見た目だけは踏み台だけど、普通に生きさせていただきます!   作:蒼天 極

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オリ主君とも友達に……いや、テメェはライバルだ

 命を賭けてオリ主君に襲いかかった俺。だがものの三秒で返り討ちに遭い、努力をしてもオリ主と踏み台の実力の差は埋まっていなかった事実に絶望していたが、オリ主君に襟首を掴まれて公園に強制連行されてしまった。

 

「クソ、有無を言わさずに連れて来やがってからに……拒否権はないのか拒否権は!!」

 

「有無を言わずに襲いかかって来て何言ってんだ。先に喧嘩売って来たのはお前で勝ったのはオレなんだから拒否権なんてない」

 

「うわ、ぐうの音も出ねぇ……」

 

 だが確かにその通りだ。

 勝ったのに俺を追い払わなかったという事はオリ主君は別にひなちゃんを狙っていたわけでは無いということ。

 ならば今回の喧嘩は因縁をつけて襲いかかった俺が悪い。ここは素直に従うとしますかね……。

 

 両手を上げて降参のポーズを取っていると、話についていけなくて目が点になっていたひなちゃんが「あ!!」と声をあげてオリ主君となのはちゃんの前に移動する。

 

「初めて会った子にはまずは自己紹介からだよね。ひなは桃崎ひなだよー、よろしくね?」

 

「わたしは高町なのはなの。こちらこそよろしくね?」

 

「なのはちゃん……なのちゃんって呼んでもいーい?」

 

「うん!」

 

 原作知識を失えどほんの微かに残った記憶が正しければなのはちゃんは割と大人びた性格だったはず。

 だが流石に5歳ならばまだ年相応なようで、フレンドリーなひなちゃんを無邪気な笑顔で受け入れてあっさり仲良くなってしまった。

 

「いや〜、あの子に女の子の友達が出来たのは嬉しいね。なのはちゃんにはひなちゃんとずっと仲良くしてあげて欲しいもんだよ」

 

「お前はあの子のなんなんだ……」

 

「友達ですがなにか?」

 

 おっと、ひなちゃんに初めての同性の友達が出来た感動で忘れてたけど、女の子二人がはしゃいでいるうちに転生者として自己紹介しておくか。

 踏み台とか邪神とか言ってもひなちゃん達は理解できないだろうし。

 

「オレは豊田大和(とよた やまと)。お前さっきからおりぬしって呼んでるけど、ちゃんと名前で呼んでくれ」

 

「ヤマトね、オーケーオーケーオーケー。俺は宮坂麗央ね。見た目は踏み台だけどあの邪神に無理やりこの姿で転生させられただけだから勘違いしないように」

 

「ふみだいが何かは知らないけど、神様を邪神って言うのは流石にどうなん「あんな奴邪神で十分、天地がひっくり返ろうが訂正する気はない」……神様に何されたんだお前?」

 

 踏み台の姿で転生させられました。ニコポナデポつけられました。魔力SSSでした。

 まぁ魔力SSSは便利ではあるし、銀髪オッドアイも……と言うかこの子役として整った顔は個人的に好みではあるけど、ニコポナデポは本当に洒落にならない害悪特典だ。

 

 なにせスーパーで安い商品をゲットして思わず笑ったときに周りのおばちゃんとか店員さんとかに変な目で見られるし、まさかの思って公園にいる適当な女の子に笑いかけてみたら顔を青くしてどっか逃げていくし…………。

 

「だからって笑わないように無表情を意識してたら無愛想な子って陰口叩かれるし……じゃあどないせえっちゅうねん!!」

 

「えっと……気のせいなんじゃないか? ほら、初対面の人が急に意味もなく笑いかけてきたら怖いだろうし……」

 

「じゃあ試してみるか? なのはちゃん、ちょっと良いかな?」

 

「どうしたの?」

 

「ちょっと笑いかけても良い?」

 

「? うん、いいよ?」

 

「ありがと。それじゃあ……」ニコッ

 

 頭にハテナマークを浮かべながらも頷いてくれたなのはちゃんに礼を言ってから笑いかけてみる。

 するとその直後、なのはちゃんは「ひぇ……」と青い顔をして数歩後ろに下がってしまった。

 

「わぁ、れお君が笑うところ久しぶりに見たよ! ……あれ? どうしたのなのちゃん?」

 

「……う、うぅん! なんでもないの…………!!」

 

「正直に言って良いよ。……怖かったんでしょ?」

 

「……うん、なんだかリュウヤくんに笑いかけられたみたいで…………ごめんなさいなの……」

 

「いや、いいよ気にしないで。こっちこそ急に怖がらせてごめんね。…………ほらな?」

 

「……オレが悪かった。苦労してるんだな…………」

 

 それにしてもリュウヤって金髪の事だよな? ……金髪に笑いかけられた見たいって事は、アイツもニコポナデポを持ってるってことか?

 うわ〜……人前で堂々と無限の剣製使おうとするやつと同じ特典って普通に落ち込むんですけど…………。

 

「落ち込んでる所悪いが少し良いか?」

 

「うん? どしたんオリぬ……ヤマト君?」

 

「呼び捨てでいい。……いや、お前神様に転生させられた……俗に言う転生者だろ?」

 

「そうだよ。因みにひなちゃんも転生者」

 

「……は?」

 

 ヤマトは驚愕した表情でなのはちゃんの頭を撫でてあげているひなちゃんを見つめる。

 そりゃひなちゃんはどこにでもいるような年相応の女の子だからな。驚くのも無理はないわ。事実俺も初めて見たときは困惑したし。

 

「あ、ひなちゃん。あっちのシーソー空いたみたいだよ」

 

「あ、ホントだ! ねぇねぇ一緒に乗ろうよ!!」

 

「……あれが?」

 

「あの子前世じゃ5歳で亡くなったんだって。それで俺達は4歳からスタートだったろ? つまりあの子の精神年齢はまだ6歳なんだよ」

 

「そんな小さな子も転生対象に含まれるのか……。まぁ今はひなのとこはいいや。お前が龍帝院と同類じゃないなら仲良くなれないかと思ってな」

 

 は? 仲良く? 見た目だけとはいえ踏み台の俺とオリ主のお前が?

 詳しく聞いてみると、このオリ主前世は高校生だったようで、そんな環境から急に第二の人生を送れと送り出されて内心心細かったのだという。

 

「あらあら、随分と情けないオリ主ねぇ。プクク〜www」

 

「もう一度ぶっ飛ばしてやろうか? ……せめて誰か他にオレと同じ境遇のやつがいないのかって思ったけど龍帝院はあんなんだろ。だからお前にな」

 

 …………なるほどねぇ。

 確かに精神年齢がおっさんの俺とか高校生なヤマトにとって、今更もう一度小学生をやるっていうのも何気に息が詰まる。だから同じ境遇同士つるめば心細くならずに済むってか。

 

「でもいいの? 俺こう見えて前世は30代のおっさんぞ?」

 

「意外と大人なんだな……有無を言わさず襲ってくるからまだ中学生くらいなのかと思ってた」

 

 言うじゃねえかこのガキ……。

 ちゃうねん。前世はあまりに自分を押し殺しすぎたから、せめて幼くなった今くらいはっちゃけたいってだけやねん。

 

「でも話せる奴がいるだけマシだ。よろしく頼んでいいか?」

 

「いや、お前がいいなら良いんだけどさ……」

 

 俺がそう言うとヤマトは手を差し出してくる。どうやら握手を求めているようだ。

 その手を弾く理由もないため彼の手を握るが、勘違いするなよ? 俺はまだ三秒でぶっ飛ばされたことは忘れてないからな?

 お前は友達ではなくライバル……! いつか超えてやるから首を洗って待ってろよ!!

 

「って痛い痛い! おいレオ、お前強く握りすぎだって!!」

 

「あ、すまん。つい力が入ってもうた……」

 

 軽く謝りながらヤマトから手を離すと、シーソーで遊んでたひなちゃんとなのはちゃんが俺達を呼ぶ。

 

「れお君とやまと君も一緒にシーソーしよ〜! れお君ひなの後ろ〜」

 

「はいはーい」

 

「あ、ならヤマト君はなのはの前なの!」

 

「あぁ、分かった」

 

 二人が呼んでるなら転生者同士の話はここまでだな。

 二人をあまり待たせてはいけないと足早にシーソーに向かった俺達。だが足下にゴミが落ちていたため三人に待ってもらい近くのゴミ箱に捨ててから改めてシーソーに向かうと俺は見てしまった。

 

「どうしてなのはは俺の背中に抱きついてるんだ? シーソーの持ち手があるだろ?」

 

「こっちの方が安定するからなの」

 

「そんなもんなのか?」

 

「そんなもんなの。……ヤマトくんの背中安心するの……♡」

 

 ………………。

 

「ヤマト、お前もなんだかんだちゃーんとオリ主やってんだなぁ……」

 

「ん? どうしたんだ。そんな生暖かい目で俺を見て?」

 

「なんでも〜」

 

 既になのはちゃんを攻略していたらしいヤマトに内心感心しながらひなちゃんのシーソーに向かった俺であった。




 豊田大和(とよた やまと)

 前世の享年──17歳

 現年齢──5歳

 誕生日──2月2日

 好きな食べ物──秋刀魚の塩焼き おでん

 性格──クールっぽく振る舞っているが、割と激情家。そして超がつくほどの鈍感

 最近気になる事──なのはやアリサ、すずかのスキンシップが増えたような……気のせいか。
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