あなたに話しかけてきたのはあなたの数少ない友人である『阿良々木暦』だ。昔から家が近くという理由でよく話をしたり遊んだりしていた。
彼女はいわゆる『いんきゃ』というやつで、
あなたと同じ様に友人が少ない。最近は同級生の『羽川』、『戦場ヶ原』、後輩の『神原』などと良く話をするらしい。するらしいというのはその繋がり方を誰も知らないのだ。スポーツや勉強での繋がりはほぼないと言っていい。
どうして知り合ったのかもわからない様な組み合わせで、学校の七不思議にもなったものだ。
あなたは角や尻尾のことを彼女に打ち明けるべきか考え、教えることにした。彼女は言いふらしたり、遠ざかったりしないだろうというある種の信頼を持ってあなたは打ち明けた。
「帰り道に、悪魔みたいなやつ?」
彼女は深刻そうな顔をして考え込んで、
「僕も一緒に行っていいか?」
と聞いてきた。
いつもならば彼女のお願いは叶えようとするあなただが、今回は慎重に考えなければいけないという予感があった。
あの『何か』はあなたを人で無くした。であるならば、暦に対して同じことができると考えるのが普通だろう。
あなたは、自分のせいで彼女が人でなくなることを恐れた。
あなたは彼女にこの心配を打ち明けた。
「放課後、二人で会えないか?」
放課後。あなたは緊張している。以前は暦と一緒に帰ることはあったが、最近はお互い忙しく、そういうことは無くなってしまった。
あなたはこれがデートというやつなのではないかと思い、人生でも最高の緊張を覚えた。
「悪い、待たせちゃったか」
阿良々木暦がやってきた。確か、何かあなたに言いたいことがある様だったが。
「そうだな。実は、僕は吸血鬼なんだ。」
吸血鬼。闇に潜み、人の血を吸う人ならざるもの。確か、日光が弱点のはずだが。
「ああそう、吸血鬼は日光が弱点なんだよ。でも今の僕はほぼ人間なんだ。話せば長くなるんだけど」
あなたは彼女を信頼している。あなたは彼女が吸血鬼だということを信じることにした。
「マジかよ。お前は相変わらず人を疑わないんだな」
少し違う、とあなたは反論した。人を疑わないのではなく、暦を疑わないのだ、と。
「よくそんな恥ずかしいこと言えるよな」
あなたは別に恥ずかしくない。暦を疑う方がもっと恥ずかしいからだ。
「そ、それで、僕はもう吸血鬼だから、悪魔にはならないと思うんだ。それに、もしなっても前とおんなじでなんとかなるだろうし」
正直まだ不安だが、あなたは阿良々木暦を連れて昨日『何か』に会った道に行くことにした。