ダンジョンにジェダイの弟子がいるのは間違っているだろうか? 作:究極の闇に焼かれた男
「はあーーー〜っ!? 5階層に潜ったですって〜!?」
その日の昼頃、冒険者ギルドにて1人のハーフエルフの叫び声が響き渡っていた。
目の前でいきなり大声で叫ばれたことに、ギルは表情を顰めつつも頷きながら言葉を返した。
「1階層から4階層まで大して強くないモンスターばかりで不完全燃焼で終わりそうな気がしたから行った。 反省も後悔もしてない!」
「そんな胸を張って言うことじゃないからね!? それと反省も後悔も少しはしなさい!!」
「落ち着いて下さい、エイナさん。 よく言うでしょ、"冒険者は冒険するからこそ冒険者なんだ"って!」
「それを言うなら、"冒険者は冒険しちゃいけない"だよ!」
ギルの悪びれた様子もない態度にギルドの役員であるハーフエルフの女性こと【エイナ・チュール】は、頭痛がする思いをしながら顳かみを抑えつつ溜息を零しながら口を開いた。
「はぁー……ギルくん。 君は最近冒険者になったばかりなのは理解してるよね?」
「そうですね。 正式に冒険者になってから3日目です」
「それが分かってるのに、どうして君はまだレベル1なのに5階層なんかに行ったのかな?」
「先程も述べた通り、不完全燃焼なまま終わりそうだったので5階層に潜る事にしたんです。 反省も後悔もしてません」
「そこは反省も後悔もしなさい! もう、ギルくんみたいな無茶苦茶な冒険者を担当するなんて初めてだよ……」
「エイナさんが今までに担当した冒険者が偶々そうじゃなかっただけじゃないですか?」
「ギルくんが異常なだけ! 普通の冒険者なら、冒険者になってから3日目で5階層に潜ろうなんて考えないからね!?」
「エイナさん、少し落ち着いて」
「誰のせいでこうなってると思ってるの!!」
エイナは青筋を立てながらギルに視線を向けるも、言っても無駄だと判断したのか早々に諦めた様子を見せると、ギルの持ってきた魔石を換金した分の金額が入った布袋を手渡す。
「とりあえず、今回換金した分の金額ね。 それと今後は無茶なことはしないように!」
「は〜い」
「返事は伸ばさないの!」
「はい」
「よろしい」
「そろそろ時間も時間なんで、この辺で帰りますね」
「うん。 それじゃあ、またね」
「はい、失礼します」
そう言うとギルは換金した分の金額の入った布袋を手に取ると、冒険者ギルドの外へと出て行くのだった。
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「今日もたんまりと稼げたし、これなら今日の晩飯は豪勢に出来そうだ。 あの娘と神様も喜ぶかな」
金銭の入った布袋を手に帰路につくギルは、独りホームで帰りを待っているであろう幼馴染と主神のことを思い浮かべながら歩いていた。
(それにしても、あのミノタウロス、どうして上層なんかに上がって来たんだろう? まさか…何処かのファミリアが遠征帰りにミノタウロスの群れと偶然にも鉢合わせて、その内の1体のミノタウロスを取り逃したからだったりして……流石に妄想が過ぎるか)
そんな風に、殆ど正解に近い答えを思い浮かべるも、妄想が過ぎるかなと即座に否定しながら歩いていた時だった。
「──冒険者さん!」
背後から聴こえてきた声にギルは足を止めて思わず振り返ると、そこにはウェイターの格好をした1人の少女がにこやかな笑みを浮かべながら立っていたのだった。
次回くらいに本作のメインヒロインを出す予定です。