英雄《ヒーロー 》が如く  龍を継ぐもの   作:0101シュート

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第六章 緑谷編 受け継がれる意志 パート5

時は早朝まだ太陽が昇っていない暗い時間帯。とある路地裏で死体が見つかった。

 

通報を受け警察が駆けつける。そして現場にはすぐに立ち入り禁止のテープが貼られ

刑事や鑑識の人達が現場を検証していた。そしてその現場にロベリア捜査本部に参加している刑事

新原が訪れた。彼は胸を撃ちぬかれ倒れている死体の顔を見つめるとどこからか顔写真を取り出し

その死体の顔と見比べた。

 

「間違いない。こいつは死穢八斎會の幹部、利根川義経だ」

 

「利根川って確か死穢八斎會の中でも古参メンバーの一人ですよね?なんで

そんな大物がこんな人目のつかない路地裏に……」

 

「崩れた服装や足の怪我を見てみろ。恐らくこの仏は必死に何かから逃げてたんだ。

そしてこの路地裏まで追いつめられて………胸を撃ちぬかれたんだ。ハァ、個性による

殺害なら犯人の特定が楽なのにな。銃での殺害なら極論だれでも出来ちまうからな。

銃の入手ルートから犯人はある程度絞り込めるが、如何せんこの街には容疑者が多すぎる」

 

「内部抗争でも起きてるんでしょうか?それとも中国マフィアの報復?」

 

「これだけじゃわからないな。とにかく捜査を進め……」

 

「新原刑事!大変です!」

 

その時現場に新原の部下が慌てた様子で現場へと走って来た。その表情から

ただ事ではない雰囲気を醸し出している。

 

「一体どうした?」

 

「し、死穢八斎會の別の幹部の死体が見つかりました!車に毒ガスを仕込まれて

運転手ごと殺害されたようです!」

 

「なんだと!?」

 

更に別の場所で起きた幹部の殺害事件。それに驚く間もなく新原の無線からとある

連絡が入った。

 

『緊急連絡!死穢八斎會本部の近くにあるゴミ置き場から死穢八斎會の幹部。

黒川千治の死体が発見された!』

 

 

 

「な、なんだ?一体何が起こってるんだ……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死穢八斎會の本部がある住宅街。本部の建物を緑谷と通形が近くにあるアパートを借りて

そこから監視していた。窓から双眼鏡で出入りがないかなどを調べているのである。

 

「先輩そう言えば聞きましたか?死穢八斎會の幹部の死体が3つも今日の朝に

発見されたって」

 

「ああ。もちろん聞いたよ。一体何が起こってるんだろうね?」

 

「ん~。内部抗争にしてはちょっとやり過ぎ感がありますよね。組織の概要は

軽く知っている程度ですけど、少なくとも殺された3人には組織をまとめるための

統率力がある程度あったはずです。なのに意見の違いだけなどで殺害するなんて

不利益にしかならないと思いますよ。それに……ブツブツブツ…………」

 

緑谷には悪い癖がある。長考してしまうとその考えを口に全部出してしまうのだ。

通形は20秒たった辺りから内容を理解するのを諦め聞いてるフリをしながら

双眼鏡で死穢八斎會の本部の出入り口を監視する。するととある動きが確認した。

 

「ん!?デク!動きがあったよ!門から2台のバンが出てきた!なんかどっちも

人がたくさん乗っているよ」

 

「人がたくさん乗っている車両が二台か。においますね。追跡してみますか?」

 

「よし追ってみよう!」

 

「わかりました!僕に任せてください!」

 

緑谷はワンフォーオールを発動して窓から外へと飛んでいく。そしてバレないように

住宅街を走るバンに近づき指にとある小さな機械を乗せて狙いを定める。そして

それを指ではじくとそれは一台のバンにくっつけた。すると彼のかけている

犯人追跡サングラスが起動しマップが表示される。そして無線で通形に報告する。

 

「先輩!GPSを付けるのに成功しました!データをそちらの端末に送っておきます。

じゃあこれをもとに追跡してみましょう」

 

 

 

 

 

 

 

その後二人はすぐに合流してGPSのデータをもとに追跡を行って行く。

バンはすぐに八島街に入っていき、街の中心部へと進んで行く。すると

2台のバンはとある建物の前に停車した。その建物をみた緑谷の心臓がドキリと

動く。

 

(ここは……父さんが死んだ市民ホールがあった場所?)

 

そうその建物はかつてロベリアの爆弾によって破壊された市民ホールの跡地に

建てられた建造物。20階建ての巨大な市役所だ。4年前から工事が行われ

最近完成したのだ。近日にオープンされる予定である。

 

「デク?大丈夫かい?」

 

「え.……?ああ!すいません問題ないです」

 

そんな風に会話していると奴らの方に動きがあった。バンから何人もの

組員が降りて何かの器具を持ち運びながらビルの扉の方へと向かって行った。

すると警備員が慌てた様子で窓口から飛び出して組員たちの前に立ちふさがる。

 

「ちょ、ちょっと!なんなんですかあなたたち!?」

 

「うるせぇ!」

 

「ギャ!?」

 

組員たちは立ちふさがる警備員に容赦なく暴力をあびせ無理やりビルの中へと入っていた。

 

 

「な!?あいつら!」

 

二人は警備員を助けよと奴らの方へと走るがするとこちらに気が付いた数人の

組員たちが二人の前に立ちふさがる。

 

「ち!こんなに早くヒーローが駆けつけるとは!」

 

「仕事が終わるまで絶対に入れるな!!」

 

組員たちはそれぞれ武器や拳を構え臨戦態勢に入る。どうやらもう話し合いの余地はないらしい。

二人はそう感じ取り鋭い眼光と共に拳を構えるのだった。

 

 

 

 

 

 

死穢八斎會 組員

 

 

緑谷と通形は拳を握り締めながら奴らの方へと突っ込んで行く。そして

ほぼ同時のタイミングでパンチを繰り出し組員たちを数人殴り飛ばした。

そして緑谷は一人の組員に狙いを定め掴みにかかる。そしてそのまま背負い投げし

周囲の者たちを巻き込む。そして倒れ立ち上がろうとする組員に緑谷は一瞬で近づく。

 

 

 

△極

 

「おら!!」

 

「ぐわ!?」

 

立ち上がろうとした奴の体を容赦なく蹴り上げるのだった。

奴は吹き飛びその場にひっくり返りながら倒れた。

 

蹴り上げ追い打ちの極み・表

 

 

「この野郎!」

 

「ぶっ殺してやる!!」

 

二人の組員がナイフとバットを構え緑谷に襲い掛かる。殺す気で武器を振るう

奴らを緑谷は素早く「捌き」で後ろに受け流す。すると後ろに流されバランスを崩した

2人に通形のダブルラリアットが炸裂する!

 

「POWER!!」

 

「グァ!?」

 

「グべ!?」

 

二人は通形の強靭な前腕を喉に叩きつけられ地面に頭を打ち付けるように倒れた。

こうしてあっという間に玄関の前に立ちふさがった組員たちを撃退した。

 

 

 

「警備員さん!大丈夫ですか!?」

 

「うう……ああちょっと殴られた程度だから問題ないですよ。

それより早く中に入った不審者たちを……追ってください」

 

「わかりました!先輩行きましょう!」

 

「うん。サーにも緊急シグナルを送っておいたからみんなが来る前に

出来るならなるべく奴らを倒しておこう」

 

 

二人は市役所のビルの中へと入っていた。すると中には他の組員たちが

中に入ってくる者たちを迎撃するために待機していた。

 

「こいつら一体何の目的で……」

 

「先輩!とりあえずこいつらが立ちふさがる場所を突破していきましょう。

そうすればあいつらが守っている場所がわかるはずです!」

 

「フ!単純明快でわかりやすいよね!!」

 

二人は気合を入れながら拳を鳴らすのだった。

 

 

 

 

「行くぞ!!」

 

緑谷たちは立ちはだかる組員たちに向かって行く。そして緑谷は一人の組員の

胸ぐらを掴み、壁際まで無理矢理引っ張る。

 

 

△極

 

「おら!!」

 

「あが!?」

 

緑谷は奴を壁へと叩きつける。奴はそのまま顔面を硬い壁に叩きつけれるのだった。

 

壁クラッシュ

 

 

緑谷は敵と戦いながらも懐からスタミナンXの瓶を取り出し一気に飲み干す。

すると彼の体から青いオーラが再び出現した。

 

△極

 

組員たちが怒りを爆発させながら緑谷の方へと走っていく。

 

「この野郎!!」

 

「調子に乗ってんじゃねぇ!!」

 

「ぶっ殺してやる!!」

 

「フ!ハ!それ!!」

 

緑谷はそいつらを冷静に、そして確実に「捌き」で後ろへと流していく。そんな奴らの地面の下から彼が出現する!

 

「POWER!!」

 

「うわ!?」

 

「ぎゃ!?」

 

「ぐべ!?」

 

通形は個性を発動させ地面に潜り、そして地面から飛び出してバランスを崩した奴らを一気に

殴り飛ばしたのだ。

 

 

特殊連携・柔と剛

 

 

 

こう言った形で二人はビル内に侵入した組員たちを撃退していく。そして

階ごとに潜んでいないかを確認していれば倒していく。その度に上の階へと

上がっていった。それからしばらくして二人は中間部である10階へとたどり着く。

 

 

 

 

 

 

「ハアハア……!ここは10階か」

 

「ここにも奴らが潜んでいるかもしれない。はやく探し出そう」

 

二人はすぐさま10階の捜索を開始する。すると二人は扉を見つけた。

そしてその扉に寄りかかるように座り眠っていた一人の

組員が目を覚ます。その男は金髪で細身、そしてペストマスクで口を隠していた。

男は日本刀を片手に乾ききったような眼球を見開きながら二人の方を見た。

 

「あ。おいそこのモジャモジャ頭。テメー宝生をブタ箱送りにしたヒーローか?」

 

「宝生?」

 

「お前がぶっ倒した結晶の個性を持った大男だよ。忘れたとは言わせねぇぞ?

俺はあいつと同じく死穢八斎會 鉄砲玉『八斎衆』の一人。窃野トウヤだ」

 

 

 

死穢八斎會 鉄砲玉『八斎衆』

窃野トウヤ

 

 

「俺たち鉄砲玉『八斎衆』は若に拾われてリサイクルされたゴミだ。

けどなアイツとはゴミ同士仲良くしてたんだよ。だから……あいつがいなくなって

俺すごく悲しい思いをしちまってるんだ!なあ!?死んでくれよ?若もお前には殺されて欲しいんだってさ!

アハハハーーーーー!!」

 

 

窃野は半狂乱になりながら笑い、刀の剣先を緑谷の方へと向ける。

 

「先輩。こいつは僕に任せて個性であの扉の向こうに行ってください。きっと

あそこに奴らが守っている何かがあります」

 

「わかった!気を付けてね!」

 

通形は個性を使用して一旦地面へと潜っていく。するとその場にいるのは緑谷と窃野の

二人だけになった。緑谷は力強く拳を握り締め構える。

 

「僕に恨みがあるのなら相手になるよ?まあ君もちゃんと捕まえるけどね」

 

「ほざくんじゃねぇぞ小僧?ぶっ殺してやるよ~!」

 

 

 

 

 

 

 

「来い!!」

 

「おらー!!アハハハハハ!!」

 

窃野は声高い笑い声を響かせながら緑谷の方へと突っ込みながら刀をデタラメに

振る。緑谷はそれらを冷静に避けていく。そして振るった刀が低い場所に来たその時

緑谷はそれを力強く踏みつける。そしてそれを踏み台にして飛び上がり奴の顔面に膝蹴りを

叩き込む。奴のマスクが外れ鼻から血が垂れ流れるが奴は一切気にする様子もなく

不気味に口角を上げながら刀を緑谷に向け続けるのだった。

 

 

 

 

死穢八斎會 鉄砲玉『八斎衆』

窃野トウヤ

 

 

「アハハ!!」

 

窃野は先ほどと変わらず刀をデタラメに振り回し続ける。緑谷は回避しながら

奴の動きのパターンを見極め「捌き」を発動。そして後ろから奴の腕を極めて

動けなくする。そしてそのまま腕を捻り上げて破壊しようと力を込めようとした。

しかし次の瞬間!窃野の極められてない方の手に突然、銃が出現する。

 

「な!?」

 

銃口が緑谷の顔へと向けられる。緑谷はすぐさま奴の腕から手を放し後ろへと

下がる。その瞬間、奴は引き金を彼に向けて放っていく。

 

「死ね!死ね!!」

 

「う!?」

 

緑谷は弾丸をスウェイで避けていきすぐさま柱の影へと隠れる。

 

(クソ!アイツどこから銃を……このまま近づくんじゃ危険だ。この

特殊強化された木刀を奴に投げつけて隙を………)

 

緑谷はどこからか木刀を取り出し柱の影から飛び出る。しかしその瞬間僕とが

彼の手から突然消えたのだ。

 

「え!?」

 

「アハハ!!探し物はこれか?」

 

窃野は笑いながら先ほどまで緑谷の持っていた木刀を見せつける。自分の持っていた

武器が奴の手元にうつった。そして緑谷はもう一つあることに気が付く。自分の持っていた拳銃がなくなっていたのだ。その事実に緑谷は奴の個性の正体を見破る。

 

「お前の個性は人の持っている者を自身の手に移動させることが出来るのか」

 

「その通り。俺の個性は窃盗!お前の手にもつ物は全部俺のものだ!!」

 

窃野は再び緑谷に向かって発砲していく。緑谷は全速力でそこら中を駆け巡り

弾丸を回避していく。奴の周りをグルグルと回るが少し時間が立った次の瞬間、

緑谷は一直線に奴の方へと走っていく。

 

「馬鹿め!死ね!!」

 

窃野の放った弾丸が緑谷の方へと飛んでいく。しかし緑谷は一瞬体勢を低くした。

そして弾丸は緑谷の頭上を飛んでいく。奴はもう一度引き金を引こうとするが

それよりも早く緑谷が奴の頭を両手で鷲掴みした。

 

「な!?」

 

「おら!!」

 

緑谷が固定された奴の頭蓋に思いっきり自身の頭を叩きつける。ヘッドバットを決めたのだ

 

「う!?」

 

すると奴の脳が激しく揺れ意識が遠くなった。フラフラと揺れる奴を

緑谷は容赦なく掴む。

 

△極

 

「シュ!!」

 

緑谷は素早く彼の後ろへと回る。そして奴の腰に両手を回しがっちりとホールドする。

 

「フン!!」

 

「ぐべ!?」

 

そしてそのままおもいっきり彼の体を持ち上げ自身の体を後ろへと反らしていく。

そして窃野の脳天を地面に叩けるのだった。

 

 

追撃コンボ・ジャーマンスープレックス

 

 

 

「うが!!あああああ!!!!」

 

脳天に走る痛みに奴は悶絶しその場にのたうち回る。

 

「あ”あ”あ”……クソ……クソが!!」

 

奴は目を怒りで真っ赤にしながら緑谷を睨みつける。そして再び刀を振り回す。

しかし脳が揺れているからか、全く正確性もなく力も込められていない。もう避ける

必要すらない斬撃を見て緑谷は思った。恐らく奴は精神力でしか体を動かせない状態なのだろうと。

緑谷は彼の意識を断つために自ら奴の方へと向かい。その拳を振るった。

 

「おら!とりゃ!」

 

「ガ!?う!?」

 

そして緑谷は奴の顔面に飛び膝蹴りを叩き込む。

 

 

△極

 

「グ!?」

 

「せい!!」

 

緑谷は怯んだ奴の体に組み付く。そして素早く奴の体を地面へと投げつけるのだった!

 

「グァ!?」

 

奴の体に衝撃と共に激痛が走るのだった。

 

 

コンボ追撃の極み・弐

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ……すまねぇ若……宝生」

 

窃野は力なくその場に倒れた。緑谷はそれを確認すると万が一の時のために気絶した

やつの腕に手錠をかけておく。そして通形が先に行った扉の向こうへと向かった。そして

扉をゆっくりと開け中を確認する。すると中には通形が一人その場に立ち尽くしていた。

緑谷はホッと胸をなでおろし彼に話しかける。

 

「先輩」

 

「ん?ああデク無事だったんだね」

 

通形は彼の姿を確認するなり静かに微笑む。しかし彼の顔には尋常じゃないほどの

汗がにじんでいた。しかも声が少し震えている。

 

「どうしたんですか?」

 

「デク。どうやら俺たちは一歩遅かったらしい」

 

訳が分からず首をかしげる緑谷に通形はとある場所を指をさす。そして緑谷が

そっちの方向くと緑谷は通形の様子に納得がいった。彼の心臓もバクバクと動き

汗が噴き出る。そこにあったのは黒く真ん中に赤いタイマーがある大きな機械。

そうロベリアの個性薬物搭載爆弾だったのだ。タイマーには90:00と表示されており

どんどん数字が消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後ナイトアイを中心としたロベリア対策本部のメンバーたちが集まる。

警察や消防も現場に駆け付け周りの一般人たちの避難誘導を行った。そして

ビルの入り口で緑谷たちは情報共有し作戦を早急に立てる。その結果、エレクプラント、

ロックロック、リューキュウが上へと向かうこととなった。

 

「先輩……」

 

「ああ。悔しいけどここからは俺たちは何もできない。信じよう。みんなを」

 

二人は不測の事態に備えながらも地上からビルの中間部をじっと見守るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10階の爆弾のある部屋ではドラゴン化したリューキュウが壁の一部を壊して穴を作っていた。

そして彼女が穴を作りそこから出たのを確認するとエレクプラントがロックロックに

合図を送った。

 

「さあロックロック。やってくれ」

 

「本当にいいんだな?じゃあやるぞ!デットボルト!!」

 

ロックロックが爆弾がある部屋全体に個性をかけるすると部屋はどんな衝撃が起きても

破壊されない。もし爆発が起こっても衝撃とガスはの穴から逃がすことができる。

そしてその横にはガスを吸い取るバキュームを装備したヘリコプターが待機していた。

 

部屋が完全に施錠されたのを確認するとエレクプラントは額に小型ビデオを付け

無線をつなげる。するとシールド親子の研究室に繋がった。

 

「博士!聞こえますか?」

 

『ああ。聞こえるぞ。あとそっちの映像もこっちで観れてる。エレクプラント

覚悟はいいかい?ここからは一つでも間違えれば確実に死ぬ危険な作業だ。

それでも君は爆弾解除をやるかい?』

 

「もちろんだ!俺は絶対に爆発を止める。そして奴のクソみたいなゲームを

止めてやる!これで散っていった者たちのために成功させて見せる」

 

『わかった。もう何も言わない。それなら私たちも全力でサポートしよう。

やるぞメリッサ』

 

『はいパパ!!』

 

「よし爆体解体を始める!!」

 

 

こうしてエレクプラントとシールド親子による爆弾解体作業が始まった。

3人のやり取りは無線を通して対策本部のメンバーたちにも伝わっていた。

皆それぞれの持ち場に着きながらその会話を聞いていた。その場にいなくても

現場の雰囲気が伝わってくる。命を賭けた作業の空気が彼らの緊張感を極限まで高め

額に汗をにじませていた。

 

 

それから30分後。爆弾解体はラストスパートへと入る。

 

『エレクプラント。まだ20分以上あるから焦らないでくれたまえ。もし鼓動や呼吸が速いと

感じたらゆっくりと深呼吸。繰り返し言うが爆弾を少しでも動かしたりゆすったりしたら爆発するかも

しれない。だから慎重に手を動かすんだ』

 

 

「フゥー……ハァー……。はい、わかってます」

 

エレクプラントはゆっくり慎重にそしてスピディーに指示を聞きながら爆弾の配線を切断していった。

どんどん部品が爆弾から外されていく。そして最後の配線が現れエレクプラントはプレッシャーで

手を震わせながらそれをニッパーで切断した。すると…………タイマーの表示が消えるとともに

何かの稼働音が収まった。その部屋だけではなくビル全体、そしてビルの外に何とも言えない

雰囲気の沈黙が流れる。汗が地面にした落ちたその時エレクプラントは口を開いた。

 

「止まった.……?止まったぞ!!爆弾停止を確認!!」

 

エレクプラントの報告がみんなに伝わるのだった。

 

 

 

 

「よ、よし!」

 

「やった……!」

 

無線でその報告を聞いた者たちは静かに喜びの声を上げながらガッツポーズを取ったりするのだった。

ヘリは一旦その場から離れる。そして上の階へと爆弾処理班たちが移動し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったな!エレクプラント!待ってろ今デットボルトを解除する」

 

「ああ……すまないが肩も貸してくれ。腰を抜かしてしまった」

 

「わかった。待ってろよ今そっちに行く」

 

ロックロックがデットボルトを解除し少し早足で部屋の方へと向かう。そして

その扉を開けようと手を上げた。その時部屋全体にカチっという大きな音が

部屋に鳴り響いた。

 

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピー……ピピピピピ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時エレクプラントの視界が真っ白い光に包み込まれる。そして次の瞬間

鼓膜を破裂させるかのような爆音がその階を駆け巡り外へと響き渡った。

 

 

「グア!!!???」

 

扉を開けようとしたロックロックの体が強烈な熱風によって吹き飛ばされる。

そして窓のガラスを突き破り外へと投げ出された。その姿を地上にいたメンバーたちが

確認する。

 

 

「ろ、ロックロックが!!」

 

「今行くわ!!」

 

リューキュウが個性を発動させドラゴンの姿へと変わる。そして巨大な翼を羽ばたかせ最上階から落下するロックロックの所へと飛んでいく。そしてその巨大な手のひらで彼の体を受け止めるのだった。

 

「ロックロック無事!?」

 

「う……な、なんで爆発が……あ”あ”あ”体が……!!」

 

「ひどい火傷!早く下に……うう…まずいこの匂いは!?」

 

個性薬物によるガスがそこら中にばら撒かれていた。リューキュウの体調が一気に悪くなる。

リューキュウはすぐさま彼を持って地上へと移動した。そして少し乱暴ながらも素早く彼を地面において人間の姿に戻る。そして地面に膝をつきながら激しく咳き込み始めた。

 

「ゴホン!!ゴホン!!ああ……!」

 

「リューキュウ!」

 

「わ、私より早くロックロックを……」

 

「救急班!!早く二人を運べ!!そして全員ここから離れるんだ!!ガスがここ一帯に充満する!!」

 

現場の指揮官であるナイトアイの指示がその場にいた者たちの避難するように呼び掛ける。現場のヒーローや警察、救急隊員たちは爆発を止められなかった悔しさに顔を歪めせ拳を握り締めながらその場から避難していった。

 

 

 

 

 

『な、なんで……!?私たち解析が間違ってたとでも言うのか!?』

 

『そ、そんな……うそでしょ……私たちでも止められなかったというの……!?』

 

つけっぱなしだった無線からシールド親子の唖然とした嘆きの声が漏れるのだった。

 

 

 

「デク俺たちも今すぐここから離れるんだよね!!」

 

ミリオがそう言いながらここから離れようと動く。しかし緑谷はちゃんと聞いていなかったのか

その場から離れようとせずじっと爆発した10階の方を眺めていた。

 

「ちょっとデク!聞いてる!?早くここから……」

 

「違う」

 

「は?」

 

緑谷の言葉に訳がわからず通形は首をかしげる。すると緑谷は何かを確信したかのような

表情で言葉を続けた。

 

「解体はちゃんと成功したはずです」

 

「な、何を言ってんの!?爆発したんだから解体は失敗して……」

 

「いやきっと成功はしたはずですよ。タイマー形式の起爆システムの方はね」

 

「え?どいうこと?」

 

「6年前の事件を思い出してください!奴はわざわざ現場まで行って解除寸前まで

作業していた父さんを邪魔しにいった。その結果奴は父に道連れにされて爆発に巻き込まれた。

もし同じシチュエーションでもう一回チャンスがあったとしたら。同じミスをしないために

あることをする必要があります。それは現場に赴く必要をなくすことです」

 

「現場に赴く必要をなくす?………あ!じゃあまさか!?」

 

「ええ。奴は前回の失敗の経験を活かして………時限式だけじゃなく遠隔での起爆システムも

爆弾に追加させたんですよ!!同じ失敗を繰り返さないために!!」

 

(だからそれを見抜く可能性のある個性をもつクレアさんは殺されてしまったんだ。

彼女の透視の個性は恐らく爆弾の細部まで確認することが出来る。そうなれば遠隔システムも

見つかると奴は踏んだんだ。だから……ん?ちょっと待て……待てよ!?)

 

緑谷の頭に一つの疑念が浮かび上がる。そこから建てられた仮説を彼は過去に起こった

出来事に当てはめていく。すると彼の中で恐ろしい確信が生まれた!

 

(無線で聞いた感じだと爆弾のタイマーは後20分ほど残っていた!けど

犯人はその時点でタイマーが止まったことを知る術はないはず。現場にいたわけもない。

ということは………まさか!?)

 

爆弾を止められたと知る人物。それは無線で爆弾解体の様子を聞いていたメンバーたち。

 

(まさか犯人は……捜査本部の中にいる!?)

 

あまりにも荒唐無稽だが十分あり得る可能性の話。しかし彼はこの可能性を誰かに話すことが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後エレクプラントの死体が発見された。もう死体は原型をとどめていなかった。

そしてロックロックは大やけどや骨折などの重傷で緊急手術が行われた。手術は

成功するものの意識不明である。リューキュウも肺などの器官に異常が見られたため

一旦病院に入院することとなった。民間人に被害はなかったものの再びあの場での爆破テロを許してしまったという事実は皆により強い敗北感を与える結果となってしまったのだった。しかしナイトアイはこの一件を理由に死穢八斎會本部への強制捜査に踏み込もうと考えていた。

 

「このままで終わるわけにはいかない!近日中にあそこに全戦力を賭けて攻め込む!!」

 

皆はその日のために決意を固めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。壊理はナイトアイ事務所のとある個室のベットで眠りに就いていた。

そんな彼女の部屋を誰かがノックした。

 

「……むにゃむにゃ………あれ?誰だろ……デクさんとかかな」

 

彼女はここに来てからある程度の自由と安全、そして人の温もりを与えられた。

故に彼女の心にここは安全。警戒するべきものは何ないと思い込んでいた。

そんな彼女だからこそこんな時間にノックされた扉を何の警戒もせずに開けてしまう。

 

「ッ!?」

 

開けた扉の先にいた人物。怪しく低い呼吸音を不気味に発しており目が真っ赤に

光っている。そこにいたのはガスマスクと黒いレインコートを着た奴がいたのだ。

 

「ひ、ヒエ!だ、だれか……」

 

彼女はすぐさま奴から逃げようと背中を見せる。だが容赦なく奴は後ろから

彼女の口に何かの布を押し当てながら逃げないように拘束する。

 

「ん~!ん~!!」

 

必死に抵抗しようとするがその布から発せられた匂いを嗅ぐと彼女の意識は

徐々に失われていく。

 

 

(助けて……!デクさん……ミリオさん…)

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃緑谷は事務所の個室でただ一人ノートを書いていた。そこには自身の推理が

書きまとめられている。

 

(やっぱり奴が………生きてのか?今回の爆破事件は奴によって起こされた。でも

待て!じゃあ奴はどうして生きている。6年前奴はどうやって生き延びた?仮に生き延びたとして

奴は何故この6年間今日みたいな事件を一つも起こさなかったんだ?いやそもそも……)

 

「あーーー!!もう駄目だ何もわからない!!」

 

思考の無限ループに彼はついに音を上げてしまう。そしてノートを一旦閉じて

思考を全部放棄しため息をつきながら机にひれ伏す。

 

「ハァ~……疲れた………こんなんで事件解決できるのかな………」

 

 

 

 

 

 

 

『助けて!!』

 

 

 

 

 

 

「ん………?なんだ……壊理ちゃん?」

 

彼の脳内に彼女の叫び声が響いたような感覚が駆け巡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の八島街。その雑居ビルの屋上に日本刀を片手に持ったシャドウスラッシュが

いた。そしてもう片方の手にとある写真を持ちそれをじっと見つめていた。

 

「死穢八斎會の古参幹部の最後の一人。坂又 歳三。奴は今どこいる?」

 

シャドウスラッシュはそう呟きながら夜の街へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、壊理ちゃんを救出せよ!

 

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