偽トリアがゆく雁夜おじさん救出劇? 作:破戒すべき全ての鬱(うつブレイカー)
私はアルトリアである。
誰が何と言おうと私はアルトリアである。
冬木市に行き、丁度聖杯戦争中だったのか衛宮切嗣らしき人物とセイバーが居たけど私はアルトリアである。
私が本物のアーサー王なのだ!
…そんな私はサーヴァントアルトリアであるからに聖杯戦争に参加しなくてはならない。
ではどうするか?やはり騎士であるからには悪しきをくじき善きを助けるのが筋だろう。
ではZeroの世界で最も救いのない者といえば?やはり雁夜おじさんだろう。
ならばやる事はただ一つ雁夜おじさんを助ける事
はっ!私の直感が今すぐバーサーカーを殺し雁夜と再契約できれば雁夜おじさんハッピーエンドルートに行けると告げている!
思い立てば行動するが吉…今すぐ間桐邸か雁夜おじさんを見つけ出す。
そして見つけ次第に諸悪の根源、憎悪の対象、愛の無い人類悪である間桐臓硯を殺そう。
■
雁夜サイド
「ハァハァ……」
自らの肉体におぞましい蟲…
刻印虫は生命力を糧に体の内側から蝕んでいっており、可能な限りバーサーカーを動かすのを抑えてはいたが試しに少し動かしただけでこの有様だ。
刻印虫の宿主となっている雁夜の肉体は刻印虫を止められる手段はない。
命は風前の灯火であり自らが死に体であると理解している。
「……まだだ」
もはや明日生きていられるかもわからない状態、雁夜に残された選択は敵を見つけ次第戦闘を仕掛け出来るだけ短く早くに聖杯戦争を終わらせ桜を助け出すのみ…
「そこの貴方」
そう考えていると後ろから美しいソプラノの声が聞こえ、立ち止まる。
「…なんだ?」
雁夜は少し警戒しながら後ろを振り向く、目に映り込んだのは微笑みを浮かべる高身長だが高校生のようにも見える女性
…エメラルドをはめ込んだような明るい緑の眼に白金とも言い難いくすんだ黄金の髪をもつこの世のものとは思えない程の美貌をもつ美しい女性。
自分が何も知らない一般人なら少なからずその美しさに見惚れていたであろう。
だが聖杯戦争を知っている者なら、この神話じみた美しさはサーヴァントであると主張しているのと何ら変わらない。
常に満身創痍である雁夜からしてみれば、絶望の一言に尽きる。
「お前は…誰だ…」
雁夜が警戒しながら質問すると女性……恐らくキャスターらしき英霊は微笑みを絶やさずに語る。
「…私はただのサーヴァントです、そういう貴方は間桐雁夜で間違いないですね?私は貴方にお願いがあって来ました」
「……なに?」
雁夜としてはこのような怪しいサーヴァントにお願いなどされてはたまったものではない、が敵意があるならば声をかけられる前に殺されていただろう。
雁夜は立ち止まったままキャスターの話しに耳を傾ける。
「今すぐにバーサーカーとの契約を令呪を使い破棄してください」
「なっ!断る!」
サーヴァントも看破されている事に動揺したがそれ以上に契約を破棄しろとはどういう事だ。
バーサーカーを失うというのは聖杯戦争に負けるのと同義、そうなれば桜を助け出す事も出来ず、桜を地獄に叩き落とした遠坂時臣にも一矢報いれない。
「?いえすいません、言葉が足りませんでしたね…バーサーカーとの契約を切り、私と再契約してください」
「は?」
思わず間抜けな声を上げてしまった…
再契約という言葉がどういうものかは分かっている。
だが自分を選ぶ理由がない、魔力もロクな供給ができない自分を選ぶ理由が分からない。
「何故だ?」
「何故とは?」
何故と聞けば同じ言葉が返ってきた事に困惑しつつ相手の目的を考える。
表に出てていないのにも関わらず自分の名前を含む全てを看破できる技量があるならば他のマスターの正体を知っていないとは考えにくい。
ならば魔力が少ないどころではない自分ではなく他の…それこそ遠坂時臣なんかの優秀な御三家に取り入る方が余程いいはずだ。
「何故…俺に声をかけた」
そう至極当たり前の疑問を投げかけキャスターの反応をうかがう…微笑みを崩さず――いや…キャスターは鳩が豆鉄砲を食らった様にキョトンとし、顎に手を当て考える素振りを見せる。
「あー…なんと言ったら良いんでしょうか…直感?いや…魔力?……バーサーカー……そう!バーサーカー!
バーサーカーは魔力の消費が激しいでしょう?その点恐らく私は魔力消費は限りなくゼロに近いのでそこをアピールすれば簡単に取り入れると……思いました……」
「は?」
雁夜はまた間抜けな声を上げてしまう。
魔力消費がほとんどゼロという発言にも驚かされたが予想外の質問に早口で返すという反応に
「えっとあと私、こう見えても有名どころの…いやトップレベルの有名英霊なんですよ!私と契約すればどんな奴でもバタバッタと薙ぎ倒せますよ!いやそれだけじゃ――「フッ、ハハハ!ゴホッ!ハッ!」
「なっ!人が自己アピールをしている最中に笑わないでください!」
「いやっ…フッ…すまない…あまりにも早口で自己アピールをしている英雄らしからぬ行動に…な」
健康とは言い難い身体では乾いたような笑いしか出ないが声を出して笑ったのは本当に久しぶりだ、喋っている内容はともかく身振り手振りは最初の美しいという印象とは掛け離れた子供の可愛らしさを感じた。
「ムッ……まあいいでしょう、それで契約の方はどうします」
「我が令呪を持って命じる、バーサーカー契約を破棄せよ」
雁夜が令呪を使い、強制的にバーサーカーとの契約を破棄する。
「よし、これで良いんだな」
令呪を使用し、キャスターの様子を見ると慌てる中学生のようにアワアワとしどろもどろにたじろぐ。
「あの…えっ?あの危険ですよ?!もうちょっと考えましょうよ!バーサーカーが契約の拘束力がなくなって襲ってきたらどうするんですか?!
私が騙しててバーサーカーを奪い取るための罠とかだったら大変な事になってますよ?!」
「フッー…フフフ…くッ……ハハハハッ――ゴホッ!やめてくれ!俺の死因が笑い過ぎになる!」
あまりにも露骨な狼狽える様に思わず腹を抱えてしまった。
「なっ!そんな笑う事ないじゃいですか!助けたいなと思って来てあげたのこの仕打ちはなんですか!」
キャスターは怒りを顕にし、雁夜に詰め寄るがその行動もどこかコミカルで笑いを誘引する。
「フフフ………悪かったよ、だけどキミみたいな娘が騙すなんて考えを思いつくなんて考えれなくて」
雁夜は久方ぶりに自然に口角が上がり、朗らかに微笑む。
「くっ…」
雁夜の笑みを直視したキャスターは更にバツが悪そうに目をそらす。
「……はいはい!私と再契約しましょう!私の誘いに同意するだけで再契約判定になるはずです!」
観念したのかやけくそ気味に話を進める姿は幼子を見ているようで微笑ましい。
会話を重ねる事に印象が幼くなっているのを雁夜は自覚しつつも再契約する事に異論はなかった。
「ああ、よろしく頼むキャスター」
雁夜が手を差し出しながら答えるとキャスターは不貞腐れながらもその手を握る。
「よろしくお願いしますね…カリヤ」
こうして間桐雁夜の聖杯戦争は新たな火蓋を切ったのだった。
「あの!私の事はキャスターとは呼ばずバーサーカーと呼んで下さい…キャスターは別でいるので……」
「え?」
この爆弾寄りの発言にお前は何のサーヴァントなんだと疑問に思った雁夜なのであった。
時系列?
慢心王「わが宝物に触れるか…狗!」
征服王「あの動き…大したものよ」
バーサーカー( ・´ー・`)どや
雁夜「契約を破棄しまーす」
バーサーカー「…Ar……thur」(退去)