英雄《ヒーロー 》が如く  龍を継ぐもの   作:0101シュート

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第六章 緑谷編 受け継がれる意志 パート2

八島街で起きた爆破事件。事件が勃発したその日の夜。サー・ナイトアイは

とある人物と連絡を取っていた。

 

「ええ。わかっています。今回の事件は警察と連携して対策本部を早急に立てるべきでしょう。ええ……そうですね。指揮は我々が取るべきですね。………はい。事件が事件ですから......そうですね。協力を要請しない手はないでしょう。はい....わかってます。ではこれで。失礼します。………フウ………」

 

通話が終わった後ナイトアイはスマホを置いて一息つきながらデスクの上に置いてある

コーヒーを少し飲む。そしてもう一台のスマホを取り出しとある連絡先を選択した。

その画面には..........オールマイトの連絡先が記されていた。彼は少し躊躇しながらもその

画面をタップする。

 

「もしもしお久しぶりですね....オールマイト。明日の早朝お時間いただけませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファ~..........眠いな……」

 

時は早朝。緑谷は眠たい目を擦りながらサー・ナイトアイ事務所が保有している宿泊施設の

長い廊下を歩いていた。そして彼はサー・ナイトアイに指定された小さな会議室へと入っていく。

 

「おはようございます..........ってえ!?」

 

「来たか緑谷」

 

「やあおはよう緑谷少年。」

 

緑谷の眠気が一気に吹き飛ぶ。なんとその部屋にトゥルーフォームのオールマイトがいたのだ。

緑谷は驚きながらオールマイトのほうに駆け寄る。

 

「オールマイト!なんでここに!?」

 

「実は昨日の夜に彼にここに来るように言われてね。私たち二人を密かにここに呼び出した理由。

それはもしかしてワンフォーオールに付いて何か話があるんじゃないか?」

 

「あ、そっかナイトアイはワンフォーオールのことを知ってるんでしたっけ?」

 

 

 

ワンフォーオール。“力を譲渡できる”という特殊な性質を持った個性。もともと“力をストックする個性”と“個性を譲渡する個性”が合わさって誕生したもので、他者へと受け継がれることで強化され続けるという特異な性質を持つ。それをオールマイトが受け継ぎそしてそれを次の世代である緑谷出久が受け継いだのだ。

 

 

 

 

 

「確かに.......そう考えるのが自然ですね。けど違います。2人を呼んだ理由は

別にある。まずオールマイト.......あなたに謝りたいことがあるんです」

 

「謝りたいこと?もしかして6年前のことか.......ナイトアイ。君は何一つ悪くない。

あれは私が意地を張ったから....…」

 

「いえオールマイト。そのことでもありませんよ。私が謝りたいこと....…それは

貴方と初めて会った時からつき続けた嘘についてです」

 

「え?嘘とはどういうことだい?」

 

ナイトアイの発言にオールマイトは全くピンとこない。彼の言葉に身に覚えは

全くなかったのだ。

 

「覚えていますか?私が何回も何回も直接あなたに会ってサイドキックにしてくれと

頼み込んだあの日々を。あなたは最終的には折れて私をサイドキックにしてくれた。

けど実はあなたのサイドキックになったのはある人の命令があったからなんです」

 

「め、命令?一体誰の....…」

 

「………公安委員会会長からの命令です」

 

「何!?じゃ、じゃあ君はまさか!?」

 

オールマイトは何かに気が付いたのか目を見開きながらナイトアイのことを見つめる。

ナイトアイはその視線に一瞬背きながらもオールマイの目をしっかりと見て言葉を続ける。

 

「ええ。私サー・ナイトアイの正体。それは公安委員会、特殊監視エージェント

佐々木未来です」

 

 

 

 

公安委員会所属 特殊監視エージェント

佐々木 未来

 

 

 

「き、君!公安の人間だったのか!?」

 

「はい。オールマイト。今まで騙していたこと本当に申し訳ないと思っています。ただ一つだけ信じて欲しいのは、私は誰にもワンフォーオールにことを話していません」

 

ナイトアイは申し訳なさそうにオールマイトに頭を下げる。それを見たオールマイトは

慌てながらそれをやめるように言う。

 

「いやいや!確かにちょっと複雑な気持ちだけど私は気にしてないよ。君が

私を支えてくれたことには変わらないからね。だから頭を上げてくれ」

 

「オールマイト....」

 

「あ、あの........僕ここにいる意味ありますかね?」

 

先程から蚊帳の外だった緑谷が恐る恐る手を上げながら発言する。その話が自分に

関係があるとはとても思えないゆえに緑谷は部屋か出て行こうと足を動かす。

 

「いや緑谷。ここからが重要だ。今回の事件と君に関する大事な話がある。

それは君の........父親についての話だ」

 

「え!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑谷。君は自分の父親の亡くなった理由は知っているかい?え?

建設現場での事故?....そうか君は母親からそう聞いているのか....。

そうだな....オールマイトもいるし順を追って話そう。あれは私と

オールマイトが仲違いした日のことだった。

 

 

『オールマイト!このままいけばあなたはヴィランと対峙し言い表せようも

ないほどの凄惨な死を向かえる!!』

 

オールマイトの未来を予知してしまった私は彼に引退し、ヒーロー活動から

身を引くように懇願した。それ以外に彼の助かる道はないと思ったからだ。

けどそれでもオールマイトは人々のために戦うことを読めようとはしなかった。

これをきっかけに私は彼のサポートをするのを辞めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去回想開始

6年前 オールマイトの入院した病院のエントランス

 

 

 

「うう...何故だ。オールマイト」

 

ナイトアイは彼を止めることが出来なかった悔しさに顔をゆがませながら

病院の入り口で立ち尽くしていた。一体何故こうなってしまったのか。どうやったら

説得ができたのかと悔しさで拳を握り締める。そんな風に立ち尽くす彼に声をかける者がいた。

 

「おいおい。病院の前でそんなおっかねぇ顔をしてんじゃねぇよ佐々木」

 

男らしくもありどこかやんちゃそうな声が彼の耳に入ってくる。ナイトアイが

声の方向を向くとそこには黒いスーツとだらしなく付けられた緑色のネクタイが特徴の

サングラスをかけた男がいた。

 

「緑谷?お前もう日本に帰ってたのか?」

 

「へッ。俺が帰ってくる日のことも忘れちまったのかよ?」

 

 

公安委員会所属 海外犯罪対策エージェント

緑谷 久

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後二人は緑谷が乗って来た車に乗り移動することに。緑谷はタバコを

吹かしながら車を運転する。ナイトアイは先ほどのことを思い出しながら窓の外にある

景色を眺める。まったく一言も喋らない彼に緑谷は少しトーンを落として話しかける。

 

「オールマイトの引退の話。無理だったか?」

 

「……ああ。あの体で活動を続けると言われたよ。私の予知の話を聞かせても

まったく無意味だったよ。私はもうサポートしないと言ってしまった」

 

「マジか....…公安委員会もこれは流石に予想だろうよ。委員会はオールマイトが

引退すること前提で今後の方針を決めてたからな。お前の任務も終わりの

予定だったんだろう?」

 

「ああ....…どっちにしろもうあの人のサポートはできなくなってしまったな」

 

「そんなお前に公安から新しい任務だ。ほれ」

 

緑谷は右手でハンドルを握りながら左手で二枚の写真を差し出す。ナイトアイは

それを受け取り写真を見た。そこに写ってのは廃工場の中を銃を片手に歩いている

ガスマスクとレインコートを着た人物。そしてもう一枚にはタイマー付きの爆弾らしき

ものが写っていた。。

 

「なんだこれは…こいつ何者だ?あと…爆弾?」

 

「そいつは海外で様々な殺しやテロを請け負っている頭のおかしい殺し屋だ。

犯行手段は射殺、刺殺、毒殺と多岐にわたるがなかでも一番凶悪なのがその

もう1枚の写真に写っている個性薬物搭載爆弾による爆破テロだ」

 

「個性薬物搭載爆弾?」

 

「ああ。その爆弾は厄介なものでな。爆発の威力と燃焼力が高いのはもちろんだが

一番ヤバいのは爆発の炎と化学反応を起こし広範囲に個性を暴走させる薬物をバラまくことだ。

最近それを使われたイギリスでの事件では数千人規模が巻き込まれる大惨事となった。ヒーロー

も数十人命を落としたらしい」

 

「数千人規模…!」

 

緑谷の言葉に彼は思わず息を飲む。かつてない程のテロを起こした謎の存在に

ナイトアイはゴクリと息を飲んだ。

 

「それでこいつの名前は?」

 

「……名前、国籍、人種、性別、個性は一切不明。世界中の裏社会のマーケットで

奴は自身のこのことをこう読んでいる。コードネームは…Lobelia(ロベリア)。

コイツがイギリスから日本に密入国したかもしれないという情報を掴んだんだ」

 

「なるほどな。この事件は極秘に解決すべき案件ということか」

 

ナイトアイは眼鏡をくいっと上げながらそう言うと緑谷はフッと笑いながら

彼にスマホの端末を渡す。

 

「今回の任務で使う情報機器。その通りだよ。ロベリアの犯行の多くは、不特定多数の汚職議員たちの依頼によるもの。そして、今回の動きも、例外とは言い切れない。ロベリアの存在を世間から隠しつつヒーローじゃなく俺たち

公安エージェントが解決するのさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして私たちはロベリアの調査を極秘に行った。しかし私たちは奴の犯行を

未然に防ぐことができずある事件が起こってしまった。その事件は公安によって

封印されたが確かに起こった悲劇だったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロベリアの調査を始めてから三日後。

 

 

夜の20時。

八島街にある大型市民ホールで、市長と視察中の国会議員を巻き込んだ人質事件が発生した。

講演ホールの建物全体が封鎖され、外では警察や消防が交通規制を行い、近づこうとする市民を誘導している。

パトカーや救急車のサイレンが鳴り響く現場に、緑谷とナイトアイが到着した。

 

二人はすぐさま現場の指揮官のもとへと向かい、状況の確認に入る。

 

「あんたがここの指揮官だな。状況を教えてくれ」

 

「はい!市民ホールの講演ホール内で、市長と田沢議員が住民向け演説の前日リハーサル中に、個性で武装した

ヴィランたちが乱入し、二人を人質に取り立てこもりました。

さらに奴らはしばらくして“建物内に爆弾を仕掛けた”と我々に叫んできて……!」

 

「爆弾?ていうかその立てこもり犯は何者だ?あと要求は?」

 

「恐らく奴らは左翼の過激派の奴らです。人質の解放の見返りに法律の個性法の一部の

改正を要求しています」

 

「立てこもりをして法律の改正を要求?フッ。過激派の起こす行動には

いつも驚かされるな」

 

「後他にも……オールマイトやエンデヴァーの様なヒーローを現場に

来させたらすぐに爆弾を爆発させると脅迫も来てます」

 

「なるほどな……これは俺たちエージェントの出番だな佐々木」

 

「ああ。迅速に終わらせよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後私たち二人は立てこもり犯たちにバレないように裏口から建物内に侵入した。

我々はその後迅速に立てこもり犯たちの元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後二人は立てこもり犯たちのいる五階の会議室へと向かう。

扉の両端にお互いそれぞれ別に立ち、扉に静かに耳を付ける。すると数人中にいると

確信した二人はお互いの武器を手に取る。緑谷は愛用のマグナムシュターをその手に取り

ナイトアイは小型ながら質量5キロの超質量印をその手に構えた。2人はアイコンタクトを

瞬時に取った後同時扉を蹴破った。

 

「動くな!!」

 

「全員手を上げろ!!」

 

二人は同時に部屋の中へと入り武器を構える。すると中には縄で縛られ口にテープを

貼られた男が二人とその人達を監視している数人のヴィランたちがいた。

 

「な、なんだ!?」

 

「クソ!やっちま…」

 

ヴィランたちが行動を開始するよりも前に二人は既に動いていた。部屋の中を

二発の銃声が鳴り響く。それと同時に骨が折れる鈍い音がした。

 

「ああ……」

 

「うう…」

 

「い、痛えーーー!!!???」

 

「ガーーーー!!??」

 

二発の銃弾は二人の肩、足を撃ちぬく。そしてナイトアイが瞬時に投げつけた超重量印は

残り二人の頭蓋に直撃し気を失わせていた。

 

「い、痛ええ!?これがヒーローのやることかよ!?」

 

「ああ?俺たちはヒーローじゃねえよ。勘違いしてんじゃねぇ。とにかく

テメーらは全員逮捕だ」

 

二人は何の躊躇もなく手刀で奴らを気絶させその手に手錠をかけた。そしてすぐさま

拘束されている人質の口のテープをはがす。

 

「おい。大丈夫かお偉いさんたちよ」

 

「公安からの指示で助けに来たエージェントです。どうかご安心くだ…」

 

「う……おい!今すぐここから連れ出してくれ!!奴らは本当に爆弾をここに

仕掛けたんだ!!」

 

 

「何!?」

 

「落ち着いてください!それで爆弾はどこ?」

 

「そこの大きいなホワイトボードの裏だ!!」

 

二人はすぐさまホワイトボードの裏を確認した。するとそこにあったのは

大きな謎の黒い機械。その表面には電子表示されたタイマーが。11:34と

表示されどんどん数字が減っていく。それを見た緑谷の顔から余裕が消え去る。

 

「まずいな……」

 

「ああ。まさか本当に爆弾が……」

 

「いやそうじゃねぇ。これはこの前イギリスでのテロで使われた個性薬物搭載爆弾だ」

 

「何!?間違いないのか!?」

 

「ああ。爆発したらこのビルがぶっ飛ぶのはもちろん。個性を暴走させる薬物が

ここ一帯に広がっていく。まずここら辺にいる警官たちは絶対に巻き込まれるな。

そうなれば....色んな奴らの個性が暴走して……未曽有の大惨事になる」

 

「い、急いで爆弾処理班を……」

 

「いや。あと10分だ。もう時間がない。辿り着いて作業を始めたとしても時間が足りずに

ゲームオーバーだろ。仕方ねえ!」

 

緑谷はすぐさまスーツのジャケットを脱ぎ捨てシャツの袖をめくる。そして

常に携帯している小型工具箱から小さなジッパーとドライバーを取り出し爆弾の

表面をはがし始める。

 

「緑谷お前まさか!?」

 

「俺が何とか爆弾を解除する。安心しろ。イギリスで何回も事件資料に書いてあった

爆弾の情報を読んでいる。だから何とかなるぜきっと」

 

手を動かしながらフッと笑う緑谷。表面の板を外し終えるとそこにはびっしりと

様々な色の大量の配線が詰め込まれていた。緑谷はそれらを慎重に観察しながら切断していく。

 

「…本当にお前の腕で解除できるのか?ここは逃げた方が…」

 

「何言ってやがる?中高一貫して一緒だったろ?俺の頑固で意地っ張りな性格と

手先の器用さはお前が一番わかってんじゃねぇか?ここは俺に任せてそこの

お偉いさん二人をここらから逃がしてやってくれ。そして避難を呼びかけるんだ」

 

「…ハア。わかったよ。お前はきっと何を言ってもここから離れないだろからな。

先に二人を連れて下に降りている。だが絶対に生きて帰ってこい。お前には奥さんと

子供がいるんだろう?絶対に解除して下に降りて来い!!約束だぞ!?」

 

「フン。ああ!」

 

ナイトアイはそう言って二人の縄をほどき、二人を連れて下の階へと避難していく。

それを確認した緑谷は更に集中力を高めて爆弾処理に努めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後。外に出たナイトアイはすぐさま周りの警官たちに避難するように呼び掛けた。

大勢の者たちが避難する中彼は建物の一階に残り彼を待ち続けた。絶対に爆弾を解除させることが

出来ると信じて。残り約5分のタイミングでナイトアイは耳に付いている無線で連絡を取った。

 

「緑谷は現状は!?」

 

『ああ…クソ……爆発自体は止められそうにないな……』

 

「な、なに!?配線の切断がうまくいってないのか!?」

 

『そうじゃねぇよ。いや今そんなことを言っている場合じゃねぇな。今俺は

爆発の阻止じゃなく個性薬物のタンクの切り離しをやっている』

 

「タンクの切り離し?」

 

『ああ。爆発は止めらないとしても全体にこれが蔓延するのは防げるはずだ。これをなんと

切り離しこれを持って脱出を……う!?なんだテメー!?うわーーー!!!!」

 

「緑谷....緑谷!どうした返事しろ!!一体何があったんだ....」

 

その時緑谷との連絡が途絶える。ナイトアイは自身の安全を無視して再び爆弾の方へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナイトアイはすぐさま爆弾の設置されていた五階の会議室へと戻る。彼はそこにあった

光景に目を疑った。

 

「ああ……み、緑谷?」

 

色んな部品が解体されている爆弾の目の前で緑谷は血が湧き出る腹を抑えながら

その場に倒れていた。そしてそんな彼を見下ろす人物がいた。その手には血塗られた

サバイバルナイフが握られている。

 

「き、貴様何者だ!?」

 

ナイトアイが超重量ハンコをその手に構えながら叫ぶ。するとその人物は不気味にゆっくりと

後ろを振り向く。その顔には不気味なガスマスク。そして黒いレインコートを着ておりそのフードを被っていた。

ナイトアイはそれを見て数日前に見た写真の内容を思い出す。

 

「お前がロベリアか!!」

 

ナイトアイはすぐさま超重量ハンコを投げつけようと動く。しかしそれよりも早く

奴の持っていたナイフがナイトアイの方へと飛んでいった。

 

「ッ!?クソ!!」

 

ナイトアイはすぐさまそのナイフを横に飛んで避ける。その時奴の右ストレートが

彼の顔面に突き刺さった。そしてその流れのまま左フックと蹴りを貰いナイトアイは

そのまま倒れてしまう。

 

「うう....!!ゴホ!?クソ....!?」

 

(駄目だ。ガスマスクのせいで奴に目線を合わせて個性を発動させることが出来ない)

 

地面に膝をつき咳き込んだ彼にロベリアはゆっくりと近づきどこからか取り出した拳銃を

構えナイトアイに銃口を向ける。殺されると直感したナイトアイは恐怖で目を閉じる。

 

「うっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おりゃーーー!!!!!!」

 

その時血塗れの緑谷が雄たけびを上げながらロベリアに後ろから掴みにかかる。

後ろから突然首などを掴まれたことに驚いたやつはすぐさま銃を構えるのを

やめて後ろから掴みにかかった緑谷を振り払おうと暴れるが緑谷はそんな奴の

手首に素早く手錠をかけた。そしてもう片方の輪に自身の腕をかける。

 

「ッ!?」

 

まさかの行動に奴はガスマスクの上からでもわかるぐらいの驚愕の反応を見せる。

それを見た緑谷はニヤリと笑いながら手錠を引っ張り奴を強引に動かした。

 

「うおーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

緑谷は強引に奴を連れて爆弾のある会議室へと入っていく。そして爆弾の近くに落ちている

大きな部品を思いっきり蹴り会議室の外へと転がす。そして手錠のカギをナイトアイの方へと

投げつけた。

 

「緑谷!何を!?」

 

カギに反応し奴はすぐさまそれを取りに行こうと手錠を引っ張りながら

部屋を出ようとする。しかし部屋から出る寸前で緑谷が奴を引き戻しその場に倒させる。

そして何の躊躇もなく扉の両側のドアノブにマグナムを発砲することで破壊して扉を閉めてしまう。

 

「み、緑谷!!何をしてるんだ!?おい!!」

 

ナイトアイがすぐさま扉を開けようとするがドアノブがなくなってしまったため

開けることができない。ナイトアイは必死で扉を叩く。

 

「緑谷何をしてるんだ!?ここを開けろ!頼む開けてくれ!!」

 

「ゴフ……佐々木…」

 

「緑谷?緑谷お前大丈夫か!?」

 

扉越しで二人は最後の会話を繰り広げる。

 

「悪い…下手うったわ…おいおい…暴れんなよ」

 

扉の向こうから何か騒々しい音が聞こえる。おそらく手錠をかけられた奴が

脱出しようと暴れているのだろう。

 

「佐々木...よく聞け....俺が部屋から蹴りだした部品があったろ?

それが個性薬物が入っているタンクだ。それを外に持ち出しちまえば....

二次災害は防げる........ゴフ……落ち着けっておら!!」

 

何かを殴る音がこちらまで聞こえてくる。脱出しようと暴れている奴を

緑谷が殴りつけているのか?扉越しに起こっていることをナイトアイは知ることが出来ない。

 

「緑谷....なんでだよ!?ここで死ぬ気か!?お前奥さんと子供はどうするんだ!!」

 

「ハハハ……確かにそうだな……悪いが代わりに謝っておいてくれ」

 

「ふざけるな!!一緒に生きて帰るんだ!!だからここを開けろ緑谷!!」

 

扉を何度も叩きながら彼は悔しさで唇を噛みしめながら涙を流す。

 

「悪いが俺はここで死ぬ……刺された腹....…結構深いんだ....…ゴフ。

だから…頼む……俺の死を無駄にするな……あと1分しかねぇ……」

 

「ク....!」

 

「早く行けや……佐々木ーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

「く、クソーーーー!!!!!!!」

 

ナイトアイは泣き叫ぶ。そして叫びながら薬物の入っているタンクを持ち上げ

下へと続く階段を駆け下りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう。これが最後の一服か。中々に乙な物だな」

 

緑谷は最後の力を振り絞りタバコを口にくわえてライターで火をつける。

子供が出来てから極力吸わないように心がけていたタバコを。その味を

しっかりと味わいゆっくりと煙を口から吐き出す。隣で逃げようと暴れている奴を尻目に

最後の時間を楽しむ、

 

「フ、テメーも吸うか?ああそれじゃあ吸えないか....アハハ…」

 

緑谷は馬鹿にしたように笑いながら爆弾の方へと目線を向ける。すると数字は

15,14,13,12、11と減っていき最後の時間を教えてくれていた。

 

「後は任せたぜ佐々木…あと.…ごめんな…引子…出久」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア....ハア....あ!?」

 

なんとか外に脱出に成功したナイトアイ。その時大爆発が起こった。

ナイトアイが振り返ったその瞬間、轟音とともに建物が崩れ落ち、黒煙が空を裂いた。燃え盛る炎が夜空を照らし、あの部屋が、あの声が、もう届かない場所になったことを告げていた。

 

 

「み、緑谷ーーーーーー!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

「これが君のお父さんの死の真相だ。公安エージェントの死は世間には

公表されてはいいけないというルールがある。だからこの真相は君とお母さんには伝えていない。

お母さんは彼が公安エージェントということ自体は知ってたから君にウソの死因を伝えたんだろう」

 

「そうかなるほどね。公安エージェントは表舞台に立つヒーローの影で活動する存在。

極秘裏に日本を守るために存在を世間に知られてはならないということか」

 

「………」

 

緑谷はその話を聞き終えると静かに涙を流し始めた。自分の父親の死の真相。これは

彼の心を大いに揺さぶる。

 

「アハハ....お父さんすごいや....…自分の身を犠牲にして大勢の人の命を救うなんて....

だけど……出来たら....僕たちの家に生きて帰ってきて欲しかった....うう....」

 

緑谷は静かに涙を流し続けた。2人はそんな彼をあえて見守る。そしてしばらくして

緑谷は涙を拭きナイトアイに質問した。

 

「僕にこのことを話したってことは..........関係あるんですね?昨日起こった爆破事件に」

 

「その通りだ。昨日起こった爆破事件に使用された爆弾は6年前に使用された爆弾を

軽量化して改良したものだと分かった」

 

「で、でも話を聞く限りそのロベリアは緑谷少年の父親と一緒に爆死したんだろう?」

 

「ええ。お互い死体が残りませんでしたが恐らく死んだでしょう。けどこの事件は

何かしらの奴の痕跡。奴の影があります。どういうことかはわかりませんがね。

そして緑谷出久」

 

「はい」

 

「何者でもない無個性である君にオールマイトが個性を譲渡すると言い出した時は

私は全力で反対した。後継者候補はもっと別にいたからな。けど……君の名前を聞いた時

私は運命を感じてしまった。私の同期で親友で..........相棒だったアイツの息子が..........

ワンフォーオールの後継者に選ばれたことに心が躍ったんだ」

 

ナイトアイは微笑みながら緑谷の方を見つめる。死んだ相棒の面影をその息子である

緑谷出久に感じていたのだ。しかししばらくして彼の顔はいつもの真剣な顔になる。

 

「だが緑谷。ここは心を鬼にして言わせてもらう。私はまだ君をワンフォーオールの

継承者として認めてない。認めてほしいなら今回の事件で証明してみせろ。君が“平和の象徴”の名を継ぐにふさわしい人材だということをな」

 

「はい!!この事件!!僕が解決してみせます!!大勢の人たちの命を救った..........

父さんの名にかけて!!」

 

「フフフ..........アハハハ!!大きく出たね緑谷少年!君の活躍期待してるよ!

なあ!ナイトアイ!!」

 

「フッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、事件解決にむけて国内だけじゃなく外国のヒーローも日本に集結する。

更にアイアイランドからオールマイトの友人が助っ人に!

 

 

 




最後無意識に”じっちゃんの名にかけて!”みたいになってしまった(笑)
次回は映画出てきたあのキャラたちが出てきます。では次回もお楽しみに
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