英雄《ヒーロー 》が如く  龍を継ぐもの   作:0101シュート

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第五章 上鳴編 血に魅入られた者たち パート3

二人はカラオケが終わった後公園のベンチで昼ご飯を済ます。その後再び捜査のために

町を捜索した。たまに正しいヒーローの会の者たちと戦闘するもののステインのことに

関する有力な情報を得ることはできなかった。どうしたものかと二人は悩んでいたころ

二人は何やら慌ただしく周りを見渡している女性を見付けた。

 

「健太!健太!!どこにいったの!?」

 

誰かの名前を叫びながら周りを見渡し必死に走っている女性。

 

(あれ?あの人。俺がこの町に来て最初に助けた……)

 

2人の足は自然とその人の元へと動いていた。

 

「すいません。どうかしたんですか?」

 

「あ、あなたはあの時の……実は息子が学校の昼休み中に校舎からいなくなったらしいんです!」

 

「いなくなった?」

 

「はい......学校の監視カメラに息子が映っていたのですが……何者かに誘拐された様子が

映っていたんです。今警察が捜査してくれてますけど今の所手がかりがなにも……」」

 

「な、なんだって!?」

 

それを聞いた上鳴はすぐさま決断した。捜索をしている場合ではない。直ちにその子供を

助けなければと意識をを切り替える。そしてそれは耳郎も同じだった。

 

「上鳴!」

 

「ああ!お母さん、俺たちも息子さんを探します!耳郎。時は一刻を争うかもしれねぇ。

手分けして探そう」

 

「了解。じゃあウチは南エリアのほう探してみる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(時間がない。町を走りつつ色んな人から情報を集めよう)

 

 

 

情報を集めろ

 

 

母親からもらった息子の写真を手に周りを見渡しながら走る。路地裏や

柄の悪そうな雑居ビルの中などを覗いてみるが何も手がかりはない。そのため

上鳴は片っ端から住民たちに話しかけた。

 

 

 

 

 

(ん?何か落ちてるな)

 

”GET TO THE TOP!”のCDを手に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後とある重要な情報を持つ者がいた。

 

 

「そういえばさっき嫌がってる子供の手を引っ張ている奴らがいたから

警察に通報したけど......大丈夫かな?なんか最近町で迷惑なことしてる

正しいヒーローの会?その連中と同じバッチを付けてたな」

 

(健太君を誘拐したのは正しいヒーローの会の連中か?なんであの子を......。

いやあのお母さんの時の件といいあいつらステインが粛清したヒーローだけじゃなく

その家族まで責め立てようとしていた。まずい!本当に健太君が危ないかもしれない!!)

 

「すいません。そいつらがどこに行ったか分かりませんか?」

 

「ん~。確か西の方に向かって行った気が……」

 

「あざっす!!」

 

上鳴はすぐさま西の方へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

その後上鳴は西の方向を走りながら全体を見渡す。すると何かしら

騒ぎ声が児童公園の方か聞こえた。上鳴はすぐさまその公園に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おら立てよゴラ!!」

 

「この裏切者が!!」

 

「う、うえーーん!!もうやめてよ!!その人死んじゃうよ!!」

 

児童公園に数人の男がいた。その数人が地面に倒れている男を乱暴に蹴り付けている。

そしてそれを見ながら泣いている一人の男の子がいた。上鳴の目は自然とその男の子に動く。

 

(あの子が誘拐された健太君か?いやそれより!!)

 

「おいアンタら何してんだ!!今すぐやめろ!!」

 

「アン!!うるせえ邪魔すんな!!」

 

上鳴が彼らの暴行を止めようと一人の肩を掴む。しかしそれに帰って来たのは拒絶の言葉と

彼に向かって振られるナイフ。上鳴は『危ねえ!』と声を漏らしながら後ろに下がり避ける。

 

「チ!言葉で解決できるわけがねぇか!!」

 

上鳴はそう言って戦闘態勢に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正しいヒーローの会の会員たち

 

 

「死ねぇ!!」

 

ナイフを持った男が上鳴に斬りかかる。上鳴はそれをスウェイ移動で避けながら

奴の背後を取る。そして奴の背中に強烈な蹴り上げを放った。

 

「ハ!!」

 

「グべ!?」

 

背中に衝撃走り奴の体が一瞬宙を舞う。

 

 

 

 

△極

 

宙を舞った奴に上鳴は鋭い目つきで狙いを定める。そして自身の右足に

光り輝く電気を纏いながらジャンプする!そしてて宙に舞ったサッカーボールを蹴るように

奴の体に蹴りを叩き込んだ!

 

「行っけーーー!!」

 

「ギャーー!!!」

 

「ちょ!?うわ!!」

 

蹴り飛ばさた男は味方の男に激突しまとめて二人ともその場に倒れた。

 

イナズマ式・ボレーシュートの極み

 

 

 

 

「調子に乗るな!!うおーー!!」

 

最後の一人が鉄パイプを両手に持ちながらそれを振るう。しかし

それよりも早く上鳴の上段前蹴りが奴の顔面に突き刺さる。

 

「う!?」

 

あまりの衝撃が奴の顔面に走ったことで鼻血が噴き出しながら奴は

顔を抑えて後ろに下がろうとする。しかし上鳴の方が一歩早い。上鳴は上段前蹴りを

した足をそのまま上にあげて奴の頭上にかかと落としをお見舞いした。

 

「とりゃー!!」

 

「ギャーー!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふうー。なんとかなったな」

 

「く、クソ……」

 

男達はあまりのダメージにその場に全員倒れてしまう。それを確認した上鳴は

ゆっくりと歩きながら体を恐怖で震わしている男の子に近づく。

 

「健太君だよな?大丈夫か?」

 

「お、お兄さんは?も、もしかしてヒーロー?」

 

「その通り!俺はスタンガンヒーロー、チャージズマ!!君のお母さんに頼まれて

君を助けに来たんだ。もう大丈夫だぜ!」

 

「うう......うわーん!!」

 

健太君は大声で泣きながら上鳴に抱き着いた。しばらく背中を撫でたりして

健太君を落ち着かせたあと、すこし質問した。

 

「なあ健太君。さっきまであいつらに蹴られてた人は君の知り合いか?」

 

「ううん。知らない人だよ。けどその人僕を助けようとしてくれたんだ。

最初はなんか口喧嘩してたんだけど徐々にあの悪者たちが手を出すようになって……」

 

「口喧嘩の内容覚えてないかな?何か断片的なことでもいいんだ」

 

「ん~。よくわからないけど......裏切り者だとか……見損なったとか」

 

「そうか……」

 

(この人もしかしたら……よし!)

 

 

上鳴はすぐさまスマホを取り出し通話を開始した。

 

 

「もしもし耳郎?ちょっとさ。ホテルの俺の部屋まで人を運ぶのを手伝って欲しいんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらして健太君は警察の保護され母の元へと戻された。これで一件落着……ではない。

彼は貴重な情報源を手に入れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう......ここは……」

 

男がベットから起き上がる。そこは自分の知らない部屋。あの後自分は一体どうしてここにいるのかと

疑問でいっぱいになっていると隣にいる上鳴が声をかける。

 

「よう目が覚めたか?少し下手だけど包帯とか体に巻かせてもらったぜ」

 

「お、お前たちは?」

 

「俺はヒーローの上鳴ってもんだ。わけあってステインと正しいヒーローの会のことを調べている。

あとこいつは俺と一緒に行動している耳郎だ」

 

「じ、耳郎響香です。よ、よろしく」

 

「……なんであいつらを調べているような奴が俺を助けた?」

 

「まあ……助けるのはヒーローとして当然として……あんたに話を聞きたいからだ。実はさ、俺今ままで

多くの正しいヒーローの会の会員たちと戦って話を聞こうとしたんだけど、どいつもこいつも

まともに質問答えてくれなくてさ。けどあんたならまともに話聞いてくれそうじゃん。あいつら

のこと何か知らない?」

 

「ハッ……なんで俺がアイツらのことを知ってると思ってる?俺ただあいつらに喧嘩売られただけ……」

 

「じゃあなんで裏切者と呼ばれてたんだ?」

 

「ッ!チ……なんだ聞いてやがったのか?」

 

「あの子から聞いたよ。アンタあの子を守ろうとしたんだろ?そして裏切者と言う言葉。

もしかしてアンタは今は違くても過去にあいつらの組織にいたか何らかの関係を持ってたんじゃねぇの?そしてなんかしら仲違いを起こして関りを断った。違う?」

 

図星故か。男は俯いて黙り込んでしまった。部屋の中をしばらく沈黙が支配する。すると

男は自傷気味に笑い話はじめた。

 

「関わってたてもんじゃねえよ。そもそもあの組織を作ったのは……この俺だ」

 

「「え!?」」

 

上鳴と耳郎が驚愕のあまりお互いの顔を見合う。そして予想外過ぎるその言葉に混乱した

二人は慌ただしく一旦彼から離れ小声で話し合う。

 

「ね、ねえ聞いた?あの人の言葉」

 

「ああ......まさかのまさかだな…」

 

「う、嘘って可能性は……」

 

「ん~......多分ないな。だってあの顔......嘘ついてると思うか?」

 

「そうだよね......とりあえず色々質問してみる?」

 

「そうだな……」

 

二人はお互い頷き合い彼の元へと戻る。

 

「それでそのいくつか質問を……」

 

「その前に一つ聞かせろ。なんでお前たちはステインを追っている?単なる

手柄欲しさなら俺は何もしゃべらないぞ?」

 

「ん?何でだ?」

 

「お前らが死ぬことになるからだ。知っての通りステインは並大抵のヒーローの

存在を許していない。手柄目的のヒーローなんざ間違いなくその手にかける。なんせ

アイツの中で理想のヒーローはオールマイトだけなんだから」

 

「……そうか。でも俺たちはそんな理由で探してねぇよ」

 

「何?」

 

「詳しい理由は話せないけど......実は俺の友達がとある事件に巻き込まれてさ。

俺はその事件を解決するために動いているんだ。それでその事件の手がかりを少しでも

握っているかもしれないってのがステインなんだ。だから俺たちは探している」

 

「フン。要するにお前はその友達が巻き込まれた事件を暴いて犯人か何かに復讐するのが

目的ってことか?」

 

「ちょっと!なんでそんなこと言うの!?」

 

”復讐”と言った単語に耳郎は苦言を呈する。それはそうだろう。自分たちはヒーローとしての正義のために動いているのだ。それを復讐の一言で片づけれるのは心外だ。

 

「テメーら何言おうがステインはそう判断するだろうな。だってお前らは見返りを求めて

その事件を解決しようとしてんだろ?友達の敵討ちっていう物を。それは私怨で動いているってことに変わりない。ヒーローとは見返りを求めてはならない。自己犠牲の果てに得うる称号でなければならない」

 

「ッ!」

 

耳郎はそれに対して言い返すことが出来なかった。彼が言ったことは言わば極論だ。

あまりにも極端的するぎる思考。しかしそれ自体がすべて間違っていると彼女は思えなかった。

たしかにヒーローとはそういう物かもしれないと少し考え込んでしまう。その時黙って聞いていた

上鳴の口が開く。

 

「……俺馬鹿だからさ。そんなに深くヒーローの定義とかあまり考えたことなかった。

確かにそうかもしれないって一瞬考えちまった。けどその考えに同意することはできないな。だってそれだと..切島たちのヒーローとしての覚悟を否定することになっちまう」

 

「何?」

 

「あんた言ったな。俺たちは見返りを求めているって。けどな......俺は

友達のために戦うことを、見返りを求めてるなんて思わねぇな」

 

「……」

 

「確かにアンタな言うことにも一理あると思う。けどな。だからって自分のすべてを......感情すら犠牲にするヒーローを俺は最高のヒーローとは思わない。だって俺が憧れたヒーローは仲間のために拳を振るい、時に誰かを本気で叱り、全力で誰かの想いに全身全霊で応える。そんな男だからだ。そいつは仲間や誰かのためなら全力で体を張れる最高の漢で……俺の大事な友達だ」

 

「……」

 

「見返りの定義はよくわかんないけどさ。俺たちはそんなもんで戦ってじゃねぇってのは

胸を張って言える。その気持ち信じてもらえない?」

 

上鳴は真剣な瞳で彼を見つめる。そのまなざしを見た男はため息をつきながら頭をかき始めた。

そしておもむろに立ち上がる。

 

「俺の家に来い。そこで話してやる。俺の知る限りのことをな」

 

「へ。そう来なくちゃな!ありがとうよ!そうえばアンタ名前は?」

 

「……小林 清太だ。さっさとついてこい」

 

その後二人はホテルを出た後小林に案内され彼の自宅へと訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらここだ」

 

二人はとあるマンションの3階にある部屋に通された。そこは何の変哲もない

マンションの一部屋。2人は靴を脱いで部屋に上がると玄関から少し離れた扉の前に

案内された。

 

そして扉を開けるとそこに広がっていたのは資料の散らかった部屋。

本棚らしき棚には大量のまとめらた資料。ホワイトボードにステインやそれに関わったヒーローたちの

写真。そして地面には多くの事件資料が散乱していた。

 

「ここは……小林さんの部屋なのか?」

 

「いやここは俺の部屋じゃない。俺の双子の弟である正太の部屋......だった」

 

「だった?」

 

「ああ......そのことも含めて……最初から順に話そう。まずはこの写真を見てくれ」

 

そう言って小林はその部屋にあった机の中から一枚の写真を取り出す。そこに写っていたのは

学ランを来た三人の学生。楽しそうな笑顔を見せながら3人は仲良く肩を組んでいる。

この写真の特徴的な所は3人のうち二人の顔立ちが非常に似ていることだ。先ほどの

小林の発言から上鳴と耳郎はその二人は小林の言っていた双子の兄弟だと確信する。

 

「気づいていると思うがそこに写っているには学生時代の俺と弟だ」

 

「そうみたいだな。じゃあ残りの一人は誰だ?」

 

「……そこに写っているの奴の名前は……赤黒血染」

 

「ん……?赤黒血染?」

 

「現在巷騒がしているヒーロー殺しステインの本名だよ」

 

「「!?」」

 

まさかの告白に、二人は息を呑む。

写真の中で笑っていたあの少年こそが、自分たちが今まさに追っている危険人物、ステインのかつての姿だった。

まさか事実は二人は言葉を失う。それを見た小林少しため息をついた後話を再開する。

 

「俺たち兄弟はあいつとは高校で知り合った。俺と弟は普通科だったがヒーローオタクでな。

ヒーロー科の赤黒とはそこの部分で意気投合していた。俺たち兄弟はアイツのヒーローになるという

夢を全力で応援していたもんだ」

 

そう説明しながら小林の口角が上がり優しい微笑みを見せる。それはかつての青春時代を懐かしんでいる

大人の笑みだった。しかしその笑顔も徐々に消えていく。

 

「そんな日々から1年くらい経った頃かな。突然赤黒が学校をやめると言い出したんだ。

なんでもこの社会のヒーローのシステムに疑問を抱いたらしい。その時あいつが言っていた言葉は

すごい俺たち兄弟の胸に響いたよ。『ヒーローとは見返りを求めてはならない。自己犠牲の果てに得うる称号でなければならない。』この言葉を聞いた俺たちはアイツの意志を尊重して学校から送り出した。それから数年後……

今から7年前。アイツはヒーロー殺しステインとしてこのヒーロー社会に現れた」

 

小林は本棚から一枚のクリアファイルフォルダーを取り出した。そして一枚の事件資料を取り出した。

そこには記事の一部とそれに対する見解の文章が記されている。

 

「ステインが起こした初めての事件だ。黄金ヒーロー、キャッシュ。奴はヴィランや犯罪組織にヒーローの

情報を流しその対価に大量の汚れた金を受け取っていた。だからステインに粛清された。世間が未知の

ヴィランの存在に驚愕する中俺たち兄弟はすぐに理解したよ。あいつがついに動き出したんだって。

胸が躍った俺たちはすぐさまアイツの行為が正しいことだと、崇高な意志なのだと世間に広める

活動を始めた。その時作った組織が正しいヒーローの会だ」

 

「な、なるほど……色々繋がって来たな耳郎」

 

「うん……それで?なんであなたは自ら作った組織を抜けることになったの?」

 

「……ある事件が……きっかけでな」

 

小林はクリアファイルフォルダーから更にもう一枚の資料を取り出した。

 

「アイツが活動を始めて2年が経った頃だ。ステインはキャッシュの粛清の後それと同じように

ヴィランと繋がりを持っていた者や汚職により大量の利益を得た者を粛清していった。だが

ある事件からアイツの行動が変わった。その事件がこれだ」

 

その資料を小林は二人に差し出す。そこにあったの五年前に起きた事件の記事。

 

 

 

 

 

 

 

 

またステインによるヒーロー殺し!?今度のターゲットはご当地ヒーロー!?

 

○○県○○市でステインによる殺人事件が起こった。殺害されたヒーローはご当地ヒーローメロンマン。市民からの信頼も厚く目立った不祥事は今までなかったが、警察の調査によるとその個人情報が偽造されたものと発覚。警察は現在ステインの捜査と並行していつどのタイミングで個人情報偽造されたのかを調査中である。

 

それにしてもこのヒーローは殺されるほどの罪を犯したのだろうか?彼の粛清対象の基準はは我々が思っているほど甘くはないのかもしれない。

 

 

 

 

その資料に続きがあった。それ以降に起こった事件の数々の記事。そこには

金儲けをしたヒーローや少しの不注意で問題を起こしたヒーローが殺害されたという

内容が記されていた。

 

 

 

 

 

二人はその資料を読み終える。

 

「上鳴……これなんていうか……殺すほどのことかな?」

 

「うん。そうだよな……なんかこの事件より前の殺人は基本的に極悪人を対象にしてる。

けどこの人たちは……なんか違うよな。この資料を見る限りだと」

 

「当時お前らと同じこと俺の弟は感じ取った。けどその時の俺はステインを妄信していた。

あいつのやったことなら絶対に正しいと信じ込んでいた。だから俺たち兄弟は……道を

違えることになったんだ......うう......」

 

少しの嗚咽の音が二人の耳に入る。すると小林は二人に背を向けると話を再開した。

 

「俺はその後起こった事件も正当化し続けていた。崇高な意志を持ってないのが悪い。

みんなヒーロー失格だと組織を使って世間に訴え続けていた。けどそんな狂った俺と違って

弟は冷静にステインの行為に疑問を持っていた。そして密かに例のご当地ヒーローが殺された

事件を調べ始めた。あの事件からステインのなにかが変わったと確信したからだ。それか

数か月後………弟は死んだ。海に落ちて死んだんだよ」

 

「「!?」」

 

「事故死として警察は処理したが......あれは絶対に違う。弟は殺されたんだ。証拠ないが

俺は確信した......ステインの件を調べようとした結果誰かに消されたんだよ......うう......。

弟の死は流石に俺も堪えたよ。そこから冷静になって自分のしてきたことを振り返った。

ああ......俺はただ最低なことをし続けてたんだって……どんな理由があろうとよく知らない

死んだ人間を侮辱し罵り続けるなんて……やっちゃいけないんだ。だから俺は組織を抜けた」

 

「なるほどな。だから裏切者って言われてたのか……」

 

「これが俺の知っていることだ。話は終わりだ。悪いがもう帰ってくれ。

こうやって話すだけでも結構辛いんだ」

 

「……わかった。話をしてくれてありがとう」

 

「あ、ありがとうございます」

 

二人は深く頭を下げて礼を言った後部屋から出よとした。しかし玄関から出ようとした

その時小林が二人を止める。

 

「まて。これを持っていけ」

 

「これはUSBメモリー?」

 

「弟が遺した捜査記録。警察に渡さずに隠しておいたんだ。これをお前らに託そう。

お前たちが持っているスマホでも読み込めるはずだ」

 

「……わかった。ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は適当な喫茶店に入り、静かな席に腰を下ろすと、USBをスマホに接続して中身を確認し始めた。そこには膨大な数の事件記事と、それに関する分析や見解が記された資料が収められていた。

 

「うへぇ……こりゃ全部読むのに何時間かかるんだよ」

 

上鳴がげんなりしたように言う。

 

「仕方ないよ。とにかく目を通してみよう?」

 

耳郎は真剣な表情でスマホの小さな画面を覗き込んだ。

二人は画面をスクロールしながら資料を次々と流し読みしていく。そんな中、ある見出しが目に留まる。

 

それは「ステインの殺人対象に変化が見られた最初の事件」。

殺されたのはご当地ヒーロー メロンマンだった。

 

興味を引かれた二人は、その事件に関する調査資料のページを開く。

 

「この人がメロンマンか……奥さんと娘もいたんだな。……かわいそうに」

 

上鳴の脳裏には、先ほど救った子どもと母親の姿がよぎる。

彼女たちも、メロンマンの家族と同じような運命に巻き込まれたかもしれない。

そんな想像に、胸がざわついた。

 

資料の中には作成者の私見も記されていた。

 

《個人情報の偽造が確認されていることから、メロンマンには違法入国の経歴や、身内に犯罪歴のある者がいた可能性がある》

 

だが、そこに添えられていたのは「証拠なし」の一文。

限界のある個人調査で辿り着いた推測に過ぎなかった。

 

やがて、画面にはメロンマンの遺族の顔写真が映し出される。

 

「そういや……メロンマンの家族って、その後どうなったんだろう?」

 

「さぁな。ただ、小林の話からすると、“正しいヒーローの会”からの誹謗中傷は避けられなかったはずだ。

最悪……自殺してたかもしれねぇな。この資料には何も書かれてないけど」

 

「…………」

 

「ん?どうした?耳郎、黙り込んで……」

 

「いや……このメロンマンの娘さん……なんか、見覚えある気がしてさ……」

 

「え、まじで?俺は全然……」

 

上鳴はスマホをじっと見つめ、記憶を探るように眉をひそめた。

そして、画面から視線を外そうとしたその瞬間――

 

脳裏に、かつて見た爆破事件の資料映像が閃光のように蘇る。

 

「……ああーーーーっ!!!!!」

 

「な、なに!?びっくりしたじゃん!」

 

「この子!この女の子、覚えてないか!?

ほらっ、雄英で爆破事件に巻き込まれたあの女子生徒!!轟と一緒にいたってやつ!!」

 

「……あっ!そうだ!!」

 

耳郎はすぐさまスマホを取り出し、根津校長から受け取った事件のデータを開いた。

該当ページへとジャンプし、事件の被害者リストを表示する。

 

その中の一人女子生徒の顔写真を表示し、上鳴のスマホに映る少女の写真と並べる。

二人の目が、徐々に見開かれていく。その顔立ちがよく似ている。

 

 

「まさか……あの爆破事件の女子生徒って……

この“メロンマン殺害事件”で、父親を失った……この子なのか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

次回 上鳴、単独で正しいヒーローの会へカチコミ

 

 

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