意外と反響が良かったので、急遽殴り書きに近いけど投稿した。
前回よりも少ないし、誤字脱字が多いのはのちに修正するんで許してちょーよ。
では、「熱砂の巨獣」第2話どぞ!!
相変わらず、灼熱の砂漠に埋もれかけな住宅街を拠点とするヘルメットを被った集団。いやほんとこの気候でヘルメットは拷問じゃない?
本人達は顔を露出するのが苦手だと語ったり、退学組だから顔を隠すのに丁度いいと肯定的だったのが不思議だ。
ヘルメットもフルフェイスからジェットと呼ばれる開閉式まで様々。
結束力を高める意味を込めて、せめて名前だけでもとカタカタヘルメット団という妙ちきりんな団体名を名乗っているのだとか。え、今更だけどそんな名前だったの君ら。
ヘルメット団はかなり多くの勢力と派閥がいて、それぞれ名前が違うらしい。らしいというのは全部元トリニティの団員ちゃんから聞いた話だから。
あ、そうだ。
アビドスの二人から貰ったあいうえお表記の文字一覧表のおかげで、拙いが意思疎通を行えるようになった。
それに、もしもの時用に犬笛っぽい笛──ポケモンの笛ではない──を団員の何人かに配り、吹いてもらえば用心棒として俺が駆け付ける手筈になっている。
逆に俺が簡単な受け答えができるよう、はいかいいえで答えられる質問をして気に掛けてくれていた。ほんと何でこんな良い子達が不良みたいな事やってるのかね?
元トリニティの団員ちゃんは長いので名前を聞いてシラベと呼ぶ事に。俺も名前を聞かれたが、何て答えて良いか分からず、この生き物の名前から取ってバンと名乗る事にした。……意外と名前っぽいし。
シラベは、カタカタヘルメット団の実質的なリーダーなので、用心棒の俺はアビドスの二人の事や、彼女達が契約を持ちかけられた企業の事、砂漠に眠る巨大機械獣や廃校になったアビドス本校の事、包み隠さず話す事にした。
筆談というか、共通語表を使っての説明になるから必然的にかなり時間がかかった。それでも途中で話を切らず、前のめりになって聞いてくれたのは偏に、団員達の進退がかかっているからだろう。
昔から不良みたいな事をしていたと嘯いていた彼女だが、本来は真面目で正義感や、責任感が強い性格だ。
接した時間は短いが、彼女と彼女の周りを見ていればわかる。
カタカタヘルメット団がアビドスに入学すれば、万事解決!……と、いけたら良かったのだが。シラベに提案の話をしたら即、無理だろうと芳しくない返事を貰った。
何故か?当然疑問に思い、尋ねると予想外の言葉が返ってきた。
現在のアビドスに入学したところで、彼女達にも、私達にも先がない、との事。どういう事だろう?
曰く、アビドス前生徒会が解散した理由が不明朗。キヴォトス屈指のマンモス校から全校生徒二人に落ちぶれた理由は生半可なものじゃない。
曰く、団員を養う為の財政。今のヘルメット団はアビドス高校を襲撃する名目で軍資金を支給されて成り立っている。いや、それでも食事事情を考慮すれば赤字。武装も弾もタダじゃない。
そこらのコンビニで買える金額ではあるが、カタカタヘルメット団は他の派閥よりも人数が多い。食い扶持も多くなるのは当然だろう。
アビドスに編入するとなれば、支給されていた資金もなくなり、今度は企業を敵に回す事になる。相手の企業はキヴォトス内でも幅を利かせた大物らしいから、今後活動も難しくなるだろう、と。
曰く、カイザーコーポレーションの兵力。契約していた企業の子会社に民間軍事会社、通称PMCがあり、そこの社長と、砂漠で交戦したロボットの親玉の特徴が一致している。という事は、俺がカタカタヘルメット団にいる事自体がまずい?
「誰も貴方を売ったりしないわよ安心しなさい。というか、全部カイザーが裏で糸を引いてるのは……気に入らないわね」
「俺に何か出来る事はないか?」
「うーん……バンがカイザーをぶっ潰してくれたら多少は風通しが良くなっていいかも……あ、いや!本気にするんじゃないわよ!?はぁ、昔から頭回すのは苦手なのよ……」
シラベは片手で顔を押さえながらため息を吐く。苦手と言う割には、俺ですら気が付かない可能性を話を聞いてすぐに指摘できる回転の速さがあるの思うのだが。
ちなみにカイザーを襲撃するのはいつかやるつもりだ。この子達やアビドスの二人には秘密裏にでも。
ちなみにアビドス本校を根城にしている俺は、既に何度も襲撃して来たカイザーの部隊を蹴散らしている。
何故あの場所に拘るのか?地下を掘ってはみたが、地下水以外に特に何かが埋まってる訳でもなく、この間倒したはずの機械の蛇が多少の残骸を残していつの間にか消えていたのにはびっくりしたが、それだけだ。
カイザーとやらが回収したんだろうか?
ちなみに回収した残りの残骸は、売る伝手がないヘルメット団よりも、アビドスの方に寄付する事にした。
決して不法投棄ではない。
今日はもう疲れたらしいシラベを寝かせて、寝床に帰還する。
俺も寝ようとしたら、背後に気配を感じて本能的に振り返る。牙を剥き出しにし、低く唸り声を上げ、自分を中心にアビドス校舎全域を覆う砂嵐を巻き起こした。
「おやおや、警戒されてしまいましたか」
俺の目は特別製で、視界を奪われるこの砂嵐の中でも相手の位置や姿がはっきりとわかる。
黒いスーツに全身針金を彷彿とさせる長い手足、手袋まで黒という露出を極限まで減らした姿はごく一般的な社会人だが、肝心の顔は罅割れた黒い卵の様な見た目をしていた。
こいつはポケモ〇か?トレーナーか?はたまたUBとか異世界の存在なのか?脳が理解を拒むってこういう事かもしれない。
「grrr……!」
「これは失礼。挨拶がまだでしたね。こんにちは、初めまして。私達はゲマトリア。キヴォトスの外部の者です」
「私達は観察者であり、探究者であり、研究者です。貴方と同じ、『不可解な存在』だと考えて頂いて構いません。そして、私個人の事は黒服とお呼びください。この名前、結構気に入っているのですよ」
「……で?その喪服野郎が俺になんか用か?」
「今まで観察で、こちらの言葉は通じていると仮定して話を続けます。バンさん、私と契約しませんか?貴方が望むなら三食おやつに昼寝付き、最高級の寝床も用意したペット契約」
言い終える前に、パワージェムの宝石ビームが黒服の顔の横を掠め、砂漠の砂に消える。
次は当てる、と脅しの意味を込めて二発目の宝石を宙に浮かべ、いつでも撃てるように見える位置で固定。
「──冗談です。クックックッ。警戒はされている様ですが、私を殺さずにいる理性もある。ますます貴方に興味が湧いて来ました」
「ホントよく喋る……胡散臭い奴だな。それに契約か、奴隷契約以外なら話だけは聞いてやるよ」
「……もしや、意外と乗り気ですか?」
「寝言は寝てから言えって。ほら、あくしろよ」
「貴方が理知的でこちらとしても助かります。提案ですが私の研究に協力してもらえませんか?もっと具体的には被検体を努めてもらいたい。ご協力頂けますか?」
黒服にとって俺は完全に未知の生命体。キヴォトスが起源の生物ではないのは確かだが、数日前に突然出現したUMAを研究したい。要約するとこんな感じか。
こいつ、見た目通りのマッドサイエンティストだったか。勿論お断りだ。一昨日来やがれこの卵野郎!ぺっ!
「やはり、そう簡単に頷いてはくれませんか。ならば、こういう条件ならば如何ですか?」
「何を言われたって飲む訳ないだろうが」
「──貴方が懇意にしているアビドスとヘルメット団への援助」
「!?」
「バンさん、貴方はアビドスが何故困窮しているかご存知ですか?彼女らの先代、つまり歴代のアビドス生徒会がカイザーに多額の借金をし、その負債が膨らんだ末の結果です」
つまり、彼女達の自業自得。黒服はゆっくりと俺を観察しながら言葉を吐く。まるで反応を楽しんでいるかのように。
借金?あの子達は何も言っていなかった。そんな顔をしなかった。誰も助けてなんて言わなかったし、むしろ俺に対して人外だと、人と同じ様に接してくれていた。
俺は、そんな彼女達に何ができていたか?
「バンさん」
「ハッ!」
「考える必要はないでしょう?貴方が犠牲になる事で、彼女達は今よりも充実した生活を確保できる。何を悩む必要があるのです?」
「っ!」
「悩む必要があるのなら、貴方にとって彼女達はその程度の存在だった。そういう事です。いえ、誰しも自分が一番ですから、貴方が悪い訳ではありません。ええ」
「……」
「決意は固まった様ですね。では、ここにサインを……」
「一つ、聞きたい……」
「……はい?」
「お前と、カイザーは繋がってるのか?」
言葉は通じていない。だが、黒服は何らかの方法で俺の意思をある程度、それも表層意識と呼ばれる部分の感情ぐらいは把握している様だった。
あー、難しい事ばっか考えてて頭が重い。こういう時はシンプルに行くのが一番だ。
──バンがカイザーをぶっ潰してくれたら多少は風通しが良くなっていいかも。
ああ、全くその通りだよ。シラベ。
アビドスが困窮してるのも、ヘルメット団が傭兵紛いの仕事をしてるのも、アビドス本校が狙われるのも。
全部、カイザーって奴が悪いんだ。
そして、今一番欲しいタイミングで手を差し伸べて来た黒幕(仮)の黒服も、カイザーと繋がりがあるんだろうな。
なら、俺にできる事は?俺がこの姿になった理由は?
「ははっ」
「……笑っている?何故?この状況でっ!?」
「はははは!!!!!!」
そうだとも、何もかもぶち壊すパワー!どんな障害も跳ね除ける頑強な鎧!タイプ相性という本来の性質が全て物語っているじゃないか!
即ち、純粋な悪。
ゾク、リ。
惜しい事をした。いち早く異常を察知した黒服の姿はない。……逃したか。でもどうでもいい。今はカイザーだ。
カイザーのマークは覚えてる。確かタコみたいな奴。
シラベが言っていた。
カイザーコーポレーションの系列会社はロゴマークがわかりやすい。全部似たり寄ったりだと。
全身から砂が噴き出し、今までよりも巨大な砂嵐が起こる。俺を中心に風が渦巻き、まるで台風の目になったよう。
その足は、ゆっくりと。しかし確実に街の方へと向かって進む。
『──速報です!アビドス郊外の砂漠地帯より巨大な砂嵐が発生しました!住人の皆さんは屋内へ避難してください!繰り返します!アビドス郊外の……』
アビドスに住む住人も、アビドス校の生徒二人も、ヘルメット団の子達も、誰も俺が本気で戦ったところを見た者はいない。
砂漠に棲み、山を崩し、地形を変え、地響きを鳴らし、強い相手を求めて彷徨う、災害〇ケモン。
周りを気にしない太々しさ。
それこそがこの姿の本質。強者との闘争を求めて、怒りと本能に任せた純粋な暴力で全てを薙ぎ払う、意思を持った動く大災害。
時折轟音が轟くが、砂嵐で姿が見えない俺の遠吠えだ。
カイザーのロボットやマークを的確に遠距離攻撃で撃ち抜いていく。そしてまた咆哮。その繰り返し。
遂に、アビドス自治区を抜けて暗黒街とシラベが呼んでいたブラックマーケットに侵入。
乱雑に建ち並ぶビル群を見た感想は、入り組んでいたがどこを見ても結構人がいて、アビドスより栄えている印象。
砂嵐を見た奴らは逃げ惑い、どんどん建物の中へと逃げるがお構いなしに直進する。目の前に壁があれば突き破り、ビルが建っていればへし折った。
カイザーの系列会社を幾つも物理的に倒壊させた最後は、どこからでも見えていたブラックマーケットで一番高いビル。闇銀行に目標を定める。
シラベがカイザーから資金援助を受けている場所であり、アビドスが借金を抱える諸悪の根源が巣食う場所。
一際大きな咆哮をあげ、はやる気持ちが足に出る。
砂嵐を纏い、駆け足のまま銀行の正面玄関から飛び込んだ。
ロボット兵による抵抗があるが、この身に銃弾なんぞ豆鉄砲だ。銃の掃射を無視した上で砂嵐に囚われ近くにいた者を掴んで銀行のカウンター奥まで投げ捨てる。
フロアの中央で、尻尾を床に振り下ろして固定。体内で膨大なエネルギーが溜まっていく。
真上を見上げて口を大きく開いた。一拍置いて、ビルを貫く破壊の光線が天まで昇っていく。
周囲にいた者達は光の奔流を視認した直後、熱により膨張した空気で吹き飛ばされ、意識を失ったがすぐ爆音で叩き起こされるのを体験しただろう。
一夜と言わず、侵入から僅か数分でビルは完全に倒壊、進行した後は全て更地になった。ブラックマーケットに刻まれた恐怖の一日となっただろう。
マーケットガーディアン?ああ、なんかいたな。あいつらなら今頃地面のシミになって眠ってるよ。
数日後、あの日から襲撃がパタリと止んだアビドス本校の寝床で、瓦礫や濁流でできた土の撤去活動に勤しんでいた。
衝動的にあんな行動をしたんだ。ある程度能力を話してあるシラベには俺だと特定されているだろうし、今まで運が良かっただけでいつカイザーと鉢合わせするかわからなかったから、これからヘルメット団と一緒に過ごすリスクを考えれば、呼ばれた時に駆け付ければ一番いいのはそう。
アビドスの方も、間接的にアビドスの街にとってトラウマである砂嵐を伴って蹂躙したのだから、どんな顔して会えばいいのか……。実は俺が砂嵐の原因だったなんて考えられていたらと思うと、腰が引けた。
そうだ。あのプッツンした次の日から二の足を踏みまくって、誰とも会う勇気もなく、やる事もないから住居の美化活動で時間を浪費していた。
それに、本能に身を任せ、全てを蹂躙する爽快感を感じてしまった俺自身に嫌悪感を抱いた。
好きなキャラだ。好きな見た目で性能も好みだが、その性質を深く理解していなかった。自分の浅はかさが恨めしい。今ならゴーストタイプになれるかもしれない。
自分から動けなかった俺の耳に、例の笛の音が聞こえ一瞬躊躇ったが、約定を反故にする訳にはいかず、砂の大地に身を投げて急いで泳ぐ。
何故か生えてきたオリキャラシラベちゃん。
あの子の構想を練るのに一番時間がかかったまである。
とあるスマホゲームのキャラを参考にしてますんで、皆さん良ければ予想してみてくださいな。
この駄作を読んでくれた方々、しおりを挟んでくれた方々、お気に入りしてくれた人、本当に感謝を──領域展開 自閉円頓裹。