見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます! 作:蒼天 極
なのはちゃん達が戦っていたフィールドに降り立った俺達は、すぐに海底に沈んだフェイトちゃんを救出。
ヤマトの言霊で彼女から水気を取り、ひなちゃんのフェニックスウィングでくるんで暖める。
こうする事でスターライトブレイカーのダメージを回復できる上に、暖めることができる。
一石二鳥だ。
「や、やり過ぎちゃったかな……?」
『本当だよ! ウチの妹になんて事を……!!
もしフェイトまであたしみたいな美少女幽霊になっちゃってたら、今頃寝る前に必ずタンスの角に小指をぶつける様になる呪いをかけてたからね!!』
「それ地味に嫌なやつなの!!」
アリシアちゃんはプンスカ怒ってるけど、今回は勝たないとダメだったんだ。
そう考えると多少のオーバーキルも致し方なしと言うものなのだ。
「んぅ、あったかい……。
あ、あれ……ここは……」
『あ、フェイト! よかった〜、無事だったんだね〜!!』
「…………?」
体力が回復し、身体を温めたのがよかったのだろう。すぐに意識を取り戻したフェイトちゃん。
そんな彼女にアリシアちゃんが泣きながら抱擁を交わすが、姿の見えないフェイトちゃんは僅かな違和感に首を傾げるだけであった。
「フェイトちゃん、ごめんね、大丈夫?」
「……そっか、わたしは負けちゃったんだ…………」
「……うん、わたしの勝ちだよ」
「…………勝てなかった」
呆然とそう呟いたフェイトちゃん。
彼女はそれっきり何も言葉にせずただ俯き続けるだけ。
『……フェイト?』
「…………」
ありゃりゃ、すっかり落ち込んでしまってるな。
フェイトちゃんも絶対に勝てると思ってなかっただろう。
なのはちゃんに負けるかもしれないと分かっていたはず。
しかしもはや後がないこの状況で負けてしまった事、ジュエルシードを返さなければいけなくなってしまった事への悔しさと不甲斐なさで彼女は押しつぶされかけている。
……ここで裏切って今まで持ってた分のジュエルシードを持ち逃げしないのは流石真面目っ子と思うが、そんな良い子だからこそどうにかしてやりたいよなぁ。
フェイトちゃんにアリシアちゃんは蘇生できると伝えようかと考えていると、俺の背後を陣取っていたアリシアちゃんが俺の身体を擦り抜け前方へ移動する。
ちょ、それやめて。
『……ねぇ、レオ。
あたしの事を見える様にするあのアナライザー? って言うの今持ってる?』
「持ってるよ、ちょっと待ってて。
フェイトちゃんちょっと失礼」
「…………ぇ?」
アリシアちゃんが頼もうとしてる事は察しがつくため、言われるより前にアナライザーをフェイトちゃんにかけてやる。
そんな俺に彼女は『ありがと』と軽く礼を言うと、フェイトちゃんの前へと移動する。
「……ぇ、あ、あなたは……アリシア…………?」
『よかった。ちゃんと見えてるみたいだね。
あたしの声も聞こえるかな?』
アリシアちゃんの問いにコクコク頷くフェイトちゃん。
アナライザーはあくまでアリシアちゃんを視覚できるようにするもので、声を聴かせるものではない。
だと言うのに見えてるって事は、見えるようになれば……彼女の存在を把握したなら声も聞こえるようになるのかもしれないな。
まぁそれはさておき……
『はじめまして。アリシア・テスタロッサだよ!!
‥……と言ってもあたしはずっとあなたを見守ってたけどね』
「え……え?
し、死んだはずのアリシアが……どうして?」
「死んでからも成仏せずにフェイトちゃんとプレシアを見守り続けてたみたいだよ」
『それで色々あってレオと知り合ったから、ちょっと色々協力してもらってたんだ〜』
「そ、そんなことが…………」
おぉ、フェイトちゃんったら驚いてるなぁ。
そりゃあ少なくとも今は話せないと分かりきっている人と話せるってのはあまりに意外だろうよ。
「…………怒ってるよね?」
『フェイト?』
「だってわたし……あなたの居場所をとっちゃったから……。
それにあなたを生き返らせるのも、なのはに負けちゃってもうできない……。
ごめんね。ごめんなさい……アリシア…………
わたしの身体……あなたにあげられたらいいのに……」
『フェイト……』
すっかり意気消沈してしまっているフェイトちゃん。
どうやら負けてしまったことで、アリシアちゃんを蘇生できなくなってしまった事を悔いているようだ。
これは蘇生方法が確立したと伝えた方が良いかなと感じていると、アリシアちゃんがは〜と手のひらに息を吐く。
そして思いっきり手のひらを振りかぶると…………
『このおバカっ!!』スパーン
「あぅっ!? あ、アリシア……!?」
それはそれはいい音で妹の頭を引っ叩いたアリシアちゃんは、まるでバカな事を言った妹を叱りつけるかの如く、仁王立ちでフェイトちゃんを見下ろす。
ところで霊体のくせしてどうやってフェイトちゃん引っ叩いたんだろう?
『なんでそんなバカなことを言うかなぁこの子は?
あたしがあなたを怒ってるって?』
「うぅ……だ、だってわたしはあなたのクローン……偽物だから…………」
『な訳ないでしょうが!
確かにあなたはあたしのクローンなのかもしれない。でも偽物じゃないでしょ!?
フェイト・テスタロッサって言うあたしとは違う女の子でしょ!?』
「!」
『それにあたし、居場所取られたなんて思ってないから!
フェイトって言う可愛い妹が生まれて、ママの元に家族が一人増えただけ!!』
「…………ぇ?」
アリシアちゃんの……特に妹と言う言葉に大きく目を見開いたフェイトちゃん。
この反応……恐らくフェイトちゃんは自分は偽物だと思い込んでて、妹と言う枠組みで考えた事がなかったんだろうな。
「妹……?
わたし、あなたの……妹なの……?」
『え、当たり前でしょ?
だってあたしとそっくりな見た目だし、なにより産まれ方はどうあれあたし達はママから産まれたんだから。
今のママは見てられないけど、妹ができたのはすっごく嬉しかったな〜』
「そっか……わたしは、あなたの妹なんだね『って、妹である事は超重要だけど、まだあたしのお説教終わってないぞ〜!!』ひゃ、ひゃい……!!」
ごく平然と妹と言ってのけたアリシアちゃんにフェイトちゃんは多少救われたのか笑顔になるが、まだ怒っているアリシアちゃんにずいっと詰め寄られてすぐに戸惑った表情に戻る。
『そしてフェイト、さっきあなたなんて言ったっけ?
確かフェイトの身体をあたしにあげられたら?』
「う、うん……」
『これがあたしの一番許せない発言だこらぁああああああ!!!!』
「ひゃあ!!」
あまりの剣幕に思わず尻もちをついてしまったフェイトちゃん。
……あ、尻もちをついた表紙にアナライザー外れてらぁ。
見た感じもうアナライザーなくてもアリシアちゃんのこと見えるっぽいし、無くしたら困るからこのまま回収させてもらお。
『そんな事したらフェイトがいなくなっちゃうじゃん!
あたし嫌だよ! 生き返る為にフェイトの人生奪うの!!
そんな事するくらいなら一生死んでた方がマシ!!』
『それに……』とアリシアちゃんがなのはちゃん達を向く。
おや、この流れは…………
『フェイトがいなくなって悲しむのはあたしだけじゃないんだよ!
ほら、言ってあげてみんな!!』
「ナイスパス、アリシア! ならお言葉に甘えて……
フェイト、アンタ、なんて事言うのよ!
自分の命を粗末に扱うなんてアタシ許さないからね!!」
「フェイトちゃんいなくなったら、私悲しいよ……」
「ひなもひなも!!
せっかくフェイちゃんと仲良しになれたのに、お別れしちゃうのヤ!!」
「一応言っとくけど、アリシアちゃんに身を差し出した瞬間、ニコポナデポ24時間コースやるからな?」
「みんな……」
アリシアちゃんのパスを受け、思い思いの事を言う俺達。
なんか俺一人だけ脅しになってしまったけど、いい言葉が思いつかなかったから許してほしい。
「フェイトちゃん」
この中でなにも発言してなかったなのはちゃん。彼女はフェイトちゃんの元へ移動すると、彼女に視線を合わせる。
「フェイトちゃんはさ、わたしの剣の型を見たときにすっごく綺麗って言ってくれたよね?」
「え、う、うん……」
「それにお菓子を作ったときもすっごい美味しいって喜んでくれた」
「うん……」
なのはちゃんは続ける。
ジュエルシードを探して一緒に探し回ったこと、魔法の練習をしたこと、休憩中一緒にお菓子を食べたこと、気分転換に一緒に遊んだこと、一緒にケーキを作ったこと、具合を悪くしたフェイトちゃんを看病したこと……。
俺の見ていないところでも、なのはちゃんはフェイトちゃんと本当にたくさんの思い出を作っていたようだ。
「一緒にたくさん、いろんな事をしたよね。たくさんの思い出を作ったよね?
さっきフェイトちゃんは自分を偽物って言ったけど、この思い出はフェイトちゃん自身との思い出。
わたしはもっともっとフェイトちゃんとたくさんの思い出を作りたいと思ってる」
「なのは……?」
「でもフェイトちゃんがいなくなっちゃったら……?
まだ友達になって一ヶ月しか経ってないのに、お別れなんてイヤだよ……」
そう言うなのはちゃんは泣いていた。
別になのはちゃんに打算はないだろうけど、泣き落としは一番効くやつや。
「お願いだから、身体をあげるだなんて……自分を犠牲にするなんて……そんな悲しいこと……言わないでよぉ……」
「……ごめん」
泣きじゃくってしまったなのはちゃん。
まさかなのはちゃんを泣かせてしまうとは思ってなかったフェイトちゃんはオロオロしているが、そんな彼女に最後、ヤマトが歩み寄る。
「フェイト、これで分かったんじゃないか? お前がどれだけ周りから大切にされているか。
確かにお前のお母さん……プレシア・テスタロッサはフェイトの事を見てないかもしれない。
それでもオレ達との関係はフェイト自身が作り出したものだ」
『お、いいこと言うねイケメンくん!
だからねフェイト、あなたはもっと我儘に生きなさい!
あたしやママに気を使ってしたくない事するんじゃないの!!
本当は何をしたい?』
「わたしは……わたしは…………! もうこんな事したくない……!
もっとみんなと一緒にいたいし、母さんの笑顔を見るだけじゃなくて……娘として大切にされたい…………!!」
『よし、ならどっちも叶えちゃお!
みんなと一緒にはもう大丈夫だし、問題はママだよね……。
ま、それはあたしが生き返って全力ビンタからのお説教でなんとかなるかな』
「え、生き返る……?」
『あ、言ってなかったっけ……?
実はあたし、ジュエルシード以外で生き返る方法ができちゃったのです!!』
「え、えぇ!?」
『レオが頑張ってくれたんだよ』
アリシアちゃんがそう言って俺を見る。
……本来はアリシアちゃん蘇生はオリ主の役目だったんだろうけどな。
でもこいつゴリッゴリの体育会系だし、かと言ってオリ主特有のご都合主義が発生する可能性を考慮したら、理系の俺が頑張るしかないじゃんか。
と言う事で、アリシアちゃんがハーレムに加わらなかったとしても俺は悪くないんで悪しからず!!
『……ねぇ、レオ。
今変なこと考えなかった?』
「ナンノコトカナ?
……ま、何はともあれアリシアちゃんの死体がないとね。
まだ時の庭園にあるんだよね?」
「う、うん……。
ほ、本当にアリシアを生き返らせれるの?」
「計算があってれば。
でも仮に間違ってたとしてもヤマトの言霊で修正できるだろ。
いけるよな?」
「あぁ、ここまで頑張ったんだ。
こうなったらみんな幸せハッピーエンドで終わりたいからな。無茶だってしてみせる!」
『心強いね〜! それじゃ、まずはあたしの死体を回収しよっか!!
……あ、その前に……フェイト、そろそろオコジョ君……ユーノって子にジュエルシード返してあげて。
ママからは教えて貰わなかったかもしれないけど、人のものはとっちゃいけないんだよ!』
「フェレットだから! てかそれ以前にちゃんと人間だから!!
レオだろ。アリシアに余計なこと教えたの!!」
「それでも俺はテメェをオコジョと言うのをやめない!!」
「おい!!」
「ふふ、そうだね。それに約束だから」
周りから愛されていたことの実感、そしてアリシアちゃんが生き返ると言うニュースを聞いたフェイトちゃんはようやく分かってくれたようだ。
キャンキャンと俺に文句を言い続けるオコジョの元へ移動すると、バルディッシュを差し出す。
「ごめんねユーノ。今までジュエルシードを取っちゃってて」
「うぅん、気にしないで。
むしろ集めるのを手伝ってくれた事について、僕がお礼を言う方だよ。
ありがとう」
「うん、それじゃあ……わたしがみんなから譲ってもらったジュエルシード9個、返すね。
バルディッシュ、お願い」
『Pull out』
フェイトちゃんの声に合わせ、バルディッシュから9つのジュエルシードが吐き出される。
よかった……これでジュエルシードは21個全部こちら側に集まった…………あれ?
「なのは、回収をお願い」
「うん、お願いね。レイジングハート」
『イエスマス「ちょっとタンマ!」……マイスターレオ?』
いい雰囲気だった所に水を差してしまったせいで周りから怪訝な目で見られるが今はそれどころじゃない。
すぐさま回収していたアナライザーでジュエルシードの解析を開始する。
「アスカ〜、解析結果は?」
『マスターの審美眼に狂いはないですよ。
一発で見抜くなんて、マスターロストロギア解析士の仕事でも食べていけるんじゃないですか?』
「……あのババアやりやがったな」
「どうしたのレオ君?
ま、まさか……!?」
「……そのまさか。これ、偽物だ」
悲報、フェイトちゃんの持ってたジュエルシードは偽物でした。
見た目はもちろん、ジュエルシードから発せられる微弱な魔力すら正確に再現されてやがる。
本物と比べて0.01パーセント程度違う魔力が検出されたからもしやと思ったが、俺の誤解ではなかったようだ。
「ど、どうしてフェイトちゃん……。
いや、この反応、フェイトちゃんも分かってなかったんだね」
「……う、うん。バルディッシュ、どう言うこと?」
『分からない。当機がジュエルシードを放出したのは今回が初だ』
「それじゃあ直近でシャットダウンしたのは……機能を完全に停止させたのはいつ?」
恐らくはプレシアがこっそりバルディッシュをシャットダウンさせ、ジュエルシードをすり替えたのだろう。
『直近ではマイスターレオの調整を受けた際だ』
だが当のバルディッシュはそんな事をほざきやがった。
ちょっとちょっと勘弁してくれよ。それ真っ先に俺が疑われるパターンじゃねえかクソッタレ。
『こらレオ〜。何してるのかな〜?』
「待ってシアちゃん! れお君は絶対そんな事しないよ!!」
「うん、レオ君がジュエルシードを盗むメリットはないし、頭いいからすぐにバレるようなミスはしないと思う」
「すずかの言う通りね。
仮に解析したいとかならひなとかなのはの持ってたジュエルシードを借りるだろうし、必ず報告はするもの」
「信じてくれておっさん嬉しくて号泣しそうっすわ。
……バルディッシュ、シャットダウンのデータを削除された可能性はある?
必ずなんらかの痕跡が残ってるはず。些細な事でもいいから教えて」
『……一昨日の深夜に当機は時間認識のズレを検出し、修正を行った』
「それだな」
とどのつまりフェイトちゃんが寝静まったタイミングですり替えられ、ご丁寧にシャットダウンの記録を削除したのだろう。
全く、飛んだコソ泥がいたもんだ。
「……今の聞いてましたかリンディさん。
ジュエルシードはプレシアが持ってる可能性が高いです」
『……そうみたいね。ならばジュエルシードを回収しなければ。
フェイトさん、時の庭園の座標を教えてもらってもいいかしら?』
「は、はい! 分かりました!!
え、えっと……っ!?」
フェイトちゃんが座標を教えようとした次の瞬間、突如空が暗くなり雷がゴロゴロ鳴り出し…………
あ〜、そりゃ流石に情報を売る行為は許してくれませんわ。
「母さん……」
『リンディ、私を出しなさい!』
『ハトリ……いけるの?』
『もちろん。怪我はとっくに完治済みだからこの程度余裕よ!!
早く!!』
『ダメですハトリさん、間に合いません!!』
直後、フェイトちゃん目掛けて紫色の雷が襲いかかる。
絶体絶命の彼女を守るべくヤマトが前に出るが、流石にコイツじゃ荷が重いだろうし、アスカロンを展開した俺が更に前に出る。
ククク、Nワンドを壊されたせいでフルパワーしか出せねぇからな。
俺の最強の防御魔法で耐えてやらぁ。来い!!
だが俺がパーフェクトプロテクションを展開した瞬間、アリサちゃんとすずかちゃんが俺の前に立っていた。
「ちょいちょい二人とも何してる!?
流石に死ぬぞ!!」
「大丈夫、アタシも良い加減フェイトのママには頭に来てるからね。
ここらで目にもの見せてやるわ!!」
「安心して! 私達負けないから!!」
直後アリサちゃんの持つフレイムアイズが業炎を纏う。
今までで一番の火力……アリサちゃんめ、奥の手を隠し持ってやがったな?
「ハァアアアアアアッ、タイラント……レイヴッ!!」
フレイムアイズから放たれた炎の一閃と雷の槍がぶつかった瞬間、雷の槍は砕け散り小さな雷となって分散する。
「すずか、任せたわよ!」
「うん、インフィニティ・ゼロッ!!」
そして小さくなった雷はすずかちゃんの氷のシールドにより受け止められた。
こちらへの被害はゼロ。
二人係とはいえ、儀式級の大魔法の相殺に成功しやがった。
「凄いなアリサ、すずか。
いつの間にそれほどの力を……」
「アタシらも日々進歩してるのよ!」
「なのはちゃんに触発されて、少しだけ練習したんだ」
「す、少し? 少し練習しただけであんなに強くなるものなの……?」
「すずかちゃんの事だから謙遜してるんだろうけど……。
魔力圧縮なんて魔力収束ほどではないとはいえ、そこそこの技術が必要なんだけどな」
二人が今行ったのは魔力圧縮。
魔法に込める魔力の圧縮率を上げる事で、瞬間火力を補強する高等技術だ。
全く、なのはちゃんといい、とんでもない逸材だぜ全く。
「っ! みんな油断しちゃダメ! もう一発来るの……!!」
『ま、ママ! もうやめて!! ここにはみんなが……!!』
「大丈夫、言霊の魔力を溜めた。今度はオレが魔法を跳ね返す!!」
「その必要はないわ。ヤマト君、後は大人に任せなさい」
第二波が来る直前、空から舞い降りたのは薙刀を装備し、白い翼を生やした桃髪の魔導師。
羽鳥さんだった。
「ママ、大丈夫なの?」
「大丈夫、ママ強いから。
さて……娘の前だし、子供を大切にしないあなたにはちょーっと怒ってるから、少し本気でやらせてもらうわ」
直後、天から再び紫電の槍がフェイトちゃんを貫かんと降り注ぐ。
だがそれに対して羽鳥さんも赤色の魔力の雷を右手に宿したかと思うと、それを前に突き出す。
「ジャッジメントッ!!」
羽鳥さんから打ち出された赤色の雷が紫電の槍とぶつかり合った瞬間、紫電の槍は赤い雷に飲み込まれ空の向こうへと消えていった。
時空間魔法の逆流……今頃プレシアの元に、羽鳥さんの魔法が届いてる頃だろう。
……おや?
『第三波、来ます!!』
「あら、打ち消したのかしら?
にしてもしつこいわねぇ、ならもうちょっと力を入れて……」
「あ、羽鳥さん、良い加減ウザいんで俺やります」
「……まぁレオ君なら大丈夫かな?
分かったわ、油断はしないようにね」
「うっす」
当たらないと気が済まないのか、何度も何度もしつこく攻撃を加えてくるプレシア・テスタロッサ。
流石にムカついた為、羽鳥さんに代わり、俺が反撃することにした。
「行くぞアスカ」
『はいは〜い、それじゃ、パーフェクトプロテクションっと!』
三度降ってきた紫電の槍に対して、俺の持つ防御魔法の中で最高クラスの防御魔法を張る。
直後、凄まじい衝撃が当たりを襲うが、これしきでは俺のプロテクションにヒビ一つはいらない。
「レオ、大丈夫か。言霊で跳ね返そうか?」
「いい。ヤマトは魔力温存しといて。
マギリングアブソーブ」
マギリングアブソーブ、一言で言うなら相手の魔法を魔力に還元する魔法だ。
それで紫電の槍を魔力に還元すると、辺りの魔力を収束砲撃の要領でアスカロンに集めると雷属性の魔法を構築し直す。
さっきの羽鳥さんの魔法は打ち消されたし、半端な魔法じゃダメだな。
隠し味に火属性も追加しておこう。
「アリシアちゃん、悪いけどちょっとプレシアに攻撃するからね?」
『……うん。ママを正気に戻すにはまずは止めないと。
……だから全力でやっていいよ!
妹に酷い事するママは一度ボコボコにされちゃえ!!』
「おおぅ、アリシアちゃんもキレてますなぁ……。
しかしそれなら遠慮なく撃てるってもんよ!!
くらえ、ムスペリウム・トールサンダーッ!!!!」
何度も何度も魔法を撃ってきたおかげで、どこから攻撃してるかは特定済み。
と言う事で割と本気の一撃をその座標に向かって送りつけてやると、まともに喰らったのか、第四波の雷の槍は降る気配はない。
「母さん……」
これだけ執拗に攻撃を加えられたのがショックだったのか呆然とするフェイトちゃん。
そんな彼女のすぐ横にディスプレイが浮かび上がる。
そこにはなんだか慌てた表情のエイミィさんが映し出された。
『み、みんな無事?
なんだか凄いことになってたけど……!!』
『落ち着けエイミィ!!
……緊急事態だ。みんなすぐにアースラに戻って来てくれ!!』
『ハトリ、みんなをこっちに連れて来て。
もちろん、フェイトさんもね?』
「分かったわよ。
……フェイトちゃん、思うところはあるだろうけど、まずはこっちに来てくれる?」
「……はい」