レイジングハート!!』
『セイバーモード!』
『な……!?』
だがその瞬間、瞬時にレイジングハートが変形を開始。
レイジングハートのロッド部分が短くなると、カノンモードの先端から魔力刃が展開。
まるで剣のような姿へと変化する。
それを見たフェイトちゃんはすぐさま距離を取ろうとするがもう遅い。
この間合いはもはやなのはちゃんの領域だ。
『お兄ちゃん直伝、奥技の参、射抜ッ!!』
『カハッ……!!』
なのはちゃんから放たれた神速の如き刺突の雨。
それをモロに受けたフェイトちゃんはぶっ飛ばされ、大きく耐性を崩してしまった。
「な……!? なのはは後方の魔導師だったはず。
なのになぜ剣での攻撃を……!?」
「あぁ、犯人俺だね」
そう。これこそレイジングハートに搭載していた機能。セイバーモード。
金髪に対する自衛のためにとはいえ剣道をやっているなのはちゃんは、ヤマトやアリサちゃんほどでは無いがかなりの腕前。……いや、刺突に関してはアリサちゃんを超えてるだろう。
その腕前は過去に俺と練習試合した際、普段チェーンソーとかNワンドとか使ってる俺があっさり敗北した程。なおめっちゃ凹んだ。
故にその才能を眠らせておくのは勿体無いと思い、剣機能を搭載したと言うわけだ。
「これなら懐を取られても対応できるし、より変幻自在な戦いをできる。
流石のフェイトちゃんも今のは効いただろうな」
「そうか……確か君はデバイスマイスターだったな。
一緒に活動してるからこそ強みを見つける事が出来たわけか……」
「レオさんはこの街の魔導師達専属の優秀なメカニックなのね」
『あたしの蘇生方法を確立したりとか、もしかしてレオってすっごい天才なの?
すっごいね〜』
感心したようなハラオウン親子とアリシアちゃんにドヤ顔をキメながらモニターに視線を戻すと、手痛い反撃を受けたフェイトちゃんが肩で息をついていた。
『くっ……そっか、なのはも剣、上手だもんね』
『うん、これがわたしの切り札の一つだよ』
『ならもっと頑張らなきゃ』
『!』
十八番であるヒットアンドアウェイ戦法は通用しないと悟ったのだろう。
近接戦からスフィアを用いた遠距離戦にシフトチェンジしたフェイトちゃん。
そんな彼女に負けじと喰らいつくなのはちゃんだが、流石にこれに関してはキャリアの長いフェイトちゃんが有利なようだ。
少しずつ、だが着実にフェイトちゃんの魔力弾がなのはちゃんの体力を削っていく。
『な……!?』
『かかったね』
体力が削れて注意が散漫になっていたのだろう。なのはちゃんは遠距離戦でこっそり設置されていたバインドに引っかかってしまったようだ。
それを見たフェイトちゃんは一切の表情を変えずに大量の魔法陣を呼び出す。
これはかなり高位の……俺がアスカロンでブッパするレベルの大魔法だな。
「こ、これは……!?」
「あ、あれはフォトンランサー・ファランクスシフト!?」
「ど、どんな技なのアルフさん!?」
「生成されるフォトンスフィア38基から、毎秒7発の斉射を4秒継続することで、合計1064発のフォトンランサーを目標に叩きつけるフェイトの必殺技だ!!」
「えぇ!? そ、それなのは死ぬんじゃないの!?」
『え、し、死ぬ!?
こ、こらフェイトーッ! お友達に向かってそんなもの使っちゃいけませんっ!!』
まさか友人に対してこの技を撃つと思っていなかったのか、取り乱すアルフとお嬢様コンビとアリシアちゃん。
だがそんな彼女達にヤマトとひなちゃんが首を振る。
「なのちゃんは大丈夫だよ」
「あぁ、なのはは強い子だ。絶対に負けない」
「ヤマト……ひな……」
「……そうだね。私達もなのはちゃんを信じなきゃ」
『…………』
二人の確信とも言える発言に三人が落ち着きを取り戻す中、非情にもフェイトちゃんは詠唱を開始する。
『アルカス・クルタス・エイギアス。
疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。
バルエル・ザルエル・ブラウゼル。
……受けてみて、なのは。これがわたしのとっておき!』
『……っ!』
『フォトンランサー・ファランクスシフトッ!!
撃ち砕け、ファイアーッ!!』
詠唱が終了し、バルディッシュを突き出した次の瞬間。大量のフォトンランサーが魔法陣から射出されなのはちゃんを襲いかかる。
よほど凄まじい威力なのだろう。モニターから尋常では無い閃光が迸り俺らの視界をも潰して来やがった!!
「ぐぁあああああ!!
目が……目がぁあああああっ!?」
「ぐぅ……!
ムスカ状態になり思わずのたうち回ってしまったが、咄嗟にヤマトが言霊使ってくれたお陰で無事視力は回復。
どうやらモニターからの閃光も収まったようなので気を取り直してモニターを見直すと、フォトンスフィアを集結させて一本の巨大な槍にしたフェイトちゃんの姿。
『スパーク……エンドッ!』
そう言って雷光の槍をなのはちゃんがいた箇所に投げつけると、その瞬間大爆発。
明らかなるオーバーキル。まともに食らったらまず助からない。これが決まったならフェイトちゃんの勝利は確定だっただろう。
……これが決まっていたのなら。
『ハァ……ハァ……。
あ、危なかった〜……』
『え……ま、まさか今のを捌ききったの……?』
『今度はこっちの番だよ、フェイトちゃん!』
『あ……!?』
大技により発生した煙の中、姿を現したのは無傷のなのはちゃん。
…………え、無傷?
「あ、あれ〜?
耐え切るとは確信してたけど無傷って……?
あれ、なのはちゃん以上の防御力のすずかちゃんでも撃墜するような技なんだけどあれあれ〜?」
「だってなのちゃんフェイちゃんの魔法全部切落としてたもん。
ほんとなのちゃんって剣上手だよね〜」
「ゑ?」
あの技の閃光により目を潰されてなかったらしいひなちゃん曰く、フェイトちゃんから放たれたフォトンスフィア計1064発全てをセイバーモードで切り捨てた挙句、最後の雷光の槍さえも一刀両断にする事でダメージを受けなかったとの事。
…………。
「…………アリサちゃん、ヤマト。
今の真似できる?」
「……無理」
「言霊で補強して辛うじて……
流石は
『なのはすご〜い……』
ここで新事実判明。
どうやらなのはちゃんの剣の適性はヤマト以上だったらしい。
恐らく本人はがむしゃらだったんだろうけど、火事場の馬鹿力でこんな事できるなら将来剣道の師範代としても食っていけるんじゃなかろうか。
『ディバインバスターッ!!』
あまりの潜在能力の高さに内心ドン引きしていると、反撃に転じたなのはちゃんはお得意の砲撃魔法を放つ。
しかし腐っても相手はプロ。フェイトちゃんはプロテクションでなのはちゃんの一撃を受け止めてみせた。
だがなのはちゃんの猛攻はその程度では終わらない。
『くっ……!
……あ、あれ……なのはは……っ!? バ、バインド!?』
『受けてみてフェイトちゃん! これが私の知恵と戦術!!』
『え……っ!?』
無理やりプロテクションを展開した事で肩で息をしていたフェイトちゃんの隙をつき、空高くを陣取っていたなのはちゃん。
彼女はレイジングハートの先端に空を漂う使われなかった魔力を集めていた。
『うわ……すっごい魔力……」
「収束砲撃か……!?」
「ク、クロノ君、収束砲撃って?」
「大気中の魔力を集める元気玉のような大技だ。
一応オレやレオ、ひなも習得してる技術ではあるが……」
「これ発動難易度すっごい高いはずなんだけどな〜?
俺、習得に半年かかったんだけどな〜?
剣術といい砲撃といいなのはちゃんちょっと規格外すぎないかな〜?
これ下手したら俺近いうちに追い抜かれんじゃないかな……あ"」
「どうしたのよ。急に顔を真っ青にして……?」
「い、いや。なんでもないよアハハハハ〜……」
あまりにこの技に対する印象が深すぎたからだろうか。この技についてだけではあるが原作知識を思い出した。思い出してしまった。
これあれやん、なのはちゃんを代表する魔法。
別名桜色の核兵器……
『全力……全開ッ!! スターライトォ……ブレイカァーッ!!!!』
直後、レイジングハートの先端に集まっていた桜色の魔力が一気にフェイトちゃんに放出される。
『っ!! はぁああああああああああああっ!!!!』
ここでやられる訳にはいかないと思ったフェイトちゃんは多重にプロテクションを展開する事でなんとかそれを受け止める。
『くっ……うぅ……』
『フェイト〜ッ! 頑張れ〜!! ……いや、フェイトが勝っちゃったらダメなのか。
フェイト〜! もう頑張らなくっていいんだよ〜!!
少しちくっとするけどきっと死なないから……死なないから……ねぇ、これって死なないよね?』
「非殺傷設定だし大丈夫だと思う。……多分」
しばらくなのはちゃんの必殺の収束砲撃を耐えていたフェイトちゃんだが、回避特化の彼女は防御魔法はあまり得意ではない。
一枚、また一枚とプロテクションが破られていき……そして最後の一枚も割れてしまった。
『ぁ──』
直後アースラに映されていた映像が桜色に染まる。
戦闘の様子をモニターへ映していたスフィアすらも攻撃に巻き込んでしまったのだろう。
……てかあの出力は半径一キロは軽く消し飛んだかもしれん。
「な、なんつーバカ魔力!?」
「フェイトちゃん死んで無いよね!?」
「す、すごいや。なのちゃん……
ひなもブレイカー出来るけどあんな威力出ないもん」
「あぁ、すごいな。もしかしたらオレの砲撃よりも……」
「……前言撤回、あれ死んだだろ絶対。
フェイトちゃんの遺言。聞いてあげれば良かった」
『フェイト……バカ!
なんであたしの為に……命捨てるのぉ……!!』
「ちょ、縁起でもない事言うんじゃないわよ!!」
「フェイトちゃんは生きてるよ! ……た、多分」
来世ではひなちゃんのように幸せに暮らせますようにと黙祷をしていると、桜色に染まっていた画面が元に戻りなのはちゃん達が戦っていたフィールドを映し出す。
そこには意識を失い海に落下したフェイトちゃんの姿。
……なのはちゃんの勝ちだ。
「フェイト! ……オレはフェイトを助けてくる!」
『あたしも行く!
ひな、フェイトをお願い!!』
「うん、待っててフェイちゃん!
すぐに生き返らせてあげるから!!」
「だから死んでないって!
あぁもう、すずか! アタシ達も行くわよ!!」
「う、うん!」
「プレシアが余計な茶々を入れてくるかもだし、俺も行こうかね。
アルフとリニスも行くだろ?」
「当たり前だろう!
海に落ちて寒いだろうし暖めてやんなきゃ!!」
「今が彼女を保護する絶好の機会ですから。
フェイト、もう少しの辛抱ですよ……!!」
「あ、待って! 僕も行くよ!!」
フェイトちゃんの身を案じた俺たちはなのはちゃん達の元へ転移し、フェイトちゃんを救助するのだった。