暗い山道。ある程度整備された道を征く。
横に逸れると獣道。暗いせいか、完全に闇の中にある。
何かが、光った。車が通るほど広い道ではない。自転車にしても、光の数が多い。1、2、3、4… 幾つもの光が宙に浮かんでいる。
いや、光ではない。あれは蝋燭だ。幾つもの蝋燭がある。
誰かが、蝋燭を持っている。人の形をしている、「何か」がそこに立っている。
人の形をしていて、人ではない。
角がある。尻尾がある。脚が異常に長い。
手が、蝋燭だ。
「あれ」は蝋燭を持っていたのではなく、手が蝋燭なのだ。
「それ」はあなたを誘うように背を向けて歩き出した。
あなたはその後ろを追って、歩き出す。最初からそうだったように。
それが当然だったように。
次の日、あなたは人でなくなっていた。
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朝目が覚めて、あなたは自分の状態を把握した。
角が生えている。尻尾が生えている。力が、漲る。
昨夜見たあの「何か」に似ている。違いはあの蝋燭だけだ。いや、正確な姿形には大きな違いがあるが、それはいい。
問題は、人でなくなったことだ。これからどうする。外には出れない。
ハロウィンでもないのだから、角や尻尾をつけているあなたははっきり言って異常だ。変質者といってもいいだろう。
となると、誰かに頼るほかない。しかし、誰に相談すれば良いのか。
病気か?いや、違うだろう。病院に行くわけには行かない。
警察?確かにあの「何か」が自分に影響を与えたと考えれば自分は被害者だが、法律で定める範囲に自分はいるのだろうか。
考えて、考えて、昨日と同じことをすればあの「何か」に会えるのではないだろうかと思い至った。他に手掛かりがない以上、そうするしかない。なのであなたは制服に着替え、昨日と同じように学校へ登校した。
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あなたはジロジロと見られている。理由は明らかだ。
あなたの角は隠されず、明らかに普通ではない様子は見て取れる。
1mはあるあなたの尻尾は曝け出され、体育の時間では尋常ならざる身体能力を見せつけた。
あなたにはたいして友はいないし、彼女と言える人もいない。
つまりは、遠巻きに見るだけで、誰も話しかけなかった。教師ですら、角がなんなのか一度聞いたっきりどこかへ行ってしまった。悪魔のコスプレというあなたの苦し紛れの言い訳に引いているように見えたのは気のせいだろう。
あなたはこのまま、誰とも会話をせずに学校が終わると思っていたのだが…。
「なぁ、それどうなってるんだ?」
ここに、勇者が現れた。