The Blue Destiny: 蒼い裁きの後   作:テキサス侍

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プロローグ:白い悪魔

「ユウ、第13独立部隊のエースパイロット、アムロ・レイを知っていますか?このシミュレーターはその彼が操縦するRX-78ガンダム二号機の戦闘データを基にしています。まだ誰もクリアできないらしいですよ。気を引き締めて挑戦してみてください。」

 

シミュレーターがロードしている中、ユウはモーリンの説明を静かに聞いていた。同時にメインモニターに羅列されるRX-78-2のスペックを一瞥する。高性能ではあるが、EXAMによる性能ブーストを考えるとブルーとほぼ互角。強いて言えば、向こうのほうがシールドと装甲の強度が上、こちらの方が僅かに機動力が勝っているといえる。

 

だが、それはあくまでも数値上の違いに過ぎにない・・・

 

「いいか、俺のブルーに乗っているんだ。テム・レイが開発したマシンなんかに負けるんじゃないぞ。通常シミュレーター上での性能は抑えられているらしいが、ブルーにはそのような小細工は無用だ。宇宙戦闘での最新データでアップデートしたヤツを倒してこい。」

心なしか、普段クールな技術屋ぶっているアルフから尋常でない熱がこもっていることにユウは苦笑した。よほどテム・レイをライバル視しているのだろう。無理もない、いまやガンダムは連邦・ジオン双方において最強のMSの代名詞である。シミュレーターとはいえ、それを自分が開発した機体で破るのは技術屋最大の悲願といっても過言ではない。

 

「自分なんて開始五秒で撃破されてしまいました。」

サマナが横から不穏なことをいってくる。パイロットとしての技能はユウやフィリップに比べると少々劣るものの、サマナの基本に忠実で堅実な操縦はある意味極端な二人に比べて癖が少なく、他の部隊では間違いなくトップエースと名を馳せていただろう。

 

そんな彼が開始五秒で撃破・・・ブルーの性能をフルに駆使しても果たして自分に同じ芸当ができるかどうか・・・

 

そのようなことを考えているうちにシミュレーターのロードが完了し、両ペダルを踏み、バーニアを吹かすことで戦いの火蓋が切って落とされた。

バーニアをフル噴射しても体にGがかからない違和感にユウは一瞬注意がそれて危うくビームライフル三射の直撃を受けそうになる。

 

四肢のAMBACを精一杯駆使してやっとのところでその攻撃を躱すが、相手は既に第二射を放っており、前部スラスターのフル噴射で射線をはずす。

なるほど、サマナが五秒でやられるのも無理もない。シミュレーターである以上、相手からの殺気は感じ取れないが、敵機のいる方向から異様なまでのプレッシャーを感じる。

 

まるでセイバーフィッシュで初めてザクに対峙した時、いや、あの夜初めてブルーと対峙した時に似ていた。無機物で人ではなく、機械が発する威圧感というべきものか。殺気を感じなくても、十分敵のいる方角を感じ取れる感覚だ。

それらを一瞬で理解し、順応したユウは、ブルーの盾に装備されているツインビームライフルで応戦する。威力が大きい分、ビームの速度は遅く、比較的よけ易い攻撃だがユウの狙いは、ガンダムへの直撃ではなく、あくまで牽制であり、よけられるのを前提で放った。

 

ドミナンスを駆っていた時から慣れ親しんできた武器だけに敵の反応速度を図るのにもちょうどいい代物でもあった。

 

相手である白い悪魔はその攻撃をものともせず、機体の四肢制御だけで最小限の動きで躱し、突進してくる。無駄の全くないその動きは芸術的ですらあり、ユウは呆気にとられつつ、半分無意識で胸部の有線ミサイルとマシンキャノンを使い弾幕を張り、ガンダムから距離を開ける。

 

プレッシャーはブルーに似ていたが、暴走状態のEXAM機の野性的な動きに比べて、圧倒的に洗練されたガンダムの動きは完全に別物だ。自分がブルーの亡霊に惑わされたことに気づき、ユウは軽く舌打ちしつつ、次の機動に移る。

感覚がシミュレーターにやっと慣れてきたユウは機体の機動力をフルに活用し、イニシアティブを取り返すべく、中距離から的確なベームライフルの連射でガンダムに狙いを定める。ガンダムはその攻撃も紙一重で躱しつつ、ライフルとバルカンで応戦してくる。

 

互いに得意の間合い中距離での応戦を行い一進一退の攻防が続く。手に汗がにじみ、息苦しいほど高速で行われる戦闘の中、ユウの攻撃はやっとガンダムをとらえる。

 

直撃ではなく、相手のシールドをツインビームライフルで吹き飛ばす。本当はビームを威嚇に使い、ユウはミサイル斉射でガンダムを堕とそうとしたが、相手はその罠を先読みし、あえてシールドと左腕を犠牲にしつつ急接近してくる。

 

とっさに自分のシールドとライフルを捨て、ユウはブルーの二本のビームサーベルを抜き、白兵戦に構える。この距離は反応速度が上の相手が有利である自覚しつつ、イフリート改との戦闘を参考にユウは二刀のサーベルで相手へ切りつける。

左腕のサーベルが何かを切り捨て、急にモニターが爆発でホワイトアウト状態になる。目を細めつつ状況確認を試みたユウのコックピットに警報音がけたたましく鳴りだす。接触寸前の瞬間にガンダムはビームライフルをブルーに投げつけつつ、サーベルを抜き突きで攻撃していた。

 

視界を奪われているうえに、突進してくるガンダム相手に回避運動が間に合わないと判断したユウは、両足のペダルを踏みこみバックパックのバーニアを吹かしつつ、操縦桿のトリガーを全て引く。

 

結果は相打ちのように視えた・・・だが、ガンダムのサーベルはブルーの左肩を貫いていたが、ブルーの右腕のサーベルはガンダムの胴体に切り込んでいた。

一瞬の沈黙の後、ユウは現状を復活したモニター越しに確認し、急いでガンダムから距離を取った。その遅れが危うく命取りになりそうになる。ガンダムのジェネレーターが誘爆し、ブルーもただならぬダメージを受ける。

 

ユウは深呼吸をして、荒れていた息を整えようとする。

 

「勝った・・・のか?」

ユウは警報音が鳴り響くコックピット内でひとり呟く。

 

機体状態モニターに目を落とすと、爆発に巻き込まれた機体の各部がダメージを真っ赤に点滅し、訴えかけてくる。戦場だったら自機も戦闘不能、敵の恰好の餌食だろう・・・

 

「すっごーい!さすがです。」

モーリンの声がコックピット内に流れる。

 

「流石は、俺のブルーだ、テム・レイのマシンなどに負けるはずがない。」

「やはり、ユウ大尉は、すごいですね。」

「ユウ、お前、ニュータイプってヤツじゃないのか?」

 

シミュレーターのコックピットが通常状態に戻る中、アルフ、サマナ、フィリップの声も聞こえてくる。

 

「・・・またやれと言われてもできる気がしないな・・・」

シミュレーターのハッチが開く中、ユウは一人呟く。

 




プロローグと第一話はゲームでの内容に沿って続きます。
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