英雄《ヒーロー 》が如く  龍を継ぐもの   作:0101シュート

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第四章 事件勃発 パート4

あの衝撃的な爆破事件の翌日。その中心となった教室とその周りの教室と廊下には

立ち入り禁止テープが貼られていた。警察関係者が学校に来ておりそこにはもう

切島たちが過ごしていた日常は存在していなかった。1年たちは急きょ用意された

仮教室で授業を受けていた。そしてその放課後に切島たちは校長室へと呼び出された。

 

 

 

 

 

「根津校長!4人を連れてきました」

 

オールマイトが校長室へと入ってく。その後ろから切島、緑谷、上鳴、鉄哲が順番に入っていく。

中には根津校長が待っていた。

 

「やあ。来てくれたね。君たちを呼んだ理由はほかでもない。昨日起こった事件についてだ」

 

それを聞いた四人の目が見開かれる。わざわざこんな所に呼び出して話す理由はわからなかったが

とりあえず4人は耳を傾けた。すると根津校長はスマホを片手に何かをチェックし始める。

 

「うむ。この付近に盗聴器を仕掛けたり盗み聞きをしているものはいないな。だがオールマイト

一応外を見張っておいてくれ。終わったら教えるのさ」

 

「了解しました」

 

オールマイトはそう言って外へ出ていく。扉がしっかりと閉めらるのを確認すると

根津校長はついに本題に入った。

 

「ふう……まずどこから話すべきか……そうだな。まず今回の事件を起こした犯人たちの

ことを話そう」

 

「犯人?あの3人組か……あいつら確かうちの制服を身に着けていたな」

 

「切島君の言う通り。あの三人組はうちに在学している普通科の生徒なのさ。

3人は出所が不明の爆薬を教室に隠して爆発させた。轟君が教室にいるタイミングでね」

 

「な、なんでそんなひどいことを……というか爆弾なんてどこから手に入れて......」

 

緑谷は誰もが感じたであろう疑問を口にする。それを聞いた根津校長は申し訳なさそうに答えた。

 

「残念ながらそれはまだ調査中でわかっていない。だけどね緑谷君。この事件の

問題の本質はそこじゃないんだ」

 

「え?」

 

「事件の後。我々雄英高校はすぐさま今回の犯人である生徒3名の保護者、いわゆる

彼らの親御さんに連絡を取った。しかし一切応答がなく我々は親御さんたちの家をそれぞれ訪ねてみたんだが……全部の家がもぬけの殻だったのさ」

 

「ッ!?なんだと……!?」

 

根津校長の口から出た言葉を聞いて切島たちは驚きの声を漏らす。しかし根津校長の

話はこれだけでは終わらない。

 

「我々はこの異常事態に対処するためにあの生徒たちの身元を徹底的に洗い始めた。

役所に問い合わせて情報を集めているうちに我々は気づいてしまったのさ。彼らの個人情報は全てでっち上げられたもの。すなわち彼らの戸籍は偽造されたものだったのさ。僕たちはすぐにこのことをあの生徒たちに問い詰めようとした。けどあの3人には……取り調べ中に突然激しい頭痛を

訴えた後に……記憶喪失になってしまったんだ」

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!なんすかそれ!?そんな都合よく記憶喪失って

なるものなんすか!?」

 

上鳴の意見はまさにその通りだ。そんな都合の良いことは起こりえない。しかし根津校長

は言葉を続ける。

 

「ああ。三人の精密検査を行った結果、彼らの脳に何者かの個性因子が見つかった。

おそらく記憶操作などが可能な個性を持ったものが個性を遠隔発動させたんだろう。

……それより問題なのはこの雄英高校に得体の知れない者たちを生徒として入れてしまったという事実だ。知っての通りは雄英高校は日本最高クラスのセキュリティで守られている。更には入学生の身辺も徹底的に調べつくした上で問題ないかを審査した後入学を許可している。

だがそんな厳重なシステムにも関わらず、あんな得体のしれない生徒たちはうちに入学出来ていた。本来なら身辺検査の段階で引っかかるはずなのさ。

これが……意味するのは」

 

「ほう?てことはなんや?ここの教師の誰かそれを知ったうえで入学を許可させるように仕向けたってことか?」

 

鉄哲の言葉を聞いた上鳴と緑谷は驚きながら一斉に彼の方を見る。

 

「は!?え?ちょ、待てよ!なんだよそれ!?」

 

「え!?ど、どうなんですか!?根津校長!!」

 

「……鉄哲君の言う通り。そう我々の学校内に裏切者がいるかもしれない。それもわが校の

運営にあたる職員の方に。その者が今回の事件の糸を引いていた可能性がある。そして轟君を狙った理由。それを僕は二つの可能性があると考えている。一つ単純にヒーロー社会の重鎮の一角である雄英高校に対する世間の評価を落とすため。もしくは……エンデヴァーに対する何かしらの攻撃」

 

「エンデヴァーの身内に手をかけて……彼の心の憔悴を狙ったってことですか?」

 

「そう。僕はその可能性が高いと考えている。この雄英の上層部にスパイを置いてしまうほどの謎の敵。それは僕たちは思ってるより大きくて闇の深いものたちなのかもしれないのさ」

 

 

「ちょ、ちょっと待って!!本当に待てって!!さっきから色々訳が分かんないけどさ!そもそも

なんで俺たちにそのことを話したんすか!?意味がわからないっすよ!!」

 

「た、確かにそうですね……根津校長。なんでこんな重大な話を僕に」

 

「……それは君たちにお願いがあるからさ……頼む!!僕の下で今日から特殊捜査ヒーローになってくれないか?」

 

「特殊捜査ヒーロー……?」

 

切島たちは耳を疑った。ヒーロー科の生徒である自分たちにそんな役割が与えられるとは思ってもいなかったからだ。緑谷が動揺しながら質問する。

 

「そ、それって一体……どういうことですか、校長?」

 

根津校長は椅子から降り、4人の前に歩み寄る。その表情はいつもの穏やかさとは打って変わって真剣だった。

 

「今話した通り、今回の事件には雄英内部にスパイがいる可能性がある。だが、もしその者が職員であれば、下手に動けば奴に情報が漏れる危険があるのさ。だからこそ、信用できる君たちに協力してもらいたいんだ。

オールマイトと話し合った。その結果君たちが適任だと判断したんだ。君たちにして欲しいことはまだ考えている途中だが……頼む!!この雄英高校を守るために、事件の真相を掴むために協力してくれ!!

もちろん断ってくれてかまわない。だがどうか頼む」

 

根津校長はそう言って頭を下げた。校長室に沈黙と緊張が走る。どうしたらいいものかと

みな黙り込んでしまった。ただ一人を除いて。

 

「やります」

 

「お、おい!?」

 

「き、切島君!?」

 

「フン。ほう?」

 

そう切島がただ一人了承の意を示したのだ。そんな彼に緑谷と上鳴は驚き鉄哲はフッと口角を上げる。

 

「轟は俺の……俺たちの仲間なんです。それが何者かに傷つけれた。このまま黙っているなんて

俺にはできません!」

 

「アハハ!!やはりそう来たか切島。それでこそ雄英の龍や!やっしゃ!!俺も

やったる!!こんな事しでかしたどこかのクソ共を野放しにするのもムカつくしな!!

で?お前ら二人はどうするんや!?やるんか!やらんのか!男らしくさっさと答えんかい!!」

 

鉄哲が悩んでいる二人に向かって活を入れるように問いかける。それを聞いた二人の

鼓動がバクバクと激しく動く。2人は少し黙り込んだあと、パッと顔を上げながら答えた。

 

「そうだよね!僕君たちと同じ気持ちなはずなのに勇気が足りなかった。そうだよ!

ここで引き下がったら僕はヒーロー……いや男として後悔する。なによりオールマイトが

僕を頼ろうとしてくれるんだ。それにも応えたい!!」

 

「へ!ここで引いたら男が廃るぜ!!俺もやってやる!!」

 

緑谷と上鳴も了承の意を示す。そうこの場にいる4人全員が特殊捜査ヒーローになることとなった。

 

「みんな覚悟を決めてくれたようだね」

 

「根津校長。その捜査に関して何かアテはあるんですか?」

 

「手がかりは一つだけある。あの轟君と一緒にいたあの女子生徒だ」

 

轟共にいた女子生徒。彼女はあの爆破事件の日轟と共に教室にいた。轟が気絶する前に

彼女の気にかけていた。そんな轟の口調から切島は彼女とはなにやら親しい関係であることを感じたことを

思い出す。

 

「実はね……彼女は頭を強打したことにより記憶喪失になってしまったんだ。それだけじゃない

彼女もなんと……戸籍が存在しないことがわかったのさ」

 

「なんだと!?」

 

「彼女の名前は宮野友里。普通科の一年なのさ。もしかしたら彼女も犯人たちの仲間だったのかも

知れない。何故轟君と親しそうだったのかとかなぜ彼女には記憶操作の個性の痕跡がなかったのか

色々謎は残るが……もしかしたら彼女が巻き込まれてしまったのは奴らにとっても計算外だったん

じゃないかと思う。記憶喪失ながら彼女から色々情報を聞き出すことが出来たんだ」

 

根津校長がどこからか一枚の紙を取り出す。そこには質疑応答が記されていた。

 

 

 

 

 

貴方はどこから来たの? 

すずらんって所だと思う。そんな名前の所

 

 

 

 

 

あなたに家族はいるの?

  

わからない。ただ最近変なマスクをかぶっている人たちがいる場所で過ごしていた気がする。

 

 

 

 

 

 

そのマスクはどんな感じ?

 

なんか……ペストマスクみたいな感じだった。

 

 

 

最近テレビを病室でボーと眺めていたけど、なんかピンと来たものはなかった?

 

……なんかテレビで特集されていたステインとかいう奴。なんか見てから夢に出るようになった。ダメ……なんか思い出したくない感じがする。

 

 

 

 

 

この3人と面識はあった?

 

……あった気が……駄目……なんか思い出せない。

 

 

 

 

 

 

轟とはどんな関係?

 

……思い出せないけど......彼の写真を見た時とても懐かしい気持ちになれた

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが彼女から聞き出せた情報なのさ。このわずかな情報から

何かわからないか今調べている。今日はこれでお開きにしよう。君たちの任務は

また今度伝える。最後に何か質問はあるかい?」

 

「あ、あの……」

 

「ん?どうしたのかな上鳴君」

 

「その……相澤先生も信用できないんすか?」

 

「……そうだね。彼の大切な担任の先生だと思う。けど今は基本的に誰も信用ができない

状況なのさ。僕も今限れた人たちにしか頼れていない。現在このことを共有しているのは

オールマイト、リカバリガールだけ。他にも信用できそうなのは君たちのような生徒だけなのさ。

だから誰にもこのことは話さないで欲しいのさ」

 

信頼したい人たちも信用できない。そんな気持ちの悪さを抱えながら4人は次なる

根津校長の指示を待つことしかできなかった。しかし切島は独自にとある調査を行っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。アジトに帰った切島はとある人物と連絡を取った後スマホでとある情報を調べていた。

 

(彼女はすずらんって場所から来たと言っていた。もしかしたら……彼女も俺と同じ……)

 

その時切島のスマホが鳴り始める。切島はすぐさま応答した。

 

「秋山さん!!」

 

『ああ鋭児郎君。君に頼まれた調査意外とすぐに終わったよ。見つけたよ……

すずらんって名前の孤児院。それも神室町付近の郊外にあった』

 

「そうですか!やっぱりすずらんと言う名前は孤児院の名前のことだったのか!!」

 

そう切島は自身の直感で彼女の出身地の候補を探り当てたのだ。

 

 

「それでね。知り合いのツテですずらんって言う孤児院について色々調べたんだけどさ。いろんなことが分かった。実はこの施設は図らずも……君との因縁を感じるんだよね」

 

「因縁?」

 

「ああ。まずこの施設を現在運営している東城会のとある直系組の組織なんだ。その

組織は元々大したことのない小さな下部組織だったんだけど2年ほど前からメキメキと成長し始めた。まるで

桐生一馬が死んだのが引き金になったかのように」

 

「え?」

 

「そしてその組織のボスは桐生さんの実の父親の兄にあたる桐生和人の孫らしい」

 

「ッ!?てことはまさか!?」

 

「そう。彼は桐生さんとの血縁関係者。彼の名前は桐生 大和。

東城会直系組織 桐生竜仁会の会長だ。その会長である彼が突然すずらんの経営者として名乗り出たらしい」

 

「おじさんの……実の家族?」

 

血になんかこだわるなんて自分はしないと誓っていた。だが切島の心にはその誓いを

破ってしまうような感覚がよぎっていた。あの桐生一馬の血縁関係者。その事実は

彼の心を激しく揺らしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、根津校長の指令!!

 

「君たちには自由に動いてもらいたい。だから受けてもらうよ。早期仮免試験を」

 

更に切島たちに下された任務。それは4人がそれぞれが四つの街に職業体験に行くこと。四つの都市に隠された秘密を暴き、事件の真相を探れ!!

 

 

 

 

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