英雄《ヒーロー 》が如く  龍を継ぐもの   作:0101シュート

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お待たせしました!緑谷編ついに最終回です!!だいぶ長くなってしまいましたが
お楽しみください!


第六章 緑谷編 受け継がれる意志 パート7

緑谷はやり残したことを済ませた後。通形の場所へと向かう。そしてアイテムや

武器がしっかりと揃ったことを確認すると彼は通形に話しかけた。

 

「デク。もうやり残したことはないかい?」

 

 

行きましょう    ⇐

もう少し準備します

 

 

 

 

 

「行きましょう先輩……!壊理ちゃんを迎えに」

 

「うん……!じゃあ行くんだよね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕焼けに照らされオレンジ一色に染まっていく住宅街を二人のヒーロー見習いが

その瞳に鋭い眼光を宿しながら歩いていた。2人の名はデクとルミリオン。その

二人は今から死ぬかもしれない危険な戦場へと向かっている。2人の足が止まる。

その目の前には大きな屋敷を囲う垣根と招かれざる客を拒む門があった。通形は

拳をならし、緑谷は自身のネクタイをきつく付け直すことで気合を静かに入れていく。

そして二人軽いアイコンタクトを取り、うなずき合うと何の躊躇もなく門の扉を思いっきり

蹴り飛ばした。自身の体よりも何倍も大きい扉が外れ敷地内へと吹き飛んでいく。

 

 

 

「な、なんだ!?門の扉が吹き飛んだぞ!?」

 

「か、カチコミだ!正門に集まれ!!」

 

騒ぎを聞きつけた組員たちが屋敷からワラワラと飛び出していく。そして

数え切れないほどの組員たちが中庭へと集結し門を囲い始めた。しかし

二人はなんのためらいもなく中庭へと歩いて入っていく。

 

「なんだテメーら!?」

 

「二人で乗り込んでくるとは舐めてんのかゴラ!!」

 

堂々と敷地内へと入って来た二人に組員たちの罵詈雑言が放たれる。

 

「ハハハ……まあ待てお前ら。そんな興奮すんなよ」

 

そんな中一人の組員が何故か余裕しゃくしゃくそうに二人方へと近づいていった。人数は

こちらが圧倒的に有利。簡単に倒せると高をくくっているのかもしれない。奴はいらやしい

笑顔を見せながら二人の前に立ち、話し始めた。

 

「どうもどうもお二人さん。見た所ヒーローの様ですが……一体ここに

どんな御用で…………な!?」

 

「スマッシュ!!」

 

「グァ!?」

 

緑谷はその男が何かを喋りきる前に殴り飛ばした。奴はその場に白目をむきながら

倒れる。それを見た組員たちの警戒感が一気に上がり武器などを構え始める。

 

「壊理ちゃん迎えに来ました。けど…………あなた達の案内はいりません……!」

 

 

二人は拳をかまえるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死穢八斎會 組員

 

 

「調子に乗りやがって!!」

 

「ぶっ殺せ!!」

 

組員たちが一斉に緑谷たちへと襲い掛かる。しかし二人はあえて前へと飛び出し

その拳を力強く奴らに振りぬいた。

 

「スマッシュ!!」

 

「POWER!!」

 

「「「うわー!!??」」」

 

二人の強力なパンチに数人の組員たちがふきとばされる。それにより奴らは

一瞬怖気づいてしまい。少しだけ後ろに下がろうと足を動かす。しかしそんな

奴らの姿勢は二人に勢いを与えるだけなのであった。

 

「うおー!!」

 

「オリャー!!」

 

二人は大勢の敵の中へと突っ込んで行く。そして緑谷は奴らの一人の腕に掴みかかり

強引に肩を極めにいく。

 

「ギャ!?は、放せ!」

 

「おら!!」

 

「うわ!?」

 

肩を極めた次の瞬間!緑谷はそいつを投げ飛ばし敵を巻き込みさせながら

その場に倒させる。その隙を見計らって一人の男が日本刀を両手に構え緑谷に

斬りかかるが彼はひょいっと体をずらしその斬撃を避ける。

 

「うお!?」

 

「甘い!!」

 

緑谷は避けると同時に奴の胸ぐらを掴み自身の体をくるりと後ろに回転。それと同時に

奴を後ろに投げ飛ばし背負い投げを決めるのだった。

 

「が!?」

 

「うお!?」

 

「うわ!?」

 

後ろににいた敵たちも巻まれその場に倒れていく。更に緑谷は前進していき

拳を振るい続けるのだった。

 

「おら!!てや!!!」

 

「あべ!?」

 

「ゴハ!?」

 

殴り飛ばされた組員たちは白目をむきながらその場に倒れる事しかできない。

徐々に人数が減っていき残った者たちも怖気づき始め勢いを失う。そんななか

一人の組員がヤケになりながら拳銃を構える。

 

「し、死ね!!」

 

緑谷に一気に近づいていきその銃口を向け引き金を引こうとする。

 

 

 

 

 

 

△極

 

「甘い!」

 

奴の伸ばした手を一瞬で掴み自身の横に引き寄せる。そしてもう片方の腕で

裏拳。更にストレートパンチを彼の顔面に打ち込んだ。

 

「ぐわー!?」

 

 

見様見真似の火縄封じ

 

 

「どうした!?勢いが落ちてきてるんだよね!!POWER!!」

 

「うわー!?」

 

「ギャー!?」

 

通形も個性とその鍛え抜かれた肉体で組員たちを蹴散らしっていった。

そして遂にその場のほとんどの組員たちが地面に倒れ最後の一人が現れた。

 

「く、クソ!」

 

その最後の一人に緑谷と通形は目当てを付ける。そしてそれぞれの方向から

奴の方へと突っ走った。そしてお互い右手を広げていく。

 

「ちょ!?ま!?」

 

「「おら!!」」

 

「ぐべ!?」

 

二人の強靭な前腕が奴の首をものすごい勢いで挟みこむ。それぞれの方向から

走る衝撃と圧に奴は意識を一瞬で失いその場に倒れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うあ…………」

 

「い、痛ええ………」

 

「く、クソ…………」

 

敷地内に戦意を失いその場に倒れた組員たちが大勢いた。皆体に走る痛みに悶絶しながら

緑谷と通形を睨みつける。しかし二人がゆっくりと前へと歩き近づいた瞬間。奴らは

恐怖で声を漏らす。

 

「う……!?」

 

「ひ!?」

 

組員たちは恐怖に体を震わせながら後ずさりなどをして急いで二人から離れる。

しかし二人は一切気にせず奴らが離れたことによってできた屋敷の扉へと続く

道を歩いていく。そして緑谷は扉の近くに設置されている監視カメラに気が付いた。

緑谷はその監視カメラの前に立ち話しかける。

 

「見てるか治崎!お前の野望を止めに来たぞ!裏社会のトップに立ちたいとかなんとか

良く知らないけど小さな女の子を利用し仲間すらないがしろに小悪党の野望なんて

僕と先輩の二人で止めて見せる!学生二人相手に逃げるなんてしないよな?

地下で首を洗って待ってろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ!!クソ!!役立たずどもめ!!」

 

屋敷の地下にある監視室。治崎は緑谷の挑発とも言える言葉をモニター越しに聞いていた。

治崎は怒り狂いながら周辺に置かれた椅子や机を蹴り飛ばす。

 

「あの時のガキ!どこまでもウチをコケにしやがって!!!」

 

そんな様子の治崎に白いコートとペストマスクを身に着けた大柄な人物が話しかける。

 

「落ち着け、廻。でどうする?一応ここから逃げるか?」

 

 

 

死穢八斎會 若頭補佐

玄野 針

 

「逃げる!?ふざけるな!!そんなみっともないマネが出来るか!!

なんとしてあの二人を殺してやる!!」

 

「ハア…………わかったよ。おいミミック」

 

「ハ!」

 

その時ペストマスクを付けた小さな人形のようなものがしゃべり始めた。

そしてその人形に指示を送る。

 

「一瞬でいい。個性ブースト薬で地下の通路に擬態しろ。そしてなんとか奴らを分断するんだ。

そして連携を取れなくなった奴らに残っている鉄砲玉『八斎衆』のメンバーをそれぞれ向けて

殲滅する。万が一のために俺はロベリアの爆弾の保管部屋を守る。若は……念のために例の

少女の場所にいてください」

 

玄野は指示を飛ばすとすぐさま部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらして玄野は爆弾を保管する部屋へとたどり着いた。そして彼は少しだけため息を

着くとゆっくりとマスクを外し部屋の真ん中に設置されているテーブルの上に丁寧に置く。

 

「ここで逃げると言ってくれれば俺まだ付いていこうと思ったが。もう駄目だな廻」

 

マスクを外した彼の顔が露わになる。綺麗で整った顔立ちだ。彼はおいたマスクを

少し無感情に見つめると部屋を出てどこかに歩き出した。

 

「死穢八斎會はこのままじゃただのチンピラ組織になってしまう。そんなこと組長は

望まないしあなただってそうでしょう。大丈夫。俺があなたの代わりに死穢八斎會立て直しますよ。

時間はかかるかもしれないが、組が終わっちまうよりマシだ」

 

玄野が地下に作られたとある隠し扉を開いた。その先には地上へと続く隠し階段が

存在していた。彼はその階段を上り硬くさび付いた扉を強引に開けた。

 

「フゥ………ああ、もう来てたのか。じゃあ爆弾の郵送を頼みます」

 

扉を開けた先。その外に数人の黒服の男たちがいた。そしてその胸元には

桐生竜仁会の代紋バッジが付けれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

邪魔する組員たちを全て倒した緑谷と通形は屋敷の中に入ろうと気合を入れていた

そんな二人にの耳に聞き慣れた声が入った来た。

 

「おーい!!ミリオ!!緑谷!!」

 

「あ!」

 

「ナイトアイ!」

 

中へと入ろうとした二人の元にナイトアイが現れたのだ。彼は息を切らしながら

二人の方へと近づく。そして周辺に倒れている組員たちに目を向ける。

 

「ハアハア………こ、これは二人がやったのか?」

 

「はい!先輩と一緒に蹴散らしましたよ」

 

「ああ……そ、その勝手なことしてごめんなさい」

 

緑谷はまるで当たり前かのように現状を簡潔に話すが、通形は自分たちがとんでも

ないことをしたということを今更感じ取りアワアワとしだす。その様子にナイトアイは

頭を抱えながらため息をつくことしかできなかった。

 

「仕方ない………説教は全て終わってからだ。緑谷の話は根津校長から聞いた。

捜査本部に裏切者がいるからこの奇襲で奴らを捕まえる必要がある。私も協力しよう」

 

「はい!!」

 

三人が屋敷に入ろうと気合を入れる。そんな中小さなプロペラ音がそこら中に

響き渡った。三人が上空に目を向けるとそこには段ボールを抱えた飛行ドローンが。

 

「な、なんだあれは?」

 

「あ!僕の荷物ですよ!おーい!!」

 

緑谷がドローンの方に手を振るとドローンのカメラがそれを発見する。するとドローンは

段ボールを緑谷の近くに落としどこかへと飛び出さっていった。緑谷はすぐさま落ちた段ボールに

近づき開封を開始する。そして中にある物を見ると彼はフッと笑いながら手に取った。

 

「よし!スペアと合わせて二つ。それと………」

 

緑谷は中に入っていた二つの小さな機械を自身の懐にしまう。そして彼は段ボールの中に

入っていたもう一つの物を手に取る。

 

「で、デク!?それって」

 

「緑谷それは?」

 

「はい!僕がサポート科の発目さんに頼んで作ってもらったマルチマグナムです」

 

緑谷はそう言ってマグナム銃を箱から取り出し、その手に握り軽く目の前に

標準を合わせた。その姿を見たナイトアイの脳裏に過去の記憶がよぎる。そう。

かつての自分の相棒。緑谷久の姿を。

 

(フ、全く……どこまでアイツに似るんだか)

 

 

【”マルチマグナム”を手に入れた】

 

[”マルチマグナム”は弾丸の種類によって様々な効力を発揮する特殊な銃です。うまく使いこなし巨大な敵を倒しましょう】

 

 

 

「よし!じゃあ二人とも!早速乗り込みましょう!!」

 

 

3人は屋敷の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっとメモによると…………この掛け軸の場所の和風の置物に仕掛けがあるようです」

 

3人は屋敷には入るとすぐさま地下へと続く道を探す。緑谷は幹部の一人から

貰った屋敷の地図のメモを頼りにその道を見つけるのだった。

 

「この仕掛けをこう動かせば…………よし動いた!」

 

緑谷が仕掛けを動かすと置物が動き始めその場所が開き始めた。するとそこには

地下へと続く階段があったのだ。

 

「この先にきっと治崎と壊理ちゃんがいます!早く行きましょう!」

 

3人には地下へと降りて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

地下へと降りるとそこはとても長く殺風景な廊下が広がっていた。緑谷が

メモに書いてあった地下施設の地図を確認するとそこには巨大な迷路のように

入り組んだ道が記されている。

 

「とりあえず治崎がいそうなこの幹部室へと向かいましょう」

 

三人は緑谷は先頭に廊下を走り始めた。敵は今の所居ない。地上でほとんど倒してしまったのだろうか?

しかし、そんな三人を狙う怪しい影に彼らは気が付かなかった。

 

 

『ここで奴らを分断してやる………!!』

 

 

 

 

 

「ん!?な、なんだ!?」

 

その時!地面が激しく揺れ始めた。それと同時に地面がまるで荒れ狂う海の様にうねり始める。

 

「サー!これは一体!?」

 

「落ち着けミリオ!これは恐らく死穢八斎會本部長。入中 常衣の個性だ!

きっと個性薬物によって個性を強化したんだろう!」

 

「く!?これじゃあまともに立てな………う!?」

 

 

地面が激しく動いていき3人が徐々に離れていく。更に3人の立っているそれぞれの

地面が開き穴が開いた!

 

「ま、まさか!?分断するために!う、うわーーーー!!!???」

 

 

三人はそれぞれの穴に落っこちてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う!?こ、ここは!?」

 

緑谷が落ちた先は薄暗く何もない広い空間。緑谷は警戒感を高めながら周りを見渡す。

すると彼の後ろの方から声が聞こえた。

 

「乱波来たぞ。あやつが我々の相手らしい」

 

「おお!来たか来たか!!」

 

緑谷が声の聞こえた方をすぐさま向く。そこにいたのは鋭利なマスクを被った大柄な男と

ペストマスクをつけた糸目で金の短髪の和服姿の男の二人がいた。

 

 

 

 

死穢八斎會 鉄砲玉『八斎衆』

天蓋壁慈

 

 

 

死穢八斎會 鉄砲玉『八斎衆』

乱波肩動

 

 

 

「さあ!俺と喧嘩しようぜ!!」

 

「乱波。毎回言っているがすぐに喧嘩しよとするんじゃない」

 

「喧嘩?まあいいや。あなた達二人を倒さないと前に進めないんでしょ?

先手必勝!!」

 

緑谷はすぐにワンフォーオールフルカウルで身体能力を上げる。そして

速攻で勝負を決めるために二人に向かってスタートダッシュをきる。そして

その勢いのまま乱波に飛び蹴りを食らわせようとする。しかしその時二人の間を謎の

バリアが隔てた。

 

「!?」

 

「おい天蓋!!邪魔すんじゃねぇ!!」

 

緑谷の蹴りはそのバリアに阻まれる。彼はすぐさまバリアを蹴った反動を利用し

後ろへと飛び地面に着地する。そしてすぐさま個性の分析を始めた。

 

「あの大柄の男は僕と喧嘩をしたがっていたからアイツの個性じゃない。

となるとそのバリアは………和服を着たお前の個性か!」

 

「いかにも。私の個性はバリア。我々は矛と盾。この完璧な布陣に

貴様に勝機は…………」

 

 

 

バン!!

 

 

 

 

「な!?」

 

鋭く重い銃声が地下に響き渡った。そしてバリアに何かが突き刺さる。そう緑谷の

マグナムから放たれた弾丸がバリアに突き刺さったのだ。

 

「貫通特化用の弾丸でも貫通しないなんて…………でもやりようはあるみたいだね!」

 

緑谷は両手でマグナムを構えながら天蓋の方に銃口を向ける。そして鋭い眼光向けるともに

引き金を何回も引き続ける。

 

 

バン!バン!

 

 

放たれた弾丸は天蓋の周りにあるバリアを中心に突き刺さっていく。すると

撃たれた場所を中心にバリアにヒビが入っていく。そして離れて独立したヒビが

繋がれていくのだった。頃合いだと踏んだ緑谷はマグナムを構えるのを辞めて

天蓋に向かって突っ込んで行く。そしてバリアに肩を向けて渾身のタックルを

お見舞いする。するとバリアは粉々に破壊されるのだった。

 

「な!?ば、馬鹿な!?う!?」

 

呆気にとられる天蓋の胸ぐらを緑谷は素早くつかむ。そして背負い投げし奴の

体を地面に叩きつけるのだった。

 

「グハ!?うう…………クソ……」

 

天蓋があっけなく体に走る痛みに耐えかね気絶するのだった。その光景を乱波は

無感情に見つめた後深いため息をついた。

 

「なんだよお前武器使うのかよ………つまんねぇなおい。……俺思うんだ。喧嘩に銃や刃物は不粋だって.

 

持っていたら誰でも勝てる。そういうのは喧嘩じゃない!!」

 

「安心しなよ。僕は銃を使う気はない」

 

「あ?」

 

「今使った貫通特化用の弾丸は火薬量が強くてね。この銃はしばらく冷却しないと使えないんだ」

 

緑谷は煙を放ち熱がこもったことにより真っ赤になったマグナムを地面に置くと、自身が

身に着けている上着を地面に脱ぎ捨てシャツの袖ををめくった。そして拳を力強く握りしめ

奴を睨みつける。

 

「さっさと始めよう。僕にはあまり時間がないんだ。お前を倒して治崎の元へと

行かせてもらうぞ!!」

 

緑谷の言葉を聞いた乱波の口角自然と上がる。そして気合を入れるかのように

両方の拳を引き締め独特な形で構え叫び始めた。

 

「いいなお前!!よし!はやくやろうぜ!!」

 

その時乱波の体を邪悪そうな紫のオーラが包み込む。そのオーラに緑谷は初めての感覚を感じた。

今まで戦った来た者たちとは違う圧倒的な狂気と闘気を感じたのだ。

 

(こいつは恐らく何かを背負って戦っているわけじゃない。ただ自身の欲望にしたがう

生粋のバーサーカー。恐怖で体がゾクゾクしてきたな。でも絶対に勝つ!!)

 

 

 

「祭りの始まりだ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

死穢八斎會 鉄砲玉『八斎衆』

乱波肩動

 

 

 

 

 

 

「行くぞ!!」

 

乱波は気合のある声を響かせながら緑谷の方へと猛牛の如く突っ込んで行く。

そしてまるで弾丸のように勢いのあるパンチを緑谷に放っていった。

 

「おら!!」

 

「う!?」

 

緑谷はすぐさま「捌き」を発動させ後ろに受け流そうとした。しかし奴の拳は

「捌き」をものともしない。後ろに受け流されるも奴は体を捻り後ろを向き強肩により

カウンターのパンチを繰り出す。緑谷はそれを後頭部にもろに受け後ろに殴り飛ばされてしまった。

 

「が!?」

 

(さ、捌きが通用しない!?捌きが通用しない人なんて切島君くらいだぞ!?)

 

「おいおい!何してんだ?もっとぶつかり合おうぜ!!」

 

殴り飛ばされた緑谷に乱波は更に追撃しようと向かって行く。再びその拳を

振るうが緑谷はなんとかスウェイ移動でそれを避ける。その流れのまま彼は

奴の腕を掴み強引に肩を極めようとする。しかし肩を極めようと力を込めた

瞬間いままでとは違う硬さと力強さを感じた。

 

(な、なんだ!?極められた感じが全然ない………!?)

 

「小賢しい!!!!」

 

「な!?ぎゃ!」

 

極められた体勢にも関わらず乱波は極められてない方の腕を動かし緑谷の顔面に

拳を突き刺す。あまりの威力に緑谷は鼻血をまき散らしながら吹き飛ばれ壁に

背中から激突する。そのまま倒れそうになったが気合で何とか持ちこたえた。そして

必死に呼吸を整えながら思考を動かす。

 

「ハア………!!ハァ………!!」

 

(ま、間違いない!アイツの個性は肩を強化する類のもの。だから肩を極められなかったんだ。

そして何よりあの極められた体勢からのパンチ!相当肩を強化しないとあんな威力は出せないぞ!)

 

「おら!まだまだ!!」

 

乱波の目に見えないほどの速い連続パンチが緑谷に炸裂する。緑谷はフルカウルで強化しながら

防御の姿勢に入る。しかし耐えられたのはほんの数秒。奴の乱打は緑谷のガードを破壊し

緑谷を沢山殴りつけた。そして最後に彼の頬を激しく振りぬく。

 

「オラオラオラ!!オラ!!」

 

「ぐ!?うお!?グァ!!!???」

 

それを受け緑谷は再び殴り飛ばされた。それと同時身に着けていたサングラスが宙を舞い地面に落ちる。

地面に倒れるも彼はなんとか立ち上がる。彼は今窮地に立たされていた。

 

(マジかよ…………捌きも極め技も効かないなんて。でもやりようある!あるはずなんだ!!)

 

緑谷は口から血を垂らしながらも不敵に口角を上げながら目を光らせる。そして

自ら奴の方へと向かって行った!

 

「うおー!!」

 

「来るか!?今度は真正面から殴り合おうぜ!!」

 

乱波はそう言いながら拳を構える。そして突っ込んできた緑谷にその拳を振るおうと

する。しかし緑谷はそれよりも早く奴の腕を掴み極めに行った!

 

「ああん!?これはさっき失敗したはずだ!!舐めやがって!!」

 

乱波はすぐさま先ほどと同じように極められてない方の腕で緑谷の顔面を殴り抜こうとする。

しかしそれよりも早く緑谷はホールドを解いてその拳を避けるのだった。

 

「な!?」

 

奴の拳が空を切る。そして一瞬奴の体重がすべて軸足乗った刹那のタイミング!緑谷はこれ

を狙っていた。

 

 

 ⇐押せ!!

 

「おら!!」

 

「う!?」

 

緑谷が素早いローキックで奴の軸足の脛を蹴りぬく。奴は激痛に耐え兼ねバランスを崩して

その場にうつ伏せにに倒れてしまう。緑谷はすぐさま立ち上がろうとした奴の足首を掴む。そしてそれを

自身の脇に挟み込み足首を捻り上げた。そうこれはプロレスの基本技の一つ。アンクホールドである。

 

「グァーーーー!!!!???」

 

「足は普通に痛いみたいだね!」

 

   ⇐連打しろ!!

 

「うおーーーー!!!!!」

 

「は、放せ!?ギャーーーーー!!!???」

 

更に力を込めて捻り上げる緑谷。乱波はあまりの痛みに耐え兼ねジタバタと暴れながら

叫ぶ。しかし奴の目がギロりと鋭くなった次の瞬間。奴はうつ伏せの状態のまま両肩に力を込める。

そして両方の拳で地面を殴りつけるとあまりの威力に二人の体がフワリと宙を舞った。

 

「う!?クソ!」

 

緑谷は空中でホールドを緩めてしまい。奴に脱出のチャンスを与えてしまう。

乱波は緑谷から離れ地面に着地する。そして怒りで鼻息を荒くしながら緑谷を睨みつけた。

 

「舐めやがって!!殴り合う気がねぇならさっさと死ねや!!」

 

乱波は激しく地面を蹴り抜きながら緑谷の方へと突っ込んで行く。そして再びご自慢の

連続パンチ繰り出す。しかし緑谷はその動きは既に予測済みだ!

 

「シュ!!おら!!」

 

「う!?て、テメー!?」

 

緑谷はスウェイ移動でギリギリのタイミングでよけつつローキックで奴の足を蹴りつける。

乱波はそれに鬱陶しさを感じながら彼を殴ろうとするが緑谷は再び回避。そして回避と同時に

ローキックで奴の足を蹴りつけていく。

 

「ああ!クソ!足ばっか狙いやがって!!」

 

「お前の強肩とその強靭な上半身は確かにすごい!けど下半身はそこまでみたいだね!

お前みたいな考えなしのパンチング野郎なんて作戦を立てればなんてことない。喧嘩は

互いの心技体の三つを全てぶつけ合おう熱いものだ!!お前の喧嘩はそれを感じない!

本能のままにただ拳を振るうただのボンクラだ!!」

 

 

 

ブチ、奴の中で何がブちぎれた。その時奴は静かに素早く拳を脇の横に構える。そして地面を割るかのように足で地面を踏み込むとその拳で緑谷の腹に渾身のボディーブローを食らわせた。

 

「グハ…………!?」

 

あまりの威力に緑谷は一瞬意識をうしなってしまい地面に倒れる。そして地面に倒れた

彼に奴はゆっくりと近づく。そして胸ぐらを掴み無理矢理立たせた。

 

「いちいちムカつくんだよお前………!!俺の喧嘩を馬鹿にしやがって!!

ぶっ殺してやるよ……!!」

 

「う……!?」

 

緑谷の意識はまだはっきりとしてない。そんな彼を乱波は容赦なく殴りつけた。

まるでサンドバックの様に体を打ち付ける。

 

「おら!!おら!!どりゃーーーー!!!」

 

「う!?」

 

殴り飛ばされた緑谷は再び壁に叩きつけれれる。そして壁に寄りかかった彼にトドメを

刺そうと乱波は突っ込んで行きその拳を振るった。

 

 

 

 ⇐押せ!!

 

 

「フン!!」

 

「うお!?」

 

緑谷はギリギリのタイミングで体勢を低くし奴の拳を避ける。すると奴の拳は

壁に突き刺さってしまう。

 

「ち!!」

 

奴はすぐさま地面から腕を引き抜くがその行動は緑谷に僅かな隙を見せた。

彼は奴の横に立つと素早いラッシュコンボを叩き込む。

 

「フン!オラ!オラ!せい!!」

 

「ぐ!?お!?ぐあ!?が!?」

 

ワンフォーオールフルカウルによって強化された強烈なラッシュコンボ!そして

その流れのまま緑谷は体を回転させながら奴の顔面に靴底を叩き蹴るように

蹴り飛ばす!

 

 

 

△極

 

「うお!?」

 

乱波はあまりの勢いのある蹴りにその巨体を吹き飛ばされてしまう。その刹那!

緑谷は更に身体能力を強化しながら吹き飛ばれた奴に近づく。そして横回転飛び

かかと蹴りで奴の宙に舞った体を地面にたたきつけるのだった!!

 

「おら!!」

 

「グァ!!!???」

 

 

コンボ追撃の極み・伍

 

 

 

 

「ううう…………ハハハ………中々やるじゃねぇか」

 

奴は先ほどとは違い。少し上機嫌位笑いながらフラフラと立ち上がる。そして

その時!奴の紫色のオーラが先ほどより濃くなった!!

 

「うおーーーーーーーーーー!!!!」

 

そして奴は雄たけびを上げながら緑谷の方へと突っ込んで行く。次の瞬間奴が見せたのは

素早いスウェイ移動。緑谷の周り攪乱していく。

 

「戦闘スタイルが変わった!?」

 

「ここだ!!」

 

乱波はスウェイ移動の勢いを拳に乗せたパンチを緑谷に放つが彼は何とか

それを両手でクロスさせ防ぐ。しかし奴は間髪入れずに防御の隙間を狙い

ボディーブローを緑谷の腹に食らわせる。そしてひるんだ隙にアッパーを彼の

顎に食らわせた!

 

「おら!おら!!」

 

「あ!グ!?」

 

「トドメだ!!」

 

更に渾身のストレートパンチを叩き込もうと踏み込む。そして拳を振ろうとした

その瞬間緑谷は奴の腕を掴む。そして肩を極めにいく。

 

「な!?また!?だが……」

 

しかし緑谷はもちろんわかっていた。奴に極め技は効かないことはだから

すぐに極め技を解くと同時奴の後ろに回った。乱波はすぐさま振り向こうとしたが

もう遅かった!!

 

「スマッシュ!!」

 

「ぐ!?」

 

緑谷のパンチが奴の頬をうち抜く。頬と中心に首から体にかけて痛みが走る。

しかしその痛みを感じた乱波の口角が吊り上がった!

 

「いいじゃねぇか!!おら!!」

 

「ぐ!?」

 

乱波はすぐさま反撃の左ストレートを緑谷の頬に突き刺した!だが根性でその地面に踏ん張り

その場にとどまる。そして彼も反撃のボディーブローを乱波の腹に突き刺した!

 

「ガ……!?う………ハハハハ!おりゃ!!」

 

「ぐべ!?」

 

次に乱波がくり出したのはアッパー!!乱波は心の底から歓喜していた!一方的な蹂躙ではなく

互いに拳を叩き込みあう緊迫した喧嘩に!!二人は防御を一切せずに互いに拳を叩き込みあった。

 

「おら!!」

 

「スマッシュ!!」

 

二人の殴り合いがヒートアップする!!

 

 

 ⇐連打しろ!!

 

 

「おらおらおら!!!!」

 

「うおーーーーー!!!」

 

緑谷のターンが回る。緑谷は拳を握り締めて奴の鼻に叩きこもうとした。無論、乱波も

それを受けようと身構える。しかし奴の目の前で彼の拳が止まった!

 

「あん!?」

 

来るはずの一撃がこないことに乱波の思考は一瞬フリーズしてしまう。そう

これはフェイント!!彼の真の狙いはハイキック!!

 

「そりゃー!!!」

 

「ぎゃ!?」

 

彼の振るった足が奴の横首に直撃する!!奴は一瞬白目を剥くが倒れない。緑谷に

仕返しのパンチを放つ!緑谷はこれを回避してトドメのカウンターを叩き込もうと

考えていた。しかし奴の拳は緑谷の前でスンと急停止した!

 

「え!?」

 

(まさか!?)

 

「おら!!」

 

「ぐ!?」

 

乱波はなんとフェイントからの渾身ボディーブローを食らわしたのだ。これは

緑谷という初めてできたライバルから学んだ戦い方。喧嘩に限らずあらゆる戦闘を

有利に進めるための駆け引き。奴はこの戦いの土壇場で自身を進化させたのだ。

 

「ああ………」

 

意識外からの強烈なボディーブローを受けた緑谷は倒れそうになる。しかし

彼はカッと目を見開きながら自身の腹に突き刺さった奴の腕を両手で掴んだ!

そして奴を自身の傍に強引によせる。そして強烈な頭突きを奴の鼻に叩き込んだ!!

 

「おら!!」

 

「ぐべ!?ああ…………!!」

 

鼻をへし折られ奴痛みに耐えかね、急いで緑谷から離れながら自身の鼻を片手で

覆う。この行動は緑谷に確信的な勝機を感じさせた。彼は右手を広げ腕の筋肉を

膨れ上げさせる。そして奴に向かって突っ込んで行った。

 

「む!?」

 

「お”ら”!!」

 

「ぐあ!?」

 

緑谷は奴の首に渾身のパワーラリアットを食らわせる!地面に叩きつけれた奴の

体はバウンドし一瞬だけ宙を舞う!

 

 

 

△極

 

「フン!」

 

緑谷は体勢を低くしながら宙に舞ったの下へと入り込む。そして

彼の体を自身の肩に仰向けに乗せて左手で顎を!右手で左足を掴みながら立ち上がる!

 

「タワーブリッジ!!」

 

「グア!?」

 

その技名を叫びながら緑谷はその両手を彼の体を締め上げ

奴の体を一気に反らした。すると彼の背骨がへし折れる響き渡るのだった。

 

 

追撃コンボ・タワーブリッジ 

      (アルゼンチンバックブリーカー)

 

 

これだけでは終わらない!緑谷は奴を肩に抱えたまま足腰に力を込める!そして

高くジャンプし宙を舞った!!

 

「これで終わりだ!乱波!!」

 

⇐押せ!!

 

「とりゃー!!」

 

「ギャーーーーーーーーー!!!!!!!!!??????」

 

緑谷が地面を砕きながら激しく着地する!するとその衝撃は技をかけられた乱波の

体中に響き渡る!!奴の体中の骨が砕け散る音が地下に鳴り響くのだった!

そしてそんな乱波の体を地面に投げ飛ばす。奴は何とか立ち上がろうとするも力尽き

その場に仰向けに大の字で倒れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアハア………!僕の勝ちだ!!」

 

「………ああ。そうだな」

 

緑谷は息を切らし、ボロボロになった体の痛みに耐えながら倒れた乱波を見下ろす。

そしてしばらく倒れた奴を見つめるとそこらに脱ぎ捨てた上着と飛ばされたサングラスを

手に取り着直す。そしてマルチマグナムも回収する。その時倒れた奴は緑谷に話しかけた。

 

「さ、最初は小細工ばかりの気に食わねぇやろうかと思っていたが………

終盤の喧嘩は中々楽しかったぜ………!さあ!トドメを刺せ………!!俺の命

お前にくれてやる」

 

緑谷はその言葉にため息をつきながらサングラスをくいっとかけ直す。そして

ヤレヤレといった感じで目線を逸らす。

 

「殺しなんてするわけがないだろ……僕はヒーローなんだから。それに

僕は急いでいかないといけない場所があるしね」

 

緑谷はそう言いながらその場を走り去っていった。そんな彼の背中を乱波は

見つめながらニヤリと笑うのだった。

 

「じゃあリベンジが出来るってことだな………!!いいぜもっと強くなってやる………!!

だから待ってろよ……!緑髪のモジャモジャ頭………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「POWER!!」

 

「ぐ!?」

 

緑谷の激戦から数分後。通形は治崎の場所へとたどり着いていた。そして治崎を守る

鉄砲玉『八斎衆』の音本真と酒木泥泥を撃破し、彼は個性を上手く使いこなし

奴に捕らえられていた壊理を取り返し、彼女を抱きかかえるのだった。

 

「ミリオさん!」

 

「壊理ちゃん!もう大丈夫なんだよね!!」

 

「うん………!」

 

彼女は安心の涙を流しながらうなずく。そんな彼女に治崎は怒りで目を染めながら

話しかけた。

 

「汚いな………壊理、戻ってこい。お前は人を壊す。そう生まれついた………

お前のわがままで俺が手を汚さないといけなくなる。お前の行動1つ1つが人を殺す。呪われた存在なんだ」

 

「ッ!」

 

壊理の心がギュっと絞めつけれた。自身の過去、母親を消してしまい父にも見捨てらた

忌々しい過去を思い出す。彼女の鼓動が極度に速くなり過呼吸気味になってしまう。

そんな彼女を通形はギュっと抱きしめた。そして自身のマントを外しそれを彼女の小さな

体を包み込ませた。そして彼は治崎に向き合う。

 

「いい加減にしろよお前。お前の身勝手でこれ以上この子を傷けるのは絶対に許さない!

ここで終わらせてやる!!行くぞ治崎!!」

 

「汚らわしい!!消えろ!!」

 

通形と治崎の激しい戦いが始めった。治崎は個性オーバーホールを発動させ地面は

割り鋭利なものに変化させ通形を襲う!しかし通形の個性は透過にはそんな攻撃は

一切通用しない。確実に攻撃を通り抜けつつ治崎を殴っていく!!

 

「せや!!」

 

「ぐ!?」

 

通形は戦いを有利に進めていた。このままなら押し切れる。しかしそんな彼に

危機が迫っていた。

 

 

「うう…………若、今助けます」

 

先程、通形に倒された鉄砲玉『八斎衆』の一人。音本真が倒れながらも拳銃を

構えその銃口を通形に向けていた。しかしこのまま彼に発射しても意味がないことを

奴は理解していた。

 

(クソ!このまま撃っても奴にきっと効かない。どうにか透過してない状態の奴を

撃ち殺さないと……………そうだ!ヒーローの性質を利用してやる!)

 

その時!奴が銃口を向けたのは通形ではなくなんとマントで体をくるんだ壊理だったのだ。

通形が戦闘中ながらもそれに気が付く!

 

「な!?やめろ!!」

 

彼はすぐに戦闘を中止し動けない壊理の元へと飛んでいく。そして彼の体が壊理の

前に立った次の瞬間。奴は引き金を引くのだった。

 

「う!?が!?」

 

放たれた弾丸は二発。それは彼の横腹と肩に命中する。体中に走る灼熱の痛みは

彼を動けなくしてしまった。

 

「ア”ア”…………!!」

 

「ミリオさん!!」

 

その場にうずくまる通形に壊理は駆け寄る。そんな二人に治崎はゆっくりと近づいた。

 

「音本よくやった。これでこいつはもう動けない。さあ壊理。お前を守る者は

もういない。こっちに来るんだ」

 

「あああ…………そんな………!」

 

絶望し唖然とする壊理に奴はゆっくりと近づいていく。そして彼女を連れて行こうと

その手を伸ばした。しかし次の瞬間。奴の背中に強烈な衝撃が走った。

 

「が!?な、なんだ!?」

 

背中に命中したものが地面に落ちる。それは鋼鉄製の5キロ印鑑。そうあの人が

駆けつけてきてくれたのだ!

 

 

 

「ミリオ!!壊理ちゃん!!」

 

そう!サー・ナイトアイである!彼は治崎に更に印鑑を投げつける。すると奴は

すぐさま回避しながら二人から離れる。その隙にナイトアイは二人の元へと走った。

 

「二人とも無事か!?」

 

「サー………」

 

「おじさん!」

 

二人の元に着いた彼は二人を力強く抱きしめる。

 

「二人ともすまない!遅くなってしまった。けどもう大丈夫だ。後私に任せてくれ!」

 

そう言ってナイトアイは両手に五キロ印鑑を構えながら治崎の方へと向かう。

彼の背中を見た二人の表情が少し明るくなるのだった。

 

「クソ………!また邪魔が入ったか…………!!音本!!」

 

「!?」

 

「お前は俺のために死ねるよな?俺に力を貸せ!!」

 

「………わかりました。この命、若に捧げます」

 

「な、なんだ!?」

 

その時!治崎は倒れた音本の体に触れる。すると個性を発動させ奴と自身の体を分解し

そして融合させた。すると治崎の姿は禍々しい腕を数本持つ化け物へと変化した。

異形の姿に変化した治崎の姿を見てナイトアイは少し動揺しながらもいつもの冷静さを

発揮しながら奴に突っ込んで行った。

 

「ついにその身も心も化けものになってしまったか!」

 

「ほざくな!!」

 

ナイトアイと治崎の激しい戦いが始まる!治崎は圧倒的に増えた手数を利用し

彼に襲い掛かる!しかしナイトアイは自身の個性である『予知』を利用しすべての

攻撃を避けるのだった。

 

(私の個性は未来を予知することが出来る。しかしその予知した未来が変わることは

なかった。私の個性は未来を確定させてしまう)

 

戦いの中で思い出す自身の過去。予知した悪い未来が容赦なく現実になってしまう。

その現実は彼に深い絶望を与えていた。自分が予知したせいでその人の命が奪われてしまう

かもしれない。かつてこのことを彼は親友である緑谷久に相談したことがあった。

 

 

 

 

 

そうあれはまだ新人エージェントだった頃。ビルの屋上でのことだった。

 

『俺のせいで予知した人の人生を不幸にしてるかもしれない』

 

『おいおい。ただの考えすぎじゃねぇのか?」

 

彼はそう言いながら煙草を吸っていた。しかしそんな言葉でナイトアイの悩みは

解決できない。

 

『何度もそう自分に言い聞かせようしたさ。だけど…………』

 

『フゥ~。そうか…………じゃあ仕方ねぇ。遠くの未来はもう予知するのは控えるしかないな。

けどよ佐々木。もしどうしても変えたいって強く想う未来をお前が見ちまった時お前はどうする?

未来は変えられないって最初から諦めるのか?」

 

『そ、それは………』

 

『違うだろ?結果が分かるまで絶対に諦めるな。例え失敗しようが逃げんじゃねぇ。

もし少しでも未来を変えられる可能性があるとしたら、それはお前の意気次第。

まずお前が諦めちゃダメなんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(確かに。アイツの言う通りかもしれない。けど今の私にはそれをやる勇気がない。

だから………数秒先の予知でいいんだ。それでこいつの攻撃を避け、反撃の隙を作り出す)

 

ナイトアイは予知をうまく利用しながら奴の攻撃を避け続けていた。しかし

奴の個性オーバーホールは地形を変え広範囲な攻撃を繰り出す。更に奴の手が増えたことに

よりそれは強力なものとなっていた。予知だけでは回避できない攻撃がくり出される。

彼の体に傷がつけられていく。

 

(大丈夫だ!致命傷は確実に防げいる!もう少しすれば逆転の機会が………う!?)

 

その時!ナイトアイは最悪の未来を予知してしまった。それは奴の繰り出す地面の棘が

自身の腹を貫くという恐ろしい未来。次の瞬間地面が鋭く変化し始めた。

 

(ま、まずい!!体勢的にこれは避けられない!!…………ここで死ぬのか?)

 

その時。彼の頭に走馬灯が流れる。緑谷久と共に過ごした青春時代。そして

様々な試練を乗り越えオールマイトの横に立ったサイドキックとしての時代。

そして通形ミリオを弟子として迎えた教育者としての人生を振り返った。

 

「クソ………すまないみんな………」

 

ナイトアイは諦めそうになってしまう。しかしその時!緑谷久の声が自身の頭に

響き渡った気がした。

 

 

 

『ばっか野郎!!諦めてんじゃねぇぞ佐々木!!』

 

 

 

「!?」

 

それはただの幻聴。しかしその幻聴はナイトアイに彼の言葉を思い出させた。

”未来を変えるかは自分の意気次第”という言葉を。

 

(し、死ねない…………!ここで私が倒れたら壊理ちゃんの幼い心に深い

傷を与えてしまう………!なにより!ミリオを立派なヒーローに育て上げ、

緑谷を………お前の息子が成長した姿を見るまでは!!)

 

「まだ死ねんのだ!!うおーーーーーーーーー!!!!!」

 

ナイトアイは雄たけびを上げながら必死に体を横に動かした。不器用に。

不格好な形で横に必死に動く。無駄な抵抗かもしれない。けど彼は未来を変える

ために彼は必死に動いた。その結果………!

 

「う!?」

 

地面の棘はわずかにずれた。しかし彼の横腹はその棘に激しく抉られる。そして

吹き飛ばされ、通形と壊理の元へと落ちる。

 

「ぐ!?」

 

「サー!!」

 

「おじさん!!」

 

二人はすぐにか彼の元へと駆け寄る。通形と壊理は彼の腹の傷を見るなり大粒の涙を流した。

 

「サー!お願い死なないで!!」

 

「おじさん………!!」

 

「だ、大丈夫だ。致命傷ではない……けどすまない、もう動けそうにないんだ。

私のことは気にせずここから逃げ…………」

 

「もう終わりだ!今すぐにあの世に送ってやる!!」

 

治崎が地面に触れようとする。もしまた地面を再構築されたらもう避けられない。

3人はどうすることもできずに恐怖で目をつぶるしかできなかった。

 

 

 

 

バン!!

 

 

 

その時。鋭く重い銃声が地下全体に響き渡った。その瞬間奴の地面に触れようとした腕が

吹き飛びその場に落ちる。

 

「な!?」

 

奴はが後ろを振り向く。するとそこにいたのはマルチマグナムを両手に構えサングラスから

漏れんばかりの眼光を輝くせた緑谷の姿があったのだ。

 

「待たせたね。僕が来た!!」

 

彼はこっちを向いた治崎に向けて銃口を向け引き金を数回引く。すると

弾丸は奴の無数の腕を的確に撃ちぬいた。

 

「ぐ!?」

 

どうやら痛みは感じるらしい。奴はたまらず後ろへと下がっていく。緑谷は

三人に背中を見せるようにその場立った。

 

「み、緑谷………!」

 

「遅れてごめんんさい!あとは僕に任せてください!!」

 

「き、貴様!!」

 

治崎は緑谷の姿を見るなり頭の血管がはち切れるほどの怒りの表情を見せる。

その時。彼らのいる大きな部屋に謎の地響きが!そしてその部屋の扉が破壊されると

そこから謎のお男が現れた!

 

 

「若。無事か?」

 

鉄砲玉『八斎衆』

活瓶力也

 

 

 

「ち!活瓶!!力を貸せ!!」

 

「わかった」

 

治崎が活瓶の巨体に触れる。すると個性であるオーバーホールが発動した。すると二人の

体が分解され再構築されていく。すると奴は更に巨大な肉塊の化け物へと変化した。

その肉塊の一番上に治崎の上半身がくっついている。

 

「お前らここで皆殺しだ!!うおーーーーーーー!!!!!!!!」

 

 

全てを破壊するかのような強烈な雄たけび。壊理は恐怖で体を震わせながら

通形とナイトアイのコスチュームの袖を握る。ナイトアイと通形は体の傷が深すぎて

動けない。戦えない現状に悔しさで顔を歪ませる。そんな中緑谷はただ一人あの化け物と

戦う決意を固めていた。

 

 

「よし。ここで決着を付けてやる」

 

「デク!君大丈夫なのかい!?見た感じすごい怪我してるけど」

 

通形がそう言うのも仕方ない。緑谷は先程の戦闘の影響で顔は所々痛々しい

痣がありシャツやジャケットは自身から出た吐血や鼻血で染まっていた。

しかし、緑谷はニコリと笑いながら三人の方を向く。

 

「心配ないですよ!それに僕にはこれがある!」

 

そう言いながら彼はマルチマグナムを見せつけた。そして特殊弾を装填し

銃口を奴に向ける。彼らの一騎打ちが始めるのだった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ一人化けもに向き合う緑谷。そんな彼に奴は大きな雄たけびを上げながら

睨みつけるのだった。

 

 

 

究極融合体

オーバーホール

 

 

 

 

 

【人間の規模を超えた敵が現れた!!武器を使え!!】

 

 

 

 

「行くぞ!!」

 

緑谷は奴に向かって特殊弾。閃光弾を放っていく。奴の体に弾が着弾するたびに

鋭い光が奴の目を襲う。

 

「う!?小癪な!!」

 

奴の視界が一時的にわるくなってしまう。その隙をついて彼は通常弾を装填し直し

奴の体に弾丸を打ち込んで行った。それも正確に治崎の本体を狙いながらだ。

 

バン!!バン!!

 

 

「う!?チ!!舐めるな!!」

 

「!?」

 

その時奴の体中から触手が生え始める。それは先端を鋭利な形に変化させ一斉に

彼に襲い掛かるのだった

 

 ⇐押せ!!

 

「シュ!!」

 

緑谷は体を丸め前転しながらそれを緊急回避。そしてその勢いのまま走り、

追撃してくる触手を避けて行った。そして彼は走りながら懐から重装手榴弾を取り出す。

それはここに来るまでに見つけた武器庫から勝手に持ってきたものだ。

 

 

 

△極

 

彼は口でピンを抜いてそれを治崎に投げつける。そしてそれが頭上に来た刹那の瞬間。

それに狙いを定めるのだった。

 

 ⇐押せ!!

 

 

「ここだ!!」

 

緑谷のマルチマグナムが火を噴きながらものすごい勢いで弾丸を射出する。

弾丸は鋭く空気を切り裂きながら一直線に重装手榴弾の方へと向かって行く。

そしてそれらがぶつかり合った瞬間!奴の頭上で大爆発を起こすのだった

 

 

 

絨毯爆撃の極み

 

 

 

「グァーーー!!!??ぐ!?」

 

 

 

爆発の衝撃と熱波が奴の本体を襲う。奴は必死に自分にまとわりつく炎を必死に

振り払おうとする。その隙に緑谷は薬莢を排出し新たな特殊弾を詰める。そして

間髪入れずに銃口を奴に向け引き金を6回引きまくるのだった。すると奴の本体を

中心に6発の弾丸が突き刺さった!

 

「く!?調子にのるな!!叩き潰して………う!?」

 

その時!弾丸が撃ち込まれた部分から謎の煙が発生し始めた。そしてその部分の

肉が少しづつ腐敗し溶けだす。

 

「こ、これは!?」

 

「特殊弾の一つ!強酸弾さ!打ち込んだ瞬間強酸が出る特殊な弾。僕からの贈り物お気に召してもらえたかな?」

 

「う!?き、貴様ーーーーー!!」

 

余裕そうに。そして楽しそうにそう語る緑谷の姿を見て治崎の心が怒りに染まる。自身の周りから

血が出始め、痛みが激しくなるが奴は怒りで心を満たし緑谷に向かって突っ込んで行く。しかし

緑谷は避ける様子を見せない。

 

「ここで決めてやる!!」

 

 

 

 

△極

 

 

「さあ!行こうか!!ワンフォーオール100パーセント!!」

 

緑谷の体を赤いオーラが包み込む。そして自身の右手にバチバチと

ワンフォーオールの光が包み込んだ。そして腰を低く拳を構える。

そしてオールマイトのあの必殺技を奴に向かって放つのだった!

 

「デトロイト…………スマッシュ!!!!!!!」

 

彼の拳に押し出された強烈な衝撃波!それが一直線に奴へと向かって行く!!

 

「う!?グァーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!??????」

 

その風圧は奴の巨体を後ろへと吹き飛ばす。そして信じられないほど勢いよく

壁に激突し奴の体は強酸弾を撃ち込まれた場所を中心に砕け始める。すると肉塊は

崩壊し治崎の本体は地面に力なく落ちばたりと倒れるのだった。

 

 

 

 

 

究極奥儀・デトロイトスマッシュ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう。クソ…………!」

 

巨大な肉塊から放り出された治崎は力なくその場に倒れる。

遂に緑谷は奴を倒すことに成功するのだった。しかしその代償は決して軽くない。

 

「うう。やっぱり100パーセントはきついな。けど骨折は免れたぞ」

 

彼は100パーセントの反動で右手を動かせなくなってしまったのだ。

しばらく冷やしたりする必要がある。しかし戦いはもう終わったのだ。

 

「やった!!デクやったんだよね!!

 

「はい!」

 

 

「う、う”う”う”~~~~~!!!!」

 

緑谷は3人の方へ向こうとした。しかし意識を失ったはずの治崎が突然唸り声を

上げながらゆっくりとフラフラしながら立ち上がった。緑谷はすぐさま振り返り

奴に片手で銃を向ける。

 

「貴様如きの………!貴様ら如きのせいで計画が台無しだッ!!もういい!!貴様らごと

地獄に道連れだ!!」

 

「「「「!?」」」」

 

その時!治崎が謎のボタンをポケットから取り出す。すると奴は狂気的に笑いながら

説明を始めた。

 

「これはこの地下に仕掛けた爆弾を起動させるためのボタンだ!!爆弾はこの広い地下

を支える中心柱に仕掛けられている!!爆発すれば地上はくずれ連鎖的にすべて崩壊する!!

俺も死ねが………貴様らも死ぬ!!さあ死ね!!」

 

「く!?」

 

「ああ!クソ!!」

 

「ひい!?」

 

「アハハハハ!!!!!!!!」

 

治崎は笑い狂いながらそのボタンを押した。通形たちはどうすることもできない。

これから起こるであろう壊滅的な爆破に恐怖を感じ目を閉じるのだった。

 

「アハハハハハ!!アハハ………あ?」

 

ボタンを押してしばらく経つ。しかしなんの変化も起こっていない。その場にいる者たちは

困惑しながら周りを見渡す。

 

「なんだ?どういうことだ!?」

 

「フフフ………」

 

みんなが困惑する中、緑谷はただ一人不敵に笑っていた。自然と彼の方に注目が集まる。

すると彼は懐から謎の機械を取り出し奴に見せつけた。

 

「あの爆弾ならさっき無効化させてもらったよ。この発目さんが開発したこの機械でね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今から数分前。乱波との戦いに勝利した緑谷はとある部屋に辿り着いていた。そこは地下施設の

中心部の部屋。巨大な柱がある場所だった。そこに着けられていた大きな機械。それは爆弾だった。

 

『これが地下を吹き飛ばす爆弾………!!よし!!』

 

緑谷はすぐさまスマホを取り出しとある人物に連絡を取った。

 

『もしもし発目さん!?』

 

『はい!私です!状況は大体根津校長から伺っています!!爆弾を見つけたんですね!」

 

『うん。この機械はどういうものなの?」

 

『はい!爆弾の解除は正直言って難しいです。ですので私はその前に対処するための

ベイビーちゃんを作りました。それがあなたに送ったジャミング装置です!』

 

『ジャミング?』

 

『ええ!爆弾を起動させるには遠隔システムのボタンを押し爆破信号を送る必要があります。

時限式にしても直接起動させる形式は今の時代あまりない。使用者の安全も考えると遠隔で

タイマーを起動させる必要があります。なのでジャミングさえしてしまえば爆発は止められるはずです。

そのベイビーちゃんを爆弾に取り付けてください!それでおしまいです!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この機械で爆弾を封じさせてもらったよ。せっかく最後の切り札を切ったみたいだけど

残念だったね」

 

「く……」

 

「お前の負けだ治崎!観念しろ!!」

 

「く、クソーーーーーーーー!!!!!!!」

 

奴は悔しさのあまり喉がはち切れんばかりに叫ぶ。しかし緑谷はそれを一切気にせず

奴を押し倒し手錠をかけ拘束する。今までの怒りも込め力強く地面に倒した。

 

 

 

 

こうして死穢八斎會は壊滅。緑谷たちの完全勝利でこの戦いは終わるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後。死穢八斎會の敷地内にはたくさんの警察たちが駆けつけ緑谷たちに

倒された組員たちを逮捕していた。しかし乱波と若頭補佐の針野の二人は発見されなかったらしい。

そして屋敷の外には数台の救急車が。そのうちの一車にナイトアイが運び込まれていた。

 

「サー!お願いです!!死なないで!!」

 

「おじさん!!」

 

「ふ、二人とも落ち着いてくれ。きっと大丈夫だから。あとミリオ。お前もそんな

軽傷じゃないんだから………大人しくしろ」

 

三人はまとめて同じ救急車へと入っていく。

 

「デク!君も病院に行こう!君の怪我も軽いものじゃないんだよね」

 

通形が緑谷に乗車するように促す。しかし彼はそれを首を振って断った。

 

「いや。僕には最後の任務が残されている。三人だけで病院へ向かってください」

 

「え!?ちょっと!」

 

 

緑谷はそう言うとどこかに走り去ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後。八島街は夜になっていた。多種多様な夜の店の建物から発せられるネオンライトの光が街を明るく照らしていた。そして街の中心に建てられた大きなビル。それは20階建ての巨大市役所。先日ここでは爆破テロが行われ人はもう寄り付かなくなってしまっていた。しかしその建物に今日だけは沢山の人が集まっていた。この街で起こった事件の真相を明らかにするために。

 

 

 

 

「全く一体何だ。こんな所に集合だなんて」

 

ビルの前一台のパトカーが止まった。そこから出てきたのは捜査本部に参加している

刑事、新原だった。彼は不満そうに目の前のビルを見つめる。そうしているとその場に

彼が現れる。そう緑谷出久が。

 

「新原さん!!」

 

「あ、緑谷君。どういうことだいさっきのメールは?ロベリア捜査本部の

メンバーは全員。市役所の17階の大ホールに集合するようにって」

 

「はい。皆さんに話したいことがあるんです。とにかく早く上に行きましょうと

その前に………新原さんにいくつかお聞きしたことが」

 

「ん?」

 

「クレアさんの遺体の解剖はもう終わってるんですよね?それで聞きたいことがあるんですけど

彼女に何かおかしなところはありませんでしたか?」

 

「ん?ああ、そういえば彼女の鼻孔と喉に謎の炎症の後あったな。何かの化学物質の影響らしいが

長時間水に顔を突っ込まれ、蛇口が出しっぱなしの影響で水は循環していた。その影響で

それらしいもは証拠は全部排水溝に流されたと考えられる」

 

「やっぱり………」

 

「は?やっぱりってどういう………」

 

「後最後にもう一つ。彼女の頭の髪の毛。抜かれた痕などはありませんでしたか?」

 

「え?ああ………確かに不自然に何本か抜かれた痕があったらしいが………

それがどう………」

 

「そうか!僕の推理が正しければやっぱり………!!新原さん!!

詳しいことは上で話します!早くビルに入りましょう!!」

 

「わ、わかった」

 

新原は渋々と了承しビルの中へと入っていく。すると緑谷は入る前にとある人物に連絡を

取った。スマホで通話を開始する。

 

「根津校長」

 

『緑谷君。君に言われた通りわが校のOB、OGのヒーローを何人かをビルの中に配置させた。

後は君が奴の正体を暴くだけだよ』

 

「了解です!」

 

『じゃあ………健闘を祈るよ。緑谷君』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは八島街市役所ビルの17階。会議などで使われる大ホール。そこに

ロベリア対策本部のメンバーたちが集まっていた。そして病院にいた

リューキュウと車椅子に座っているロックロックも。そしてついに緑谷がその大ホールへと

現れた。

 

「みなさん急に呼び出してすいません。特に病院にいたロックロックと

リュウキューは特に」

 

「気にしないで。そんなことより」

 

「全員をここに集めたんだ。てことはそれなりの理由があるんだろうな?」

 

「ええ。全部お話ししょう。この事件の真相。まずは先ほど僕が知ったことを報告します」

 

 

緑谷はまず今回の爆破テロの全容を話す。治崎が東城会の傘下から独立するために

ロベリアと契約して爆弾とその製造方法を入手したこと。それを元に新たな商売をしようとしたこと。

そしてその見返りとしてロベリアにこの街を実験場として差し出したこと。

 

 

「つまり今回起きた二つの爆破テロは……奴らの実験だったってことか?」

 

新原の唖然とした言葉に緑谷は静かに頷く。

 

「先ほど僕と先輩とナイトアイの3人で死穢八斎會の本部を襲撃し治崎と組員たちを

逮捕することに成功し、壊理ちゃんも保護することが出来ました。けどまだ事件は

終わっていません。まだロベリアの逮捕が残っています」

 

その言葉に一気にその場がざわざわとし始めた。

 

「ロベリアは!?死穢八斎會の本部にはおらんかたんか!?」

 

ファットガムの質問に緑谷は首を横に振る。そして少し暗い表情を見せながら

自身の推理を披露し始めた。

 

「いるわけなですよ。何故ならロベリアは我々の身近に潜んでいるんですから」

 

「な!?ど、どういうことや!?」

 

「まず思い出してみてください。ここだ起こった爆破テロの瞬間を。デヴィット博士

とメリッサさんはもう気づいてますよね?あの爆弾は時限式だけじゃなく遠隔式の機能もあったことに」

 

緑谷が二人に目線を送ると二人は静かに頷く。

 

「あ、ああ。あの時は状況に精神が飲まれて気が付かなかったけど、少し落ち着いて

メリッサと一緒によく考えたらその可能性を見落としていたことに気が付いたよ。恐らくロベリアは

あの爆弾が止められることを予見していたんだと思う」

 

デヴィット博士たちと知見が一致したことを確認した緑谷は静かに頷いた。

そして全員の方見て話を続ける。

 

「そこで皆さんに思い出して欲しいことがあります。爆弾が爆発したタイミングのことを。

爆発が起きたのは爆弾の解除に成功して間もないタイミングでした。そして爆弾の解除に成功したことを知っているのは……………あの時無線で情報が共有されていたメンバーだけです」

 

緑谷の放った言葉が静かに皆の耳に突き刺さる。

 

「み、緑谷君!それって」

 

「そうです新原さん。犯人は…………ロベリアはこの中にいます!!」

 

ドクンと皆の鼓動が一瞬速くなる。ロベリアが。この事件の元凶が今この空間に

いるという事実に皆、額などに緊張の汗が流れる。否定しようにもその話には

一つの筋が通ていること全員気が付いてしまったのだ。その時リューキュウが

一つの疑問を彼にぶつけた。

 

「ちょ、ちょっと待って緑谷くん!最初の会議の時にも私言ったけど

ロベリアは六年前、君とのお父さんと共に爆死したはずでしょ?もし君の

言う通りまだ生きてるとして一体どうやって生き残ったの!?」

 

「それが今回の事件を解決するために最も重要なカギなんです。

そしてよく覚えていてください僕の推理はポイント4つ」

 

緑谷は指を四本立てながらスマホの画面を皆に見せる。そこに映っていたのはとある文字が羅列されているリスト。

 

「ポイントは、奴はどうやって6年前生き残ることが出来たのか?

何故、6年間テロを行わなかったのか?

何故、治崎とそんな取引をしたのか?

何故、実験を行ったのか?」

 

四つ重要なポイントを話された皆は少し考え込む。そんな中緑谷はサングラスをくいっと上げながら

話を進めた。

 

「けどその前に。僕が推理したクレア・ボヤンス氏殺害事件の真相を少しお話したいと思います」

 

その言葉に皆少し戸惑いざわざわと困惑し始める。しかし彼は構わず話を続けた。

 

「皆さんご存知の通り。彼女は洗面ボウルに溜められていた水の中に顔を突っ込まれて

殺害されていました。現場検証の結果彼女に抵抗した後がなかった。そして先ほど

聞きましたが彼女の口や鼻孔から何かの炎症の後があったらしいです。そして現場の状況と

その情報から僕はこう推理しました」

 

緑谷は再びスマホの画面を皆に見せる。そこに映っていたのは二つの現場写真。

クレアの部屋で撮影したゴミ箱の写真と洗面台の周りに集められている化粧水の数々。

 

「まずこのプラスチックの容器の化粧水を見てみてください。ラベルが少し剝がれかかっている

でしょ?なんでだと思いますか?僕の考えでは、犯人が一回剥がしたんだと思います」

 

「剥がす?なんでそんなことを?」

 

「すり替えるためですよ。このボトルと似ている彼女の部屋にあるトイレに常備された洗剤容器のラベルとね」

 

「は!?」

 

予想外するぎる言葉に皆唖然とし始めた。どういうことか意味が分からない。

 

「簡単な話です。二つの容器の上にあるポンプとスプレー部分。それを入れ替えた

後、ラベルも入れ替えればどうなると思います?こうなるんですよ」

 

緑谷は写真編集アプリで二つの容器のラベルと上の部品をすり替えて見せる。すると

まったく違和感のないものが出来上がった。その画像を皆に見せつける。

 

「現場検証の際。スマホで部屋中の写真を取っといて正解でした。じゃなきゃ

このことには気が付きませんでしたよ。そして次に重要なのがこのゴミ箱の写真です」

 

ゴミ箱。緑谷はその写真を拡大させ捨てられているとあるものに注目する。

 

「これは………化粧水の詰め替えパック?」

 

「その通りです新原さん。もしこれをすり替えたボトルに入れたらどうなると

思いますか?」

 

「え…………?ッ!!そうか!トイレ洗剤の中に化粧水を入れたら化学反応が

起きて有害毒素が発生する。だから彼女の口と鼻孔に炎症の痕があったのか!!」

 

「その通り。もしこの二つが混ざり合うとどうなるのかさっき調べてみました。

そうしたら、意識障害を起こすほどの有毒ガスが出ることがわかりました。恐らく

彼女は詰め替えを終えたあとそのまま化粧水を使おうとしたんじゃないでしょうか?

その結果、直にその影響を受け意識が朦朧としている時に彼女は犯人に…………」

 

「抵抗できないまま訳も分からずに顔を無理矢理水面ボウルに顔面を突っ込まれて

殺害されたというわけか…………!!」

 

「その通り。彼女の死亡確認後、犯人は洗剤と化粧水のラベルと部品を元に

戻し、それぞれの場所に戻したんでしょう。けどこれはあくまで推理。近からず遠からずという感じ

でしょうね。決定的な証拠はまだありません。今の所は…………」

 

緑谷の最後の言葉に皆首をかしげる。一体どういうことなのだろう?

 

 

 

 

 

 

「さて話を元に戻しましょう。今回の爆破事件のことについて。先ほど話した通り

重要なポイントは4つ。奴はどうやって6年前生き残ることが出来たのか?何故、6年間テロを行わなかったのか?

何故、治崎と爆弾に関する取引をしたのか?何故、実験を行ったのか?

まずは6年前の奴の状況を考えてみましょう」

 

緑谷と皆は6年前に起きた事件のことを思い出した。緑谷の父親その身と引き換えに阻止し

ロベリアを道連れに爆死したあの事件のことを。

 

「まず仮定としてロベリアはあの日生き残ったとしましょう。そしてその時の

状況を考えてください。奴は父さんと手錠で繋がれたまま開閉が出来なくなった

扉の向こう側に閉じ込められました。そしてナイトアイが言うにはその時爆弾のタイマーはもう1分もなかったらしいです。その状況で無事に生還?それは不可能です。奴は

何かしらの怪我を負ったはずです。そうすると何故、6年間テロを行わなかったのか?

この答えが自ずと見えてくるんです」

 

「そうか!この6年間事件を起こさなかった理由!それは致命的な怪我を負ったからか!

でも一体どれ程の大怪我なんや?」

 

「そこを紐解く鍵は、残りの二つのポイントです。何故、治崎と爆弾に関する取引をしたのか?

何故、実験を行ったのか?まず何故、治崎と爆弾に関する取引をしたのか?これの答えは

こうです。ロベリアは6年前のあの日からまともに爆弾を作成することができなくなったん

じゃないでしょうか?正確には単独で限られた環境の中でです」

 

「単独?どういうことかしら?」

 

「僕が考えるにロベリアは基本単独で爆破テロを起こしてきました。爆弾作成も

たった一人でやってのけて来たはずです。しかし怪我の影響でそれが難しくなった。

ですので奴はサポートしてくれる組織が必要になったんです」

 

「なるほどそれが死穢八斎會だったということね」

 

「その通り。しかも普段から単独で爆弾作成をしていた奴にとって奴ら

提供された実験場と助手たち。慣れない環境だったはずです。ですから爆弾の

精度確認のために実験が必要だったんですよ。この八島街でね!」

 

次々に繋がっていく独立された疑問たち。しかしロックロックはその推理に

一つの疑問を感じた。

 

「ちょっと待て緑谷!それっておかしくないか?奴は6年間活動ができない

くらいの大怪我負ったんだろう!?ならなんでそんな大怪我負った奴が昨晩。

お前は簡単に制圧し、あのシャドウスラッシュを殺しちまうことが出来たんだ?

仮にそんな大怪我負っていたら不可能じゃないか!?」

 

彼の言葉に皆は確かにと思い始める。この6年表立って活動できなくなるほどの

大怪我。それはすなわち一生もの。障害が残るほどの怪我だったはず。そんな

奴が圧倒的な戦闘力を発揮するなど違和感しかなったのだ。どういうことだと

その場の者たちは緑谷に目線を向ける。

 

「奴がどんな怪我を負ったのか………それは僕が最初に言った事件を解決するための

最も重要なカギ。奴はどうやって生き残ったのか?これを紐解けばわかります。

僕考えたんです。父さんと無理矢理、手錠で繋がれた奴はそこからどうやって

脱出することが出来たのか?先ほど言った通り爆発まで1分もなかった限られた

時間でです。手錠は公安が直々に作成した特別な手錠。どんな個性でも破壊が困難な

頑丈さを誇ります。そこで僕は思ったんです。ロベリアは……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自身の手首を切り落として生き残ったんじゃないかって………」

 

「え?」

 

その時。皆の中で奴が負った怪我の真相が明らかになった。すべての線と線がつながった

気がした。そう奴は文字通り手を失ったのだ。精密な作業を可能にする手を……片手を

失ったのだ。それならば個人での爆弾作成は不可能である。

そして緑谷はこの部屋にいる一人の物に目を向けた。

 

「すいません。申し訳ないんですけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その左手の手袋を外してもらえますか?………………メリッサさん」

 

「え!?」

 

怯えるように驚いた声を漏らした彼女はとっさに自身の左手を守るように胸に押し当てた。

すると皆の顔がバッと彼女の方に向けられる。するとデヴィットが慌てた様子で彼女の

前に立った。

 

「ま、待ってください皆さん!この娘の手袋は昔火傷した傷を隠すためのもので………」

 

「そ、そうです!緑谷君にも話したでしょ!?私昔いじめられて…………う!?」

 

「ちょ、ちょっと!!」

 

「悪いな!ちょっと見せてもらうで!!」

 

ファットガムが少し強引に彼女の左手を掴む。そして素早く手袋を脱がしたのだった。

すると彼女の左手が露わになる。そこには………明らかに人工的に作らた手。義手の姿があったのだ。

 

「なんやこれ………!?お前さん左手がないんか!?」

 

「ク……!?」

 

「ま、待ってください!!うちの娘がロベリア!?そんなわけないでしょう!?

みんな少し落ち着いてくださ…………」

 

「ああ!!」

 

その時!新原の声が響き渡った。彼は何故かハッとした様子で彼女の手を見つめた!

 

「緑谷君が言っていたクレア氏の髪が抜けたかどうかというのはそう言う意味だったのか。もし犯人はクレア氏の顔面を無理矢理水に着けたとした両手で抑え付けたはずだ。

そうなれば…………義手に髪の毛が絡まる。関節部には特に部品などに絡まったはずだ!!だろ!?緑谷君!」

 

「その通りです。メリッサさん!その義手を外して鑑識に検査してもらってください。

それで……………すべてはっきりします!いかがですか………メリッサさん!!」

 

「…………………」

 

その一言にメリッサは沈黙し俯いてしまう。ファットガムは彼女の手を放しながらも

「どうなんや?」と彼女を問い詰めた。そんな彼にデイヴィットは怒りだす。

 

 

「ッ!!いい加減にしてくれ緑谷君!!義手だからどうした!?我々の知らない所で

ただ怪我してしまっただけかもしれないだろう!?私の大事な一人娘をテロリスト扱いして!!

君といはいえこれ以上の侮辱は絶対に許さ……………」

 

「く…………フフ………フフフフフ」

 

「め、メリッサ!?」

 

突然メリッサが怪しく笑い出す。そして眼鏡をゆっくりと外しながら天井を眺め

呟き始めた。

 

「私としたことが……………6年前と同じように出しゃばり過ぎて墓穴を掘ってしまったようだな」

 

「め、メリッサ?どうしたんだ?」

 

「ああ………本当に腹立たしい………」

 

彼女は手に血管が露わになるほど拳を握り締める。そして自身の眼鏡を握り割ってしまった。

 

「お、おいメリッサ一体どうし…………」

 

「ああ………!!よりにもよって奴の息子に私の正体が暴かれるとは…………

本当に………本当に………目障りな親子だな!!貴様らは!!」

 

「!?」

 

その時!メリッサはものすごい殺気と共に緑谷のこと見つめる。緑谷はそのオーラを

感じ思い出した。昨晩のロベリアに向けられた殺意の感触を。その場にいる者たちが

奴が何をすると感じ取った。ファットガムと新原は彼女を捕まえようと飛び出す。しかし

メリッサは既に布石を打っていた。義手の親指の関節を音を鳴らしながら折る。

 

「な!?」

 

「で、電気が!?」

 

その時部屋の灯りがすべて消えてしまった。視界が奪われ皆その場に立ちつくてしまう。

そんな中緑谷の視線は自然と月明かりが漏れている窓の方へと向けられる。すると窓が割れる音共に

その方向に人影が見えた。緑谷はスマホのライトで場所を照らしながらその場へと向かい。

割れた窓から外を確認する。すると何かのワイヤー音と共に上に向かって行く人影が見えた。

 

「屋上に逃げました。急いで追いましょう!!」

 

「アホな!何で屋上なんかに!?」

 

「彼女は無個性だ!一人で逃げ切れるはずがない!」

 

緑谷、ファットガム、新原はすぐさま屋上の方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八島街、市役所ビルの屋上。八島街の夜景を一望できるその屋上に彼女はいた。

不満げにスマホで何かを操作し夜空を眺める。

 

 

「ち!また奴に仮を作ることになるとは…………」

 

メリッサがそう呟いた。次の瞬間屋上の扉が蹴破られる。そして緑谷、ファットガム、

新原が現れる。緑谷はすぐさまマルチマグナムを構え彼女に銃口を向けた。

 

「もう逃げらないぞ!メリッサさん!いや………ロベリア!!」

 

緑谷は銃口を向けながら奴を威圧するが奴は一切表情を崩さない。しかも

そんな彼は鼻で笑いながら余裕の表情を見せた来た。

 

「フン。もう来たか…………いつ私がロベリアだと分かったの?」

 

「昨晩。お前に腕を捻り上げられた時のことを思い出したついさっきのことさ。

お前の腕に違和感を感じたことを思い出した僕は義手なんじゃないかって

思ったんだよ。そしたらあの生き残れた理由がそれは説明が付くと思ったんだ」

 

「やっぱりね………それにしてもクレア殺害の真相まで暴くとは。そこも驚いたわ。

大体あなたの推理は正解よ。私は彼女におすすめの化粧水を紹介するという形で

彼女の部屋に招かれた。そして隙を見計らいすり替えを行ったのよ。その結果

彼女はまんまと私の罠に嵌ってくれた」

 

「そしてクレアさんを殺害したんだね。彼女に進化し爆弾の機能を悟らせないために」

 

「ええ。彼女の個性なら恐らく遠隔式の機能が追加されたことに気が付く。だからはやめに

消させてもらったの」

 

「爆破テロを行うためだけなら遠隔式機能だけでも十分だったはずだ。

けどお前はわざわざ手間暇かけて時限式の機能も付け加えた。その理由は

やっぱり…………6年前の復讐のつもりだよね?もう下手は踏まない。例え解除しても

爆破を遂行させるっていうお前なりのメッセージ」

 

 

「フフフ……その通りよ。私は6年前のあの日、プライドだけではなく

科学者としての質も傷つけれた……お前の父親!!緑谷久によって!!今も鮮明に

覚えている!脱出するためにこの左手を切り落とした時感じた痛みを!!それを見て

タバコを吸いながら嘲笑してきた奴の表情も!!」

 

「それでお前は表向きでも科学者をすることが難しくなった。だから個性差別を

なくす人権保護の教授として日本に来たんだな」

 

「そうよ。すべて正解。敵ながら天晴というほか無いわね。フフフ………

でも勝負はまだ終わってないわ」

 

「な、何を言ってるんだ!?無個性のお前にここら逃げる術はない!!」

 

「新原さんの言う通りだ!それにビルの外には空中戦特化のヒーローたちも

配置されている!仮にヘリが来たとしても無駄だぞ!!」

 

「フフフ…………アハハハハハ!!甘わね緑谷君!!」

 

奴はまるで馬鹿にするかのように高らかに笑い飛ばす。そして左手の義手を見せつけながら

小指の関節を音を鳴らした。その時町全体に爆発音が鳴り響いた。

 

「な!?」

 

「今、八島街に仕掛けた爆弾の一つを爆発させたわ。そして今この瞬間。

4つの爆弾のタイマーを今開始させた」

 

「いつのまに!?」

 

「お前!!どこまで外道なんや!?」

 

ファットガム奴に近づこうとした。しかし奴はそれ義手を向けて静止させる。

 

「おっと。私に近づけばこの4つの爆弾をすぐにでも爆発させる。仕掛けた場所は

繫華街、住宅街、病院、駅。爆発すれば確実に犠牲者がでるわよ?」

 

「ク……!?」

 

三人は動くことが出来なくなってしまった。下手に奴を刺激すれば大勢の死者が出る。

そんな風に立ち尽くしていると屋上にヘリの音が響き渡った。彼らの頭上に謎のヘリが

現れる。するとそのヘリはロベリアの場所にはしごを垂らすのだった。

 

「悪いけど。追跡してきたら爆弾をすぐに爆発させる。まあもっともそんな余裕は

そっちにはないと思うけど?なんせ爆発まで2時間程度しかないんだから」

 

「あかん!そこまで計算してたとは………!!」

 

「フフフ…………そう言えば緑谷君。雄英高校で起きた爆破事件の真相は

掴めたのかしら?」

 

「な!?何故それを…………?」

 

突然できた緑谷の本来の任務の話。彼はそれを聞いて一瞬驚愕するがすぐに

思い至る。

 

「いや………そうか!あの爆弾。彼女に爆弾を渡したのはやっぱりお前だったのか!!」

 

「ご名答。とある組織との取引でね。彼女に………高橋礼子に爆弾を販売したのよ」

 

「高橋礼子?それがあの記憶喪失の女子生徒の本名なのか………!!雄英で

あんなことを起こして…………一体何が目的なんだ!?」

 

「それは直にわかるわ。なんせあの爆破事件は私の計画の序章に過ぎないのだから。

また会いましょう緑谷君。次はあなたのことも完膚なきまでに叩き潰してあげる」

 

「ま、待て…………」

 

「メリッサ!!」

 

奴がはしごに手をかけようとした次の瞬間。屋上の扉がバッと開いた。そこから

デヴィットが現れ彼女のとこへと走る。

 

「ハア………ハア………メリッサ!!待ってくれ!!一体どういうことなんだ!?」

 

「パパ………」

 

「な、何か理由があるんだろう?お前がこんなことするわけ…………」

 

バン!!

 

 

「え…………?」

 

デヴィットの腹が突然撃ちぬかれた。メリッサはその手に拳銃を持っていた。

そう。彼女が撃ったのだ。自分の実の父親を………撃ったのだ。

 

「ああ……………」

 

「デヴィット博士!!」

 

力なく倒れる彼に緑谷は急いで駆け寄る。そして自身の上着を腹に押し当て

止血を開始した。そして必死に抑えながら彼女の方を睨みつける

 

「お前!!なんで大事な家族にこんなことが出来るんだ!?」

 

「…………これが私の答えよパパ。正体が暴かれた以上、私はもうメリッサには戻れない。今の私は世界を変えるために戦う戦士。ロベリアよ」

 

彼女はそう言うとはしごに手をかける。するとヘリは彼女を連れてそれへと飛んでい行ってしまった。

その場にいる者たちはそれを悔しさで歪んだ表情で見つめる事しかできなかった。

 

「クソ………クソーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

緑谷の怒りの叫びがこだまする。無駄だと分かっている。しかし彼は飛び去って行く

彼女に怒りの言葉をぶつけた。

 

「ロベリア!!僕はお前を絶対に許さない!!お前に殺された人たちの無念を晴らすためにもお前は絶対に捕まえる!!例え地の果てまでに逃げても!!絶対に見つけてやるからな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑谷編 完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛知県のとある山奥に存在する巨大な謎の施設。そこは異能開放を謳う戦士を

育て上げるための巨大な監獄だった!鋼鉄の魂を秘めた男、鉄哲徹鐵が

その監獄で見た個性迫害を受けた者たちの失われた歴史の真相とは!?

 

 

 

次回、鉄哲編 失われた歴史

 

 

お楽しみに

 

 

 

 

 




いやこの章は書きなれないミステリーも描いていたので書いてて本当に大変でした。
けどその分楽しかったです。あと緑谷っていうか谷村正義の戦闘スタイルを描写するのが
結構苦労しましたよ。戦い方やっぱり地味すぎる。プロレス技を入れることで少し映えを
良くするように工夫はしましたがいつも頭を抱えながら書いてました(笑)
次回から鉄哲編スタート!!もうこの鬱憤を晴らすために彼を大暴れさせたいと思います。
では今回も読んでくれてありがとうございました!次回もお楽しみに!
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